錦繍 (新潮文庫)
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錦繍の感想・レビュー(800)
業を背負いながら、「今」を生き抜くこと。人にできることはそれしか無いのだ、と感じた。自分もちょうど今、うつ病、離婚という問題に直面しており、私の命にまとわりつく業というものを強く感じている。虚無やあきらめの世界に落ちることなく、真摯に生きていきたい。時に自分を客観的に見つめながら。
宮本輝お得意の育ちが良く美人でなかなか積極的なお嬢さんと、その元亭主の書簡集。男の望みを全て備えたような宮本輝の描く女主人公って、ちょっと鼻につく。口では言えないけど手紙になら書ける。そんなやりとりが過去にあったら別れないでも済んだのでは?お互い、未だに愛し合いながら、それぞれの人生を歩んでいく姿は、もの悲しくもハートフル。
どうにもできなかった過去を、往復書簡を通して語り合い、いまとみらいに目を向ける。 これから先、二人の人生が交わることはないだろうけど、それぞれにしっかりと生きていく強さを感じた。
同僚のY氏に薦められた。男と女の話だけに終わらず、生命(いのち)まで考えさせられる良書。
友人のオススメ。書簡体。明るい話ではないし、パッピーエンドでもないけれど、前向きでキレイな気持ちになった。いい本をオススメしてもらった。
何が何でも「今」を懸命に真摯に生きるしかないではありませんか。生きていることと、死んでいることは、もしかしたら同じことかもしれへん。往復書簡体で描かれる再生の物語。蔵王の燃えるような錦繍に、舞鶴のささくれだった冷たい風の吹く日本海の寂寥感に、モーツァルトという人間の奇跡に、何度読んでも感動です。死を意識して、ドブに打ち捨てられた破れ靴みたいに成り果てても、てくてくと歩き続けていけるようになりたい。
憧れのお姉さんが好きな本だと言っていたので手に取った錦繍。 読み終わった時、「この本の存在を知っていれば、辛くなった時はいつでもこの本を開くことが出来るんだ」と気付いてとても安心した。 何か飛行機で読む本が欲しいと言っていた好きな人に、読み終わった文庫本をプレゼントした。
離婚した夫婦が10年ぶりに偶然再会する。そして始まる手紙のやり取りだが、最初は妻を裏切り無理心中される元夫と再婚し息子がいるにもかかわらずまだ未練たらたら元妻の手紙に嫌気がさしてきたが、次第に互いの過去そして現在を冷静に見つめ、未来に希望を持つ姿に静かな安堵を覚えました。錦繍という美しい言葉を知ることができ良かったです。
有馬の生き方は好きになれないけど、人間ってこんなものかもしれないとも思いました。それに比べ、亜紀子さんのほうは、生き方に筋が通っていて、共感できました。亜紀子さんのお父さんの人間味ある言葉や態度が素敵でした。 ドラマにしたら、素敵だろうなと思います。
浮気をした女性に無理心中をさせられそうになった男とその元妻との往復書簡。男の身勝手さが腹立たしくはある。元妻がひたすらに可哀そうだと感じてしまう。男も罰を受け続けてはいるけれど、到底それで許される話ではない。互いを思いやったり、あるいは責めたりと生々しい手紙のやり取りが綴られる。読み終わった後、虚脱感が訪れる。
20年ぶり?の再読。ああ、こういう話だったんだ・・・とまるで初めて読んだかのように新鮮だった。内容はある意味どろどろしているのだがその底に流れ続けている哀しく美しく虚無的な、しかし一条の光もほのみえるものが私を虜にしてしまう。宮本輝の美しい文章。紅葉。蔵王。ゴンドラ。京都。嵐山。再読を終えたその古い本を大切に再び書棚にしまった。
小川洋子推奨。前から読みたかった本、ドイツの国内線で読み終わりました。すばらしい。両人とも後半に向かい 生きる力が増してくるのが伝わります。また 読みます。
宇宙の不思議なからくり。生命の不思議なからくり。人生の不思議なからくり。男女の不思議なからくり。森羅万象、説明のつかないものもので構築されている。そう、説明などつかないものが真理であろうと思う。
再読。もう手紙を書くなんていうことはめっきり減ったけれど、日本語って縦書きで、こんな文体がいちばん素敵。この小説はやっぱり今の季節が似合う。最近のはともかくとして、この時代の宮本輝にはかなわない。
『錦繍』というタイトルは絶妙である。錦繍とは、華麗な布や、紅葉の見事さも指す。だが、またひとつの使い方として、麗しい文章も表す。この元夫婦が交わす往復書簡もまさに「錦繍」と呼ぶに相応しい。人間は幸せの只中にいて「幸せだ」と実感できるものではない。大きな悲しみ、苦しみを背負った時に、人生の花だった時分を振り返り「あの頃は幸せだった」と改めて思い起こすものではなかろうか。宿命に引き裂かれ、偶然出遭ったふたり。遠く離れても互いを思う気持ち。錦繍は奢れる春を謳歌する者になく、人生の冬に向かう男女への愛惜の徴だ。
現代最高のストーリーテラー宮本輝の傑作。別れた男女がやりとりする手紙。その中でそれぞれの数奇な人生が明かされていく。やがてふたりが到達した境地とは?人生を強く美しく生きるとはどういう事か?音楽とは何か?感動します。僕が繰り返し読む愛読書です。
なにげない言葉が、人生を支えてくれたり、支えてくれなかったりする。何気ない行動が、人生を左右する。もうちょっと、いや、もっと、身近な人を大切にしようと思った。
祝福されて結婚した二人が離婚し、十年後に再会する。亜紀は大学助教授の妻として、良明は悪徳金融業者から逃げる身で。二人はお互いの十年間を往復書簡の形で語る。亜紀は息子が障害児だった上、夫が別の女性とつきあっている。良明はさんざん苦労を重ねた末、美容院用宣伝チラシの製作に賭けている。離婚も十年も経てば、当時の事も思い出になるのだろう。人の世の行き違うことの何と多いことだろう。二人はお互いの幸福な未来を祈りながらひたすら手紙を書く。言い知れぬ孤独感が漂う作品だった。
小川洋子さんのエッセイに出てきた本を、読んでみたくて図書館で探しました。 過去にしばられている二人の手紙のやりとりに悲しい気持ちになっていたのですが、次第に手紙を通して生きる道を見つけていく様に一筋の光が見えてきました。 秋になると読みたくなる本というのは理解できました。
寒くなってきたなあ、と感じると読みたくなる一冊。宇宙や命や様々な不条理や、いろんなものに対する答えがこの一冊にはあるような気がする。もう何度も読んだ本だけれど、歳を重ねるにつれ「分かる」と感じる度合がアップしているような。色づく秋の景色のように人生の景色も変化していく。その変化に怯えることも抗うこともなく、凛と美しく真っ当な正しいオバちゃんになるためにも必読かと。絶対に手放せない。
ナイス! ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ -
コメント(2)
- 10/04
涼しさを通り越して,一気に寒さが訪れました。山々が色づき始める季節,やっぱりこの本と思い再読しました。お互い心の決着がつかないままに別れた二人の往復書簡。辛い気持ちを文字にし,一通ごとに成長し,生きる上での素晴らしい光を見つけ出していく過程に感動します。
感動しました。過去となってしまった人物がたくさん出てきたが、各々の生きる意味が分かる歳になったらまた読み返したい。二人の往復書簡、過去のことだけで終わってしまう哀しい話かと思ったが、現実に生きている清高と令子の力強さに感服。亜紀と靖明はきっと自分の足で地面に立って生きているのだろうな。
時代は感じた。今と違う不倫への価値観、手紙というアナログな手段によって語られる過去。けど「人はなぜ生きるのか」「過去は取り戻せないが少しずつ意味を変えていく」という根元的な部分は時代を超えて今に通じる。その上で、この二人にはこうなるよりほかにどうしようもなかったのでは、と思う。人のつながりって何だろうと考えてしまった。そして「錦繍」という言葉の意味を調べて、宮本輝はすばらしいタイトルをつけるなと思った。秋の紅葉が見たくなる。
紅葉と満点の星空といった美しい自然の情景が浮かび、モーツァルトの音楽に彩られた美しい小説。これらの場面は全て主人公亜紀の手紙にて描写され、亜紀という人物に惚れ込んだ。一方、亜紀の元夫であるもう一人の主人公靖明はどうしようもない男であるが、結局転落し罪と罰そのものの人物を歩む。靖明と勝沼という2人の男性に翻弄される亜紀の人生の切なさを思ったが、この手紙のやり取りを通して、確実に2人の人生は上向くことだろう。蔵王と乳頭温泉に非常に行きたくなった。折をみて再読したいと思わせる小説に久々に出会った。
がまんできず、また再読。「みらい」のくだりでホロッと涙が。。。「〈いま〉のあなたの生き方が、未来のあなたを再び大きく変えることになるに違いありません」。大切な人が贈ってくれた、大切な小説。次は来年の夏に、読み返そうと思います。
主人公亜紀の年齢に近づいたので再読。手紙の中の上流階級奥様言葉が気になるが、それ以外は読み物としては面白い。父親との良い関係が印象的。しかし、所詮いいところのお嬢様だからなぁという点で感情移入しがたい。
おそらく初・宮本輝。手紙のやりとりで全てが構成されているのですが、いかんせんはがゆい文章が多い。回りくどいというか。津軽海峡冬景色、というか。玲子さんは大人だなぁ。
《再読2回目》☆ダリアの眩しさと、秋の陽光と、燃えるような紅葉と、満天の星空が目に浮かび、モーツァルトが聞こえてくる印象的なお話☆往復書簡により語られる、2つの不幸な人生。人生の不公平と、人間の業と、生命のからくりと…もの悲しく、ずっしり重く、最後に少し希望が光る。感慨深いです。
中学生の頃、「優駿」を読んでなんだか苦手だなぁ…と思って以来宮本輝は読まず嫌いでした。今回この本を読んで開眼!書簡形式なので「ちゃんと返事が来ますように…」と祈りながら一気に読みました。解説の黒井千次さんが、ダリア園・ドッコ沼・ゴンドラ・リフトというキーワードが持つ濁音の響きについて書かれているのでそれも必読です。重いテーマですが、読み終わった後救いのある感じが残る素晴らしい作品でした。靖明に玲子が、亜紀に清高くんがいて本当に良かった。これからは読まず嫌いしません!
「生きていることと死んでいることは、もしかしたら同じかもしれない」愛し合いながらも、男の心中未遂事件がきっかけで別れた元夫婦。偶然の再会から手紙のやり取りを通し、過去に整理をつけ、未来のために現在を精いっぱい生きていく再生の話。女なので、どうしても妻の気持ちにたって読み進めていったが、時がたち、男の性を多少なりとも理解した彼女は、夫の自分への愛を感じ取れたことで満足したのかな。そして自分の足元を見直し、障害のある息子に全力で向き合う。過去は過去、どうやっても戻らないということを知った切ないお話だった。
偶然にもほどがあるのだけど、前回読み終えたのが2年前の今日でした。そのときとは自分の環境や心境も大きく変わっていて……よりいっそうこの作品が、自分にとってかけがえのないものに思えました。これから先、何回も読み返すんだろうなぁ。
錦繍の
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