まぶた (新潮文庫)
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まぶたの感想・レビュー(555)
初読み作家さん。言葉の選び方や文章の紡ぎ方がとても女性的だな、と思いました。どの話も完全な終わり方でなく、それが却って想像力を掻き立てる。目を閉じれなくなったハムスターや髪の毛の生えた卵巣など、想像しながらちょっとゾッとしてしまった。短編ながらに読ませる作品ばかり、何とも不思議な読後感でした。
小川作品は、小さな重りをひとつピンセットで摘んで載せるだけで、少し傾いでしまう怖さが潜んでいる。どの話も主人公の閉じたまぶたに残像が現れる様な場面や印象が在る。読者だって、ほら…カレンダーの丸、ハムスター、ガラス瓶が並ぶ棚、双子。これは、文章のサブミナル効果だ…
すっきりとした景色や色々なものが見えている状態と、何もかもが見えない真っ暗な状態を隔てているのは、「まぶた」というたった薄皮一枚の物質であり、そういう短編集。まあ、要はいつもの小川洋子なのであります。安定。中年男の家の風呂場で15歳の少女が学校の購買部で買った水着(お尻のところがすりきれている)を着てシャワーを浴びる場面がフェティッシュで妙に印象に残った表題作、背泳ぎの選手だった弟の腕が固まってしまうお話である「バックストローク」、あまりにグロテスクな小道具が不気味な「詩人の卵巣」が好みでした。
初めて小川洋子さんの作品を読みましたが…他の作品から読むべきだったのかも?どの物語も後味が苦くて、胃がずっしりする感じでした。
8つのお話すべて不気味というかゾクゾクッと何か不吉なことが、、ばかりだった。小川さんが実際ナチス.ドイツの強制収容所に行ったのだろうと思われた。
再読です。静かで奇妙なお話たち。物語の空気に絡まれて読後は突き放されて、独特な雰囲気でした。今回は、不眠症気味なわたしには「詩人の卵巣」が心に残りました。
現実と非現実なものが混ざり合って、どこか不安定でどうしようもない気持ちにさせられる。ぽっかりと穴があいてしまったような。静かでサラサラと流れるような文章の中に、結構キツめでヒヤリとする単語や描写がある。これがまたじわじわくるんだなぁ。生と死、現実と非現実…その境界にまぶたがある。あ、あと表題作の『まぶた』を読んでいて『ホテル・アイリス』が浮かんだ。どっちが先なんだろう。気になる、また読もう。
今まで有川さんの作品しか読んだことがなかったので最初は読みにくさと入り込みにくさに戸惑いました。しかし読んでいくうちに取り込まれていき最後の最後であれ?っとさせられる。最初はもやもやするんですがそれがだんだん気持ちが変わってくる。「匂いの収集」が一番印象に残りました。薬指の標本も読んでみようかな。
静かな語り口で話が進んでいくのだけれど、少しずつ少しずつ現実からそれていく感覚がとても不安感を煽った。本当に微妙な違いが積み重なることで、気がついたときにはもう‘あれっ’という感じになってつかみ所のない不安に襲われる。心情描写が上手なので、そこに注目しすぎるとすぐ違う方向へ連れて行かれてしまうと思う。
いつもながらの静謐な文体だが、その静かな語り口がかえって恐怖心を増大させる。現実世界との違和感が妙に心をざわつかせる。ホラー小説でもなんでもないはずなのに。
諸読は2005年8月。単行本にて。眼科に行ったときに読んでいました(笑)小川節の効いた短編集でした。ところどころに小川が好きな小物や,小川が得意とする描写がありました。だんだん小川洋子の作風が,掴めて来たような気がしています。もちろん相変わらず“黴臭い”のですが…。小川さんのほかの作品を読んでから,この本を読んだほうが良いように思います。セルフカバー的な要素を感じる短編集です。(コメントに続く)
以下のツッコミがあります。 ・飛行機であったお婆さんの話→海老アレルギーはアテンダンスに前もって伝えておこう。 ・八百屋の婆さんにもらった種を育てたら光る野菜だった話→時節柄マズイから早く捨ててくれ。 ・料理教室の配管掃除の話→大爆笑。60年前のゴミを配管から出してくれる洗剤ってのが文系的でイイ。 ・詩人の子どもの家に行く話→旅行先で子どもに呼び込みされてついていくのは危険です。 不快感とかダークな雰囲気を醸し出すのには成功しています。この雰囲気は好きです。但し総じた印象は「旅と老人」まぶたは重くなった。
いつも感じる喪失感や禁欲的な部分だけでなく、不穏な薄気味悪さを強く感じる短編集だった。小川さんの短編はどれも個性的だが、コンパクトになりすぎてしまって残念。理解不能なように思えるところも文章量の問題だろう。感性を繊細に表現することが長けている作家さんなので、作品の良し悪しが文章のボリュームに左右され、短編になるとバランスを崩しやすいのではないか。でももっと追求すると、自分自身が流れるような文章を長時間味わいたいだけなのかもしれない。
ナイス! ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ -
コメント(6)
- 09/19
ハムスターとまぶた。詩人と卵巣。料理とハウスクリーニング。普段は決して繋がらないそれらの組み合わせが遺伝子構造のごとく連なり、それらが不気味さをこれでもかというくらい引き立てる。そんな短編集。
小川洋子さんの小説を読むたびに感じる、慎ましさが好きです。控えめで遠慮深い、それなのにとても存在感があって読者を魅了するのです。本書は8つの短編が収められています。特に好みだったのは「匂いの収集」と「詩人の卵巣」。前者は小川さんの紡ぎだす不気味さや官能的な描写にぞくぞくします。特に恋人の手から枇杷を食べるシーンが印象に残っています。後者は登場する物乞いの少年が得意げに微笑む様が目に浮かぶようで温かい気持ちになりました。
美しく、温かさを感じる狂気。初めての小川洋子さん作品でしたが美しい情景、少し狂った世界、狂っているのに優しさが漂っていて、読み心地が良かったです。好きな短編集でした。どの作品からも消毒薬の匂いが漂ってきそう
やっぱり小川洋子さんの表現力ってすごいなぁと思った一冊だった。ちょっとした一文、一文が味わい深く読めるのはいいなと思った。個人的には『料理教室』が何だか気に入った。
短編集。ちょっとした細かいところがうまく表現されていると思った。読んでいるときは特に思わなかったことが読後しばらくしてから思い出すところが多かった。さて、自分が誰かと文通するときはどの写真を選ぼうか。
小川さんの短編って丁寧な仕上がりで、活字が1つ1つ歯で噛めそうな感じがします。特に好きなのは『中国野菜の育て方』です。何故だか説明出来ないんですが、おばあさんが自転車で野菜を売りに来た場面が心に残って仕方がないのです。自転車をガタガタ揺さぶる風がリアルに想像出来るからでしょうか。小説って、場面をあんまり上手く想像出来てしまうと時としてゾクッとします…その効果で、この短編集は怖いのかも(^w^)
女性作家だけある。独特の非日常世界と、夢のような居心地。しかし面白かったといわれると首をかしげたい。よく言えば独特で女性的、悪く言えばスイーツ臭く余りに非現実。
「あっ」と思った時には、もう何かがズレている。文字ならではのうっすらとした不気味さ。『まぶた』は表題作なだけあって、まぶたの描写が異常なまでに繊細。 『バックストローク』の弟が愛しい。
華麗さを削ぎ落とし素朴な不気味さを追求した海外文学的味わいの短編集。実験室の様な部屋に住まい小瓶に匂いを収集し続ける女の話と不眠症の女が眠りの精を迎えに行く話に幻想を感じた。引換え、装画が少し残念で単行本からのスタイル変更が悔やまれる…筆者はSMに対して思い入れがあるのだろうか。そこここに散見する微妙に痛覚に訴えて来る描写に戸惑う。究極過ぎて愛を見出すのに一苦労。情緒が抑制された文体だった為かどうも機械的に見えてしまう。互いを利用し尽くす勢いの自慰的行為?了承し合った自己愛?よく分からないが。そんな印象。
どの風景もわたしの日常にもあるありふれたもののはずなのに、ほんの少し何かがおかしい。一歩踏み違えたら日常がこんな風に曲がってしまうかもしれないという恐さ。お料理教室で、配水管から出てきたにんじんを「まだ使える」となべにほりこむ場面がすごくこわかった。
「ホテルアイリス」の原型と思しき「まぶた」を筆頭に、粒揃いの短編集。彼女の手にかかると日常も薄皮一枚はがされて冷たい非日常になる。ゾクゾクするセンス。一方でラストの「リンデンバウム通りの双子」のような胸に迫る作品の力もある。
まぶたの
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感想・レビュー:125件
















































