遠い声遠い部屋 (新潮文庫)
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遠い声遠い部屋の感想・レビュー(220)
例えるならば交響曲。文章はきれい。コロコロと音が転がるよう。どちらかというと印象派のピアノ曲に近いかもしれない。少年の心理をうまく描く様はドビュッシーのグラドゥス・アド・パルナッスム博士や、ゴリウォーグのケークウォークを思い起こさせる。まぁ村上春樹が影響を受けたというのも分からないわけでもない。
原作を再読。翻訳よりもずっとずっと美しい。禍々しい万華鏡のような世界。その甘く切なく、ピュアな比喩に心が震える。英語はそれほど難しくないので、是非原作で読むことをオススメ。それもカポーティの執筆時の写真付きの版を。なんて美しい。そしてこれが21才の処女作なんて。もっとこの作品は世に知られるべき。
主人公は13歳の少年。カポーティの文章は少年の繊細な心の動きを完璧に写し取っていて、はじめから終わりまで緊張がみなぎっていて無駄がない。 作中の人物はみんなどこかに弱さを抱えていて、それゆえに他人の承認を必要としている。しかし彼らは他人を認めようとはせずに、ただ自分の作り上げた都合のいい虚像を他人に押し付けている。他人と理解し合えず孤独にしか生きられない人々。つまりこの小説に出てくるのは変な人ばっかり。変な人ばっかりなのはジョエルの目が変なせいなのか、それとももともと変な人ばっかりが住むような地域なのか。
構成も、表現ももうちょっとしっかり読んで理解しなければ…私にはレベルが高かった…もう少し大人になった頃にじっくり読みなおしたい。しかしカポーティがこういったテーマを書くからこそのアイデンティティ模索だったりで面白かった。犬や馬にまで人名のような名前が付いていて、動物までも擬人化した「人間模様」の描き方に鳥肌がたった
サリンジャーにも通じるイノセンス。無垢な少年の世界と、どうしようもないい大人の世界の間の、ちぐはぐな世界で生きるジョエル。そんな世界を美しい詩的情景描写が危うげに、でも優しく包み込んでいる。村上春樹が大きな影響を受けたというのも納得できる。
クィアテクスト。ジョエルが自分のセクシュアリティに次第に目覚めていく。LGBTのファンタズマゴリックな世界。同時に南部らしい世界でもある。
カポーティの作品の中で最も好き。少年ジョエルの期待と反比例するかの様に一つずつ現実を知る種明かしがされていく。詩的で象徴的な流れる様な美しい文体なので一回では理解する事が出来なかった。納得がいくまで読み込みたい作品。個人的にはランドルフの存在や語りが印象に残った。漠然とした父親の描き方も不気味。
読了後、その難しさに、読み返えしてしまいました。注意深く読まないと、重要なところを見落としてしまいます。二度読みしたほうが、良さが分かると思います。
第一部では、主人公ジョエルの未知なる世界への不安や怖れが物語の舞台であるヌーン・シティやスカリイズ・ランディングの建物の描写とそこに住む妖しく不可解な人々を通して描かれているのに対し、第二部ではジョエルが次第にそうした新しい世界を苦しみながら少しずつ取り込み、やがて彼を取り巻く人々をも類型化し、あるいは諦観のうちに受け入れていくようすが生き生きと描かれています。
すごい、これぞ鮮烈。序盤のモノトーンの沈んだ世界観から、様々な体験を経てどんどん色がついていく様は、何度読んでも鳥肌がたつ。読みはじめたら、しんどくても是非最後のページまで読んでほしい。そこには、理想と現実のギャップを嘘で埋めていたあの少年の姿はどこにもいない。
父を訪ねて南部の小さな町へ向かったジョエルを迎えたのは、古びた屋敷となぜか父のこととなると釈然としない住人たちだった。入口こそゴシック風の謎に導かれるように読んだけれど、読み終わる頃にはかなり感触が変わっていた。じれったさとも置いてけぼりとも感じる時間の流れの中で、傷つきやすいのかもしれないが、自分の歪みを意識出来ていたりもする13歳という年齢が見せる感受性。印象的で美しい文体だからといって苦痛がないわけではない構成に呑まれる。
性別を超越した未分化のアイダベル、永遠に成長しないミス・ウィスティーリア。一方、混沌から自我が分化して成長したジョエル。ランドルフはよくわからない。
様々なモチーフが暗示的にくるくると立ち回ってこの小説はできていた。それら全てが持つ意味を一つ一つ知れたらもっと読んでて面白いんだろうな、とおもいながら読んだ。わからなくても独特の生意気に思える文体は面白かった。感受性が鋭い子供!!というものを書ききるってこういうことかと思った
熱と匂いが伝わってくるような文体でした。言葉の飛躍に戸惑い引き付けられ、頭を揺さぶられたような余韻が残っています。河野さんの解説にある、「少年の目には、小さな何でもない驚きや期待が何倍にも拡大され、途方もない重さでのしかかってくるように思える」というのが、正にこの小説を通して感じたものでした。
なんとも美しく濡れた文章で綴られる、去り行く少年の日々への、生々しい挽歌。自分が美しい事と、それが永遠のものでない事を自覚する少年の、意地悪さと嘆きが、読み手を困惑させるほどリアリスティックに記されている。国と時代を違えても、確かに覚えのある、あの頃の出来事が書かれていた。
自我の芽生えの高揚と懐疑を瑞々しい文体と美しい風景描写で綴る。例え今は籠の中の鳥だとしても、少年は生命力の限り走り出す。遠い声と遠い部屋を置き去りにするように。幻想的で、同時に切ないまでのリアリティー。
朝の目覚め時、夢と現に架けられたくもの巣に、降り注いだ雨がこよなき煌きを見せてくれるーという感じ。子どもの頃から気になっていた「遠い声遠い部屋 カポーティ」という背表紙の本を、やっと開いてみた。描かれている場面についていけない、それでも読むのを止められない。孤独についてここまで描写された文章は、知らなかった。
「草の堅琴」よりも硬め(美しさは健在)の文章で、こちらのほうが読みやすかった。少年のナイーブさっていいなあ。「その2」から不穏な空気が漂い、「その3」からは幻想的な内面世界で完全に想像をこえたものを読ませていただきました。
遠い声遠い部屋の
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感想・レビュー:51件














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