落日燃ゆ (新潮文庫)
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落日燃ゆの感想・レビュー(318)
自ら計らわぬ、という態度で、A級戦犯として死刑を受け入れていく広田弘毅の姿があまりに痛々しく、悲しい。もちろん上に立つ以上、責任は必ず伴う。だけど時代の流れなど個人の力ではどうにもできない事態によって、抜き差しならない立場に追いやられる事実に、人の運命について、考えざるを得なくなる。
非常に勉強になった。広田の生き方・信念に関しては感銘を受けた。戦争責任については色々な意見があると思うが、歴史の見方の一つとして大変参考になった。小説として名著だと思う。
広田弘毅を視点に描かれた歴史小説。
これまで、「永遠の0」や映画「山本五十六」などで得られた知識が戦争に対する知識だった。
この本を読んで、広田弘毅という外交官の立場から、戦争の経過、終戦に至るまでの模様を知り、また一つ歴史を学ぶことができた。
全てが真実がどうかはよく吟味しなければいけないし、広田弘毅の責任について意見は言わないが、この本はこれからも読み継がれていくべきだと思う。
東京裁判で、文官で唯一死刑判決となった広田弘毅。小説であるため史実として捉えることには注意が必要だと思うが、決して広田に肩入れしたり感情的に述べることなく、客観的で冷静な視点から描かれていると思う。日本が戦争へと向かう流れの中、それを何とか食い止めよう、回避しようとした人々の努力と、それに水を差し暴走する軍部。政府や軍部それぞれの立場や様々な政治家・軍人個人の考え方も詳しく書かれていてもっと勉強しようと思った。
戦争に突っ走っていったあの時代に広田さんの地道で懸命な平和工作があったことを初めて知った。自ら計らわぬ、という生き方は謙虚で好感が持てる。それゆえに首相へと何度も指名を受け、赴任先の異国で信頼を得ることができたのだと思うが、広田さんの能力、識見を考えるともっと活躍してもおかしくないはずである。時代の風潮に乗った目先の利益しか考えられないやつには国を任せておけないと広田さんが言っているが、そんな軍人が最後は政治をやり、国を破滅へと導いた。広田さんなら戦後において特に活躍したであろうと思うとなかなかやるせなく
既読者も多いと思うが名著。昨年読んだが再読。男子必読の一冊。
『物来順応』これまで単なる戦争犯罪人としてしか見ていなかった広田弘毅の自ら計らわぬというこの生き方、そして生涯を通した彼の国の為の努力に大きな感銘を受けた。
気骨ある広田の生き方に感銘をうけた。志那事変、日米開戦の裏に、様々な人々の思惑や策動がからみあっていたことも勉強になった。昔歴史の授業で習ったことが、生き生きと血の通ったものとして眼前に展開されているような気になった。また今の時代もこの頃に似たところがある。近隣諸国や米国との外交を大切にして、決して広田のように時代に踏みにじられる人を出してはならない。それに本書では軍部のエスカレートが原因のように書かれているが、それを後押ししたのは民衆。愚民にならないためにはどうすればよいか、熟考したい。
なんて美しい腰骨を持つ男なんだ!骨盤に歪みが生じると身体のバランスが崩れ凝りや痛みを生じるらしい。腰骨を精神的支柱に例えても同じ事が言えると思うのだ。東京裁判で戦争責任を問われ文官でただ一人処刑された広田弘毅元首相。軍部が暴走する中、協和外交の道を必死で模索し続けたにもかかわらず一言も自己弁護することなく死の判決を受け入れる。彼は言う。戦争に対して何も責任がなかったとは言えない。私が話すと誰かを落とすことになる。『自ら計らわず』彼は政治家と言うより武士だ!志、行動、責任、凛とした歪みなき心根に感動した。あ
10数年ぶりに再読。戦争に反対した広田が戦争を推し進めた人と同じく処罰されるという、東京裁判の理不尽を改めて感じた。日本人必読。
東京裁判にて絞首刑を言い渡された、文官、広田弘毅。自ら計らわず ただの背広を来た男だった広田の生き方、平和への想いに感銘を受けた反面、指導者として、外交官としてそのスタンスがこそ、軍部へも、諸外国へも強い行動が示せず、日中戦争へ至ったのではと思わずにもいられなかった。
東京裁判で唯一人文民として絞首刑に処せられた広田弘毅の伝記。「外交の相手は日本の軍部」という言葉が印象的だった。昭和史は視点によって捉えられ方が様々なので、多数の視点から知りたくなった。
「自ら計らわず」の信念や軸がぶれない生き方に感銘を受けた。日々自分に弱い生活を送る私には堪えたが、背筋をシャキっとさせて前向きな気持ちになる読後感が心地好い。
東京裁判で唯一の文民A級戦犯として絞首刑に処せられた広田弘毅の伝記小説。徐々に統制を失っていく軍部と、外交ルートにより開戦を阻止しようと奔走する広田の姿が丹念に描かれる。東京裁判は戦勝国による懲罰的意味合いが強く、審議や判決の公正さを問うことは無意味と思うが、沈黙を守り通した広田の姿勢をどう評価すべきなのか。日本人として「黙して語らず」の美徳は理解できるものの、責任の所在を明らかにするためにも、証言台に立つべきだったという解釈も成り立つような・・・。別の角度から書かれたものも読んでみたいと思った。
圧倒的な史実の検証と、人物像の紐解きは城山作品に共通した魅力。この一冊も、非常に読み応えがあり、戦前の緊迫感と戦後の不条理を「外交官 広田弘毅」という人物を通して見事に描いている。また緊張感がありながらも、1人の外交官として、1人の人間として家族とのやり取りなどの描写を織り交ぜて魅力的に描き出されている。
軍部が台頭すると本当に手に負えないと思った。このあたりの歴史に関しては様々な意見を持っている方が多いし、互いに対立しておられるけれど、しっかりとした検証が必要だと思う。広田を始めとした平和主義寄りの方々に対して美化しすぎとも思える部分も多いが、抑制の利いた文章で読ませる良書。城山三郎氏の本は初めて読んだが、自分が生まれる前に書かれたとは思えない、年月を感じさせない文章でした。東京裁判についての本も読みたいな。
スケープゴート的に文官として絞首刑となった広田。その人柄・信条・行動を”抑えた文体”で綴る本書は、実に感動的。歴史的事実(などというものがそもそも有るかどうかは別として)か否かはさておき、彼は厳密な意味で政治家にはなりきれなかったのだと思う。
別宮暖朗『誰が太平洋戦争を始めたのか』や猪瀬直樹『昭和16年夏の敗戦』(そして映画『東京裁判』)を思い出しながら読んだ。そういえば加藤陽子『戦争の日本近現代史』もこの2冊の間に読んだのに、あまり印象に残ってないらしい、私…広田弘毅を主人公にしていて、彼を美化しているというか善人に描きすぎてるきらいはあるものの、そして昭和四十九年刊行と少し古いものの、『誰が~』や『昭和16年~』よりも読ませる文章だった http://booklog.jp/users/maggiems/archives/4101133182
ナショナリズムという高邁な正義感は本当に始末におえないものである。文官としてずっと関東軍の火消しに回っていた広田元首相がA級戦犯として絞首刑となるその直前彼一人万歳ではなくまんざいと言ったという。万歳といいつつ何人の人の命が消えたのか。経済が停滞している昨今と同様あの頃の日本も広田の平和への度重なる交渉をぐずと吐き捨てられた。苦しいとき、カリスマ的ヒーローを求めたがるが急激な変化は混乱しか招かないという事を学ぶべきだと思う。
広田さんについては、絞首刑されたただ1人の文官。としてしか知らなかったので、今回新たに知ることばかりだったのが恥ずかしい。あの時代、粘り強く和平に向けて、軍の尻拭いをしながら、あるいは邪魔されながらも真摯に自らの仕事をし続けた広田さんのような人がいたことを知ることができて本当によかった。それにしても「われ巣鴨に出頭せず」を読んだときにもかんじたのだが、木戸内大臣については、よい印象を今回ももてなかった、何故だろう。
軍人よりも軍人らしい文官の話。軍人というよりも武人かも知れない。優秀だった彼が軍部大臣現役武官制復活の危険性を軽視したのが不思議でならない。
統帥権を盾に政治介入を受付けない軍部。天皇の命令すら聞かず、統帥の独立をうたいながら統帥に背いて独走し外交や行政はふり回される。また、同じ軍部内でも陸軍と海軍は対立し、さらに陸軍内でも参謀本部と陸軍省が対立。首脳部がこんなバラバラの状態で戦争をしていたのかと愕然としました。苦い思いを味わわされ続けてきた軍人たちに最後まで巻き添えにされ無理心中させられる格好になる広田弘毅。最後まで自ら計らわず、責任をまっとうしたその生き様が強く心に響きました。
この本を読んでおいて良かった。上手い表現が出来ないが、自分も精一杯努力して人生を送っていきたい。広田さんは、あの時代の中で自分の信念を貫き通す、大変難しい生き方をされたと思う。
裁判が始まってからの広田と家族の描かれ方は目頭が熱くなる。同期でありながら、一人は絞首台で消え、一人は国葬で送られた。タイミングが違っていたら逆だったかもしれない。この作品では、悪いのは全て軍で広田はやれるだけのことはやったが、自ら計らわぬ生き方故に、あえて責任を逃れることをしなかった、と描かれている。その描き方は、まるで仙人の様で、広田を人間として扱っていないのではという違和感がある。人間であるなら欲にとりつかれたり、生きようと思ったりしたはずなのに。名作ではあるが、人間としての広田ではない。
広田さんの「自ら計らわぬ」生き方は、今、会社で仕事をすることにもそのまま通じる。それにしても、戦前・戦中の短命内閣が現在の状況と似ているように感じて焦燥感を覚えた。
これほど無欲で、戦争回避のために尽くした政治家がいたとは。時々ニュース等で話題になる広田弘毅。彼の人生を知ることができて本当によかった。
落日燃ゆの
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