片眼の猿―One-eyed monkeys (新潮文庫)
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片眼の猿―One-eyed monkeysの感想・レビュー(1572)
探偵を生業とする三梨はある会社からライバル会社を見張るように依頼される。ライバル会社がクライアントの会社の知的財産を盗んでいるのはないか?という疑いを、クライアントはもっているらしい。そんな三梨の周囲を固める人物達もいわくありげだ。そして、三梨自身、大事な人を失った心の傷からまだ立ち直れないでいた…。話自体はミステリーであり、悪も存在する。しかし、最後のほうで一気に描かれる真実はそれとは関係なく、人間とは何から成り立つのか?見えているものの重要性とは?という点を重視しているように思う。
登場人物のちょっとした表現のされ方に疑問を持ちつつも、特別気にせずに読み進めて最後の最後にあぁなるほど!と感動(?)してしまった。こうして騙されてしまったのも、あのアパートで生きる人たちが強いからなんだろうなぁと。みんな魅力的でこの人たちの別のストーリーも見てみたいと思った。
重い題材を重く書かず、自分達の見た目も気にせず楽しく生きる主人公たちの描写は良かったと思うのですが、そこまで騙された感がなく「へぇー」って感じで読み終わった。この作家さんの作品自分にとって合うものと合わないものがあるらしく、どうやらこの作品は自分には合わなかったようだ。
人は皆、本来、片目の猿なのかもしれない。あるがままの自身を受け入れ生きていくか、それを悲観して生きていくか…。また、人は往々にして、両眼の猿にも片目であることを求めるのかもしれない…。人間性というものを深く考えさせられた作品でした。
探偵、ミステリ、謎に満ちた主人公。会話が軽快で、テンポ良く読み進められた。主人公や周りの人々について色々と憶測をしていたが、全てが真実と違い完璧に裏切られた。外見によって、人は態度を変えざるを得ない。それがあからさまな軽蔑か、必死に隠して偽善の笑みを浮かべるかの違い。どっちにしろ、彼らは社会的地位が低く、非常に生きずらい。だが、彼らは自分の好きなものを見つけ、心通った仲間を見つけ、居心地よい居場所を見つけた。そして、自分のコンプレックスと向き合い、受け入れる。それだけでもうちょっと頑張れる気が沸き起こる。
ナイス! ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ -
コメント(1)
- 02/14
道尾作品に、またまた最後まで騙されました。ミステリーというより、人間を深く深く描いている・・・そんな気がします。
☆帯に『だまされる!!』と書いてあったけど、こういう騙され方だったのか!衝撃。この作者は初だけど、なんとなく書き方が合わないかも。伊坂さんっぽいかもな~と思いました。
秋絵の秘密、なぜだか途中で気づいてしまった、というより「もしかして...だったりして」と思ってたら当たってしまった。この人の作品を一回読んでたからいろいろ先に考えてしまう。
何冊かしか読んでないけど、これもまた読者を誤解させて落とす手法。本作は登場人物が答えにいたるまでの流れがものすごく雑に感じた。『ハサミ男』や『葉桜の季節に君を想うということ』の衝撃は超えないなー。読んだ道尾作品のなかでは最低評価でした。
本筋の謎や殺人事件とは関係のない登場人物や日常の出来事、会話に要注意! 最後に「え! そうだったの?、なるほど…」と種明かしされ思わずニンマリ。まるで、テーブルマジックのよう… ★
ラストの展開にはその驚きで読み進めている間の自分の先入観が恥ずかしくなってしまうほどだった。 登場人物の正体が明らかになるとそれまで頭に描いていた物語の色合いががらりと変わる。この感じかたの変化も「人を人として見る」ことが意外と難しいなと思い知らされる。 それでもストーリーはしんみりしたりすることなく軽快に流れていく。 不用意に涙を誘うなど情を煽らなかったおかげでメッセージが気持ちよく胸に残った。 読み始めは少しポップな文章でとっつきにくかったが、もしこれが重い文体ならラストは読めなかっただろうな。
『月と蟹』の鬱々としたら空気が気に入って読んでみたのですが、大当たりでした。(こちらは全体通して爽やか)。価値観が根底から覆される感じがたまりません。本筋は可もなく不可もなくですが、主人公の最後の語りが素晴らしいので全く問題なしです。おすすめ。
登場人物みんなイイ奴!秋絵の正体にはびっくりさせられました。ローズフラットのみんな大好きです。'あいつらは人をただの人としてみることができる。これは難しいことなんだ’という言葉がすごく印象に残っています。外見が正直かなりのウェイトを占める現代で、まわりの目を気にせず毎日イキイキと暮らすみんながとてもかっこいい。私も外見にとらわれず、人の本質をみることができるそんな猿になりたいと思いました。
先入観にすっかりやられました。こういう小説だからこそできるネタ、大好きです。ミステリーだけれど事件自体は正直どうでもいい。題名にこめた想いが深いです。アパートの住人はみんなとても魅力的ですが、特にトウミとマイミがすごく可愛い。大人な子供って嫌いじゃないよ。
名作でした。 最後の最後で、作者の本当のメッセージが浮かび上がってくる。軽いハードボイルドを装った奥底に隠された作者の想いこそが、本書最大の叙述トリックかもしれない。これはもはやミステリではない。
後半になって新たな事実が浮かび上がってくるというおもしろさがあった。片眼の猿という意味が最終的にしっかりと伝わってきた。
読みながら不満を覚えていた箇所が一蹴される快感。良かったです。「そこ」に頼った内容だったらつまらんなーと思ってたので、ほんと良かった。おもしろかった。だけど、この作者さんの初読の本としては選択を間違えたかな?と後書き読んで思いました。次は初期のものから選んでみようかな。
盗聴専門の探偵事務所を営む三梨幸一郎は、楽器デザイン盗用の疑いを調べていた。そんなとき七年前に自殺した秋絵と似た名前の冬絵と出会う。やがて殺人事件が起こり……。辛い過去・謎の女性・悪の組織とハードボイルドの定石を踏んでいるが、ユーモアある軽妙な文体でかなりライトな味わい。巧みな伏線と騙りによって意外な真相に導かれるが、その構造は『向日葵の咲かない夏』とそっくり。「二番煎じ」という人もいるかもしれないが、敢えて「変奏」と呼びたい。意外性のための意外性ではなく、テーマに対する真摯な姿勢が伝わってきて胸を打つ。
今回も騙されたというか先入観から思い込んでいましたが、むしろそれを楽しみに読みました。色々書くと未読の方に申し訳無いので書けませんが、他の作品も読んで騙されたいです。
読み終わった後、もう一度読み返して「なるほどここはそういう事か」とやるのは好きです。この小説もその一つですね。色々種は隠されているのに気づかないものだなぁ。テーマもちらちらと本文に見え隠れして最後に着地する、綺麗な作りだと思いました。
種明かしの時驚かされた。びっくりした。考えさせられる話だった。みんなと違うことで、こんなにも傷ついている。相手の気持ちや立場を考えて接してゆっくり近付いていきたいと思う。
みなさん言うように、騙されました。たくさん。登場人物がとても魅力的で、あのアパートの住人がまた事件を解決する、続がみたいような、ステキなキャラクターでした。眼に見えないものを、ちゃんと見られる人間になりたいと思います。おもしろかった。
先入観ってすごいなあと。この人はあれで、あの人はこれでってある程度予想がついたけど全部は無理でした。むしろ思いがけない部分が多かったぐらい。最後の文章もいいですね、みんながそんなふうにできたら生きやすい世界になるのかなあなんて。
読み始めたときはあんまり面白くないと思っていましたが、後半はとても面白かったです。先入観で決め付けていたものがことごとくひっくり返され、特に三梨の容姿に関しては片目の猿というタイトルに完全に騙されました。事件のほうも犯人は意外な人だったのでよかったです。
「ソロモンの犬」の最後の最後には、スカッと騙されたよ。鴉と猿は、詐欺に合った感じ。最初からそう思っていた私が悪いみたいなね。なんか、面白くないな。人は、どうあるべきかと言う事。受け入れ、許す事。さあ、次。
おもしろかったです! 最後に完全に裏切られました。 登場人物も豊かで面白く、一気に読んでしまいました。 しかも面白いだけじゃなくて、いろいろ考えさせられもしましたし。 個人的には主人公の罠かもしれないのに行く強さが うらやましかったし、かっこいいと思いました!
あとがきにもあるようにライトな感じの文体だったのですんなり読めました。ものの見事に騙されたけど。。 でもそれだけじゃない「方眼の猿」の話には考えさせられる。。
設定が現実離れしてるわりに違和感を感じず、すっと物語に入りこめる。テンポの良さと、人間臭さ全開のキャラクター設定のせいかな?最後の意外性も嫌みなく爽快。サーカスを観た後みたいな気分になるエンターテインメント性ある作品だった。
脱帽の一言に尽きます。相変わらず予想することができない展開にハラハラしながら一気読み。「共感できる小説は読む価値がない。それならノンフィクションを読めばいい」このような言葉をインタビューの際に言った作者の気持ちが今になってよくわかった。お勧めの一冊。ネタバレになるので、あえて本書の感想は言いません。
片眼の猿―One-eyed monkeysの
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