草枕 (新潮文庫)
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草枕の感想・レビュー(533)
なみさんとの応酬が好き。よくもまあ、テンポ速くポンポンと人を喰った台詞を捻り出すものだな。こんな会話してたら凡人が詰まらなくて堪らないだろ。
圧倒的な自然描写。そこに混ざる主人公の芸術観。情景だったり草花だったり有名な詩歌だったり、あらゆるものに言及しその美を提示してくる。しかし、どこか靄がかかっている。写真のように鮮明でない。西洋画のように細密でない。この靄こそが漱石の求めたものなんだろう。とても綺麗でつまらないお話でした。
最初は意味知ろうと思い読んでいってたが、頭の容量が超えついていけずぼやっとした感じで読みすすめた。物語という所はほとんどない。自然や物に対する描写が普通の小説よりも多く、細かく書かれている。もういちど読む時にはもう少し情景を浮かべれるようになりたいものだ。
憐れが加わった那美さんの顔ってどんなだろう。ずるいよなぁ、小説って。人情にうんざりして、けど自然を眺めるだけじゃ寂しくて、そういうところから那美さんみたいなキャラが描かれて、それってアニメや漫画にでてくる彼らと共通するものがあるのかもなと思ったり。みんな疲れてるんだよって。
かつて高校生の頃に手に取ったものの、途中で読み捨てていたものをようやく読了(青空文庫でだけど)。当時この本を小説と思って読み始めたから飽き飽きしてしまったのだが、美学観や当時の日本の雰囲気を語る評論と思って読めば実に興味深く一気に読めた。
特に漱石が「詩」をキーワードに東洋と西洋の美的視点の違いを問い、「俗世的な」西洋美術を鋭く批判しているところが面白い。
有名な冒頭、「智に働けば角が立ち」に語る人の世の住みにくさを忘れられるような「非人情」な清涼感が「詩(=美)」と語る漱石は、西洋の美を感情の発露と捉え
青空で。漱石さんは,ときに漢文調で小気味よく言いきっていく感じの文体が好き。何気ないようなことをほかの芸術や比喩を使ってよくもここまでというほど論じていたりするのが新鮮だったり。「非人情」も然り,独自の芸術観とそれを追究する心持ちを追体験させてくれるのが面白い。
俗世のしがらみを嫌う画家が、人情にとらわれない高尚な芸術的作品を生み出す方法に悩みながら、人の少ない里山を旅する話。客観的な立場を意識する主人公の芸術観から、理屈を挟まない、そのもの自身の美しさを表わす芸術が優れているとしている。___ 言葉遣いが古く、数々の芸術作品の引用も予備知識が無かったのですごく難しかった。タイプの全く違う主人公と那美の洒落の掛け合いが秀逸で、他のもっと芸術のたしなみがある人との会話よりも議論らしかったのが面白かった。
画工である主人公の出くわす風景のどれもが美を帯びて立ち現れ、それがまた主人公の思考――というよりも、漢語概念がもたらす極度に理想化されたイメージの連鎖――を誘発・沈滞させていく。初読ではとにかくその軽やかさをとにかく体感。もう一回読もう。
都会に住む主人公が山の中の宿に滞在し、そこで出会った自然と人間たちのお話。風景や人の心情の描写が多く、会話文が少ないように感じた。漱石の小説に出てくる女性は魅力的で素敵だと思っていたんだけれど、『草枕』の那美さんは一味違う。何を考えているかわからない、不思議な女性。どんな女性か気になっていただけに、最後の結末は那美さんの別の一面が見れて良かった。現実逃避するために田舎までやってきたのに、やはりどこへ行っても現実から逃れることなんてできないのですね。
青空文庫で読んだ。昔読もうとして難しい字ばかりで止めた本だった。今また読んでみるとやはり難しい字が多かったけれど、文章がずいぶんと詩的でよくこんな粋な文章や言い回しを思いつくなーと感心した
日露戦争当時に漱石並みに芸術への造詣がある人ってどれほど日本にいたのだろうか? 現在でも数えるほどなのではないか。芸術論のところを楽しんで読める人は希有だろう。おいらのような無粋な輩には主人公の芸術論のモノローグがくどすぎて、ほとほと嫌気がさしてくる。我慢して読めば奔放な那美の描写や、主人公との会話などは面白いし、シチュエーションも悪くはない。最後、停車場のシーンからもっとストーリーをふくらませてほしかった。
色彩表現が鮮やかで、常に色のイメージを提示しているので、文章を読みながら目の前に景色がカラーで広がっていく不思議な体験でした。 那美さんの人間像を最後に変えられたのが印象的でした。主人公の図工も、那美さんと人間らしい恋愛模様を描くのかと思ってたら、その最後の台詞で“人間らしさ”よりも“絵描きの性”みたいなモノで終わられて、ちょっと怖い。読みにくかった部分も多いですが、中国かどこかの昔の漢字表現のおかげで美しい文章になっているのだと思う。 最終的に『こころ』『それから』の次くらいに好きな作品だと感じています
「我輩は猫である」「坊ちゃん」は読んでいたのでとりあえず初期代表作を読破してしまおうと手に取りました。とにかく主人公の語りが難解。あらすじにある絢爛豊富な語彙が全然わからない言葉ばかりで注解を行ったり来たりしたもので酔っぱらいそうになりました。途中の会話文でやっと一息いれながらほうほうのていで読み終えた感じで味わえたかと言われると勉強不足でしたと言うしかないような状態でした。主人公の本の読み方は面白かったけれど自分では絶対やらないだろうなぁ。
美しいものをより集めたような小説。でもそればっかりが180ページも続くのは退屈。退屈とか言っちゃうのは僕が人情の側にいるからで、やっぱり小説には物語の筋を期待してしまう。美的な何かを小説に求めることは少ないように思う。個人的な話になるが、僕が詩集を好まないのも同じ理由。逆に明治大正の文人が詩を好みがちだったのは、それを通して日常にない美に触れたかったから、なのかなあ。
漱石が熊本の五校で教鞭をとっていた時代に小天温泉(玉名市天水)へ旅をした経験をもとに書き綴った小説ということ。YouTubeにも天水の映像があり、小説のカバーさながらの自然がとても美しい。満州に戦争に行く那美さんの従兄弟や、出稼ぎに行く元旦那の登場が時代背景を映し出し、大自然に囲まれた田舎にそっと忍び寄る現実を認識させられる。
冒頭とか特に顕著だが場・状況ごとのリズムや語感を重視しているのかなって印象。「意味はわからんが、何か良いな。この言い回しや雰囲気」という感じ。内容はつかみ辛い。つかまなくても良いのかもしれない。ロックバンドのコンセプトアルバムとかこんな感じだよなと思った。意味はよくわからんけど、やりたい事や表現したいことはわかるし楽しめるというような。
不思議な本だった。なるほどと納得する部分もあれば、意味がわからないものもある。のどかというか、優雅というかゆったりとした空気が漂う一方で、最後は戦争に突入していく独特の暗さがある。
1988年12月第88版を読む。 冒頭の有名過ぎる文は以前から知っていたけれど、以降を全く知らぬまま読み進めた。予想と全然違っていた、そして難しい><後の注釈と辞書に首っ引き^^;大文豪の作品に私なんぞがケチをつけるのも何だが、言いたい事は分かるけど持って回った言い方すぎて肩が凝る、という感じ。結局、冒頭の文章だけが短く纏まって、言い得て妙。
この小説が伝えようとしていることは今までに読んだ一切の小説と異なっていた。常につきまとった違和感は、この作品が明確なイメージを指示しない語を駆使して作られていることによる。これらの語彙をもって読者に最大限の想像を強い、「想像的なもの」のもつ力の価値を説いた、ということだろう。
「物語の筋なんかどうでもいい」小説と思って読んでいるとぎょっとするような台詞だが、これは草枕全体を表す言葉でもある。椿。湯けむり。蜜柑畑。ぽつりぽつりと漱石独特の言葉で語られたかと思う間にブツリと途切れ、長い会話がそれに続く。なんだこれはと驚くが次第次第にその魅力にはまってしまう。言葉が美しいのだ。会話が面白いのだ。目で追うと分かりにくい。しかし声に出して読むと、句読点の置き方が、台詞のひとつひとつが心にしみる。
夏休みが近付くと読みたくなってしまう本の一冊。漱石は夏休みが似合うのは読書感想文とか書いてたからかな?教育ってほんと洗脳ww言葉というか、文章が素敵で、可笑しいところもたくさんあって、でも暗い部分も同時に兼ね揃えてるところが好き。兎角に人の世は住みにくい…
再読。読んでる端から言葉が絵に変換されて快感。五感を使って読む小説。温泉のシーンなんかはとっぷりと一緒に湯に浸かっているよう。何度も読み返して新たに発見できる本。
絵師が主人公で、なるほど色とりどりな小説であると思った。この小説の見所はなんといっても冒頭数ページに渡る詩情豊かな生の描写である。この部分を読んで一気に小説の世界へと引き込まれてしまった。
そのことば以上の思索を文章に込めて漱石はこれを綴ったのだと実感します。 話を、というよりは、文章を楽しむ本。読書というのはひとつの旅をすることなんだと改めて思い知らされました。
「世間普通にいふ小説とは全く反対の意味で書いた」、限りなく絵画を志向した小説。しかし私は読んでて「ジャズみたい!」と思った。この闊達な文体の小気味よいリズム、そこへ美しく滑らかな言葉を配列していけば、那美さんや理髪師との軽妙な会話や本書を彩る朗らかな春の山々の描写など、数々の風景が織りなすハーモニーが生まれる。そうして画工の内側から融通無碍に溢れ出る芸術論はそのままインプロヴィゼーションのようだ。まずはこのさやさやと流れる春の河に身を沈めるのがいい。春の美しい感じ、読後はただその一点が私の心に漂っている。
「山路を登りながら、こう考えた。智に働けば角が立つ。…」という名文句から始まるこの本は漱石の芸術観が如実に書かれている。所々読みにくい部分があるが、終盤に出てくる漱石が作った漢詩『春輿』は鳥肌が立つシロモノである。それを読むために読み進めるのも一興かもしれない。
現実は不治の胃病に苦しみ、そして戦時が待ち受ける。そのような、ごたごたした乱世を描くよりも、本当は、本当に存在したかった世界は、とて、描いた本かもしれない。
第1章における絵画論を利用した山道での視点、情景の変化。お那美さんとの、小説論を絡めた遠回しな男女の駆け引きなど、奇跡としか言う他無い。
漱石の芸術論が綴られている本。坊ちゃんやこころと比べると読みにくいが、漱石のすばらしい感性に引き付けられてしまう。もはやストーリーは問題ではなく、一見難しい文章の中にちりばめられた漱石の博識やセンスのよさに感動した。また、土左衛門に風流を見出だすユーモアもあり面白い。漱石の才能には驚いた!
草枕の
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