ローマ人の物語〈35〉最後の努力〈上〉 (新潮文庫)
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ローマ人の物語〈35〉最後の努力〈上〉の感想・レビュー(212)
ディオクレティアヌスは真っ逆さまに落ちていく帝国を、再興させたという点では賢帝のひとりなのだろう。 あの持ち駒で、この結果は見事としか言いようがない。それをつぶさに検証している塩野さんの努力もすごいと思った。だがしかし帝国は…。
税制改革も軍の再編もすべての努力が崩壊へと繋がっていく…。逆に、ここまで帝国を維持してきた税制、軍政をアウグストゥスは何故作り上げることが出来たのだろうと思う。
だんだん『ローマ』でなくなりつつあるローマに対して最後の一押しをしてしまっている感じで悲しいかな、、、なまじ有能なディオクレティアヌスだけに本人が何を思っていたのか。。。
ローマ再建の為にディオクレティアヌスが選んだ四頭政は、安全保障の面ではうまく機能した。しかし、3世紀の危機を乗り切ったローマはそれ以前のローマとは別物になってしまった。
ディオクレティアヌス浴場(体育場、図書館、絵画館なども含む)が3千人を収容できるだけの大規模なものだったということに驚く。大浴場には幾多の造型美術品が飾られ、このテルマエを当時のローマ人は、「庶民の宮殿」と呼んでいたそうな。
時代がローマを拒んでいて、ディオクレティアヌスはそれに忠実に答えた、という印象です。いつからでしょう、セプティミウス・セヴェルス帝あたりからでしょうか。ローマの血がつまったのは。
他の通史を読んでいても感じたことですが、一千年、首都であり続けた永遠の都ローマが、首都の座から滑り落ちる様の、なんと呆気無いことか。やはりもう、私達が敬愛したローマ帝国は死んでいたのだ。そう思わざるを得ません。その死骸の上にディオクレティアヌスが創り上げたシステムは、単体として見れば大変良くできた面白いシステムであり、その計画力と実行力には感心してしまいますが、しかしそれが適用されたローマの姿はもはや「堂々たる覇権国家」ではありません。重税、価格統制、世襲制。典型的な「中世」の姿が眼の前にちらつきます。
あああ、どんどんローマがローマらしくなくなっていく・・・。ディオさんが頑張れば頑張るほど別のものへ!政治における税制の大切さを痛感するとともに現代が残念に。
皇帝ディオクレティアヌスによって、テトラルキア(四頭政)が始まる。これにより帝国領土内の安全保障は一応の改善が見られる。ただ、防衛戦略上の理由からとはいえ、掌握する軍事力が統治能力に直接的に影響する以上は、政治的な分裂は必至なのかなぁとも。
ディオクレティアヌスが行った改革はローマ帝国が持ち直したかの様に見えたけどローマらしらさを失ってく。
でも決断力ある力強い皇帝だとも感じる。退き際も良いし。
但し読みながらに思うけど自分がローマ市民だったら、カラカラ帝の時代辺りからローマ帝国には魅力は無いかな…キリスト教も広がってくし、これもローマらしさを失わさせる。
歴史は中世の入り口に。これだから歴史って面白い。
200ページしかない薄い文庫にもかかわらず、読むのに悪戦苦闘しました。ローマ人の物語は大好きなシリーズでしたが、いよいよローマが衰退していくので、なんだか読むのが苦痛になっています。ローマを再建しようと頑張るディオクレティアヌス帝・・・気持ちはわかりますが、空回りしているとしか思えません。余談ですが、4世紀初頭にディオクレティアヌスが建設した巨大な公共浴場の遺構の一部が使用されている国立テルメ美術館には、是非いつか行ってみたいものです。コミック「テルマエ・ロマエ」の影響ですね。
ナイス! ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ -
コメント(8)
- 10/18
あちこちガタがきて今にも決壊しそうな、広大な国家を大胆に改革し、キープしようとする皇帝ディオクレティアヌス。良かれと思って行ったことが裏目に出るようになって…結末を(一応は)知っているのに続きが楽しみ
「市民中の第一人者」としての皇帝から「絶対君主」としての皇帝へ。帝国が生きのびるための、かけがえのない「平和」を取り戻すための改革は、すべてをひっくり返す必要があったのだろう。なんと思い切った勇断か。そして実際に帝国は「平和」を取り戻すわけで。ディオクレティアヌスは賢帝ではあったのだろう。しかし、既にこの国をローマと呼ぶ事に抵抗を感じる。
今に置き換えると、社会の変化に対応することの難しさがあらためて浮き彫りになる。答えがわかるのが100年後だとしたら、今生きている自分の幸福を優先してしまうのが人間というもの。そのエゴを捨てさせるのに今の宗教が機能するのか。
ローマらしさがいかに古代では特殊だったのか、ディオクレティアヌスの行った国家改造を見ると逆によく判る。社会システムが効率化しているはずなのに社会そのものが硬直化しているというのは歴史の皮肉か。ただ、なるべくしてなったということは十分に理解できる。おそらくこれ以外の方法をとればローマが滅亡するしかなかったわけで。ただ、それは以前のローマとは全く違うローマになることでしか生きながらえられないのだけどねぇ。
次々と帝国内に侵入する蛮族。それに対応すべく絶対君主制に基づく二頭制そして四頭制への移行。それは単純に権限委譲だけの問題ではなく、軍事、税制にも大きな影響をもたらした。ここにきてローマらしさが失われていく姿がはかないです。
前作を読んでから随分間が空いてしまった。この時期のローマについては色々な見方があると思うけれども、少なくとも当事者たちがおかれた状況での最善を尽くしたということだけは確かだと思う。
ディオクレティアヌスの時代。今別の時代(高見)から見てるからこんなにがんばったのにねぇ。とこの皇帝をねぎらえるけど、実際この時代に生きていたら、職業選択の自由は奪われるわ、税金は増えるわ、でキライだったろうなぁ
皇帝が近年の日本の首相のようにコロコロ変わって政策が一貫せず、蛮族に荒らし回られた混迷の3世紀を経て帝位についたディオクレティアヌスにとって、取るべき道は四頭政しかなかったのだろう。それを200年足らずで滅亡することを知る我々がもっとこうすれば良かったのにと言っても詮無きこと。
久しぶりの「ローマ人〜」。3世紀末、ディオクレティアヌス帝による帝国の再編成。僕のように前皇帝の名前も思い出せないようなできの悪い読者でも、塩野さんはあたたかく迎えてくれる。必要に応じて過去を振り返って丁寧に解説してくれるので、すぐに物語世界に戻ることができる。またその解説も効果的。例えばディオクレティアヌス帝の税制改革をとっても、アウグストゥスの業績を振り返り比較することで、アウグストゥス税制の偉大さとディオクレティアヌス改革の抜本さの両方が手に取るように理解できる。
キリスト教を迫害したとして知られるディオクレティアヌスの章だが、どうも迫害というのは語弊がありそうだ。 そして必要に迫られていたとはいえ、頭を4つにして帝国防衛を行った。 そしてこの出来事が様々な弊害を呼び、帝国崩壊を加速させていく。
ディオクレティアヌス帝が敷いた四頭政は一見上手い方法だったかもしれないが、事実上の戦国時代の始まりと言えるのではないか。
一旦縄張りを線引きしてしまうと、人は協力よりも争いあうものなのか。
ローマ人の物語〈35〉最後の努力〈上〉の
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