しゃぼん玉 (新潮文庫)
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しゃぼん玉の感想・レビュー(455)
中盤、罪を犯した者がのうのうと暮らしていていいものかと少し憤りを感じながら読んだが、終盤にかけて翔人が更生されていく経緯は涙なしでは読めなかった。自分自身もやはり「心根」がしっかり持てていないと感じることが多いので、色々な問題から逃げず、立ち向かって行きたいと考えさせられた。途中まではなかなか入り込めず読み進まなかったが、最後まで読んですがすがしい気持ちになった。
あらすじには長編サスペンスとあるが、サスペンスの部分は最初の一部分。 シャボン玉のようにふわふわと漂い、帰る場所もない若者が流れ着いた山村。田舎の生活に紛れ込むうちに、自分の在り方を考え始める。この田舎が実際に存在する土地名だけあって、とてもリアリティがある。過疎化が進み若者を心から必要としている村。そんなところへ流れ着いたら。自分の居場所が見つからない若者の心にも、小さな希望がきっと芽生えるはず。
乃南さんの小説を若い頃に読んでいたら、今と同じように受け止めることが出来たかどうか。翔人が主人公なのだけれど、子育てを経験した親である自分としては、まわりの大人たちのほうに感情移入してしまいます。ただ、都会に暮らしているとスピードがあまりにも速すぎて、こんなにゆっくりと落ち着いて若い世代を見据えていられるかどうか自信がありません。
僕は自分をしゃぼん玉のようだと思ったことはない。翔人と同じような境遇で育っていたら、自分もしゃぼん玉のようだと思うだろうか。震えながら空中を頼りなく彷徨い、触れられたらはじけて消えてしまうような。うーん。 翔人は感受性の高い子なんだと思う。だから最後には救われることができたんだじゃないかなあ。でも本当のことは、この物語が終わった後にたくさんある気がする。
通り魔や強盗傷害をくり返す伊豆見翔人は、逃亡途中で偶然、宮崎の山村にたどり着く。村の老人たちと暮らすうち、少しずつ心を開いていく翔人だったが……。スマ嬢いいキャラしてるなー。地に足ついている本当の大人、って感じがします。しかしそのスマ嬢でさえも、結局は末っ子の子育てに失敗しているという苦い事実がある。親がよかれと思ってしたことでも、子供には伝わらなかったり。子育てって難しいですね…。ラストは少しご都合主義に感じました。いい終わり方なんですけどね。
「心根」というものをしっかりと持たずしゃぼん玉のようにふわふわと頼りなく漂っては消えてしまう存在。主人公は自分自身をそう例えているが実際そのような無害なものではない。そこには自己憐憫といつまでも被害者であり続けようとする責任転嫁が感じられる。別人として過ごす山奥の生活で主人公はいままでの人生で味わえなかったありのままの実感を得る。変化に気づきながらも固着した諦念にしがみつき、処理できず、傍目からみるとフリーズしている状態というのがうまく描かれている。そして、ある夜。残りの人生諦めて過ごすには長過ぎる。秀作
主人公と村人とのやりとりをゆったりとした気持ちで読んでいても、節々で見せる主人公の非道な思考に呆れ、中盤までは読んでいて楽しいものではなかった。しかし終盤にかけての主人公の心の変化に「やり直せるから逃げないで」と応援せずにはいられなくなり、最後は自然と涙が流れていた。スマと翔人の再会を想像しつつ。故郷を大切にしたくなる一冊。
まったく共感するところのない主人公を、最後には応援していました。田舎のじいちゃんばあちゃんたちが主人公を育てなおし、主人公は心の成長を遂げる、その過程の心理描写がサスペンスなのかな。じいちゃんばあちゃんにとっては、育てるなどという意識はなく、ただ村人にしてきたように、普通に接してきただけ。主人公の幼少期にこんな環境があったら、犯罪者にはならなかっただろうに。昔ながらのコミュニティや家族のつながりなど、日本が失いつつあるものについて考えさせられました。
なかなかどうして。この本はミステリーなのだろうか?翔人の中には、優しさが残っていた。後悔の気持ちも、やり直したいという気持ちも。運が良かった?たぶん違うんだと思います。彼は、出会うべくして出会ったお婆さんとその村の人たちによってその後の人生をやりなおすことができた。頭をくしゃくしゃっとされたり、褒めてもらえたり、そんな事が、人間には必要で、本当に嬉しいんです。乃南アサ作品は初めてよみましたが、最初に読んだ本がこの本で良かったと思いました。さまざまなジャンルの本を書いているということで他の本も読んでみたいで
翔人が自分を「どうせしゃぼん玉みたいな存在」と思いながら人生を生きてきた(しかもまだ若い!)と知り胸が張り裂けそうになる。そんな彼を立ち直らせた婆さんとシゲ爺、他村人の愛情は偉大。泣けた。金光のおばあさんもなんでもいい子いい子って褒めてくれて、それに救われたこと何度もあったな。読めてよかった。
小賢しいどうしょもないチンピラの翔人が、ド田舎の村の住人達と触れ合い少しづつ心を浄化させていくという、まぁありがちなストーリーで、そのどうしょもなくなった若者を作り上げた原因が「翔人の親」っていうのもありがちだけど、その「翔人の親」を育てた親(翔人の祖父母にあたる)からの視点が描かれているのが面白かった。
「あんたに頑張れ、頑張れって言うたもんじゃけど----恨むなんら恨むんで仕方がにゃーけんど----皆、あんたんためじゃ思うたかい」
っていう婆ちゃんの言葉が好き。
家族の愛情について考えさせられる作品。親の愛情に恵まれない主人公と息子の育て方を誤ったと考えるばあちゃんが、偶然の出会いからお互いを思いやり、新たな生活を築いていく。田舎に住む人たちの素朴な思いやりが一人の青年を立ちなおらせた。
親の愛情に恵まれず逃げるばかりの人の痛みを考えられなくなった翔人。山奥に捨てられて初めて自然や人とふれあい少しずつ暖かさを取り戻していく。愛情が足りなかったんだなぁ。。。と思ったところで自分の父親とそっくりで90歳近い母親に暴力をふるい金を無心しに来る男。彼は自然と婆ちゃんの愛情をたっぷり受けて育ったはずなのに。。シゲ爺はよく見てる!婆ちゃんもシゲ爺も分かっていても何も聞かずに見守っていてくれたから翔人は変われた。婆ちゃんも甘やかしすぎてダメにしてしまった息子のことがあったから。。ふたりが出会えてよかった
最初のほうは主人公に魅力が湧かなかったのですが、村の人たちの優しさに触れ成長していく姿がよかったです。無関係だとか、周りの環境のせいにするとか、どうでもよいとか思って、終わるんじゃなく、諦めず立ち向かえというセリフは長い年月を生きるシゲ爺が言うからこそ説得力のあるものでした。エピローグで一気に胸が熱くなりました。
主人公:翔人のしてきたことには嫌悪感を抱きながら読み進みましたが、田舎の素朴で温かい人々との暮らしの中でどんどん変わっていく、翔人の心の変化には涙が出ました。人間らしい心を取り戻してくれて本当によかった・・・最後の最後まで何度も泣いてしまう本当にいい作品でした。あらすじにある「心理サスペンス」とは時々見せる翔人の狂気に満ちた部分を言っているのかなと思います。またやってしまうの?!と読んでて何度か不安に思いましたので。。みんなに薦めたい作品です^^
ひさびさに 泣きました。子育てに関しては 私も悩みながらやってきた。私だけじゃない どの家庭にも テーマなんだな と 深く 共感しました。
あらすじにある"心理サスペンス"には「?」だけれど、心温まるいい話。祖父母との想い出がほとんどない私にとっては、村のおじいちゃんおばあちゃんに可愛がられる翔人が羨ましかったです。
再生の話。翔人がしたことは、当然憎むべきところであるが、内面的な部分はダメな奴でも憎めない部分がある。他人と関わらず、自分の懐に他人が入りこんでくることに不慣れな翔人。村の人たちと触れ合うことによって、徐々に自分がしたことが相手に及ぼす影響の大きさに気付き始める。翔人自ら、殻を打ち破ろうとする行動を起こした。再生はまだまだこれからだ。
とても温かい作品。九州の田舎の雰囲気や方言がとてもよく、作品全体を温かくしている感じがしました。読んでいて最初からほぼ最後あたりまで、ろくでもない主人公の翔人の事が嫌いでたまらなかったけど、婆ちゃんの本当の息子と対峙して、自分のやってきたことの愚かさに気づき始めたところあたりから、見守ってあげたい気持ちになった。エピローグで翔人が村に帰ってきたシーン・・・心が震えました。本当に温かい余韻を残す作品です。※おすすめしてくれた読友さんに感謝!
勝手に敬老の日キャンペーン。荒んだ生活を送っていた青年が、老人ばかりの山村で暮らしていくうちに・・・という話。カバーのあらすじに心理サスペンスってあったので、何かが起こるのかと。なのでこの生活がずっと続けばいいのにと思いながら読んでました。普通の生活が描かれているだけなのに、読んでいるとじんわりと胸が熱くなる。血筋なのか環境なのか。いずれにしても人との関わり方が大切なんだなとしみじみ。ベタな終わり方だけどそれが良かった。
ミステリーかと思って読み始めたので、途中で摩訶不思議な・・・というかおかしなことが起こって、主人公が混乱。。。という展開とか、主人公とおばあちゃんは実は血がつながっていたとかそんなことになるかと思いきや、シンプルに感動作。犯罪が良い悪いというのはともかくとして、孤独だった主人公が最後にいるべき場所を見つけられたのは本当に良かった。
三浦しをんの「神去なあなあ日常」を深刻にした感じでしょうか?違うか?
おばあちゃんは、大体のことが分かっていて彼を家に置いておいたのか、息子にしてあげれなかった愛情を彼に注いでいたのか。最後は、急に心が熱くなった。人は逢うべくして逢った。生きて行く上で出逢いがこんなに大切なのかと。ふるさと大事にしたい。
乃南さんの素晴らしい長編小説。やっぱり「母物」小説だと思う。変形だけど。。おばあちゃんの話言葉が素敵ですね♪
新潮100冊チェック。罪を犯した軽薄な若者が、ひょんなことから田舎のお年寄りとの交流で改心する話、といってしまえばテンプレだけど、予想した展開になってくれることがうれしくて涙がでた。死刑制度に反対かとか極論なるとなんとも言えないけど、罪や失敗を犯した人もきっとやり直せるって信じたいから。不運な環境で生まれ育っても、当然ながら全員が犯罪者になるわけじゃない。だから全部を血筋や環境のせいにはできないけど、優しさや愛情をもらったら返したいってみんな思うんだと信じたい。そういう温かい気持ちをもらえる一冊。
ストーリーは単純かなと思いつつ人物の描写がいいので引き込まれて感動。おばあさんに本当の事を話せてよかったねと翔太に言ってあげたくなるくらいに引き込まれてしまった。
日本の古典である、刑務所から出て家に帰るとそこには黄色いハンカチが・・みたいな。それをヒット作家さんが描くとどうなるか?これがファミレスのハンバーグみたいに可もなく不可もなくの小説が出来てしまうんだな。女や年寄りを後ろからしか襲えない小悪党の少年が偶然迷い込んだ田舎の村で素朴な人々と触れ合う中で心を取り戻していく、たったそれだけの物語なのに一所懸命読んじゃうのは何故?ラストは泣かないまでも妙に感動までしちゃったりしてさ。きっとみんな好きなんだろうね「目玉焼きハンバーグ」がさ。乃南さんの狙い通りだわw
「恋愛小説」というコンピレーションで一度乃南アサを読んだ事があったが、彼女の著作を買うのは初めて。 ベタな感動ものでわかりやすい展開、先読みというか予想通りではあったけれど、シゲ爺の言葉や翔太の親へ対する気持ちはベタながらも胸をうつ。新潮100冊納得。すっきりする。
新潮100冊チェック。乃南アサの中でもかなり好きなほうの作品。読み終わったときに、「ああ、よかった!」と心から思えた。人との出会いの大切さを痛感させられる。おばあちゃんがずっと元気で長生きしてくれるといいな。この本を読んで何も感じない人は滅多にいないんじゃないかな。
しゃぼん玉の
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