天人五衰―豊饒の海・第四巻 (新潮文庫)
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天人五衰―豊饒の海・第四巻を追加
天人五衰―豊饒の海・第四巻の感想・レビュー(346)
リベンジ・豊饒の海シリーズ。なんとまぁ(登場人物が)悪意に満ちた作品なのか。透にしろ本多にしろ、粘着質で息が詰まる。互いにネチネチしてるからだろうけど、とにかく文面が難しくて…透は本多が手を触れた事で手折られたのか。慶子の言う所のただのまがい物なのか。それとも輪廻転生を終えたのか…「生まれる」ということってどういう事なんだろう?ミシマの考えは何度この作品を読み返しても、理解出来ないと思う。だって私はミシマには成れないから。宗教を越えて「生きてゆく」ということの意味を自分が納得の行くかたちでとらえたい。四部
本多と透という二人の「見る人」(とそれを見る慶子)の話なので、全編を通して情況の描写がとても美しかった。後半に本多がハイヤーの中から高度経済成長中の日本を眺める眼差しには、インドのベナレスを眺める目と同じ渇いたベクトルを感じたために薄ら寒さを覚えたけれど、その後の坂を登るシーンは密度が濃く潤いもあってとても美しかった。生き方を変えるには遅すぎたね本多・・。確かリルケの詩に、観る人の眼差しには愛が欠けている、というのがあったなぁ・・。
これからの人生に間違いなく大きな影響を与えた作品。この4巻では、徹底的に生について考察し、示唆に富んでいた。人間の最も基本的な感情である「嫉妬」との記述があったが、なるほど正鵠を射ていて、この感情を殺して人は生きていくことはできない。人であることによる醜さが顕在化された。それに、鼠と猫の挿話は大変印象的で、実体と精神の乖離について、妙に納得させられた部分があった。ストーリーとしては、「奔馬」の勲、美しさで、「春の雪」の清顕と聡子、この2巻が誠に傑作ではあったが、3、4巻の物語の深さにも終始圧倒された。
前3巻の主人公たちは純粋な魂に突き動かされるままに生き急ぐ生命力の輝きの塊みたいな人間ばかりで、それがあまりにも出来過ぎてて彼らを一人の人物として捉えられずどっちかと言うと風景とか現象とかそういう認識に近くしてしまう。その点今作の主人公の安永透は人間っぽくてよかった。自覚的に完璧であろうとすることが、なにをもって完璧なのかとの証明が迫らせ、それが彼を一人の人間だと思わせ天人は五衰する。この小説を一年の節目に読めて本当に良かった。
4冊を通して美しい日本語で、屏風か何かに描かれた壮大な絵を見ているようだった。三島の思う美しさと醜さのとらえ方がよくあらわれていたと思う。老いとは恐ろしいものだ。最後の思わぬどんでん返し、謎かけはどういう意味なんだろうか。
一読しただけでは消化しきれない大作である。転生を一つの大枠として様々な要素をぶっ込んでいる。純粋とは思想とは美とはそして生きるとは、、、などなどお腹いっぱいである。もう少し時間がたってからまた読みたい。どう感じるか楽しみだ
四部作読了。慶子が透に全てを話すところが爽快だった。己が特別な存在だなどと勘違いする被害者意識が哀れ。まだまだこの作品の本質は捉えられてない気がするので、いつかまた読もう。
ついに豊穣の海4部作読了。高校から始まってずいぶん長い時間をかけてしまった。今回は輪廻の根本を追及する物語。今まで繰り返されてきた転生の意味はなんだったのか、本多への救済は訪れるのか。それらを阿頼耶識を基に展開し、最後は今まで築き上げてきたものを一気に崩壊させるかのような聡子との会話。詳しく書くときりがなさそうだからこの4作については日記にでも書こうかなと思う。夢日記ではなく、単なるウェブログだけど
私に夏は繰り返す。去年と同じようであって、同じではない。確実に何かが変わり、私は老いている。いつまでも四季の移り変わりを、汗が噴き出る季節を味わいたいと思っている。本多が百日紅の木を楽しみにしていたように。何もないところが終着点であるのならば、私はそこへ静かに達するべきなのか。それとももうちょっと足掻いても良いのだろうか。
先の3冊(特に2冊目)とは一転、最後のこの1冊はあっというまに読み終わってしまった。いや、むしろ途中で読み止めることができなかったという感じ。 基本再読は苦手だが、この4部作は再読が必要かも。
「春の雪」から一気に読むと、端々にピースがはまっていくような不思議な心持ちがします。絹江の懐妊に目を輝かせる本多、己の運命を信じていた透。しかし、透はある意味では被害者なのでは……本多と慶子という「運命」によって引きずり回された。聡子は本当にすべてを「忘れた」のか、はたまたすべては本多の夢想であったのか。「老い自体が不治の病だということは、人間の存在自体が不治の病だというのに等しい」って、こんな発想いったいどこから出てくるんだ!
まさかこんな終わり方になるとは思いませんでした。たしかに透は途中?から何かただの嫌な人になってたなと思いました。絹江との話はちょっと面白かったですが。そして最後の本多と聡子の会話は特にやられました。四巻通してだとやっぱり勲の話が一番面白かったですね。
【8】
「天人五衰」を読みながら、どうして豊饒の海を低く評価する人がいるのかが不思議だと思っていましたが、なるほどこの終わり方で評価が分かれるのですね。 冷静に考えるとこの結末がベストだし他に落としどころなんてないんですが、正直、なんかモヤモヤが残っちゃいました。最後の一文に関しては、YouTubeで三島由紀夫のインタビューを聞いて納得しました。けどやっぱり三島由紀夫ってすごい!!ってなることは間違いないです。
老いるということ。それでも生の営みを続けていくということ。本多は老いることで自身の思考を冷静に見つめながら、それでも惑う。透の若く美しい風貌は人を魅了しながらも、その心の内は複雑に入り組む。思い悩み、服毒自殺を図るのは若さ故の香り。そして聡子の台詞に本多同様翻弄された私。その考えもまたひとつの真実なのか?分からない~。
4冊にわたる壮大な物語の帰結は果たしてこの結末しかありえなかっただろう。 本多の一炊の夢であったのか、はたまた聡子の清廉が"穢れ"である清顕を一掃したのか。
透が果たして清顕の転生かどうか怪しく感じた。今までの勲やジンジャンのように、内面へと向かいその結果として外部へと向けられた真っ直ぐさが、明らかに外部へと悪意を伴って伸ばされ、その帰結として内面へ向けられていた印象を受けたからである。
結末に度肝を抜かれた。まだ自分の中でこの作品の明確な答えは見つかっていないが、三島由紀夫はこの4部作を通して、すべての事象は流れ去り留まることを知らないのだということを伝えてきた気がする。三島由紀夫の最後の心の叫びを表した小説に思えた。
生きることは老いることであり 老いることこそ生きることー輪廻転生を 思いつつ 一旦個性をうしなったのちは 空間と時間をくぐって ここにあるのと かしこにあるのと 全く同じことを意味する 不滅の唯一の定義三島は 美しく死にたかったのだろう
聡子は、永遠の今に住んでいた。
本多は、時間の中で動いて来た。
唯識、阿頼耶識とは夢。
忘却する自我。
すべては、流れ去る。
主人公は三保の松原に舞い降りた。王妃が天女たるに相応しい両性具有の美に溢れながら、男性として帰還した。輪廻転生との決着を付け、約束から解放された絶対の世界に昇華する格者であることを証明するためだった。16歳にして年老いた判事に見抜かれ養子として招聘されたが、20歳を終えようとしていた時に決意した自決が21歳の当日であり、転生の宿命から解放された。ついに三島はラディゲへの妬みから解放され、軍隊としての自衛隊を筆頭に悠久の伝統思想を甦らせるべく、最期の希望を託して三島自身の最高傑作を自決として果たし完結した。
難しい。1、2部よりも3、4部は難解な気がする。運命のような見えない力が作用して追い詰められる美しさから、今回は醜さが際立っていた。
生に翻弄されてきた本多が最後のシーンで根本を覆される言葉を受ける。今まで濃縮されてきた物が突如放たれるような…
少し寝かして、1〜4部じっくり再読したい。
それにしても、慶子が素敵だと思いました。
一読ではまだまだ理解できないことだらけだが、最後にまたサプライズが。四作通して一つの作品なんだなぁ。映像化しても面白いかも。リアルに見せかけて計算し尽くされてるところがすごくフィクション。
これが三島由紀夫なりのカタストロフィなのか……。現実や信念が幻の中に溶け込んでしまい、裏切られていくのかよ。そりゃ、死にたくなるかも。
このシリーズに出会えて良かった。自分の中でこの作品を消化しきれていない。透は偽物だったのだろうか、本多によって彼は救われたのだろうか、美は衰退したのだろうか、美とは何だろうか、人間の生は醜いものなのだろうか、だから美を求めるのだろうか、いやそんなことを考えても無駄なのだろうか。最後の聡子との会話が気になる。美を追い求めることなどすべては幻想だったのだろうか。考えがまとまらないことばかりだ。
4巻にてびっくりのどんでん返しが。この作品は優れた文学であるとともに、優れた娯楽でもあると思う。読みやすいし飽きなかった。海についての描写は本当に綺麗で素晴しい。物語のツイストといい、やっぱり優れた作家だと思う。ただ小難しい文学になってないところがいいな
☆再読。「豊饒の海」を再読してみたが、前半と後半でその視点が代わっているような印象を受ける。僕個人としては、ストーリーについては前半の「春の雪」「奔馬」の方が好きだ。しかし、後半の2作では三島が自分の達していないような高齢の人物を的確に表現している様がいやになるほど目につく。
4巻目の本書をやっと読み終わった!という達成感があるが、読後感の良い本ではなかった。何故、このシリーズのタイトルが‘豊饒の海'なのだろう?豊饒とはかけ離れて、作者が人の生き様を斜に構えて受け取りっているかのように感じた。特に本巻では本多の老醜と透のエゴ、人を憎む姿がおぞましかった。最後の慶子の語りで救われ、聡子の言葉は輪廻転生を追い求めた本多に謎を投げかけたと同時に読者にも投げかけた問いなのだろう?貴方はどうやって生きていきますか?と、そして作者は自刃を選ぶしかなかったのかもしれない。
何もかもがツボな最終巻ですが、やっぱり惹かれるのは久松慶子。好きすぎる。三島作品には強い女と、何かしらのメタモルフォーゼを経て侵しがたい存在になる女が良く出てくるけれども、これってやっぱり幼少期のトラウマなのかしら?
余談ですが、『豊饒の海』ってラヴェルの"La Valse"っぽい。美しく絢爛な前半部を過ぎ、後半部分に入ったあたりから変則的なリズムと不穏なフレーズを繰り返してある一点へと収束してゆく。一度、聴きながら再読してみようと思う。
あまりにエグい老人の描写の仕方には辟易するほど。「カビ?!」「苔?!」ひどすぎる・・・。刺激的すぎてまともに読むと怪我するわ。ここまで老人をおぞましく描けるようになったら、三島じゃなくても死を選ぶしかないわー。なのに一見綺麗な文章なとこもまた凄い。とても面白い小説です。研究しがいあるな、うん。
今まで読んだ本の中で一番密度のある長編だった。日本語と日本の美しさを再認識させる美しい作品であり噛み応えのある中身の濃い本だった。時間がかかったけど時間がある今読めて本当に良かった。
海の風景描写のなかに、全4巻の大事な要素が全てそろっている。分析しがいがありそうだな。薔薇のトゲのような波をどっちにとらえるか、今悩み中
天人五衰―豊饒の海・第四巻の
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