日々の泡 (新潮文庫)
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日々の泡の感想・レビュー(220)
序盤は子供が蟻でも踏み潰していくみたいに人がポップに死んでいく。そこで耐性ついたと思ってたのだけど、それでも終盤は壮絶だった。他愛のコランと、自己愛のシックが"貧乏で無職でも他人から愛されてる"という同じ条件に並んでも、どちらも幸せにはなれなかったんだな。シックは命よりも愛よりも本が大事だったのか…必ずしも物質の量が知識や教養に比例するとは限らず、視覚的充足感を得るためのコレクションにすぎなかったというのに。ラストは、心優しい者から犠牲になっていくという意味だったのかな。久しぶりに文章を綺麗だと感じた。
自分の中で幻想文学ブームの小さな波が起こった4年前に購入してあり積読になっていた本です。自分でも購入したの忘れていたくらいで…今の私なら手に取らない本かもなあ、と読みながら漠然と感じました。しかしいざ、読み始めると現実とは似て非なる薄味リアリティのある世界にぐいぐい引っ張られ一気に読了しました。蓮の花が胸に咲く病気が美しい少女を蝕むという発想がずば抜けて優れていて、その部分だけでも作品の叙情性を高めています。
多分、原著だと韻を踏んでるだろうな、っていうような理解しづらい言い回しが多かった。アメリカの水道管からは時々うなぎが出る、というくだりに騙された。少しずつ家が縮んで壊れていくのは、フロイト(かユングか)の夢解釈で、家が自分自身の象徴であることに関係あるようなないような。胸の中で睡蓮が咲くのは痛そうだけど、それを別のたくさんの花をいっぱい置くことで枯らすのはいい解決法だと思った。マンジュマンシュ先生ってネーミングが面白い。
これはヴィアンの創りだしたまさに新しい世界だ。醜いものは消え失せていいという前書き。貧乏と病気のせいで縮み歪んだ世界の中で、クロエの胸に咲いた美しい睡蓮は、コランの忌むべき相手になる。また最大の悲劇ともいえる物語の中で、その美しさが救いにもなる。
正直あまり年代の古い本とか文学系得意でない自分としてはめずらしく一気に読めた。読み出しはスタンダールの赤と黒みたいなグズグズ恋愛小説かと思ったら全然違った。蛇口の鰻あたりから、その非現実さにかなり戸惑ったものの、馴れると割とついていけた。趣味に壊れていくシックが悲しい。コランのクロエの葬式でのイエスとの対話のくだりがよかった。キリスト教の国でイエスをこんなにして良いんだ。表現、現象は不可思議だけど、主役達の生き様としては、「あぁ、あるよね、こういうことって」感が妙に現実的で不思議な余韻が残った感じ。
読みはじめてすぐに、なんだこれは、こんな小説読んだことないぞ、と驚いた。不思議の国のアリスに出てくるような非現実的な現象が多く見られる一方で、話自体は現実的で、人生、とくに恋愛の不条理さ・残酷さが書かれている。クロエの病気がとても美しくて印象的で、映像化されたものを見てみたい。
正しく題名通りの内容だった。不幸すぎるようにも感じられるが、これはデフォルメされ飾り付けられているだけで、真実に近いのだと思う。イメージするのが楽しかった。ハツカネズミも愛らしい。
生きて何を大切にするか…の分岐点がまばらな人同士が共にいるし、反対に生きる方向性が一緒でも片割れが早死にする理不尽がある。奇妙な比喩はあって然り。作者の目には、光は砕け煌めき、闇は心臓鋏で血の浄化をするような世界…にいる。と思いきや現実的すぎる細かな本当を書く。読後感は「ああ……」だった。
とても素敵な小説だった。シュールな描写が散りばめられていて「!!?」となるけれど、読むほどにそのきれいで悲しい世界観に吸い込まれていく。静かな狂気がたくさん。きらきらしたものもたくさん。
シュールできれいで切ない小説だった。肺の中に棲む睡蓮、カクテルピアノ、水道管から飛び出すウナギ、どんどん年をとってゆくパスポート、四角い心臓、あふれる死体と掃除人、人肌で温められて育つ銃、そういった描写がそれこそ泡のようにに物語の中をぐるぐるしている。そしてきらびやかさを残したままどんどん色濃くなっていく死の匂いがなんともいえず切ない。
読み進めてく内にたまらなく好きになる本。クロエの病、喜劇的な残酷さ、下降する人生。キリストとの対話からラストの描写までがとても好き。あとハツカネズミが可愛らしかった。あぁ、働きたくない。
水道からウナギだのはねあがるネクタイだのシュールな描写ばかりに目がいくのだけれど、ごく普通のことすら独特の形容をしていて印象的。とくに女性の顔や身体の描写が秀逸。誰か映像化してくれ。そしてカクテルピアノを発明してくれ。ピアソラなんかおいしいと思うよ。
恐怖を覚えるくらいさっくりと世の中の不条理を描き出した作品。何に怒ればよいのか、誰に同情すればよいのかすら分からせないまま、徹底的に美しく徹底的に残酷に物語がすすんでいった。物語の世界も不条理だが、登場人物も皆あっけらかんと道徳を蹂躙している。こんなめちゃくちゃな物語なのに、どうして私は自分や自分の世界と重ね合わせてしまうのだろう。謎だ。この本を読むちょっと前に読んでいたのがいしいしんじの「トリツカレ男」(主人公に献身的で健気なハツカネズミが出てくる)だったので、余計にこの本のラストが胸を締め付けた。
今まで読んできた本とは全然違う感じがしました。始めはお金があって大好きな人がいてとても幸せそうなのに、終わりに向かって落ちていく。クロエの病が美しいです。好きに生きるためにはお金が必要ですが、働くのが嫌になりそうです。
アニメ化できそうなSF恋愛青春小説!でも殺人、病死、自殺とシリアスな内容もあります。読みやすいし、ハリーポッター並に想像が頭の中で膨らみます!登場するキャラクターでハツカネヅミが一番好きです☆
まず戸惑った。文化も時代も背景もわからない。どのような立場、階級の人が料理人を雇い使うのか。仕事は、食物は、娯楽は、恋愛は。さらに描写が追い討ちをかける。具象なのか、抽象なのか、それともファンタジーなのか。ところどころ凝った霧を掴むように読み進めるうちにようやく気づいた。どうやら心情の起伏や移り変わりに合わせて、現実が変容してゆく。ゆるやかに、ときに卒然と、残酷に。隠喩、暗喩かと思えば、その通りに物事が進む奇天烈さ。豊穣なイメージと悲喜劇の面白さ。自由に読んでよかったのか。
私の好きな人が、この本が大好きだと言っていたので読んでみた。言葉のつかいまわしが素敵。村上春樹とはまた違うんだけど、こういう表現も私にはツボでした。読んで損は無い本かと。
この衝撃はトレインスポッティング、2001年宇宙の旅をも凌駕します。よくあるフランス純文学だと思っていたら、あれっ・・・ん・・・はぁ・・・て感じです。流れがつかめてからは笑いをこらえるのが大変でした。想像力の翼をあれほどまでに自由に羽ばたかせることも困難な道のりだったでしょうが、それ以上に自分のなかの妄想を読者に強烈に伝えるための言語化の苦労がしのばれます。これだからフランス文学は最高。
あちこちにちりばめられた不条理。ぼんやり読んでいると「え!?」と二度見する羽目になる。そしてそういった言葉遊びに引けを取らぬ、魅力ある登場人物たち(特にクロエとハツカネズミ)。思いのほかヒットだった。
前半は読んでいてもあまり面白く感じれなかった、というよりもこの独特過ぎる雰囲気に付いていくのに時間がかかった。読む前は“いかにも”恋愛小説的なものを想像していたが、まんまと裏切られた。現実に混在する非現実。部屋が狭くなっていったり、特に最後のイエスとコランの対話は印象深かった。また、話口調に大阪弁が用いられていたり、原文ではかなり独特な文体なのだろうが、訳者はそれを日本語というものにかなり上手く移し替えてると思う。
シュール寄りの幻想とサルトル実存主義、愛と死の混沌。今日においては「ふーん」と読むだけの『嘔吐』たちが一時代を創っていた、そんな青春像は美しくも、どこか生来的な腐臭から逃れられない。…ただ一人(一匹)リアルだった様な、けなげなハツカネズミが好き。
うーん、これは全ヲタク必読の書かもしれないぞ。敬愛する思想家のグッズを買い漁るあまりすべてを失ってしまうシックの生き様なんて身につまされるものがある。シックを愛するあまり思想家の殺害を企てるイジス……ってヤンデレのはしりか? 身内の写真で笑いを取る場面は『とらドラ!』に引用されてたな。いろいろと連想が楽しい小説だけど、いちばん思うのは前半のクロエの可愛さは異常!「あたしと会ってうれしい?」 そりゃ嬉しいに決まってるさ。君との日々がいつまでも続くって信じたかった。
いわゆるフランスの恋愛小説を、学生のうちにもっと読んでおこうかなと思って、去年か一昨年購入した。 でもボリス・ヴィアンについて何も知らなかったことと、最初の文章にどうも馴染めなかったことが災いして半分くらいまで読んでもどうしても興味が持てなくて、最近になるまで本棚の奥に放り込んでなかったことにしていた。 ボーヴォワールやサルトルだったら、2人が交換していたラブレターまで読んでしまうくらい好きなのだけれど、その2人のことを考えていて、そういえば「日々の泡」はボーヴォワールに絶賛されたはず、「ジャン・ソオ
精神に呼応しているような世界で、出てくるアイテムがいちいち不思議。幼さの残る主人公たちが恋の予感たっぷりに描写される前半と、彼らが哀しみと現実に翻弄される後半のコントラストが心に残る。それから、死の描かれ方の奇妙な軽さも。
再読。だぶん3回目ぐらい。適当にページをひらいて読むのも好き。カフカを柔らかくして、センスのいいおしゃれさをプラスした感じ。すごく素敵。
日々の泡の
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感想・レビュー:52件














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