堕落論 (新潮文庫)
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堕落論の感想・レビュー(554)
【堕落論】価値観が崩れ、混乱した世の中で安吾は書く。<戦争に負けたから堕ちるのではないのだ。人間だから堕ちるのであり、生きているから堕ちるだけだ。>そして人の如く、日本もまた堕ちるべきだと。何だか荒いが、リズミカルな文章。歯に衣着せぬ物言いに胸のすくような思いもするが、あまりの切れ味に、反発心も湧く。現状(いま)を、疑え。日常が、非日常になった。当たり前が、当たり前ではないと知った。そんな時だからこそ、堕ち、見極める。安吾のメッセージが心に響く世の中である。
否定を肯定、肯定を肯定する…。どうしたらそれが出来るのだろうか。結構そういうの多いような気がする。こうすれば良い、ああすれば良い…。けど肝心などうそれが出来るかということが説かれてない。それでは、実際に「はー成程」と思っても、実生活では行き詰るしかない。なんて孤独なことだろうか。
「人間は生き、人間は堕ちる。そのこと以外の中に人間を救う便利な近道はない」彼のいう堕落とは、社会のシステムやあらゆるしがらみから自由になり、裸の自分について、とことんに考えを巡らせることではないだろうか。とことん堕ちるには力がいるという。孤独のなかで、なににも依らない自分を見つめるのは楽なことではないだろう。だが、そうすることでしか見いだせない光もあるのだろう。
慎太郎の新・堕落論を買ったついでに購入して積読状態だったのものを読了。所収の「ヨーロッパ的性格、ニッポン的性格」でザヴィエルの布教について書かれた部分があった。最近読んだ『侍とキリスト』の中に出てきた禅宗の高僧が「悟りの内容の空虚さがわかって」しまい、「実践の目標の判っきりしている」カトリックに改宗しようという史実が印象にのこった。
周りの意見や感情に惑わされずに論理的に公平に物事を見ているように感じた。それも、教祖や死者のように達観せず、あくまでただ生きている人として。この本では、堕落とは人間本来の姿、生きていく上の俗な部分のこと。堕落自体が悪でなく、それを取り繕うとすることを悪としている。歴史家と探偵の類似性なども面白かった。
要するに坂口安吾はしわくちゃのババアより二十歳の処女が好きなのだな。誰だってそうだ。綺麗なものは綺麗なままに。しかし、人は生きているから堕落する。それは義士も聖女も変わらん。近頃のだらけた生活も私が生きている故仕方ないのだなァ。なんて都合よく言い訳してみたり。
全体的におもしろく読めた。以前読んだ安吾の短編集の解説に「坂口安吾の目指す文学はあまりに巨大で不可能」というようなことが書いてあったことを思い出し、納得。確かにこれを形にするのは困難だろうと思うけれど、この巨大さと力強さにとても魅力を感じた。
おもしろいかどうかという評価は難しいと思うけれど、いくつかおもしろいと思う文章があった。「文学のふるさと」「日本文化私感」「堕落論」「続堕落論」「教祖の文学」はまたいつか読み返したい。
「とっくに読んだふりしてたけど、初めて読みました。すいません」シリーズ。青空文庫で、「堕落論」「桜の森の満開の下」「FARCEについて」読みました。堕落論…空襲の後の描写に震災を重ねてなんだか納得。桜の森の…タイトルだけで中二っぽさを感じて半笑いで敬遠してました。こういうの、中二の反動で高二病っていうの?もちろん今は中二でも高二でもないのでただひたすら面白く読む。FARCEに…ちょっと前友人とたたかわせた、最近のコンテンツ論に通じる部分あり。彼女は漫画家だが漫画的笑いの表現というのも変化甚だしいという。ぜ
久々の抜群ではないだろうかと予感させられた『FARCEに就て』。前半はその予感を実感にかえてくれた。けれど『飛騨・高山の抹殺』あたりからどうにも込み入っていて知識が追いつかない。文字を追うように読み通したけれど、ちんぷんかんぷん。まあ、またひとつ不思議が増えたので良しとしよう。
難しかった。堕落論、堕ちるとこまで堕ちて堕ちて見えてくるものがある。確かに狂信的に信じてたモノとか、絶対だと思ってことの誤りに気付くのも、その道で堕ちきってからの発見だなあとか。
文学や藝術、歴史、そして戦後日本の生き方をいまなお力強く感じられる明快な言葉で説く。それでいて、彼の思想(とりたてて「FARCE」や「堕落」というような)は彼以外の言葉で説明するのはなかなか難しい気もし、このエッセイ集の可能性はとても高いと思う。
人間だから堕ちるのであり、生きているから堕ちるだけだ。だが人間は永遠に堕ちぬくことはできないだろう。 堕ちぬくためには弱すぎる・・・ 人は正しく堕ちる道を堕ちきることが必要なのだ。 堕ちる道を堕ちきることによって、自分自身を発見し、救わなければならない。 政治による救いなどは上皮だけの愚にもつかない物である。
難しかった。文体が自由で、読みやすさと読みにくさが共存していた感じ。凄くいい事が書いてあるのだけれど、それを自分で咀嚼しきれず、いまいち理解したと言えない。再読すればまた得るものがありそう。
哲学や倫理や、果ては兵器に至るまで、人間の創造物の何するものぞ。人間の本質を暴かんとする無頼の文学者の、狂気にも似た気概が文章の端々から滲み出ていて、背筋が凍る思いがした。堕落とはすなわち、虚飾を捨てて人間の本来の姿に徹せよ、ということなのだろうか。
著者独特の人生観と、鋭い歴史観に圧倒された。特に、天皇に関する著述の刺激は強い。大学の史学科も、このくらい刺激的な授業をやってほしいものだ…と言ってしまうとやや行き過ぎか。方々に飛び散る論点に読みづらさはあるものの、そこが逆に知的好奇心をそそる。著者がかの時代にとらえた考え方が、今の世にどう通じるかを、時間をかけて考えていきたい。少ない読書経験ではあるが、今までで一番、読後の感覚が良い本だった。
歴史=タンテイ、すなわちさまざまな証拠から真実を探るという考え方、欧米人と日本人の考え方の違い、イノベーションは堕落から生まれるといった、過激でありつつも鋭い考察に思わず唸った。
年代順に著者のエッセイが並べられているが、特に後半の歴史についてのエッセイが興味深かった。然しながら論理の飛躍や極端な発想も多い。原爆は人間の空想の限界を超えているので悪魔の兇器だとか、ストライキを弾圧すべきだといった彼の主張には私は全然与しない。
『競争の作法』のエピローグで紹介されてた『堕落論』。表紙が好みじゃないから敬遠している本が結構あるが、これもその一冊だった。読書をスポイルした堕落の果てに46歳、この歳まで読まなかったのが悔やまれる本が山ほど、これもその一冊になった。その場合、この歳で読めて良かったと思うのみ。この本の場合、精神的余裕が無い年齢で読むのは危険かなと負け惜しみを添付。言葉には「火力」があると、内容よりもその「火力」とか「火花」に感心する、それが当方の余裕で、取り敢えず文章からの暁光をかわしつつ読む。自分自身の…それは難しい…
統制されていて生きることに必死だった戦争中は堕落はなく、自由が与えられ他人を考える余裕が生まれた終戦後に堕落が生まれた、という。余裕から生まれる物は必ずしも良い物ではないのですよね。でも余裕がないとイノベーションも起こりにくい。普遍的な問題
「特攻隊に捧ぐ」の<「強要せられた」ことを一応忘れる考え方>というのは、ダブルスタンダードを意味するのではなくて、原理的に選択する問題(不確定性原理みたいな)のことなんだろう。全体として、今見ると新しくはないけれど当時にこれを書いていたのは驚異的だし、現代ではこの程度の認識は通過していないとマズいはずなのにその手前の言論公表者はかなり多いのでまだまだ本書の有効性は保たれている。
堕落論の
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