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かけらの感想・レビュー(271)
表題よりも、「欅の部屋」が印象的でした。引越しのときに捨てる前にもう一度の見ておくのと同じで、昔の人を忘れる前にもう一度思い出す。なんかわかる気がして、はっとさせられました。
「かけら」「欅の部屋」「山猫」三篇とも淡々とした文章で、情景が自然と見えてくるような身近な題材が描かれていました。その淡々とした語り故に、つい読み流してしまいそうになるけれど、あれっ?と立ち止まる表現が多くありました。「かけら」で描かれた父娘の関係…『私は昔から父をちゃんと知っていたという気がしたし、それと同時に、写真の中の人はまったくの見知らぬ人であるようにも感じた』との文章は『父の視線は写真をはみ出して、雲の切れ目に…』との部分に続きます。何度も読み返しました。
こういう日常の淡々とした様を読んでいると心地いいですね。確かにこの本を読んでいるのだけれど、文字を追って意味を理解しているのではなく、あらゆる考えごとが頭の中で生まれて消えていき、本の場面に自分が突然現れたかと思ったら次の瞬間には、途中百貨店でマグロの刺身を買って帰ろうと読んでいる電車からの景色に目を向け、やけに暗いのは陽が沈んだからなのか、それとも窓にスモークが貼ってあるからなのかと開いたドアの外の色と見比べたりして、本をつかむ手の姿勢を少し変えてまた本に視線を戻したりします。
青山七恵4冊目。青山さんの文章は本当に好み。日常の、人の、細やかな部分を描くのが本当に巧いと思う。特別ハートフルという訳ではないけれど、心がほわりとする。時々ハッとさせられる。素晴らしい。
何かが起こりそうで…起こらない日常の出来事を描いた3編。それでいて“あ〜その気持ちわかるわ”と思わせるところがあって、無事読み終えたって感じです。
誰も、他人の全てを見ることはできない。見ているものは、人のかけら。時と状況によって、色々なかけらが見えてくる。かけらしか見えていないのに信じることができる、なんてすごいことなんじゃないのかしら。自分では意識もしていない程度のちいさなかけらの揺らぎを捉えた文章、ほんとうにうまい!
現代日本の一般的な市井に生きる人たちの関係性の機微を描かせたらこの人が今のところ随一なのではないかと思う青山七恵氏の短編集です。表題作は父と娘、「欅の部屋」は結婚を控えた語り手の男と元カノ、「山猫」は若い夫婦と、そこに泊まる従姉妹。特徴的なのは存在の片一方がちょっとだけ異物である所であり、そこから描かれる心情であるとか、ちょっとしたやり取りの機微が、この作品集でも光っていました。きっと短編だからいいのだろうなあ。
事件というほどのない出来事が起こす心のさざ波を、巧みに描き出した短編集。自分自身を劇的に変化させる程のこともない感情の揺らぎというのは、それを表現することは難しいし、そのこともあってか、人はなかなか覚えておくことができないのだと思います。だけれど、自覚することはなくとも、そのような感情の揺らぎの積み重ねが自分自身を構成していることは間違いないし、緩やかに自分自身の変化につながっていく。著者の描き出す心のさざ波は、それが自分自身を構成する一つの重要な要素であるということを気づかせてくれるものだと思います。
毒にも薬にもならない短編たち。すぅーーーーって時が流れて、気付くと終わってしまう。純文学ですね。とてもきれいな文体、表現、行間がすき。若い方なのでこれからがもっともっと楽しみ。
正統派純文学って感じ 読んでて、自分の二十代前半のころの感じを思い出してしまったな〜 いい短編集やった 文章も上手で読みやすかった
小説然としたところを逆に求められるエンタメやラノベと比べて驚いてしまう。なんだこの何気無い終わり方は。何気無さ過ぎて、何気〝有〟るとしか思えない。そう、これは純文学だ。純文学の「純」は「純粋に行間だけを意識している文学です」の純だ。その純粋な志向意識がなければ、こうはならない。そういう意味ではトップランナーの一人だと思う。
久しぶりに青山さんの作品である。何気ない風景・心情がスーっと入ってきて、作品の雰囲気に自然と入り込めました。改めて好きな作風の作家だと再認識しました。山猫のラスト部分が、なんとなく良かった♪欅の部屋も好きな感じである。
3編収録の短編集。読みやすくてどれも結構好きです。日々の様子が淡々と描かれているようで、何か秘められてもいるようで。その「伝えたい何か」が残念ながら私にはまだよく分からない。だからもどかしくてそれを知りたくて、また青山さんの作品を手にとってしまうのかもしれません。
3つの短編集。純文学って感じで、ゆびからこぼれ落ちる砂のようにつかみどころがないから、これといった感想もないのだけれど、ただ、ゆびからサラサラと落ちていくような文章の淀みない感じは、大変に好みでした。
思春期をすぎた娘と父親の不器用な関わり合いを描いた表題作「かけら」。二人きりの希有な時間を過ごすことで、身近だったはずの父の「知らなかった部分」を垣間見た。観光地という非日常の舞台が物語に浮遊感を加えている。「山猫」はドラマを観ているような場景描写が魅力的だった。
この本の一番の美点は表紙がうつくしいことである。内容は・・・。浅いというか杓子定規というか。優等生すぎて面白みがない。まだまだ発展途上なのかな。
短編集。どの物語も、特別大きなことが起こるわけではないけれど、日常の微妙な人間関係や心の揺れが細やかに描かれていると思う。特に「かけら」がよかった。
個人的にこの手の作品が好きなんだと再認識した。人物の微妙な心の揺れ。心理模様を読むのが好き。簡潔な描写で上手いなぁと思う。収録作では「山猫」が好きかな。
「父は、昔からちゃんと知っていたようにも、まったくの見知らぬ人であるようにも感じられた」かけら―第35回川端康成文学賞受賞。。「欅の部屋」が特によかった。学生の頃の恋愛を思い出した感じ。小麦がとても魅力的で読み終わった後も気になって仕方ない。
★★★★…どのお話もゆるゆると時間が流れていて、なんてことない出来事ばかりだけれど、ハッとさせられる。空気感が好きだなぁ。特に表題作の「かけら」が良かった。
青山さんって、結構人気あるんだ(結構たくさんの人に読まれてる)。でも、これ、青山さんの新境地っぽい。芥川賞の脱皮術?いずれにせよ、今後もちょっと注目しよう。
川端康成文学賞を受賞した『かけら』を含む三作品からなる短編集。消極的な他者との付き合い(父娘、元恋人、年の離れた従姉妹)に伴う心の機微を淡々とした文章で綴っている。これらを難無くこなせて"大人のお付き合い"と言えるのかな。
青山七恵さんの本は4作品目。特に何か事件が起こるわけでもない、ありふれた日常のお話。短編ということもあって印象は薄いですが、静かな雰囲気は好きです。
静かに、何もなく、ただ内面的な心の動きだけで話がすすむ短編集。どこにでもいそうで、少し変わった人達に読者がどれだけ共感できるのかはわからないが、文章の魅力だけは伝わっているかもしれない。
全体を通じて淡々と話が進んでいる感じ。可もなく不可もないってな感じかな。今イチ印象に残らないがなんとなく落ち着けるという気もする。・・・という作品でした。
この人の作品を読むのは、芥川賞受賞作の「ひとり日和」以来であるが、あの頃から比べると随分うまくなったな、と思わされた。正直、これというようなストーリーはないし、うまく言葉に言い表すこともできないのだが、しかし魅力はある。なんということのない日常の中の一場面がこんなに美しく切り取られているなんて、とでも言いましょうか……。
内容はあるようなないような・・・というのが正直な乾燥。だけれど、言葉を大切にされているのだろうな~という印象を受ける。短編集で、つながりはなく日常に一場面を切り取っている感じ。
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