黄金を抱いて翔べ (新潮文庫)
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黄金を抱いて翔べの感想・レビュー(498)
精密な物語描写と退廃的な世界観が、絶妙な調和を醸す大作。全編を通底している登場人物たちの人情に、自然とこちらも移入してしまう。最後の幸田のセリフに僕も心から乾杯するとしよう。今回は、高村作品で初の読書体験であったが、他の作品も読みたくなった。
映画化と聞き読みました。しかし、これを映画化するのか…と一抹の不安。細やかな描写ができる小説、たった一言でさえも響く。幸田とモモ、幸田と北川、個人の描写も素晴らしいけど、それぞれの関係性も、言葉にされていないけれど確かに流れている。またもう一度読めば絶対に違う視点で読めるだろうなと思わせる作品です。強盗よりも、それを通して描かれる人間の姿が印象的。同性愛描写、消されてしまいそうだけど消したらどうなってしまうんだろう…。
映画化と聞き読破。舞台は大阪。馴染み深い中之島周辺の描写も多く、かなり入り込みました。登場人物の微妙な心情の変化が、映画でどのように描かれるか楽しみです。
映画化されると聞いて読んでみた。配役をイメージして読みすすめてみたけど、同性愛的描写やモモコも映像化されるのかな…金強奪シーンが秒単位で緊迫感がハンパ無い。ラストが切ない。
数年ぶりに再読。映画化のニュースで読み直し。高村作品は一時熱に浮かされるようにして読んでいたので思い入れが深いから、映像化はいつも複雑。だって高村作品の根底に流れているものって、映像化するときに省かれがちだから。宗教だったり、同性愛的恋慕だったり、道徳的なことだったりって、スポンサーのいる映像世界ではタブーだったりするし。この作品は決して痛快な話ではないと思う。でもそこに関わる男たちの過去・現在の心のあり方の表現が本当に好きな作品。
映画化に乗じて再読。やはりデビュー作から女王・高村のスタンスは、基本的には変わっていないのだなと思いつつ、惚れ直しましたw 硬質な文体、大阪という舞台、うだるような夏の暑さ、突飛な金塊強奪計画、それぞれに思いを抱えた魅力的な登場人物たち…。その全ての要素があってこそ、この作品世界が出来上がっているのだなとしみじみ。個人的には初読時より各登場人物の感情を深読み出来て、楽しかったです。しかし幸田さん!もうモテモテだな!!映画化ではモモさんのあの笑顔が再現できるのかどうかが、気になるところですw
映画のロケにエキストラに参加。西田敏行がジーサン。妻夫木が幸田か? 北川が浅野忠信か?地元吹田と北浜が舞台。本より映画のほうが理解できそう。変電所の爆破をどう映像化するか、そちらに興味にあり
映画化の噂を聞き、仰天したので再読。という流れは繋がってないようにおもえるが、本好きの方ならなんとなくわかってくださるとおもう。ちょうど3年置いての再読だったのだが、あいかわらずストーリーを半分も覚えていなかった。幸田がモモへと気持ちを寄せていく様はあいかわらず難解な過程を経ているように感じ、入り込めない境界線を見た気がした。この入り込めなさというか、置いてけぼりをくらう感じが男だらけの作品の魅力かしらともおもいつつ。ハードカバー版を未読なので、今度はそちらを読みたい。それにしても映画化……ど、どうなの?
高村薫作品の主人公は多くを語らない。 息の詰まるような情景描写と思考から主人公の真実を拾っていかないと、読んでいる途中でその行動を見失って途方に暮れることになる。 読後カタルシスを得るような痛快な強奪ものではない。それでも本を閉じた時に一筋の光明を感じるのは、主人公・幸田の内面的な変化によるところが大きい。 物語中くり返し出てくる教会、神父、火事…は、幸田がずっと抱え込んで彼を縛りつけていた過去の重石だ。 彼が黄金と共に最後に手にしたのは、重石と彼を結びつけていたロープを切断した解放感だったのではないか。
男たちがかっこよいですね。ディテールにもこっていて、金塊を盗み出すシーンは圧巻!自分も一緒にビルに忍び込んでいるような気持ちになった。高村作品のなかではいちばんのお気に入り。
モモの命日は毎年読み返してる。ただの銀行強盗の話じゃなく、生き方を模索してる人間の自分なりの決着の話で読むと読みやすい。牛乳と寿司って、アンタァ味覚も最低なんだな…は羽海野さんの同人からなんだけど、モモの死を読むとそれを思い出す、笑。良く笑うモモとそれを見る幸田さんと、春樹と北川たちはもうちょい読んでみたかった
再読。といっても以前は単行本で読んだのでちょっと違う感じがした。 もうちょっと匂いがきつかった気がする。 それにしても読みづらい。 何が彼らを動かしているのかまったくつかめないから。 合田ものだと読みやすいのはこっちがそれを探す合田と 一緒になっているからだと思う。
大坂を舞台に金塊強奪をもくろむ男たちの物語。猥雑な街の描写や癖のある人々のぶつかり合いに,熱気や暴力的なパワーを感じた。孤独で陰のある幸田の描写が徐々に変化してゆくのが興味深い。心情をたどりながら再読したいと思った。
銀行本店の金塊を強奪しようと企む男たちの話なんだけど、実行の契機もよくわからないし、人物の背景は200ページを過ぎてようやく出てきたりするし、読み進めるのがとても辛かった。いやもしかしたら読み飛ばしてたのかもしれないけど、何にせよ読み手に不親切な作りだったのは間違いない。わけのわからないうちにどんどん人が死んでいくし、本格派サスペンスのつもりで構えてたらBL展開が待ってるし、いろんな意味で想像と違う作品だった。時は金なりとは言うけれど、時間という黄金を抱いて翔ば…くそ、文字制限で上手くまとまらなかったぜ!
再読。処女作であり、後の著書「神の火」で表現したことをやりたかったのかしらん?と読めた。心情描写が断片的ではあるが一生を全体から見たら分かっていて断片的に描いたのかななどと考えながら面白く読めた。
強盗計画の準備と実行自体は緊迫感があって面白かったけれど、登場人物たちの心情の流れがあんまりピンとこなかった。特に幸田がモモと「特別な仲」になるのが唐突すぎて面食らう。この物語の中にその要素必要?となってしまった。それぞれの立場や生い立ちや関係性がぶつ切りで語られるためかうまくつかめず、物語にのめり込むことはできなかったです。
淡々とした文体は冷たい印象もあるんだけど話の内容的にむしろこれじゃないとしつこくて、かといって質素と言うわけじゃなくて。臭い、音、空気、感覚、そういったことに対する言葉がとてもストレートなのに捻りが効いてて、一文一文読んでてどんどん引き込まれちゃう。どうしてこうも魅力的な男を描くのがうまいのか。それからラストの疾走感。時間とそれから端的な言葉で表される人物たちの動作。読んでいる私もその場にいてその企てに参加しているような、そんなむずむずするような居ても立ってもいられないような焦燥感にかられた
どこか乾いた殺風景な景色を観ているような、遠い異国の現実味のない空気がずうっと支配している。そんな不思議な雰囲気の作品。正直にいうと、結局ラストまでワケがわからないまま終わってしまったという印象で少しも共感できなかった。なのに独特な表現や文体に強烈なインパクトがあり、胸に残って忘れられない小説。
デビュー作から小説のスタイルが変わってないことを知りました。最初の頃、ディティールの描写がうるさく、読みにくいなと感じたこともあったけど、今は逆に重厚な構造物のような描写に惹かれています。あと、主人公を始めとした主要人物に「顔」が無いのも特徴的。作者の思いを「語らせない」、都合のいいように「思わせない」、作者の主観で動かないので本当に居る人のように感じてしまう。本作にそんな高村ワールドの原点を見た思いです。
左翼系の昔の仲間と北朝鮮の男。そして男たちの友愛を超えた愛情。高村さんのお得意の構図はそのままに金塊に命を懸ける男たちの物語。
緊迫感溢れる最終章の展開は素晴らしいが、そこに行き着くまでは複雑な説明の連続で、中々、手が進まなかった。
緻密な人物描写、背景描写を好きか嫌いかで本作の評価は分かれるだろう。
黄金を抱いて翔べの
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