春の雪―豊饒の海・第一巻 (新潮文庫)
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春の雪―豊饒の海・第一巻の感想・レビュー(805)
清顕は聡子が好きだったんじゃなくて、シチュエーションに興奮してたようにしか見えない。ほんとうに聡子が好きになっていたとしても、完全に会えなくなった後のこと。それも人格というより、体のほうにご執心で、大好きなお人形を取り上げられてごねてる子どものように見えてしまった。文章…とくに比喩は、「壮麗」というのはこのことなんだろう、って思ってしまうくらいきれいで力強い。イメージがありありと浮かんで引き込まれる。とにかく本多がいいやつで、彼に肩入れしたくなった。
はー、くらくらする。知人に薦められて手に取ったのですが想像以上でした。三島作品は短編をいくつか読んだだけなのだけど、そのたびにはっとするような美しい文章に必ず出会えて、それは今回も同様な上に長さの分出会いも多く、じっくり堪能させていただきました。しかし転生ものは大嫌いなので続き読むつもりなかったのにこれは読まされてしまうぞ悔しい…。それはそうと映画を先にみていたのだけど全然違う話で笑った。本多なんてキャラからして違うじゃないか!!
大正初期の華族の話ということで読みましたが、表現力と語彙力の豊富さと文章の美しさはため息ものでした。シャムの王子キャラが物語りにエキゾチックな趣を添えていました。ラストはショックで息が詰まりそうになりましたが、これは輪廻転生の物語の第一巻…早く続きを読まねば。
何気ない本多と清顕のやりとりが面白い。特に本多が歴史の必然性が孕む無力感を全力で夢想家の清顕に語るシーンは、滑稽であり無残であるし、大正だろうが、平成だろうが変わらない構造と悩みだと思う。
1.所々に出てくる思想が難解。2.描写がくどいほど緻密かつ美しい。3.人物の心の揺らぎが巧みに描かれている。他にも色々心に残ったことはあったのだけれど、とりとめのないことになりそうだったのでその一部を箇条書きに。それほど考えるところのある作品でした。
美しくて美しくて胃もたれしそうなくらい。一言一句が選り抜かれた玉の輝きを放っている。聡子と清顕が何故そこまで惹かれ合ったのかはまだわからない。本多との友情(危うく愛情)のほうが共感できたりする……
比喩表現が数行も続くところは読み進めるのに苦労した印象だけれど、一方スッと入ってくるわかりやすさもある。それでいて、人間や取り巻く環境の描写というものをこんなに美しく書けば書けるのかという驚きもあった。私は清顕と言う人好きだなあと思いました。もし、架空の人物と会えるのだとしたら清顕に会ってみたいものですね。
豊富な語彙を巧みに操る作者は健在です。登場人物の心情も風景もズバリ書き当てます。キャラクターは曲者ぞろいで伏線だらけです。情報量が多く読むのが大変ですが、頑張ってみようと思わせる力があります。
昔映画を観たけどR15的雰囲気しか記憶が残っていなかった。しかしこの細かい表現描写で記憶奥底の美しい映像が呼び起こされすんなり世界感に入り込むことができた。つい最近(?)までこんな世界が日本にあったんだ。シャムの王子の鎌倉で大仏に祈りを捧げるシーンが好き。初・三島作品だが晩年の作品だったとは。全4巻でどのように魂が生まれ変わっていくのか楽しみ。現在奔馬を読んでます。
前半は無駄にプライド高いイケメン童貞がうじうじするだけの話なんだけど三島にかかればここまで綺麗で澱みない物語になるんだーって尊敬。半分過ぎたあたりの、自らの情熱を押し進めることが倫理的な禁忌とやんごとなき方の縁談の反故っていうたとえようもない禁忌とを同一にした絶対的な『犯すべかざるもの』と対峙せざるを得ないって構図が、主人公のもつ純粋さを本当の意味の曇りない純粋さに精製していくようで、とにかくうっとりするような綺麗な小説でした。
非常に力のある、美しい大作。その一端。唯識の見地から輪廻転生を扱う、ということで、念仏唱えときゃ、とか坐っていれば、みたいな実践の仏教とは一味違う空気感が門跡から感じられる。なかなか伏線が張られているような印象で、次巻以降が楽しみです。
前回読んだのは6年前。前回は文章が所々にしか入ってこなかったが、今回は何とか次巻まで手を出せそう。シャムの王子の情熱的なところが印象的。浜松中納言には納得。
聡子を理想の形に押し遣り手に入れた清顕だったが、その美しい理想に拘ったが故に成就されない恋となってしまった。現代では帰結せぬ恋の行く末、美しい時代の誇り高き行き様に感服です。
リベンジ・豊饒の海シリーズ。なんとなく話の流れを記憶しているから読めたのかも知れないが、なんと描写の美しい事か!文章の中にただよう「優雅」これが本当の優雅なのでしょうか。薫りまでしてきそう。そして、聡子の信念に感服。清顕に同意はできないけれど、壮絶な輪廻の物語になるのだろうと、改めて期待が膨らみます。
自然描写、人物描写が冴えわたっていて美しい。夜の海を歩くところや車の中に雪が落ちてくる場面や、最後のお寺へ行くところなどはこの世のものとは思えない。比喩なども長ったらしいのだが、楽しめる。源氏物語のエピソードがいっぱいあるなと思ったら『浜松中納言物語』を典拠にしているとのこと。松枝清顕は光源氏みたいだけど、友達の本多と太っ腹の祖母は好感が持てる。全くの別世界のお話なので、気分転換にいい。2巻の『奔馬』ではどんなふうに清顕が生まれ変わってくるのか、楽しみだ。
実は妻夫木&竹内の映画も見たのだけど、あたりまえだが小説のほうが楽しい。それぞれの登場人物像にぐっと奥行きを感じるし、何より日本語が美しい。風景描写や比喩表現が美しい。4巻読むのはハードだよ・・・と周囲の知人は皆言うけど、読んでみたいなぁ。挑戦してみようかな。
優雅を極めてるな、と思いました。始め、清顕が必死になるところは想像つかなかったのですが、飄々としているひとこそ、一度走り出すと止められない。清顕の死をもって二人の話は終わるのだろうけど、終盤聡子の意志が見えずに曖昧な印象が残った。それにしてもシャムの王子は帰国してどうなったのかを知りたい。
再読。知人がこれは恋愛小説ではなく、恋愛しようという意志の物語だ、というので、私は、これは聡子さんが初恋をまっとうするためには、清顕の死は必須であり、それも1回死んだだけでは足りなくて、何度蘇っても頓挫の死。聡子が自分を貫くためには、男の子の自意識は救済からはるか遠く及ばず、という物語なのだ、という暴言を吐いてみたのでしたw。「宮様の許婚を孕ますとはあっぱれだね!まさか死刑になりますまいよ」というお祖母様が大好きです♪
再読。豊饒の海は奔馬が一番好きなのですが、これなくして奔馬はあり得んしなーなどと思いながら。改めて風景描写、比喩表現の美しさには溜息ものです。再読だと「あーこのあたりちゃんと伏線になっているんだなー」などという発見もあり。ある意味純粋な魂の輪廻の始まりの章の相応しく美しいお話。この話しでの「聡子の印象」をしっかり刻んでおく事が最終の驚きに繋がったんだよなーうん、などの読み方をしてしまった。しかし、何度読んでも文章の美しさ(初期作品ほどくどくないし)には胸打たれる。
最後の一行に驚きました。清顕は全く好きになれませんでしたが、彼の行動によって物語がどんどん破滅に向かっていくその雰囲気は良かったです。2巻がどんな話になるのか予想がつきません。早速続きを読みたいと思います。
結構難解な独特の風情のある文章の同氏の著作。読み終えるのに結構時間がかかりました。同作品は日露戦争後の大正初期あたりを背景にしています。この時代の雰囲気は好きですね。主人公の恋する気持ちに共感出来たり、そうでない部分もあったり。豊穣の海の第一作ということで続きを読みたいです。
文章は間違いなく三島の作品の中でも力を入れているであろう。だから悲劇的だけどどこか優雅。でも、主人公の内面を理解はできるが共感はできなそうだ。
本当に美しい小説だった。文章から匂い立つような。ただ読むのにかなり時間がかってしまい展開をうまく追えずに終わってしまった。しばらく寝かせてからゆっくり読みたい。
あらゆるものは輪廻である。人の生死だけでなく、あらゆる物事も。それらは重なり合い構築し、そして瓦解する。その繰り返しが何度もめぐることによりあらゆるものをひとつの阿頼耶識へと向かわせる。なので清顕の死は破滅ではなく、豊かなる阿頼耶識への帰還なのである。それ故に彼は歓喜の顔で死んで行けたのだ。
明治大正期の貴族の世界を、じつに優雅な筆致で描いている。「渋谷」や「麻布」とか「学習院」、今では誰もが知っている東京の地名や校名も、何故か垣間見ることさえ許されぬ世界に見え、それを想像しながら読み進めていった。清顕の聡子に対する叶わぬ愛の行く末は輪廻転生を超えて成就されるのか。そして清顕が今わの際に本多に遺した「又、会うぜ。きっと会う。滝の下で。」の台詞の意味は何なのか。その意味は次巻「奔馬」で判明するのだろうか。
優雅で美しいのに醜い感じのする大人たち。 それに染まりかけている二人の関係はどこか打算的で、清顕は特にイニシアチブを握ろうと必死になっている幼さが見受けられました。そしてその描写が恐ろしくうまく、端整。 中で、清顕のいう、「松枝家に刺さった優雅という棘」という表現が気に入りました。自分に対する皮肉な評価は彼の自分の特異性を鼻にかけて、生家を見下しているような感じがしました。 法学に対する、三島さんの考えと見られるような文章もあったのも印象的です。
清顕の聡子への感情が、果たして恋や愛と呼ばれる感情なのかには、やはり議論というか認識の個人差が、どうしても生じてしまうと思う。ただ、その感情の激しさと、屈折した真っ直ぐさだけは、誰も否定出来なのではないだろうか。
春の雪―豊饒の海・第一巻の
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