赤ひげ診療譚 (新潮文庫)
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赤ひげ診療譚の感想・レビュー(196)
時代が変わっても、医療が抱える問題は変わっていない。高度な医療を提供することのみが名医でもなければ医療でもない。“人間の一生で、臨終ほど荘厳なものはない”と新出去定は生から死まで患者に寄り添う。生あるものは必ず死を迎える。医療技術の進歩により恩恵を受ける一方で“安らかな死”が失われつつある。生はもとより死もまた患者の意思なくしてはならないが、医療の限界と患者の意思の尊重、この選択は永遠に困難をきわめる。
山本周五郎二作目。保本登がだんだんと赤髭の強さを身につけていく。山本周五郎の描く人物は芯の強さがあって、幾許かの人生哲学もすんなりと身に染みてくる。
時代物繋がり。連作短篇集。江戸時代の「神様のカルテ」を想像していたが、もっと重い、というか、淡々として乾いた雰囲気。患者が無知で愚かで貧乏で不潔で不憫。これを赤ひげ先生が医は仁術じゃと言いながらバッタバッタと治してゆくかと思いきや、あまり満足に治してないw 初編なんかホラーかと思ったw 書かれた時代のせいか、感動が直接的でなく、回りくどい、ではなくw奥ゆかしい。結局は主人公である弟子の成長物語なのだが、赤ひげ先生は間違いなく、人格者でこの時代としては珍しい人情家。プラス腕力と権力を持っているスーパーマン。
面白すぎて、大好きすぎて、読み終わるのがもったいない!!!って心底残念に思った!黒沢監督の映画も素晴らしいし、原作も、さいっこーーー!!!
医術では人の生命を助ける事はできないといいながらも、どんな患者だろうが見捨てないところに、赤ひげのかっこよさを感じたし発する言葉には一つ、一つ重みが感じられた。
また、登のものの見方や考え方が変わっていくさまが描かれていて良かったです。
ほのぼのとした微笑ましい人情ものかと想像していたら、もっと厳しい世界で、ゆがめられながらも一生懸命生きる人々ばかりで、衝撃だった。その中でも主人公が目的と幸せを得ることができたのが大きな救いだった。赤ひげは少し理想的すぎるきらいがあって、偶像的だと感じるところもあったが、最も魅力的な人物でもっと続きを読みたかった。
知識があるとは幸運だ、しかし活用しなければそれは無用の長物である。「赤ひげ診療譚」は最近出回る医療系感動物語とは違う。主人公の医者は無知がもたらす悲劇を目の当たりにし激しく憤る。知識さえあれば防げる病に子供ら貧乏人らは苦しんでいる。医者は医学は無力だと嘆ながらも僅かな希望を目指して、事件は一つまた一つと終わる。一話完結で、解説にあるとおり、綿密なプロットをもとに作られてはいない。そのため中にはやや肩透かしを食らう部分もある。だが文に込めた作者の並々ならぬ思いが、頁をめくる手を休めようとさせない。名作。
恥ずかしながら、内容を全く知らず、人情医術ものかと思っていたら、新出先生にガツンとやられてしまった。新出先生はごつごつとした巨木のような印象。粗野で武骨、常に何かに怒りを覚えているが、「罪を知った」先生は決して人を裁かない。随所に含蓄のある言葉があり、上っ面の感情で判断してはいかんぞと叱られた気がした。映画……観てみるかな。
読んで良かったです。主人公の保本が成長していく様もさることながら、主人公と赤髯先生だけでなく出てくる人皆がそれぞれ個性を持っているのがすごい。赤髯先生の精神は見習いたいですね。舞台は江戸ですが現代に通じる部分が結構あって、政治家さん助けて下さいって言いたくなりました。
推理小説や成長小説の風味もある良質な人情小説だった。貧困と無知をどうしようもないものと認め、一人の力じゃ変えられないとは分かっていても、それを変革すべく奮闘する赤ひげと登の姿に心打たれた。キャラ造形も一人一人に別個の味があって良い。
江戸時代、医師赤ひげと若い医師が貧困層の治療に関わる中で様々な人間模様の表裏を見ていきます。患者の内面を理解しようと努める医者ほど有難く救いの神様です。
医者というのは万能薬ではなく病める人の苦しみを和らげてあげることにあると思う。いかに患者と向き合い心を通わすのか。そういった医者として大切な在り方を赤ひげは教えてくれる。最後は赤ひげの魂を受けた登が爽やかでよい。
頭が異常に回らなくて、読んでも読んでも翌日になるとその半分以上を忘れ、また同じページを読み直すというのを延々と続け、やっと読み終えた。内容が難しいわけではない。私の頭がパーなだけ。認知症になったのだろうか…。そのパーの頭でも、「鶯ばか」なんて凄く共感できたいい作品だった。
割りに単純な人たち。まさをのよさはわかったけど、ちぐさを貶めることはないじゃないか…。医療小説というか、道徳小説だとおもった。医者としてどうの前に人としての話だと読んだ。
山本周五郎の視点は、限りなく広く、そして優しい。弱者を責めず、かばい、救いたいと願う去定の心は崇高で、自分自身を振り返るきっかけになった。医師のあるべき姿はもちろん、人間のあるべき姿をつくづく考えさせられる。何度も読み返したい。
山本周五郎という人間の瞋りを感じる。それは医学の分野だけではなく社会の広範に渡って(行政など)の不正に対する瞋りでもあり、目には見えないものに対しての瞋りだ。話は飛ぶが登が社会に出たてのころの自分を見ているようでなんだかとても恥ずかしい気分になった。
やはり打ちのめされる。小説とはいえ、ここまで患者の内面を共有できてこそ医師なり。それゆえその役目は重い。最近このような医療が遠のいている。時代だから仕方ないという向きもあろうが今のままの体制では医療の将来は危うい。現在の政治家・官僚たちには自分が病に直面して放置されないとわからないだろう。しかし、”だが、彼らもまた人間だ”。この言葉は重すぎる。
先日読んだ灼恋と比較すると、落ち着いて読めた。灼恋はどこか緊張し何か心持が悪いなと感じるところがあるが、周五郎は馴染みの客が来たという感じ。年をとったせいか。しかし、鶯ばかは泣かせるなー。
この時代に生まれ、飢えることもなく、病気になれば医者にかかって薬をもらう…これがいかにありがたいことかを思い知らされた。「この世に生きていて、この眼で、人が仕合せになるのを見るということがいかに稀であるか―」という半太夫のセリフは重かった。◇見た眼に効果のあらわれることより、徒労とみられることを重ねてゆくところに、人間の希望が実るのではないか。
赤ひげとよばれる新出と若い保本との医療の魂の伝授がしっかりと描かれている。権力に虐げられる庶民を救おうとあがく新出の姿はとても感動的で、それを若い保本の目を通して読者は共感させられる。
構成がおもしろくて、読みやすかった。熱い人情と幕閣政治の矛盾に対する怒り、でも冷静な判断力を持ち合わせた赤髭は、人間味にありふれていて、絶対愛すべきキャラクターだ。
赤ひげ診療譚の
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