シャーロック・ホームズ最後の解決 (新潮文庫)
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シャーロック・ホームズ最後の解決の感想・レビュー(106)
時は1944年7月、探偵業を引退して40年以上が経過した老ホームズが活躍する、正統派パスティーシュ。失語症の少年とお喋りなオウムという組み合わせは実にミステリアスで、好奇心を刺激する。かつ、ホロコーストや空襲といった史実によって醸し出される暗い雰囲気も見事マッチングしている。ジャンル横断的な作風が奏功しており、シェイボンの持論“すべての小説は続篇であり、影響を受けることは至福である”も説得力を帯びる。
今なお書き続けられているホームのパロディ。本書もそんな一作。かつてはヨーロッパ中にその名を知られた探偵が引退し、養蜂家となって過ごしていた。ある日、老年に達した譚英は線路を歩いてくる、オウムを肩にとめたひとりの少年と出会う・・・。なかなか魅力的な発端で始まる物語は、事件を解決しようとする唐人の姿を丹念に描いて行く。しかし、本書の商業的な意味からはした仕方ないのかも知れないが、原題には書かれていない情報を、付け加えるというのは、作中で「老人」とのみ記述していた意味を汲んでいないのではないか。
シェイボンの世界観が随所に行き渡った、嬉しい作品だった。150ページ程の短い中に、丁寧に描かれた老養蜂家の描写といい、少年の孤独といい、堪能した。ところで「読書したみんなのコメント」を拝読すると、シャーロキアンよりシェイボニストの方が多いような気がする(私もそうです)。
文章表現の豊かさが印象的だった 老ホームズ像も違和感がなく、「最後に一個の探知器官となって、手がかりを求め、虚空に手を伸ばしながら死ねれば本望だ」というくだりにはぐっと来た それだけにこの「最後の解決」はより苦くもあるのだけれど… あと、タイトルにホームズの名前を入れたのは確かにスマートさに欠ける…けどそれがないと目につきにくいだろうしなあ
シャーロキアンではないのだけどシェイボン&黒原さんなので。しつこいくらいのシェイボンの表現力が老いた名探偵の細部までを照らし出す。短いけれど読みごたえのある逸品。
ポアロは引退後、カボチャづくりを始めました。じゃあホームズは何するんだろう・・・?って考えたことはなかったけれど、養蜂家って似合ってる!アナログ~な謎ときといい(たしか本物ホームズものは、指紋採集すらなかったはず?)、味があって楽しめました。
昨今の翻訳文庫にはめずらしく薄い本(厚けりゃいいと言っているわけではない)。「最後の解決」と言いつつ特に何も解決はしてないようなw 雰囲気は楽しめるパスティーシュであった、とはいえホームズの名前は文中には出てこなかったような。タイトルに入れちゃうのはちょっと無粋。
とりあえず養蜂家の老人が出てくると言えばシャーロッキアンに状況は判っていただけると思う。アマゾンはレビューのネタバレが酷いのでリンクは貼らないが、『ユダヤ警官同盟』を思わせる淡々と渋い展開で楽しく読めた。
小さなところにもこだわりがいっぱい詰まって、細かな変化球を立て続けに投げてくる小気味いい文章はただただ「好き」のひとこと。ホームズものはあまり読んでないのでシャーロキアンなら含み笑いする箇所も私は完全スルーなわけだが、それでも継ぎのたくさんあたったインバネスなんてにやにやしちゃったな。シェイボンによって蘇った愛らしいおじいちゃん。連作短篇集とかにならないかな。
ミステリとして読むと不満が残るかも・・・文学作品かなあ。ホームズ好きでした。だから楽しく読めた。子供のころ浸ったホームズの住む世界、霧のロンドンに戻ることができました。
10-56「蜜の味」の時にも感じましたが、「シャーロック・ホームズ」を冠に付けるのは禁じ手の様な気がします。何しろ、老人の名前は最後まで明かされないのですから。しかし、冠がなければ決して手は出さないだろうし。出版社の苦渋の決断なのでしょう。老人は89歳。明晰な頭脳は年老いた体については行けない。老いが相手では流石のホームズもなす術もない訳で、焦燥感だけが募って行く。脳卒中への恐れ。とても切ない気持ちになりました。ぶっちゃけ、ホームズでなければならない必然性はどこにあったのかな?
邦題が少々残念だなー。抑制の効いた筆致で描かれた、静かで、哀しみの気配を感じさせるパスティーシュ。老境に至ったあの人物の描写、失われたかつてのロンドンの姿。あの戦争で起こったことを知っている読み手にのしかかる、描かれていない悲劇。「ユダヤ警官同盟」未読だったけど、そっちも読みたくなってきた。
わざわざあらすじは「養蜂家の老人」としてサブキャラっぽい扱いをしてるのにタイトルにデカデカと「シャーロック・ホームズ」って入れるのはあまりに無粋じゃない?表紙も怪しくて良いんだけどホームズ物としてはどうだろう。「じつに久しぶりに、容易に秘密を明かそうとしない世界の美しい拒絶に対するいらだちと快感を感じていた」…ここを読んでマイケル・シャイボンがホームズをきちんと理解し深く愛してこの作品を書いた事がわかった。パスティーシュとしては地味だし出来はまあまあだと思うがこの文章に免じて許すw
情報型の時代に似つかわしい「ソリューション」と言う題名。反面「老人」の名は最後まで伏せたままで「ファイナル」となる趣向。作者の趣味趣向が隅々にまで張りめぐらされた完全な短編小説。新潮文庫が題名を「シャーロック・ホームズ最後の解決」とした気持ちはわかりますが、これでは始めから読書のある喜びを奪い取ったも同然でした。
正統派ホームズ譚パスティーシュですので好きな人にはたまらない筈です。余りにも正統派過ぎて,作者ならではの個性が出ていない気もしますが,もともとマイケル・シェイボン作品は読んだことがないので,その辺りは不問。陰鬱な大戦末期の英国の雰囲気が醸し出されたホームズ最終章として楽しめた作品でした。
シャーロッキアンという単語をはじめて知りました。89歳のホームズ。相当の老いを感じさせながらも、オウムが数字を言うことを聞いて心からの関心を示したときにぞくぞくしました。映画「シャーロック・ホームズ」前に読む。
「老人の目にうかがえたのは、そんなものがあるとすればだが、私心のまったくない渇望だった。彼女の"ロマンチックな性格"を良しとしない夫の前ではそれ以上説明できなかったが、その渇望は情欲も物欲も悪意も善意も欠いていた。それは知識への渇望だ」ホームズ89才の本当の最後の事件だが、ヨボヨボホームズが聖典よりかっちょええ!
シャーロックホームズの映画を見に行きたい!と思いながら本屋に行ったら発見。『最後の…』なんてタイトルだからモリアーニ教授とのバトルが佳境に!?なんて勘違いをしながら中を見ず購入。予測は大きく裏切られた。痩せ細り、歩く事にも苦労する老人。80歳を超えた老人。それが主人公、ホームズ。らしい。とは言え彼=ホームズという明確な描写はない。だから、あくまっもホームズだと思える老人がそれなりのテンポで事件を解決。いや、解決と言うか成行きで関わってしまい、何となく解決した、が正しいのかも。ミステリーとして優れているかど
ホームズファンにとってここで描かれる彼の姿にはとても感慨深いものがあった。まず、過去の栄光と時代の趨勢が無理なく描かれているのが第一の要因。そしてその時代背景を生かしてさらに大きな歴史的事件を物語に組み込んでいるのが第二の要因。この二つが短い話の中に自然に溶け込んでいて、なんとも複雑な気持ちにさせられるのだ。
ホームズがドイツに空爆されたあとのロンドンを見る場面がいい。かつての名探偵は老いて、かつての世界帝国の首都は空爆とアメリカ文化の浸食に直面している。どちらもまだあるのに滅んでしまったなにかを強く感じさせる場面だった。
僕は、ホームズ譚を読んでヒーローだと思っていました。しかし、ホームズは人間でした。老いすれば、智に陰りが出て判断が鈍るし、それは、当然のことです。残念ながら最後の事件は未解決で終わりますが、この偉大な英雄が残した論文や研究をもとに新しい世代が追い越していくでしょう。本文の中で、ホームズは一度も「ホームズ」と書かれることなく終わります。「老人」は最後の最後まで時代の踏み絵になろうとしてるようで、悲しい物語として印象に残っています。
シャーロック・ホームズ最後の解決の
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感想・レビュー:47件














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