ローマ人の物語〈17〉悪名高き皇帝たち(1) (新潮文庫)
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ローマ人の物語〈17〉悪名高き皇帝たち 1巻の感想・レビュー(246)
「ティベリウスに欠けていたのは、ユーモアの才能であった」聖書の時代背景を知りたくて読んでいる…つもりが、ローマそのものに興味を掻き立てられています。個人的にはこのシリーズは4冊目なのですが、ようやく塩野氏の文章がすんなり読めるようになってきました。塩野氏の、二重否定を多用したややシニカルな書き方は、いわゆる「英雄」よりティベリウスのような人物にこそよく生きると思いました。
ティベリウス即位からカプリ島隠遁直前まで。ティベリウス、周囲に理解されなさ過ぎて気の毒だ。アグリッピーナは先帝アウグストゥスの孫だが、先帝の忠臣アグリッパの娘でもあるのに、そうは思えない高慢さ。何だか全部、アウグストゥスが原因の気がする。夫所有。
他者との距離を保ち続けることにより帝政ローマを盤石にしたティベリウス。初代皇帝アウグストゥスの基本方針を『手直し』する【印象深い箇所】メンテナンスならば誰がやっても同じ、といえるわけではない。どこをどう手直しすれば、システムを保持しつつその機能性も維持できるかを理解できる能力と、それを実行できる決断力が必要だ。この面でのティベリウスは、事実上は、カエサルからはじまったローマ帝政の三番手を務めるに、まことに適した人材であった。…地味で見返り(喝采)の少ない仕事を着実にやり遂げるティベリウスけっこう好きです。
2代皇帝ティベリウスの巻。厳格で人の力を客観的に見る目もある、強い人だが、ユーモアのなさが苦労人に追い込んでしまっているような、、、天が二物を与えるような天才は滅多に出ない、ということだろうけど、皇帝も大変やねえ。
★★ ティベリウスがますます好きになりました。どこが悪いのかさっぱりわからない。でも、今の時代だとしても人気はないだろうなというのはわかります。大衆は無責任なものだし、人気=良い政治家ではありませんものね。
先帝の血を継承していないからなのか、ローマの名門出身者の矜持なのか。真面目過ぎるほどに帝国の安定を築こうとするティベリウスの孤独が哀しい。それにしてもアグリッピーナ。愚かな女だ。
アグリッピーナがうっとおしいのだが、こういう女が身内にいるというのは、皇帝でもなんでも、避けて通れないのだなぁと思う。アウグストゥスの娘ユリアもそうだったな。ヴィプサーニア一途のティベリウス、ほかの男と再婚したあとは、二度と会わなかったというのは泣かせる話じゃあないか。
自身の立場を理解しているところではアウグストゥスと同じですが、アウグストゥスほどの時間も彼にはなく、巧みな情報操作と時間の経過による欺きはできなかった。彼は真面目に偽りなくその職を全うしましたが、どうやら誠実であればあるほど、その態度表に出てしまえばしまうほど、ネガティブな印象がつくようです。
賢明で誠実、平和の維持に力を尽くし、無駄を省き、公平を期し、私情を挟まない。まさに施政者の鑑と思える彼ですら、当時与えられた評価は名君とは程遠いものだった。大帝国の皇帝たることの難しさをつくづく感じます。歴史にifはないと言いますが、もし彼に、何でも相談できる右腕が一人でもいたら。もし彼に、家庭の平穏と安心が与えられていたら。もし彼が、ヴィプサーニアを愛し続けることを許されていたら。正当な評価を受けることもできていたのではないか。「皇帝ティベリウスは不運の星のもとに生まれた」という言葉を思い出しました。
二代目皇帝ティベリウス。真面目で実直な印象を受けた。アウグストゥスの後がこの人物だったからこそ、帝政というシステムが確実なものになっていったのだろう。
カエサル“革命”アウグストゥス“政治”ティベリウス“法の番人”という印象。しかし、ケルトの信仰はこの頃から滅びかけていたのね……文献が少ないわけだ。
ここまで、ティベリウスが一番の苦労人、という感じがする。カエサルを殺してしまった程の帝政アレルギーだった元老院が、大事な事となると「ティベリウスに一任」とか言うのはどうかと思った。
先入観では暴君だったんだけど、この本を読んでイメージ一変。ひたすらストイック。この人の性格は「後世の評価こそ自らの神殿だ」という言葉に表れている気がする。なかなかいえないよな。しかしそんなティベリウスだからこそ家庭はさもありなんなのかしら。いいところで引き。次が気になる。
⑧2代目ティベリウス、クソまじめに愚直に仕事をする男。民衆にこびずに、よく統治した。でもローマから遠くに引きこもって手紙で統治って、そんなのアリかよ。人嫌いにもほどがある。そりゃあ人気が出るわけない。顔をみせない統治者ってすごく驚きだよな。人としてダメっぽいのに、統治への情熱はある、不思議な人だ。
世間の評判はイマイチだとしても、構築された帝政のシステムを地道にメンテナンスし続けたティベリウス。創造は華やかだが、メンテナンスはそうもいかない。評価されにくい仕事だが、誰かが請け負わなければいけない仕事も確かにあるよなぁと思った。
再読。ティベリウスの治世開始からカプリ隠遁直前まで。歴代皇帝の中でも2番目に好きな彼だが、知れば知るほど、自分をごまかすことの下手な人だったのだという思いが拭えない。アウグストゥスやカエサルならばうまく立ち回っただろう場面も、ティベリウスは正面から立ち向かう。もっと柔軟に生きていれば、あるいは人間性というものに、自分と同じくらいの良識を期待しなければ、彼の統治はもう少し楽なものになったのかもしれない。しかし、誇り高く孤高で融通がきかないけれど、間違いなく有能であった彼を、私は好ましく思う。
居ても立ってもいられず、国立西洋美術館「古代ローマ帝国の遺産」を見てきた。文庫版の表紙にもなっている金貨の実物があり感動。しかも昨日読んだポンペイの本にも載っていたフレスコ画「庭園の風景」も! のどかな絵画は、まさにパクス・ロマーナでした。で、この巻のティベリウス、孤独な男という感じで好きです。
皇帝ティベリウスがしたのはアウグストゥスの路線を確固たるものにすることだった。よし、それはいい。だけど、必要なことをするだけでは駄目なのだなあと痛感させられる。統治者の目からして必要なことでも、所詮庶民には分からないし、ティベリウスはそれを少しでも伝えると言うことをしなかったという宣伝の拙さがあった。そしてここにも、血の継承問題が関わってくる。彼はそれにも対応をしなければいけなかった。先代皇帝の血を引くことを誇りにするアグリッピーナに対して放たれた言葉には同感である。
ティベリウスは、前任者たちから引き継いだ仕事をどう形にすればいいのか見えていた人物だと思います。だからこそ可哀想に思える部分も。宗教に関して「信ずることは自由だか、信じていない人々まで巻きこむのを嫌った」には共感。
ティベリウスに対してかなり好意的に書かれているが、本当に客観的に書かれているかやや疑問があるような気がする。どこ、とは言えない、よく分からないが何かひっかかるものがある。一個の小説として読んだ場合はとても面白かった。
ローマ人の物語〈17〉悪名高き皇帝たち 1巻の
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