チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷 (新潮文庫)
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チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷の感想・レビュー(384)
父に薦められて読みました。他作品に本著者の男性的な合理性を讃える解説が寄せられていましたが、成る程と感嘆。現代とは比べ物にならない激動の情勢を緻密に整然と描く潔さに、覇者チェーザレへの女性らしい憧憬や愛情が織り交ぜられ、何とも濃厚な一冊。政治に興味を抱かせられたのは初めてかも。
才覚はあったと思うけど、親の七光りとえこひいきで野望を遂げようとした人ってイメージがついてしまった。女性作家(漫画家)がよく彼を美しく描写してとりあげるけれど、そんなに素敵に感じない…作中で「イタリア人」と小国に分れたイタリアの民をひとくくりで呼んだくだりはドラマ龍馬伝で坂本龍馬が「日本人」とひとくくりにしたのと似ていたけれど、争いと流血を好んだ時点で後者とは隔たりを感じる。運が悪かった部分は気の毒だけどあんまり好きになれない人でした。塩野さんの文体は虚実が混ざっていて不思議な味わい。
君主論のモデルになった男の話。イタリア統一という野望を掲げ、そのために教会の威光をも利用して、合理主義に徹する姿は時代的にも織田信長を彷彿とさせる。法王死後の転落ぶりは驚くほどだが、ひどく刺激的で印象的な人物。
坂道を転がり落ちるように失墜していくチェーザレを見るのは辛かった。 志半ばで若い命が消えゆくのは悲しいが、高い理想を追い求める姿は怜悧な部分もあるが理解できる。 歴史上の人物で心に焼き付いて離れない人物の1人です。
再々読。なかなか評価されない人物だが、高い理想を持ち続け、それに向かって走り続けていたことは、彼を評価していたのがマキャベリでありダ・ヴィンチであることからも明白。小説という枠組みを出て、しっかりとした歴史認識の下に描かれる塩野さんならでは作品だな、と思う。図書館で2度ほど借りて読んだが、やはり手元に置いておきたいと思い購入。繰り返し読みたい1冊。
君主論のモデルの人物の物語。人間は権威や集団心理など、本来実質的とは言えない力にこうも左右されるものか。たしかに同様のことは歴史上繰り返され、自分の身の回りの小さな社会にもいくらでも例はある。主人公は人並み外れた才能の持ち主だが、人間の心理を利用したのであって、その行動が賞賛されるものであるか否かは、成果とは一致しないように思う。マキャベリの言で「チェーザレは、使命感などという、弱者にとっての武器、というより寄りどころを必要としない男だった。」とある。実質的なものではないがこれこそを「力」というのだろう。
「使命感とは弱者にとっての武器」。ただ野望のみが彼を行動の人とさせる。「善悪の彼岸を行く壮大な政治」は究極民衆を救うことにつながっている。どこやらの国の政治は「方策」を生み出せず民衆はいろんな面で不幸に陥っていくのみである。価値観・善悪等身の回りのちいっちゃい個人的なことにとらわれていては淀んだ世界は人間の力では動かせないということか・・・。しかし頻繁な「血」の場面・非道なエピソード等読んでいて疲れました。「死」に対する美学などないようで陰惨。どこが「優雅」なんだろう・・・?
31歳!! そんな若くして亡くなっていたなんて…法王の息子という背景があったとはいえ、本当に短期間で栄光の階段を昇り詰めていたんだなぁ。権謀術数の限りを尽くしてるイメージがありましたが、既存の価値概念に重きを置かず、「イタリア統一」という当時誰も想像しなかったビジョンに邁進する姿に、どこか信長のイメージを重ねて読んでいました。法王の急死による転落は呆気ない程でしたが、失脚後も忠誠を誓う部下や都市が多かったとの事で、決して恐怖だけで支配していた訳では無かったようです。危険だけど魅力的な人物だったんだろうな。
ナイス! ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ -
コメント(1)
- 05/29
マキアヴェッリがいなければ、後世に伝わらなかったかもしれないチェーザレの非凡性、特に彼の優雅なる冷酷は刺激的だった。英雄の資質を持つものでも、運命に裏切られることがあるということを教えてくれた貴重な史実。マキアヴェッリにしろチェーザレにしろ、「ニヒリズムにつながるリアリズムを極限のところで保っている」点は、ニヒリズムに浸かりかけている我々にとって大事な教訓となる。
チェーザレ・ボルジア、ニッコロ・マキアヴェッリ、レオナルド・ダ・ヴィンチが同じ時代を生きただけでなく、関係しあっていたというのは素晴らしい幸運だと思う。それだけに、チェーザレ・ボルジアの評価/知名度が他の二人と比べて圧倒的に低いのが残念だ。その活動が完成する前に世を去ったことと、そもそも君主が後の世に形を持ったものを残すことがないということからだろう。
なんという人生。まさに前進していく男。男も惚れる男だと思う。もし運命に見放されなかったらどこまでいったのだろうとわくわくする。
時代の寵児、なんやろうけど、やはりこの人もキリスト教世界では羊なのね。羊飼いさえ利用しようとしてはいるけど。
カエサルほどの器量までは持てず、されどカエサルより困難な時代に生きた男。やはりルネサンス期でなければ出なかった。イタリア統一はまだ三世紀半先の未来になる。
枢機卿の衣を脱いだチェーザレの野望は自らの王国創立。副題の『優雅なる冷酷』によって次々と敵を排除していく様は不謹慎ながら爽快だ。ただ君主論にあるように「彼は活動の絶頂で運命から見放されてしまう」
何度か目の再読。初読で、塩野さんのチェーザレに魅せられてしまい、何度も読んでしまいます。本を閉じても、なお彼の操る馬の蹄の音が耳に残っています。
彼は優雅にも冷酷にも1つの野望を追い続けた。それには反逆する者も多くいた。しかし法王、ミケロット、レオナルドらをはじめ彼に魅力を感じた者も多かった。そしてもちろん彼がいなければ歴史書ではなくてただの物語になってしまうだろうマキアヴェッリの存在に感謝したい。チェーザレ、残酷や冷酷などと非難されようと気にせず最後まで諦めなかった君にはあついものを感じたよ。そして私は最後まで諦めずにこの本を読んだことを自負したい。
「ローマ人の物語」などの塩野さんの後の本に比べると文章がやや硬くてきっちりしている感じ。個人的にはチェーザレの凄さよりも、どうしてもカエサルと比較してしまって見劣りを感じてしまうかな
ただ圧倒されるチェーザレという男の生涯。ローマ法王を父に持ちイタリア統一という野望を追い続けた男は、盤上のチェスのように怜悧に戦いと計略の一手をさす。その駒の一つはマキャベリであり、レオナルド・ダヴィンチであり、「互いの才能を通じて自分自身の理想を実現するという冷厳な目的のみが存在するだけである。保護や援助などに比べてどれほど誠実で美しいことか」とある通り、万事においてチェーザレは使命感などという弱者の武器を必要としなかった。長生きは出来んなと思いつつ憧れる。周囲の思惑に惑わされた現代の若者よ、野望を抱け
小説といった体ではない、出来事に関する記述が積み重ねられてゆく、チェーザレのセリフも少ない。だが、野望に燃えるチェーザレのイメージがまざまざと伝わってくる。すごく引き込まれる。マキャヴェリの「君主論」…それはチェーザレだったのかという余韻が残る
チェーザレさまの命日に読み返しました。彼について知れば知るほど、畏敬の念を抱かずにいられない。萌えを超えた萌えがあるのです…!
レオナルド・ダ・ヴィンチが思考の天才であるならば、チェーザレ・ボルジアは行動の天才。寡黙であったが、常に行動していた。その先に見ていたものはイタリアという概念。淡々とその半生を描く塩野さんの筆致が冴え渡る。
惣領冬実の『チェーザレ』の影響で読んでみた。ルネサンス期のイタリアを統一すべく戦乱を巻き起こした、チェーザレ・ボルジアの生涯を描いた小説。マキアヴェッリの『君主論』では理想の統治者として挙げられている。彼を襲った不幸のタイミングがもう少しズレていれば、イタリアの歴史は大きく塗り替えられていたと思う。
壮絶という言葉がふさわしすぎる人生…反して心理描写は皆無に近いので逆にいろいろと思いをはせてしまう。それにしても当時のイタリア情勢は複雑すぎる。難解パズルのような駆け引きにハラハラさせられました
惣領冬実のチェーザレを読んで興味を持ったので読んでみた。淡々と事実を重ねていく文章に好感。なんという濃い一生を送ったのだろう。法王が倒れた時点で本人が元気だったら、まったく異なる歴史だったろうな。
当時の教会が作った時代のパラダイムの中で、合理主義に徹し、自身の野望を実現しようとするチェーザレの生き方は、どこか織田信長と重なるような気がしました。惜しくも運とタイミングに見放されはしたが、時代をつくる人の心を見た気がしました。
読み終わった後に残るのは何とも言えない寂しさ。一時の華やかさを知るからこそ、その最期との落差が悲しい。法王が倒れた時に本人もまた動けない状態にあったのがその後を決定してしまったのか・・。かなり興味深い人物でした。
チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷の
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感想・レビュー:80件















































