リヴィエラを撃て〈下〉 新潮文庫
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リヴィエラを撃て〈下〉 新潮文庫の感想・レビュー(338)
なんとも言えない読後感である。憤りを覚えるかと思えば切なくもあり、静けさにぞくぞくさせられ、諦めのような脱力感に襲われるとともに、希望のようなものもどこかに感じてしまう。これは私がきちんと読みきれていないからなのかもしれないが……。誰が間違っていて誰が正しいのか、誰を憎めばいいのか、そんなことを深く考えさせられた。冷えきった世界のなかで、濃密に生きた人々の姿に、ありきたりの言葉で申し訳ないが、心が震えた。そして、急にピアノが聞きたくなった。
単行本版に比べて、上手いこと纏めたなあ、という印象。単行本のほうが、ベルファストの泥や乾いた風の匂いが濃厚な感じです。ダーラム候があっさりテイストに変貌していました。やっぱり、先に読んだほうを面白く感じてしまうのは、私だけだろーか。
私が普段読む小説に比べていろんな意味でスケールが桁違いに大きくて複雑だったので、前半は特に読み進むのが難しかったが、是非ともブラームスのピアノ協奏曲第2番を聞いた後で再読しなければと感じた。現時点では☆4つ。
何回読んでも複雑に入り組んだ人間関係は難しい…。同じ国でも所属する組織によっては敵になりうるのに、個人の繋がりが国や組織の違いを超える。でもイギリスの雪と冷たい雨、アルコールの匂いとピアノが聞こえてくるようなこの空気感が好き。こんなに人が殺される話なのにも関わらず血なまぐささよりも悲しみと静謐さを感じる。
ブラームスのピアノ協奏曲第2番を絶対に聴くべき><!!!!!!絶対に!!!!これは聴かなきゃこの作品の一番大事なところを見逃してるかもしれないうわあああああん><!!!ううううううう
「国」も「外交」も「個人」あってのものなのに、実際は「個人」を踏み躙った上に成立している現実。国益(の意味すらよくわからなくなる)の前には国民の命など木の葉一枚の重みもなく、正義感や倫理観は単なる子供の駄々に過ぎないらしい。手島とバーキンの前に立ちはだかった組織/集団も個人から成るが、数が増すに連れ人は有機的な集団に呑み込まれ意志を奪われる。この結末は、勝者のない唾棄すべきゲームの後、残った者が一筋の光を掴んだと見るか、別の新たなゲームの駒候補が現れたと見做すべきかによって、全く違ったものになるだろう。
多くの犠牲者を出した悲劇の結末に、リヴィエラ本人ですら知らなかった驚愕の真相があろうとは!国家権力を振りかざした組織によって抹殺された多くの尊い個人の魂は救われるのだろうか?ジャック・モーガン、ノーマン・シンクレア、キム・バーキン、ケリー(伝書鳩)等、魅力的な登場人物が多かったので、それだけに憤りと悲しみも大きいが、この気持ちを誰にぶつければよいのか。リベートを受け取ったどこやらの政府高官にしろCIAにしろ、国家権力の前では憎むべき相手の顔すら見えてこない。
中盤から存在感を示し始めたキム・バーキンが個人的にお気に入りとなった(男前だ)。が、あまりに魅力的な人物が多すぎて困る。諜報を含めた外交の場で日本がいかに稚拙で馬鹿にされてるかが皮肉にも浮かび上がってくる。CIAが徹底的に恐ろしかった。手島を絶望させたものを考えると背筋が寒くなる。しかし、イングランドのマナーハウスの妖しさやシンクレアの華麗さにはため息。語りつくせないほど色々とてんこ盛りだ。
☆☆☆☆★ 読み終えてしみじみ思ったのは、設定も構成も背景も内容も桁外れなんです。ですが、登場人物がとても熱くて青臭いんですね。そのギャップがとても良いのです。ラストはやはりこの作家らしくきっちりとまとめてきました。長い戦いとなりましたが、読み終えて、自分も立派な読書家になったなと一人納得しました。
読み応えのある本。複雑かつ重厚なストーリーに圧倒された。これが一人の著者の手によるものとは考えられないほど奥深い内容。一人のテロリストを定点として物語が綴られ、やがては各国の裏の取引にまでつながっていく。最後、手島が日本語を使わなくなることに、深いため息が漏れた。ものすごい本だと感じた。
高村作品の中で一番好きかもしれません。単行本版と文庫版ではダーラム侯がほとんど別人だけど、やっぱり文庫版の方が好きかなあ。読後どうっと疲れて脱力放心、しばらく物悲しい気分が抜けないことはわかっているのに、2年に1度は読み返してしまう。緻密で陰惨で、だからこそほんのすこしの愛情や希望が輝かしい。それに救いを見るとあとあとひどいしっぺ返しがくるのだけど・・・!高村さんの、とにかく表現を積み上げて積み上げてつくりあげるみっしりとした小説は、癖になります・・・。
登場人物と前後する時系列が整理できず、途中で最初から読み返したら腑に落ちて急激に面白くなった。読み応えありました。ジャックの死とレディ・アンの関わりが明確になってない気がするんだけど見落としたかな。
ジャック、手島、シンクレアが主人公なんだろうけど、なんといっても、ケリーが魅力的。彼の存在がこの冷え切った物語に一定の温度を与えている。願わくば、リヴィエラとレディ・アンの最期を看取りたいと思うのは私だけか。
☆:ポリティカルスリラーの皮を被った純文学。小説としての完成度は素晴らしいが、ポリティカルスリラーとしてはいささか退屈。全編に横溢するウェットさも肌に合わず、申し訳ないけどこの点数。
話の展開がよく理解できず楽しめなかった。多分、自分じゃ一回で理解するのは難しいので2回3回と読んでいくうちに面白くなっていくのだと思う。その分読み応えはあるんだろうとも思う。
何かを守るために人を殺すという人間の愚かさを感じた。各国の陰謀、複雑な組織、歴史的背景などがすべて緻密に絡み合って、とても読み応えのあるものだった。ラストは若干気が抜けたが、次々変わる場面展開で引き込まれ十分に楽しめた
上巻の序盤で殺されたジャックが実は別人だったらいいのになぁと思っていたけど、やはり本人でがっかり。下巻は集中して一気に読む。上巻よりずっとスピード感があって、よかった。終わり方もまあまあ好き。少しだけ希望があるから。
荒涼とした世界、報われない男たち。何人か女性の登場人物が出てくるけど、女には入れない世界(絆)だなぁと思います。それゆえに、美しいのだろうけど。
再読してみて、10代の頃に読んだときはこの話をきちんと理解していなかったんだなぁ…と気づきました。なんて物悲しい、それでいて力強い…スケールの大きい物語でしょう。10年後にまた読もうと思います。
上巻同様で読み終わったら、なんかすごい! しか出てこなかった。知識不足で上巻ではなんだかもーよくわからん状態だったんだけども、なぜだか下巻はすごく楽しく読めた。人物たちのことを考えると楽しい言ってる場合じゃないんだけれども。シンクレアが弾いたブラームスを聴きたい。ジャックや他の死者に捧げられた鎮魂歌を聴きたい。シンクレアがリヴィエラへ静かに怒りを向けるところが、すごく好きでした。読後は非常に疲れを感じたのですが、それでもいまは充実感がすごくある。挫折しなくてよかったー! 今度は勉強をしてから読む!
2010年の時点で再読すると、最近の作品に比べて叙情性が強い事が感じられる。現場の空気感が皮膚感覚のように感じられる描写力の確かさは一貫しているけれど。「マークスの山」と似た感情の揺さぶられ方をしたけれど、エンディングの静謐な強さに拍手。この本の下敷きである「リヴィエラ」が高村さんが(実質的に)書いた初めての小説であるという。作者のエッセンスがたぶん顕わになっているであろうその作品を読みたいと思った。ブラームスも聴かねば。
薫さん。すみません、先入観がありました。・・・女の人が著す国際諜報モノで、UKとIRAが題材、偏見100%、かなりどころか完全にナメてかかって読み始めました。薫さんの心の中にはセントパトリックス・グリーンをベースに、その上に銀色の弦を張られた金のハープが描かれているんでしょう。そうとしか思えない、16世紀にイギリス本土での清教徒革命で実権を握ったオリバー・クロムウェルが行なったアイルランド侵攻でのプロテスタントによるカトリック弾圧。愚かさ、悲しみ、切なさ。・・・しびれました。良い読書を有難うございます。
暴風雨吹き荒れる上巻、静かな嵐のような下巻。……と思いきや、やっぱり下巻も暴風雨でした。素晴らしい作品だけど、ひどく切ない。
リヴィエラを撃て〈下〉 新潮文庫の
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感想・レビュー:51件














ナイス!






























