深追い (新潮文庫)
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深追いの感想・レビュー(609)
地方都市にある三ッ鐘署を舞台とする連作短編集。警察官が職住一体として暮らす独特の人間関係を上手にドラマにしている。派手な事件がおきるわけじゃないし、泥臭いし、スッキリしないエンディングの話が多いけど、それがリアルで人間くささを感じさせる。それが横山秀夫の魅力なんだよな。そうはいっても、ラストに明るさがある「訳あり」と「人ごと」が好きだったりする。
短編7編。主人公はすべて異なるが、共通点は三ツ鐘警察署の警官や職員であること。事件の真相を追う眼もそらしがたいが、狭い警察組織の中、官舎の中に渦巻く生臭い人間関係に焦点があたる。どれもいつものようにぐっと引きつけられる小説だった。
17年前、信号無視のライトバンを白バイで追跡中深追いし、事故死に追いやってしまった男が遭遇した死亡事故。死亡者の妻は昔付き合っていた女だった。深みにはまっていく男は女を「深追い」し、無意識に追いつめてしまい、取り返しのつかないことに…。表題作「深追い」を含む短編7本。50ページ足らずの短い話ばかりだが、どれも巧妙に伏線がひかれている。全然関係のないように思える描写が意外なところで重要な役割を果たしているのだ。どの短編も最後はジーンとくるものがある。横山秀夫はもっと人気が出てもおかしくない作家だと思う。
特に興味のある分野ではないんですが、どの物語もすっと入り込めて飽きずに楽しめました。本棚に残しておきたいとまでは思わないけど、移動中の時間つぶしにはじゅうぶん。ただ、いつも思うんだけど、タイトルのつけ方がストレートで、下手するとオチが読めてしまうのがこの著者の難点のような気が。
警察組織描写がリアルで、さらに登場人物も心理描写が手に取るように感じられる横山さん作品は好きですが、短編集ということで食わず嫌いをしていた本書でした。 短編のいいところもあるんだけど、読み終えたという余韻に浸ることができずにちょっと敬遠気味でしたが、これは読んでよかったなぁという印象。特に、好きなのは最後の「人ごと」。 会計課の本官ではない主人公が、事件ではない案件の真相に迫る。。。最後に辿り着く、結末にジーンと感動。こういう人間臭い話って好きです。
再読。話を忘れてしまっていたので謎が明かされるまでわくわくして読めた。うっすら覚えている話であってもどう繋がっていくのかが気になってそれもまた楽しく読めた。善人ばかりが出てくるわけでなく警察官であってもやっぱり人間で正義だけで生きていく事はできないというのが伝わってきた。すっきりする話だけでは無いけどだからこそ面白い。
意味深なタイトルの短編集である。温かい話から細かい警察の心理描写まで…相変わらず横山氏は「うまい」。横山氏の作品を「深追い」してみたくなる。
三ツ鐘署に勤務する男たちが主役の警察小説集。やっぱり横山氏の短編はすごくいい!様々な語り口、巧みな心理描写、まさかの展開でいいところをぎゅぎゅっと閉じ込めて、読ませる。組織で、家庭で日がな事件と格闘する。人間臭さがまたよし。「訳あり」はやるせなく、キャリアであることを考えさせ、もみくちゃにされながらも力強く職務を全うする男たちに出会える。「人ごと」は終わり方が温かく心に沁みた。
署長と次長の官舎も、独身寮も家族官舎も、超至近距離にある三ツ鐘署。職住一体で通勤や非常事態等の署員の召集には便利かもしれないけど、閉塞感は半端じゃない。プライバシーもなさそうです。こんな特異な警察署に勤務する7人を主人公とした短編集です。横山さんはこの特異な環境を上手く使い、人間関係に奥行きを持たせています。タイトル「仕返し」はこの環境だからこそ起きた事件だと言えると思います。「人ごと」はタイトルの雰囲気に合わない良い作品でした。とても温かい作品で、涙腺が刺激されます。
タイトルからして、もっとハードボイルドな感じと思ったら、切ないほどの心理描写。思わず心が痛くなり、でも読まずにいられない。一気読みしてしまいました。
どうしても横山作品の短編集は一気読みになってしまう。どの作品も主人公の心理が丁寧に描かれているから、はまってしまうのかな。今回は舞台が三ツ鐘署で統一されていたから、特に読みやすかったのかも。どの作品も良かったけど、特に『仕返し』が良かった。警察だけでなく、会社の社宅でも同じような事が起きるような気がしました。
★★★★☆ 横山さんらしい警察官の細かい心理描写が冴えています。検死官倉石のような強烈な個性でなく、組織と個人・家庭の間を精一杯生きている市井の警察官達です。 81点
短い中にも主人公が抱える機微や葛藤を丹念に織り込んでしっかり読ませる、まさに横山節炸裂の警察短編小説。このみっともない男臭さが何とも癖になる。お気に入りは「訳あり」、「締め出し」。
あっという間に読み終えました。「人ごと」のラストに光を見た気がします。話していることがすべてではなく、心の中ではいろいろな思いがあるし、人との距離も近すぎても遠すぎても辛くなったりします。でも一歩近づくことで、複雑な心の中をすこしだけ垣間見ることができるのかもしれないと、思えました。
横山秀夫の警察ものは相変わらずの安定感。一人の警察官や関係者が組織の中でもがき、しのぎを削り、市民の生活を守っている。正義と悪の狭間で起こる様々なドラマが、重いトーンで描かれる。相変わらず面白い。
あいかわらず男臭くて力強い登場人物だ。でも、今回は少しやわらかさがありました。そして、それぞれのお話の最後で感動できる。
横山秀夫の短編集ははずれがない。表題作は、、かつての同級 生に思いを寄せ、職務を逸脱していく警察官の、少し悲しい話。 人生の機知に富みつつ、スリリングな展開、相変わらずです。
劇的とは言い難い小さな事件を、一人の警察官の視点から描く短編集。 まったく異なる語り口もさることながら、感情の機敏まで書ききる筆力は凄い! 読み終えた後も不思議な余韻の残る傑作…! お気に入りは「深追い」「人ごと」「訳あり」「引き継ぎ」。
著者の得意な警察管理部門に焦点当てた短編集。「陰の季節」と同じくらい読む価値ありです。著者の最高傑作の一つだと思います。
さすが横山さん、と思える本。好みの問題で、おもしろかったのは半分くらいだったけど、どれも間違いなく上手でので、おもしろくなくてもしっかり読もうと思える。
★★★★☆地方警察のさらに外れの所轄署が舞台であり、普通あまり主人公とならないような役職の方を描いている。それでいて地味にならず、濃密で読み応えのある短編集に仕上げてしまう横山氏はやはり凄い。横山氏の小説では隠語なども多く登場するが、今回「トニーの店」には笑った。
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