砂の女 (新潮文庫)
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砂の女の感想・レビュー(2718)
普通の暮らしをするより、こちらのほうが 「生きている」 という感覚は強いのではないでしょうか。もし元の暮らしに戻ったとしても、砂の中での暮らしが懐かしく強く強く呼び掛けるものとなっていると思います。ぬるい苦しみに浸って我慢するよりは、大きな逆境の最中でこの手で何かを掴み取ろうともがき続けるほうが、幸せの価値は大きく身近になるのかもしれません。きっとこれはハッピーエンドです。
物語の状況が状況だけに作品そのものを包み込む雰囲気がとんでもなく暗い。砂の中にある家に閉じ込められた男女の生活を描いたお話。男は何とか脱出しようとさまざまな手を打ち悪戦苦闘するが、そのいずれも失敗し次第に砂の中の生活に順応していく。女は砂の中の厳しいはずの生活の中に自分のささやかな幸福を見出し、それを享受する。巧みな直喩とメタファーで彩られながら彼らの生活は過ぎ去っていく。陰鬱な世界観に現代社会にも通ずる多種多様な問題を包含しながら読者をグイグイ引っ張る著者の力量に脱帽。
安部公房で最高傑作なのはこの砂の女か箱男で悩むところである。入門としては砂の女が入りやすい、受け入れやすい作品だと思う。うーーん、しかし、どちらが最高傑作かとなると、非常に悩む。いや、第四間氷期だとか方舟さくら丸、いやいや壁だという声もあるかも知れない。どれも捨てがたい。けれど、選ぶとなると……一つ選ぶとなると砂の女か。二つ選んでいいなら箱男を加える。三つだったら、方舟さくら丸を加えようかな。
砂に囲まれた狭い空間で展開される男と女の話。その閉塞感とザラザラとした不快感が苦しい。砂の壁に囲まれ唯一開けた面である上には空。圧倒的に広く高い空は余計に狭さ、通さを感じさせる。舞台となる空間は読んでいて息苦しくなる程なんだけど、登場人物の心理にどうしても付いていけない。日常とか自由だとか男と女だとか、なんとなくわかるけど、感じない。男の抵抗もそれだけ?とい感じ。そんなことより愚痴とエロな印象。文学の、というか芸術の、こういうエロがなかなか理解し感じ入ることができない。エロが変わったのか、単に餓鬼なのか?
深いか浅いかで言えば二重の意味で深い話。 主人公の追い求めた自由は形だけのモノ。その事実を感じながら必死に信じるものに食らいつく描写が綺麗。現状はどうしようもなく汚いはずなのにそこはかとない美しい幸せを感じることが出来る面白い作品。 そう。砂の中で満たされない。満たされない。孤独と砂と、訴えるものはただ唯一の渇きであると。 展開は読めるんだ。なのに面白い。なんとも心に残る描写だなぁと。一言で説明するなら「閉塞感」 この一言に尽きる。 安部公房の本を読み漁るきっかけでしたね。ちなみに僕は箱男が一番好きです。
砂に支配された生活。閉じ込められた女と逃げ出そうとする男。どんな過酷な状況でも、人間は順応していくことができるのか。圧倒的な砂の恐ろしさと、耐え難い喉の渇きの描写が印象的だった。
漂う不気味さ。昆虫採集に出かけた男が、砂で埋もれそうな町と出会う。この情景描写が、というか砂のザラザラした感覚が、圧倒的過ぎる。閉塞感・密閉感の中での緊張感の麻痺。解放された、自由という状態がそもそも何なのか、追い求めていたはずの自由すら、砂の如くもろく崩壊してゆく。生活の中に何か異常が侵入してくる、その巧妙さ。少しづつ、あたかも砂に飲まれるように、常識が崩れ去る恐ろしさ。ラストは非常に穏やかに、ぞっとする。
友人宅の本棚にて発見、再読。久しぶりのジャリジャリ感・・・サラサラ流れる砂、ねっとり絡みつく乾いた狂気。やはり奇書なり。
話はシンプルだし、読者には最初にオチが分からされているのに、スリリング。主人公にとっての砂に対する興味の変化が、そのまま環境の変化に対する適応性をうかがわせる。それぞれの生活に、それぞれの価値観があるんだよね、とかいうとひどく退屈な内容に聞こえてしまうけど、そんなことはないです。
逃げ出したくても逃げられない、働かないと死が待っている、そんな砂の家での生活を想像するだけで息が詰まった。気が狂いそうになる男と同じように、砂への嫌悪感や恐怖が増してくる。だが、男はその環境の中で徐々になぐさみ物を見つけ、その生活に馴染んでいく。私自身もこんな生活もなんだかんだ言って、ありなのではないかと思い始める。人間の生活って、結局こんなものではないか。
とても深い作品。半ば監禁され次第に馴化していく主人公は一見不憫ではあるが、彼が必死になって求めていた自由というのも結局は形だけのものであるというのが面白い。その過程や価値観の相違の描写がすごい。厭世的に捉えると男も女も結局大して差はないのかもしれない。ただし、満たされているという点において女の方が幸せなんだろう…。
20数カ国語に翻訳されているという名作であるが安部公房初読み。芥川賞の円城塔氏が影響を受けられた作家ということでたまたま手に入れていた「砂の女」を読んでみたのであるが、なんとも砂だらけで息苦しくなりながら読み進めた。人間の生きる姿、意味を象徴的に突き詰めた難しい作品である。男にとってあの砂の穴の中の生活は生きる糧、生きる目的とせざるを得なくなった。砂が彼の世界になったようだ。タイトルは砂の女であるがその女と関わった男の心の変化がなんとも切ない。孤独とは幻を求めて満たされない、渇きのことである…
《近代文学概説:課題》『罰がなければ、逃げるたのしみもない』『孤独とは、幻を求めて満たされない、渇きの事なのである』面白かった!!非日常的なのに、日本のどこかに存在しそうなほどリアリティがある砂の集落。迫りくる砂の恐怖は、ひっそりと静かながらも確かにあって、じわじわと精神を侵食されていくようだった。初めは抵抗していた主人公が、どんどん砂の女に辛勝されていくさまが恐ろしかった。
新種の昆虫を求め男が採集にくり出していくと、そこには砂穴の底に家を建てて暮らす奇妙な部落があった。男はその砂穴の底に埋もれていく一つの家に閉じ込められる。そこに暮らす女との奇妙な共同生活。男は考えつく限りの方法で脱出を試みるが…幻想的かつリアルな世界観に、単純だけど読者をハラハラドキドキさせる魅力的なストーリー展開。そして何より人間の心理描写が見事。特にラストは圧巻。「罰がなければ、逃げるたのしみもない」最初に書かれたこの台詞の意味がラストでやっと分ります。すごいとしか言いようのない小説。
過去読み/大体において感想を書かないうちに次の本へ取り掛かってしまうため、脳内の片っ端から感想が流れ出て行ってしまう性なのである。そんな私が読んだ後何年も題名を目にしただけで、饐えた海の匂いがするべたべたと湿り気のある黄色い砂の底の掘っ立て小屋と伏し目がちな女の横顔を想起するというのは、よほど魂にこびりついたものがあるに違いない。筋は簡単ではあるが、閉塞感と倦怠感で窒息しそうになる。そんでも、こんな場景が魂に蓄積されること、それが本を読むことの醍醐味なんじゃないかぁと思ったりする。
砂は流動する。おなじく世間、そして人間も流れてゆくもの。だから人は表向き、砂に関心を払わない。やりすごす術を持っている。しかしこのおれは、いつか、心の底で知らずしらずのうちに砂掻きをしていたのではあるまいか?故、この蟻地獄に捕らわれる羽目になったのだろうか。焦がれていた風も、時には大風となり自分に危害を加えることがある。この砂の底に居れば、厚い壁が守ってくれることに気付いた絶望。どちらがより幸せかなんて、誰にも判断できまい。
砂に支配された田舎町の一軒家に、家主である女と共に閉じ込められる男。これを読むと、普段余り意識しない「砂」という存在の深さ、また恐ろしさについて色々と考えさせられる。個人的にはこの主人公が味わうような理不尽で身勝手な暴力というものは、読んでいてもイライラするから余り続かないのだが、それでも最後まで読めたのは一重に作品が面白いから。あと後書きにもあったが、驚くべきは安部公房の比喩表現の豊かさ。名作。
徹底した安部公房ワールドで、やはり疲れました・・・ この閉塞感、散りばめられているメタファー、そして砂の描写はさすがこーぼー。
読中に絶えず付き纏う閉塞感と口の渇き。巧みな比喩表現は容赦なく閉鎖的な作品世界に没頭させる。強要された生活から脱出を試みるも次第に気勢は削がれ、生活に順応して行く。読んだ時期が雪の降り積もる冬であったことも影響して、砂を掻く作業はまるで除雪作業のようで雪山に閉ざされた山村にも思われた。単純作業と砂の世界は何らかの寓話に見え、男の行く末はその未来を暗示しているのだろうか。
読むのが苦しかったー。寝ても覚めても砂。砂砂砂。最初から蟻地獄な物語だと読めてしまう。わけ分からないと思ってたはずが、気付いたらちゃんと安倍公房の世界にいた。さすが。色んな意味でエグい物語。砂の女にだけはなりたくないです。ちゃんともらってもらおう。
安部公房の作品は初めて読んだけど、とりあえずシュール。シュールである種狂気。人間の生々しい内面描写や皮肉のようなものも多い気がした。馴染みのない言葉があり、辞書を使ったりもした。馴染みのない言葉とかあった。男の11行に渡り怒鳴り散らすことに対する女の『ごはんの支度にしましょうか?』と一言返すシーンがたまらない。新装版の表紙の方が前のよりも意味深。砂の女には萌えが存在しているという知り合いの発言、理解できました。こんな昔に……安部公房は時代に認められながら、先見の明もあったのか。
砂に埋もれた一軒家に棲む女。その家から出られない男。閉ざされた狭小な世界の中で生じる様々な欲望。これだけで凄い世界観だと思うけれど、砂のじっとりとした感触や肌に貼り付くようなべったりとした空気感が頭の中に広がっていく。主人公のこれまでの人生やこれからの人生に対する意欲から、生きることの根本を考えさせられる。人間は人間の本能に従っていきるのか、それぞれの意思を持つことができるのか。それにしても読者の心に沁みるような比喩表現にはうっとりしてしまう。
初めての安部公房でしたが、主人公と女との対比から何か読み取れる気がしました。法治された、教職という文明化された社会に於いての職を持ち生きてきた主人公と、主人公が住むような社会と隔離され、又同時に見放された"部落"に於いて生きてきた女。女はラジオや鏡を内職で稼いだ金で買いたいという極端にささやかな生きがい、欲求を持ち、主人公はそれに憐れみを感じるが、主人公が生きてきた社会はそんな単純なことへの欲求を持ち、それを達成したことによる単純な喜びさえ感じられない場所であったのだ。
途中まで読んで→昔、映像で見たのを思い出しました。あの時こんなスゴい原作の映像で見てたんや↑…もうちょっと気合い入れて見とけば良かったねぇ↓っていうのが正直な実感です。だって砂に埋まった小さな容器に水が溜まってるあの場面しか覚えてない((T_T))…自分としては砂にうずもれてる家→集落、その傍らにたたずむ老人たち…この冒頭の部分で既に悪夢でした。後は語るまでも有りません。
淡々としているグロテスク。閉じた世界。壊れた機械みたいに正確な世界。
砂というものは形がない。形の無い、それでも確実に積もり迫り来る恐怖。逃げられない恐怖。
砂浜を歩いたとき、気づいたらありえないようなところに砂がついていた経験はありませんか?この本を読んでそのときの感覚を思い出しました。
文章がとてもきれいで読むのが楽しい本だった
こういうレトリックは一体頭のどこからでてくるんだろ
俗っぽい例えをするならば、世にも奇妙な物語っぽい雰囲気でした。捕らわれた男の、じりじりと肌を焼きつくす乾きと焦燥感。逃げる手段を探すも、最終的には溜水装置という″なぐさみ物″を手に入れ、その生活を受け入れるようになってしまう。愛郷精神の皮を被った枷を甘んじる女と、次第にそれに適応していく余所者の男。これは異常なのか、はたまた人間の本能なのか。
最初から最後まで砂の感触が消えない作品だった。終始口の中がざらつくような感覚を覚えながら読んでいた。順平の一人称で進んでいくが、とちゅうからうんざりしてしまった。理屈っぽいのか、まどろっこしいのか、とにかくこういう男は嫌だなと思う。読みながら、最後まで結局「性の閉塞感」の意味するところが理解できず、ただ名作のことだけはあるなということだけはしっかり感じた。
初安部公房。主人公が脱出へとあがく姿が面白かった。たまに女がキレるのもいい。そういえば、高校の頃、先生がどこかに出張に行ったのを、昆虫採集に行ったんだよ、と友達に冗談で言ったことがあったが、まさに同じシュチュエーション。読んだこと無かったのにね。
砂の女の
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ナイス!





































