幸福な王子―ワイルド童話全集 (新潮文庫)
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幸福な王子―ワイルド童話全集の感想・レビュー(281)
歴史的、宗教的背景を知っていれば、もっとこの美しく残酷な物語の世界に浸れたのだろうか…?表題作の『幸福な王子』は王子とツバメの会話が愛おしくてたまらない。お気に入りは『星の子』。ただ、ラスト3行は思わず3回ほど読み返しました。(そんな落ちってない…。
童話ということで毒は抑えめ。「ドリアン・グレイの肖像」なみの反語、皮肉、嘲笑を期待していたが喰い足りなかった。そんな中、傑出しているのは「ナイチンゲールとばらの花」。単なる二項対立に終わらず、学生に、純粋に愛する側と無邪気に愛される側を演じさせることで、どちらも等質に無神経で残酷で傲慢であることを暴いてみせる。もちろんここでのテーゼは、加害者と被害者、差別する側とされる側のような、明らかに立場が異なるように見えるもの全てに当てはまる。……しかし、これを子供に?
とても鮮やかで強烈な印象の作品たちでした。すべてに哀しみや痛みが伴う。「若い王」を読んだ時は、ぞっとしたし、考えさせられました。いちばん、心に残った。
「幸福な王子」はもちろんなんですが、「ナイチンゲールとばらの花」や「王女の誕生日」等を読むと、まるで現代の消耗されていくコンテンツを象徴しているかのようで、もの悲しくなります。それでいて、意外にオスカーワイルド?誰?それ?とか言われるとますますその気持ちに拍車をかけるという……。そんな視点で読むと、とってもアイロニカルな作品。
「子供は子供なりに、大人は大人の精神的年輪に従って」読める童話集、まさしくその通りだった。「ナイチンゲールとばらの花」が耽美的だけどなかなかシニカルなので好き。
一読すると良い話なんだけど、どの話にも毒針が仕掛けられており皮肉というよりも作者の悪意・意地悪といったものも感じる。「わがままな大男」は好き。「忠実な友達」「すばらしいロケット」は読んでぎくりとする。
なかなか現実的で厳しいなぁ……子供こんなん読むか~って内容の童話。人間の汚い面をストレートに描きつつも、朽ちてゆきながら美しいものに尊さを見出せると思う。ナイチンゲールって鳥がいるのは初めて知った。
使われている言葉の組み合わせがどれもきれいで 原書でも読んでみたいなぁと思いました。 ワイルド作品は幸福な王子しか知らなかったけれど 他にもこんなにたくさんの秀逸があったんですね!!
美しく悲しい物語たち。決して幸せな気分になれるわけではないけれど、素直に読んで良かったなあと思えます。世界観がきちんと確立しているので、物語に入りやすい。個人的には「ナイチンゲール」が一番のお気に入りです。
愛と誠実さは何にも勝って気高く、美しい恋人は薄情なもの。9編のうち大方がそんなテーマを秘めて綴られた、豪奢な描写の美しいワイルドの童話全集でした。童話の体裁はとっているものの、大人向けな内容でもあります。あとがきにあるようなワイルドの背景を知っているとまた違った読み方ができるはず。個人的趣味としては「王女の誕生日」推し。「幸福な王子」「ナイチンゲールとばらの花」「わがままな大男」「忠実な友達」「すばらしいロケット」「若い王」「王女の誕生日」「漁師とその魂」「星の子」収録。
花や鳥や虫など、人間以外の視点から書かれる台詞も多く、金持ちや貧乏人、美人やブサイクなど個々の違いもはっきりと描かれている。そういった、あらゆる「差」によって生じる価値観や常識などが、物語の歪みや醜さに直結している気がした。自分と同じものなんて1つもないんだから、もっと心を広く、頭を柔らかく。
全体的に哀愁漂う、救われない話が多かったためか、読後感はあまりよくはなかった。実際的といえば実際的なお話といえる。しかしそれによって、リアリティを持って読者に訴えかけてくる。
遣る瀬無くて、哀しい童話。 一番のお気に入りは「ナイチンゲールとばらの花」。童話で泣いたのは初めてでした。「幸福な王子」も好きです。 幸福な結末を迎えない作品が多く、特に「星の子」は最後の三行で一気に突き落とされ、後味はあまりよくないです。 心悲しく、不条理。だけど、子どもから大人へと変わりゆくあなたに、是非読んで頂きたい作品です。
「漁師とその魂」「星の子」が好きでした。「わがままな大男」は最後にちょっといろいろ考えてしまい…好き、かな?全編通して私はあまり好みでないようです。お腹にたまる重い読後感でした。創作された童話は少なからずそういうものなのかしら
とにかく『わがままな大男』が好きで好きでたまらなくて、昔からこればかり何度も読み返す。が、今回改めて全集を最後まで読み通してみて思った。少なくとも、これは「子どものため」の物語ではない。いずれもワイルド自身の美的価値観、その思い入れを溢れんばかりに詰め込んだような、哀しく、それがゆえに美しく、残酷で、時には辛らつな風刺に彩られた物語たち。それらを自ら「童話」と銘打つことで、彼が最も無垢な自身の発露というものをそこで目指したのだとすれば、彼の本質を知るのにこれ以上適した本は他にないのかもしれないとさえ思う。
4:風刺に満ちた大人の童話。美しく短い最初の5編はかなり衝撃的。「ナイチンゲールとばらの花」「忠実な友達」「すばらしいロケット」「若い王」が好き。■悲劇(ミザリー)にまさる神秘(ミステリー)はない。戦争になると、強いやつが弱いものを奴隷にするし、平和になりゃあ、金持が貧乏人を奴隷にする。この世の重荷は、ひとりの人間がになうには大きすぎ、この世の悲しみは、ひとつの心がたえるには重きにすぎまする。
どの作品も人間の傲慢さ・他人への非情が、儚くも純粋な愛情と対照に描かれており、愛情の尊さ・美しさを際立たせていた。しかし、全体を通して温かさや救いよりも、現実的で悲観的な印象を強く受けた作品集だった。
『水の時計』から興味を持って読んでみた。童話集というよりは現実社会の写実集かもしれない。特に闇の部分にスポットライトを当てたような。グリム童話は報いや制裁として残酷さを悪者に科しているが、こちらは理不尽な残酷さが誠実なる者達を蹂躙している。とてもシニカルな大人の童話でした。
心に衝撃を受ける童話集。暗く哀しく残酷なのに、どうしてここまで美しいのか。これらの童話はオスカー・ワイルドが書いたからこそ意味があるのだと感じました。表題作である「幸福な王子」はもちろん、「忠実な友達」や「若い王」など子供だけでなくむしろ大人だからこそ考えさせられるものが多いです。本来は隠されているはずの人間の暗い欲望や傲慢さを童話という独特な世界観の中でさらけ出させることによって、醜く滑稽に、だけど美しく繊細に書かれていると思います。個人的には「ナイチンゲールとばらの花」が一番印象に残りました。
ハッピーエンドかと思いきや、不条理なお話が多いのよね。 人の善意と悪意、美しさと醜さの対比。 私は好きですよ彼の童話。 人や物事に対していろんな角度から見なきゃって気にさせてくれる。
「幸福な王子」でショックを受けた幼年期を取り戻すかのようにワイルドを読んでしまった。全編通じて、ロマン色が漂っている。美しいものの下に流れる悲壮感、残酷、暗闇。それらを描かせればワイルドは天下逸品。それにしても美しく、悲しい。個人的には表題作より面白い話がいろいろ詰まっているのでおすすめの一冊。それほどページ数もないので簡単に読めるはず。でも余韻はたっぷり残るので注意。
表題作よりも「忠実な友達」が面白かった。何時の時代にも助け合いだの思いやりだのといった言葉で人は利己的な関係をごまかす。だが、現実に良い目をみるのはいつも作中で描かれる粉屋のヒューのような厚顔無恥な馬鹿者、もしくはこの「友情」というシステムの矛盾に気付きそれを利用する狡猾な者だ。どの話も童話という体をとっている分、ある程度話が単純化され、実にシンプルに人間の本質というものを突いている。難しく考えずとも人間とはこんなもんだ、と諦観したような、清々しさは伴わないが、疼くような気持ちよさがある。
初野晴の『水の時計』からポロロッカ。大人に読んでほしい童話集。人間の醜さにはっとし、哀しくなる。『忠実な友達』の粉屋や『王女の誕生日』の王女…どこか自分に似ている気がする。こちらに悪気がなくても、誰かが被害を受けている怖さ。『わがままな大男』や『若い王』のように、自分の非に気付き正すことができるだろうか。『幸福な王子』のような人々がいることに、気付いてあげることができるだろうか。そんなことを考えさせられた本だった。
表題作を含め、オスカー・ワイルドの童話が本当に全部収録された一冊。彼特有の人間に対するシビアな考えが皮肉気な文章でユーモラスに、また物悲しく描かれている。人間ってものを愛してないとここまでは描けないだろう。それにしても、彼が生きていた時代から生活の様相はかなり変わってはいるだろうけれど、人間ってものは良くも悪くもぜんぜん変わらないものだなぁ
表題作の『幸福な王子』は、やっぱり深かった。最後の最後に、王子が汚いと捨てられるところが切なかったけど、人間らしさが一番出てるシーンで心に残る。
個人的には『ナイチンゲールとばらの花』が好きで、ナイチンゲールが痛々しい。それでも人は恋をせずにはいられないっていう...
子供の頃、「幸福な王子」の絵本を読んで泣いた記憶があります。大人になって久々に手に取ってみても、やっぱり泣いてしまった。でもそれは感動ではなくて、人間のあまりの残酷さや身勝手さに翻弄されるツバメと王子があまりにも哀れで・・・。他の短編も作者の皮肉な視点が入っているからか若干気の滅入る作品が多いです(笑)ワイルドは「ドリアン・グレイの肖像」のほうが個人的にはお気に入り。
幸福な王子―ワイルド童話全集の
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感想・レビュー:64件














ナイス!






























