友情 (新潮文庫)
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友情の感想・レビュー(950)
振幅はげしいぞ。いいぞ野島。これが恋ってもんだよな。海に向かって石を投げる場面には笑ってしまったぞ。すまん野島。大宮は立派な奴だな。でも野島の失恋を出版というかたちで公開するこたないだろ。がんばれ野島!(新潮文庫 平成5年111刷 156頁。表紙も頁数ちょっと違う) ★★★★★
武者小路実篤…読みやすいし、作品にも登場人物にも、そして実篤自身にも、とっても親しみがもてる。 どんなに想いを寄せられようと、周りから「いい人」と薦められようと、好きな人以外から寄せられる恋情は、迷惑以外の何物でもないもの。深く傷つけることになろうとも、野島の想いを冷淡に撥ねつけ、自分の想いに正直に、真っ直ぐに進んでいく杉子は魅力的だと思う。綺麗なだけの恋なんて有り得ない
脚本家野島と新進作家の大宮は厚い友情で結ばれている。野島は大宮のいとこの友人の杉子を熱愛し、大宮に助力を願うが、かねてから大宮に惹かれていた杉子は野島の愛を拒否しパリに去った大宮に愛の手紙を送る。野島は失恋の苦しみに耐え、仕事の上で、大宮と決闘しようと誓う。
有名だけどこの人の本は初めて。人の心の砕けるところをみたという感じ。友情と愛情の話。いつの時代も恋に翻弄されるのね。それにしても、野島の童貞的妄想と玉砕っぷり。大宮の完璧で謙虚ででも隠れてる傲慢なところとか 杉子の「女」としての厭らしさみたいのがうあぁあああ
脚本家野島は友人仲田の美しい妹杉子に恋心を募らせ、親友の小説家大宮に苦しい胸の内を打ち明けて相談に乗ってもらうようになるが…
なんとも純粋な恋愛小説なんだろう。時代を問わず、読者に恋愛の難しさ、尊さ、美しさを痛感させるこの一冊は、現代人が忘れかけている純真な心を思い出させてくれる。無駄な描写を一切省き、ただただ各々の心情の推移を追う、一見単純そうに見えて、実はその単純さゆえに読者の心を心酔させる。そんな一冊。
片想いの描写がリアル過ぎる。一喜一憂して気分が浮き沈みするのも相手の想いをあれこれ想像するのも。主人公の野島よりもその友人の大宮の方が大きな葛藤を抱えているあたりが夏目漱石の「こころ」を彷彿とさせた(読んだのがだいぶ前なので勘違いかもしれない)。結婚してしまえばその前に恋していた相手などどうでもよくなる、むしろ結婚しなくて良かったと思うようになる、という仲田家の人間の考えはどうなのだろう。読んでいた感じではまだ親が結婚を決めていたような時代っぽいのにどうしてそんな風に考えられるのかが分からなかった。
友情と恋愛の相克を描いた作品。 このテーマは今でこそよく見るけど、昔は物珍しかったのかな。 淡々とした調子で進み、片思いのつらさを描写こそしているが、ケータイ小説みたいな劇的なのをお望みの方は物足りないかも。
自分の理想の押し付けよくない絶対。野島の敗因はたぶんこれ。親友と憧れの人との親愛詰まった手紙を読み進めた野島の気持ちはいかに。一人よがりを繰り返す野島をスポットにあてるのがすごい。野島の視点から出なければ、読み終えた後のこの複雑な心境はなかったであろう。
野島が熱で床に倒れるシーンが印象的。薄々杉子の気持ちが自分にないのを感じながら、孤独を強め、母を恋しがる心は人間の不変の心理であろう。また、貞淑で楚々とした杉子が書いた大宮への愛の手紙には驚いた。何という熱情だろうか。ここまで好いた人と結ばれる杉子を羨ましく思った。
読みやすい文体で、内容も面白かった。友情と恋愛が深く描かれていて、青春が濃密に詰まっている。主人公である野島に感情移入し読んでいただけに後半からの大宮と杉子の手紙のやり取りは辛かった。独りになってしまった野島が切ない。
いい!好き! 「恋は画家で、相手は画布だ。恋するものの天才の如何が、画布の上に現れるのだ」・・なんと独りよがりの天才画家だったことよ、我が青春時代・・・。
武者小路実篤は理想主義の肯定作家である。
メインの登場人物は主人公、脚本家の野島、その友人で野島よりも売れている作家の大宮、そして大宮のいとこの友人、杉子。物語はこの三人の三角関係を描いている。
大宮と野島は互いに相手のことを尊敬しており、高めあう友人だと思っている。大宮は野島と杉子の恋を応援するが、杉子は野島の潔癖な愛情を受け入れられず、大宮に惹かれていく。大宮は野島への裏切りとなるからと杉子の好意を跳ねつけるが・・・
三角関係をテーマに取ってはいるが、この作品で描かれる愛情、友情は理想的です。
ラジオで紹介されていたのでずっと気になっていた作品。読みやすく面白い。題名は友情、となっているが友情と恋愛感情のせめぎあいの、もどかしさというか、悶々とした青春さが感じられる。杉子に嫌われたんじゃないか?いや、何ともおもってないのかも?と何回も逡巡する姿は読んでいて共感し笑った。しかし、手紙の章にはいるところがつらい。固い友情と信頼で結ばれていたはずの大宮もいなくなり、加えて失恋までしてしまった野島の心情を思うと心苦しい…。前半が軽妙な感じの恋愛小説だったからこそ、後半の叩き付けられるような重さが、痛い。
主人公野島の卑屈で矮小な様にとても共感し難い。人格者である親友の大宮は野島を高く評価しているけれど、「なぜ」の部分がないためいまいち噛み合わない。しかし最後の手紙で大宮は親友のために心を殺していたことがわかる。これを受けて野島は最後の最後で友の意を汲む返事を認める。最後まで読んでやっとすっとできる話であった
脚本家野島、その真の親友である大宮、そして杉子の、美しい三角関係。結末は始めでわかってしまうのだけれど、何時の間にか野島に感情移入してしまい読み進めるのが怖くなってしまった。しかし、その美しい三角関係からはそれぞれが思っている様な醜いものが一切感じられず、ただただ友情と愛情の強く清い状に感動して泣いてしまった。強くて素晴らしい理想主義文学だと思う。ついでに、この時代の文壇の社会的位置や、学生の思想活動など、とても憧れてしまいます(*^_^*)
一昔前の小説だけど漢字と仮名の扱いかたが絶妙で丁度いい マドンナ杉子に思いを寄せる脚本家野島と三歳年上の小説家であり真友でもある大宮との友情をはらんだ恋愛小説
なんていうか、イケメンは性格もイケメン・イケメンの当て馬になる主人公・結局イケメンが全て持っていく、というイケメン無双の筋書だった…。
《近代文学概説:課題》野島、大宮、杉子。三角関係ながらも、夏目漱石の作品とは異なり、どろどろとしたものはなかった。むしろ、さわやかであった。大宮はこの三人の中で一番つらい立場だったと思う。ほかの二人は自分の気持ちだけを大事にしていればよかったが、大宮は自分と親友、そして杉子の気持ちを背負う必要があった。大宮は義理堅く、本当にいい人であった。しかし、私はどちらかといえば野島に親しみを覚えた。彼の卑屈さ、そして自身の醜い感情を憎むことができるところ。けして立派な人間とは言い難いが、だからこそ身近に感じた。
まさしく男の女に対する恋とはキャンパスに絵を描くようなものだと思う。恋する女性の等身大の姿ではなく、それにいろいろな脚色をつけて恋する女性を見てしまうのだ。そのことをその恋する女性に感付かれてしまったとき、それは悲しいね。女性はありのままの自分を理解するのではなく、自分に脚色を付けて見つめる男性には恋心を抱けないのだろう。とくにモテル女性なんかにとっては、そんなときに冷めて目でその女性を見る男性に対して興味をもってしまうのだろう。
恋愛と友情の間で葛藤する野島ですが、一番苦しんでいたのは、大宮だと思う。自分を好いてくれている杉子に冷たくしたり、杉子に対する思いを封じ込め野島のために尽くすところは痛々しさすら感じます。救いなのは愛憎のどろどろしたものがなく、むしろ清清しい彼らの心の持ちようが心地よいです。自分の気持ちに素直になれた大宮、失恋してもそれを受け止め一人で耐えようとした矢島、大宮に「仕事の上で決闘しよう」といった矢島の未来を応援したくなりました。
下編の杉子さんが、はっきり言い過ぎていて笑ったw 「野島さんの妻になることは死んでも有り得ない」とか「野島さんの脇には1時間以上いたくない」とか。容赦なさすぎだろう。でも大宮に対しては、すごく情熱的な文を書きますね。その差がすごく好きww でも野島が杉子と会ったり、話したりすると嬉しくなっちゃうの、すごく分かるなぁと思いました。野島、頑張れよ!
野島、大宮、杉子の3人とも純粋で、まっすぐだ。純粋な強い思いで行動したのだから、皆輝いて美しい。結果に杉子と大宮が結ばれたのは、運命のいたずらなのだろう。だから誰も悪くないし、そのため弁解が必要無い。野島にとっては辛い結末だが、彼は女を失う事で世界の発展に貢献出来るし、一方大宮は女を得る事でより世界に貢献出来る。そして杉子は愛する男と結ばれる事が出来て幸せなのだろう。このように若者の潔く生きる姿勢が描かれているあたりに、青春の名作と言われる所以があるのだろう。後味良い読後感を味わえた。
上篇で語られる野島から見た世界が、下篇での大宮と杉子の書簡のやりとりの露呈によって転倒し再構成されるという筋は、技巧的でハッとさせられるものがあった。感情的になって読めば、野島にすごく共感できる。失恋の痛みを思い出す作品だった。
友情と恋の狭間で揺れる大宮の心情に同感でした。野島のように、恋に盲目になる時期は誰しもあるとは思いますが、杉子本人というよりかは自分の妄想の中の杉子に恋しているように感じました。そして、大宮にしても野島にしても杉子自身の幸せというものをないがしろにしているような気がしました。今の時代ならありえないことだが、この本が書かれた当時ならそれが普通なのかな、とも思いました。
「愛と死」に続き、武者小路実篤は2冊目。美少女杉子に恋をしてしまった冴えない脚本家野島と、彼の一番の友人で才能豊かな作家である大宮。大宮の野島に対する友情のあつさは身震いするほどだった。最終的に大宮は野島を裏切ることになるのだが、それも親友として最大限の努力をしたあとのやむを得ない選択であったことが手紙のやり取りの中で苦々しく伝わってくる。愛と死でもそうだが、手紙にこめた恋慕の思いは直接の会話をはるかにこえるものに思えた。愛と死は友情の成熟した段階にある作品だと解説にはあったが、自分は友情の方が好きだ。
野島の思い込みにイライラした。大宮の態度も立派だったけど、ふたりとも杉子の幸せは考えてなかったのね(最後には大宮も正直になったけど)。この話が短いのと、文章がとても読みやすかったのが救い。でも、恋とはこんなもんなんだろうね。
初読の学生の頃は感心したが、今再読すると野島の幼さが気になる。杉子の言葉は結構、本質を突いていると思う。好いてくれるのは有難いけど、理想の姿を勝手に投影されて好かれるのは嫌だよね。
友情と愛情の間で苦しむ、大宮の葛藤が印象的だった。「恋はあつかましくなければできないものだよ」という言葉通り、恋もまた戦争であり、奪い合いであることを気付かせる。
友情の
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