華岡青洲の妻 (新潮文庫)
華岡青洲の妻を読んだ人はこんな本も読んでいます
華岡青洲の妻を追加
華岡青洲の妻の感想・レビュー(189)
京極夏彦の異説四谷怪談を読んだとき、真っ先に思い出したのが有吉佐和子のこの薄い本。そういえば人物描写も似ている気がする。。。まさに『薄い本』。史実のバックグラウンド二次創作。嗤う伊右衛門もこの華岡青洲の妻も、誤解が物語に常につきまとう。おとなしい亭主と悪妻の不和が実は想い合う男女のすれ違いだった、と世界を再構築する手法は、仲睦まじい嫁姑の美談を『実は泥仕合でした』と描くスタイルを髣髴とさせます。影響受けてるのかな。それにしても人間関係の縺れ描写のリアリティはお見事。紀州弁が美しいのでよけい凄みがあった。
読み終わって思ったのは、女の愛情の恐ろしさ。嫁姑の間の微妙な関係。それぞれに抱える葛藤。見る者によって、二人の関係が変わってしまうことの恐ろしさも感じる。 美談にしか見えない物語でも、裏側…当事者間ではとんでもない感情が蠢いていたりするんだと思うと…何だか恐ろしい。 母の子への愛情。妻の夫への愛情。嫁姑の前に、青洲を巡り、一人の女として相対していたのだろうか…と。 苦いものを飲み干したような、そんな読後感がある。
嫁と姑、こわい。でもそうやって嫁は姑を乗り越えていくんだろうな。現代はお互いにその対立を避けてしまっているから、なにかとひずみもでてきているような、、気がしてきた。
この本で華岡青洲と彼の偉業を知った。それにまつわる美談に絡めて描かれる嫁姑。美っついひとに惹かれて、後半は緊張感でぐんぐん読んだ。読み終わった後、毒を飲んだような気持ちになった。昭和42年発行か・・・凄い・・・
読了。なぜ有吉佐和子が江戸時代の医者の妻を書いたのだろうと久しく思っていたけれど、今回読んで謎が解けた。これは『紀ノ川』で書いた自分のルーツをさらに遡る話。昔の紀州に生きた妻と姑の戦い。彼女は、「家」が生きていた時代とはどういうものか、家が崩壊しつつあった時代にもう一作残したかったのだ、きっと。もう、今ではこういう嫁姑問題はほとんどなくなった。それは「仕合せ(by小陸)」なことだとは思うけど、本当にいいのかどうかは僕にはよくわからない。寂しいような気もする。それにしてもまあ、各々凄まじい執念の三人でした。
アラマタ生物事典というのを読んでたら、チョウセンアサガオで全身麻酔に成功した華岡青洲の事が載っていた。母と妻が自ら実験台になり妻は失明・・・とあり、興味を持ちこれを読んでみた。言葉の裏に隠した、相手を貫く刃は女だからこそ分かる世界かも。意地にも見える二人の献身ぶりは恐ろしいような、感心するような。青洲の本心を知りたいところですね。
今でこそ嫁と姑が離れて暮らすことも多いけど、同居が絶対だった時代はお姑さんとの相性イコール嫁の人生そのものだったのだろうなぁ。最初から姑を嫌いだったのならまだしも、憧れていた姑本人に請われて嫁に入って有頂天になっていたぶん落差も大きい。お姑さんとの争いで命までかけるなんて!現代に生まれてほんとよかった…男性が読むと恐怖かも!
この人の描く女はほんとうに怖い。怖いけどたまらない。幻想や距離のないおなじ女だからこその冷徹さと厳しさと容赦のなさなんだろうか。結婚するの怖くなる。しちゃったけど。時代が変わっても変わらない女性の本質みたいなものがわたしにも理解できるから、だからハマるのかなあ。いやー怖い。
うわぁ、この人好きですねー。 実話に装飾しているわけですが、嫁、姑の女の確執だけに焦点を絞っていて、読んでいて気持ちがいい。 嫁姑といっても、安っぽいドロドロさなんてない。 きりりとした美しさの陰に隠された、女としてのプライドの描写が見事。 青洲本人や小姑の心をほとんど描かず、さりげなく、わずかにだけ見せる。 そこがたまらなく好きです。
青洲は妻を実験台にして麻酔薬を開発して世界で初めて全身麻酔による手術に成功したが、実験のせいで妻は失明してしまう。救いは青洲が名利を求めたのではない点だ。江戸時代までは町医者なら誰でもなれたが、その多くは生計のためではなく、「医は仁術」の理想を実践するためだった。それが明治になって免許を得なければ医師になれなくなった。そのため医師を志す人は金をかけて教育を受けなければならなくなった。このことが医師の社会的地位を上げ、治療費の上昇につながったと思う。逆に「医は仁術」という考え方は萎んだ。
凄い。ぐいぐい引き込まれ一気に「読まされた」感じだった。独特の方言が相当読みにくいにもかかわらず。 過去に何度も映画やTVドラマになっている作品ですが、役者が挑みたくなる気持ちが分かるような気がした。
和歌森太郎の解説はさすが。姑と嫁の確執は現代の嫁姑問題と置き換えて読まれがちだが、封建社会の中で「家」に縛られ翻弄されて一生を送らざるをえなかった部分が味噌。本人達には「家」中心の自覚はなく、例えあったとしても互いの言動に対する怒りや憎しみにすり替えられて、その根本に揺るぎない日本の「家」制度があることなど分かるはずもなかったのかもしれない。「家」(=青洲)を取り巻く女たち(嫁と姑)の、普遍性(一般性)について小姑の小陸のみが気付き、死ぬ間際に加恵へ鋭く指摘している部分に、著者の思想があらわれている気がす
世界最初の全身麻酔。その開発にあたって いつの世にもある嫁姑の確執。青洲は、それを認知しながらも麻酔薬完成のために両者の意思を尊重しながら 見事完成させる。 犠牲 執念 献身 貢献 これらの感情が三者の間で渦巻いてたようである。
図書室より。嫁姑間の凄まじい冷戦…。女って本当に恐い。嫁目線で書かれているから姑に敵意を持って見てしまったけど、自分が姑になって読むとまた変わった見方になるのだろうか。いつか読み返したい。
いつの時代も嫁姑の争いは凄まじいが、表だって嫁いびりをしない姑の心根のあざとさが怖い。姑に張り合う気持からとは言え、嫁の献身的な務めには頭が下がる。
姑と嫁の心理戦が興味深い。 一見、美しく、賢く、やさしい姑が、じわじわと人に気づかれないよう 嫁をいびるという陰にこもって壮絶な戦いが繰り広げられる。 妻の姑に疎んじられているという気持ちが、ずっと 妻の一人称からしか語られなかったので、「気のせい?」という 疑いというか含みがあったけど、最後の最後に小姑の一人 小睦が「私はずっと二人の戦いを見ていましたよ」という。 ここにすごいカタルシスを感じた。 さすが、うまい。
こんな立派な嫁さん自分では世に埋もれさせてしまいますので他に嫁いでほしいです。自分はこんなリスクあることを嫁さんにはさせられません。いや、否定はしてないですよ。志がそもそも私みたいな凡人とは華岡先生とは異なりますので・・。
於継の嫁を選ぶ目は確かだったんだと思います。争うように麻酔薬の被験者になるなど、於継に対抗できたのは加恵だからこそではないかと思うのです。
これは面白かった。麻酔薬を発明するために、自分の母と妻を人体実験したという華岡青洲だけれど、そこに繰り広げられる嫁と姑の戦い。なんかもう、女の戦いの部分が生々しくて、迫力でしたね。しかとと嫌みと嫌がらせと。そういうやり合いの部分、いちいちリアリティがあるのはさすがの筆力。妻の視点で書かれているにもかかわらず、姑の気持ちの部分にも、伝わるものがあるのは上手いなあ、と思いました。何故、この人は、こういう言い方をしたのか、という点で。
★★★☆☆ 世界で初めて全身麻酔による乳癌摘出手術に成功した医師の家族の物語。巧みな有吉節で、どんどん引きこまれた「お家」話。いいですねぇ。さすがです、有吉さん。舞台が身近なだけに、風景も風習も想像がたやすく、和歌山弁(紀州弁?)のイントネーションにも懐かしみを感じつつ…嫁と姑の静かで壮絶ないさかいに、「いつの世も…」と思う次第です。
古い時代といってしまえばそれまでだが、青洲の妻・母・妹それぞれの献身の裏の愛憎がすごい。「一将なって万骨枯る」を地でいくような。それぞれが内に秘めた、あるいは気付かない(フリの)内心の鬱屈が表に表れるのが、臨終の床や出産、実験薬を飲んだときなど、「死と生のはざま」ともいえるギリギリのところだけというのがまたすごい。
医者って何なのだろうと考えさせられた。医学のためという名目のもとこれまで数えきれないほどの動物が殺され、多くの人間も実験台にされた。それで医学は進歩したのだという意見はあるが、そこまでして医療を行うべきなのかと疑問になった。札医大の心臓移植手術はどう見ても実験手術で、そのために殺人が行われた。戦争中の九大生体解剖も医師による実験だった面がある。ある程度の実験はやむを得ないと思うが、これ以上はダメという一線を引くべきではないか。延命にも疑問を感じる。寿命は天に委ねるべきではないだろうか。
華岡青洲の妻の
%
感想・レビュー:44件















ナイス!




























