朽ちていった命―被曝治療83日間の記録 (新潮文庫)
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朽ちていった命―被曝治療83日間の記録の感想・レビュー(436)
東海村臨界事故で被曝した男性と治療チームの83日間の記録。読み進むのが(心情的に)ここまで辛い本も珍しい。命が文字通り「朽ちていく」様子が生々しく描かれている。時折見せる男性の生命力に背中を押され何とか読み切ったものの、すごい脱力感に襲われた。人間の身体を内側から壊していく放射線被曝、本当に恐ろしい。
1999年の東海村臨界事故で中性子線被爆した作業員の身体がどんなダメージを受け、医療チームがどんな治療を行ったのかを明らかにするノンフィクション。染色体が破壊されることで、人間の身体はこうまで破壊されてしまうのか、圧倒された。絶望感を持ちながらも治療を続けた医療スタッフの努力には頭が下がるが、大内さん本人はこの治療を望んでいたのか、と気になってしまう。読み進めるのがつらい本だった。
東海村臨界事故が起こったことを、大内さんのことを決して忘れてはならない。「あたしは、原発推進派です~」という人にこの事故のことをどう思うか訊いてみたら、「東海村臨界事故ってなぁに?」と言われた。この事故を風化させてきた今、原子力発電の爆発は起こった。 大内さんのことを彼がどんな亡くなり方をしたかということを風化させてはいけない。
放射線に破壊され、朽ちていった命。「破壊」「朽ちる」という言葉の無機質さに心が凍り、絶望的な無力感を突き付けられる。強烈な一冊でした。
怖くて恐ろしくて苦しくて、涙がボロボロ出てきた。辛かっただろう、苦しかっただろう、痛かっただろう。中性子というものを浴びると人間の身体は壊れる。身体の内側から壊される。治療に関わる医師や看護婦、ご家族。どこにもいいことなんてない。何て恐ろしい事故だったんだろうと思う。「杜撰」「想定外」「大丈夫だと思った」という上の人間達。やるせない。風化させてはいけない事の一つ。
柳田邦男氏のあとがきにもあった「放射性物質がばら撒かれる恐ろしい事態」が5年後の今まさに静かに進行している。日々進行中、そして深刻化しているだろうことは想像に難く無いが、そんな雰囲気があまりしない今の日本。終末感。この事故のドキュメンタリーを当時観て「被爆」によって人間の身体がどういった影響を受け、どうなってしまうのか?という事を初めて知った。色々なサイトでも情報を得、恐怖にかられた。権力者が権力や自分の地位を維持する為に真実や正しい情報を開示・共有しようとしない図はむしろJCO臨界事故当時よりも現在のほ
東海村の事故は聞いたことあっても詳しく調べたことがなかった。それはあくまで他人事のように思っていたからだろう。3.11のことがあって、初めて身近に感じこの本と読んだが、放射能に対しての自分の無知に驚かさせる。医療を通して見ると怖さが良く分かる。DNAが一瞬にして壊され、染色体が二度と復元出来ない訳だから、回復する見込みがなく、一定量の放射能を浴びてしまったら、あとは死ぬしかないとは…。
福島の事故がなければ、この本を手にすることもなかったと思う。恥ずかしい話だが、私は東海村臨界事故の存在すらほとんど知らなかった。せっかくこの本の著者や担当医、そして被害者自身が必死で伝えようとしていたのに。福島の事故を機に読み返されるべき作品であることに疑いはないが、それでは遅かった。最終章にある担当医:前川氏の主張が反映されていれば、福島の現状はもっと違ったものになっていたのではないか。これから先、二度と同じことが起こらないよう、過去から学ぶこと、そして現状を未来に伝えていくことの必要性を感じた。
昨日の『凶悪』から新潮ノンフィクションつながりで再読。何度でも読み返したい本のひとつ。3月以来の原発事故をきっかけに読んだ人も多いんじゃないかと思う。核戦争での人類滅亡の可能性を覚悟していた東西冷戦の頃に幼少期を過ごした世代としては「だから原発なんか要らないって言ってたのに」とも感じるが、諦めたら今後もこういう事故は続くんだろう。
東海村の原発事故に遭った人の治療過程が描かれる。当時の作業はとてもずさんなもので、致死量の放射線を受けた作業員は苦しみの末亡くなる。その遺体が異様だったようだ。 また、医療の現場での看護師の役割の大きさを実感。彼女らは医師のアシスタントではなく、言葉を放てない患者と対話するという役割を担った。最先端の医療と知識を動員しても太刀打ち出来なかった放射線被害者治療の悔しさが伝わる。
中性子線に貫かれ、バラバラに寸断された染色体。再生すること無く、次第に崩壊していく患者の肉体。無力感に苛まれながらも、必死に治療を続けた当時の医療スタッフの葛藤が胸に迫る。
ドキュメンタリーを見た当時は、再生されない人体に恐怖しつつも癌や難病と同じような感覚で捉えていた。現在、強いえぐみが胸に残るのは終末治療の観念や原子力の脅威を年相応に理解しただけではなく、そのすべてを人が造り、対して抗い、そして朽ちたこと。福島が起きてそれをより強く感じているからだと思う。原爆は話でしかわからない世代だけどもこの本を通じて、当時の医療スタッフを通じて、擬似的に振り返ってしまえるような、人災のなかの、いのちのかたちを見た気がした。
この事故発生時。バケツで核燃料を扱っていたとの報道を聞き、その杜撰さに驚いた記憶がよみがえってきた。その責任を問う裁判等はどうなったのか。誰がどう責任を取ろうが、失った命は戻らない。原子力の前には人類はこんなにも無力だ。医療者の方々が記録して下さったおかげで貴重な事実を知ることができた。感謝。
放射線を大量に浴びた人がどういう症状を示し、どう治療したら良いか十分分かっていないのは、事故がまだ多くおきていないという事では幸いなんでしょうが、ひとたび起きてしまったらどれだけ悲惨な事になるか、想像もできないという事でした。
東海村臨界事故における被曝は中性子線とガンマ線の放射線が身体を突き抜けたことによるもの。症状に悪化が見られる、会話ができなくなるより前、染色体が全て破壊された被曝の瞬間に人間として生きていく未来は消えたのだ。そこには安易な慟哭も欺瞞も許されない。 被曝1ヶ月後頃には患者は人間の形を失い、意思活動の描写はほとんどない。希望とはなんと苦しいものか。被曝直後、大内氏は「普通」に見えたから、本人、家族、医療従事者皆に「助かる」希望を生んだのだ。だけど、なぜ希望を抱かずにいられるだろう。人間であり、家族なのだ。
東海村事故での被爆後治療を主にになった東大病院ICUでの経過をまとめたルポ。読んでいてつらい描写がこれでもかと続く。描写は医療者から見てもかなりリアル。中盤以降のもうこれ以上はどうしようもなくなってしまい現状維持に努めるしかなくなるという状態での医療者側の苦悩、希望を捨てない家族、鎮静をかけられ、人工呼吸器やCHDFにつながれなんとか生きている患者。読了以前は朽ちるという言葉を使った作者に憤りを覚えたが(必死に生きたであろう患者・見守った家族・治療を行ったスタッフに失礼と)読了後はふさわしい気がした。
福島の原発問題をきっかけに読みました。東海村事故の際、あまり放射能の問題が報道されなかったのはやはり報道規制があったからなのかしら?あの頃はまだインターネットも普及してなくて、マスコミだけがニュースソースでしたからね。今回の福島原発問題も、インターネットがなかったら、完全に政府の隠蔽に、国民は騙されてたでしょうね・・・
改めて放射線の恐ろしさを知った。そして、日々このような危険と隣り合わせで生きている人々がいる現実を真剣に考えなければならないと感じた。人間は「自然」に生かされていることを忘れてはならない。いつの間にか人間がこの自然界の頂点に立っているような気になっていたが、人間はちっぽけで無力だということに気づかされた。そして、「生きる」とはどういう意味なのか、延命治療について深く考えさせられた。
放射線被爆の恐ろしさ。患者と戦う医師、看護師の記録。延命治療の是非。いろいろなことを深く考えさせられる本。また原発事故が起こってしまった今、日本人全員が読むべき本。
再読。必要に迫られて探し回って、必要なところだけ読めばいいのについつい全部熟読。「フクシマ」の後だと必然的に感想も違ってくる。被曝の怖さはもちろんだが、治療を終えた看護師たちの考え方が両極端なところがまた怖い。苦しませるだけの治療に疑問を呈する者と、やっぱり人間は生きたいんだからどんなに過酷でも最後まで治療すると決意する者。この違いってどこから来るんだろう。
東海村臨界事故の犠牲となった作業員が亡くなるまでの83日間に受けた被爆治療の記録。中性子線に曝されて染色体がズタズタになり細胞は自己複製能力を失った。「古くなった細胞は除かれ新しい細胞に置き換わる」ことが無くなった身体に急速に起こっていく「朽ちる」という変化は壮絶。83日間というのは現代医学の英知を結集して彼を延命させることができた日数であり、救えないとわかっている命を前に医療者が苦悩の末、判断を下した日数である、もうこれ以上は「治療」ではないと。目に見えないから方法手順を変えてはいけない。風化で杜撰に。
1999年9月、核燃料の加工中の作業員が臨界事故で大量被爆。 驚くべきは、当初、普通に会話もでき歩けた患者の容態がどんどん悪化する、その理由がDNAを破壊されているため細胞分裂ができなくなってしまったことによるものという。 人間の細胞は数週間ですべて入れ替わる。皮膚や粘膜など軟らかいところはどんどん新しい細胞に入れ替わっていく。しかしその設計図が放射線で破壊されると適切な細胞を作れないので、どんどん古い細胞が壊死していきます。 被災地の放射能の影響が少ないことを祈るばかりです。
人間を内側から破壊する放射線 2006年に発売された当時、誰がこの本を「今そこにある危機」として読んだか。選挙権を持って10年。さすがに自民に投票した事はないけれど、この本を読んで、「政府が!」と立腹する返す刀で自分にだって責任が降りかかる。10年。10年で私は何をした?原発を止めるために何かしたか?行動したか?声をあげたか?もう本を読んで成程、で止まる事は許されない。じわじわ足元が崩されている。今ここにある危機を感じている。
惨い…ひたすらに怖い…。進行速度、具体的な症状、関わった医療従事者たちの苦闘…あまりにも認識が甘かった。1999年東海村臨界事故、想像を絶する恐怖と混乱の中心で気丈に振る舞う、その僅かなやり取りからでも、この方が良き夫であり良き父だったことが伝わる。…それでも…生かす為の手段が、終わりの知れない苦痛が、やがて心の在り様までも変えてしまう。…こんな綱渡りのようなやり方で、この国の経済は成り立っているんだろうか…。疑うこともせず、それを享受してきた自分は、加害者なんだろうか被害者なんだろうか…。
今だからこそ、読んでみた。放射能が遺伝子を破壊する。すべての細胞が再生されなくなる。その結果の凄まじさ。これが原子力の現実なんですね。あり得ない事故だというけどやってしまうのが人間。これほど危険なものを管理できると思うのは人間のおごりではないか、と思いました。
1999年に起こった東海村臨界事故。この事故で被爆した大内さんの83日間に渡る壮絶な闘病の記録。原発の安全性が問われている今、これを読むと被爆とはどういう事なのかを思い知らされる。潤沢なエネルギーよりも、命の方が大切なはず。どうしようもなく朽ちてしまった命。深く考えさせられる本です。
放送当時のインパクトは未だに脳裏にくっきりと。番組開始まもなくの時点で見せつけられた、丸いフレームの中に素人目にもあからさまにズタズタ状態の染色体写真。救われない末路を考えまいと、助かる可能性、回復の兆しにことさら執心する当事者。急変後に意識もなくただ潰えていく身体を世話し、世話し、世話し・・・深いPTSDをこうむる看護士。そして、これを想起する【安全を向上させると効率が低下する/安全を低下させると効率がアップする『次世代に伝えたい原子力重大事件&エピソード』飯高季雄】
朽ちていった命―被曝治療83日間の記録の
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