晩年 (新潮文庫)
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晩年の感想・レビュー(637)
どれも甲乙つけがたいくらい面白かったけど、個人的には『猿ヶ島』、『彼は昔の彼ならず』、『思い出』、『道化の華』が特に面白いと感じた。『猿ヶ島』は、結末に向かうにつれて、自分の中にあった予想が裏切られるし、『彼は昔の彼ならず』と『道化の華』は、太宰氏のダメ人間っぷりが存分に味わえて面白い。『思い出』は、感傷癖がある自分にとっては、どストライクな作品だった。短いし、軽いし、読みやすいので、この本から入ってみてもいいかもしれない。
やはり処女作とだけあって初々しい。後期作品よりも実験的な試みが見られ、若い太宰の懊悩が感じられた。これから熟成されていくはずなのに、「ロマネスク」など完成された作品が多くて驚き。
読み始め、短編集と思わず読んでしまいました。猿面冠者が一番琴線に触れる印象的な作品でした。 全体を通して、自分の読解力のなさが露呈されてしまったので、時間が経った後、また読んで見たいと思いました(^^)/
(道化の華)美しい感情を以って、人は、悪い文学を作る。(逆行 盗賊)吾は盗賊。希代のすね者。かつて芸術家は人を殺さぬ。かつて芸術家はものをぬすまぬ。おのれ。ちゃちな小利巧の仲間。(玩具)私は貧乏がきらいなのである。生きている限りは、ひとに御馳走をし、伊達な着物を着ていたいのである。さて、太宰初期の短篇集。斜陽、人間失格と言った晩年(!)の作品に比べると文章に苦心している様を感ずるが、傑作への萌芽は十分に見られる。
驚いた事に、私はこの小説を通して太宰と乾杯を交わしてしまった。読者に対して直接語りかけてくるような作風は、筆舌に尽くしがたい感情を私にもたらしてくれる。美しい感情をもって、人は悪い文学を作る。ならば、私は感取をもって応答としよう。不尽。ごちそうさまでした。
本当に本当に久しぶりに読んだ太宰治作品。こんなに青かったのかとちょっとびっくりするところもありましたが、やはり文豪。なんだかんだと飽くことなく読み進めました。きっと時代を超えてこのグルグルとした感情に共感する人は多いに違いない。
本当に作品によって相性の落差が激しい。エライてこずってしまった。「葉」や「逆光」「陰火」「めくら草子」辺りは支離滅裂に感じてしまい、まったくついて行けなかった。たいして「思い出」「列車」などのストレートな私小説や「魚服記」「猿ヶ島」の童話は儚い美しさが心地良い。特に気に入ったのは「道化の華」「猿面冠者」「玩具」などのメタな構成の作品。グダグダとうっとうしい言い訳を綴る太宰がいとおしくさえ思えてきて、とても身近に感じられた。やはり生きづらい人だったのだろうな。
30を過ぎたらば、少しずつ読む力が得られているかと考えていた太宰文学。原点といわれる当作品集から始めてみました。断片の羅列がリアリティある迫力をもつ「葉」、自らの生き残った罪に苦しみ、同時に文学的原点と葛藤をそのまんま力強く投げ掛けてくるような「道化の華」が特に好きです。けれども、この作品集のために生きたとまで言った太宰の苦しみをもっともっと浸透させるために、何度も何度も読まないといけないと感じています。この迫力に身震いする感覚はきっと忘れられません。
道化の華は、自殺前後の心境を語っているのが興味深かった。文学に対する悩みが表れた手法も面白かった。自殺の理由が特定のことではなく、色々なことが相まったものだというのは、まさにその通りなのだろうと思った。
太宰治の著作で好きなものは新潮文庫の「走れメロス」で大体まとまっていたので次に何を読もうか迷っていたのですが三上延さんの「ビブリア古書堂の事件手帖」で関連があったので興味がわいて読んでみました。読んでみるとあれあれ読んだことのある作品が多いなと思ったら以前に新潮文庫以外で「晩年」読んでいたみたいです。しかし、読む時期が変わることで受け取り方もかなり変わってきた様で今回は「思い出」「道化の華」「猿面冠者」「逆行」などの赤裸々で共感すると精神的に痛みを伴いそうな作品がとても印象に残りました。
遺書として書かれた短編集にしては悲壮感は漂っていませんでした。冒頭の、夏用の着物を貰ったから夏まで生きようとする考え方にどこか共感できるものがありました。
一番好きなのは『道化の華』。後の『人間失格』の一場面を取り上げて詳しく様子を、シーンの間に筆者が顔を出して、今まさに書いているこの文章について駄文だうんぬんと言う、という前衛的な手法で描いている。自殺未遂語の病室という重苦しげな雰囲気だが、友人二人と看護婦との会話がなんだかユーモラス。でもやっぱり根底には暗~いものが漂っているような感じ。『葉』も良かった。意味が分からないところばかりだけど、断片的な場面が脈絡もなく展開していく。私の見る夢ってこんな感じ。
所々わからない部分もあるけど太宰治の不安定な気持ちが伝わってくる。虚無感とか自己嫌悪とか、きっと彼がとても澄んだ人だからこそ考えすぎてそういった思考になってしまったんではないかと思った。彼のように思い詰めて壊れそうになるくらいの生き方を自分はしているだろうか。
これまで読んだ太宰治作品は教科書にあった『走れメロス』くらい。まずは処女作から読んでみようと思い手に取った、この『晩年』。一つ目の短編「葉」から衝撃を受けた。これまで太宰治を読まずにいた事を激しく後悔。これからじっくりと彼の作品を読み進めてゆきたい。
個人的に私小説があまり得意ではないので、全体的に苦手な感触が残りました。著者自身が創作に行き詰っていることそのものを小説仕立てにして吐露している感じの作品が多い気がします。その中にもユーモラスなものも入っているのが短編集の良いところで、そういった作品で息抜きできるいいバランスの一冊でした。心中事件直後に書いたらしき短編はかなり興味深かったですが、その辺は著者の略歴をある程度把握してから読んだ方がいいかと思います。
センスの塊だと感じた。これが処女作というのだからさらに驚き。『道化の華』や『魚服記』は太宰自身の作者としての目線が感じられ、アバンギャルドで斬新な構成となっている。今の時代でも古臭くなく、ただ単純におもしろく読める一冊である。
恥ずかしながら初太宰 不器用で甘ったれだけれどとても人間らしくて 愛おしいとおもった すべてとは言わないけれど、誰もが近しい思想を思考を苦悩をもっているんじゃないかと 死のうと思っていたけれど 短いながらも生き長らえてしまったのは それでもこの世界を愛していたのじゃないか ねえ いつだって生きにくい世の中だとおもうよ
太宰アレルギーの自分でも楽しく読めた。後先も人目も気にせずに自分へ他人へと毒を吐いていく作品たち。人間失格とかの太宰の文章はきらいなのが多いんだけどこの作品集の文章はなぜか好きなのが多かった。
買ってから短編集だと知って読み進めていった。個人的には彼は昔の彼ならずや思い出が気に入った。太宰のすごさを再認識した一冊。そしてやはり文章が綺麗で読みやすい。一行にこめることのできる表現の量や質がすごいと思う。
やってみて結局だめだったり、自分の限界を知るだけの結果に終わることが怖くて、真剣に書くことことができない。そしてそのことを自分でも分かっているから、たとえば「道化の華」では葛藤の表れとして作者が顔を出したり、「彼は昔の彼ならず」においてはそういった自分を客観的に捉えて書いたりしている。結果として、「書く」ということについての優れた小説集になっていると思う。
15作収録の短編集。私には難しくてよく判らない話もあったが、一番好きなのは「猿ヶ島」かな。「思い出」はぞくぞくした。太宰治の文章は美しくて酔いしれる一方、自分の心の中を覗き見されているような恐怖にも似た感情が湧き上がる。不思議だ。
いくら自分をモチーフにしていても、これは小説だ、創作だ、とは分かっているものの、主人公=作者本人と捉えてしまう。抵抗なくすっと入ってくる文章に加えて、その主人公=太宰治の後ろめたさや卑屈さに対する共感が、太宰文学の麻薬性なんだろう。
先日読んだ人間失格で作者と、彼の最初に出した本作の特異な背景に興味が湧いたので読んだ。素直な作品、幻想的な作品、気取った作品、滑稽な作品、恥ずかしくなる作品。話ごとに作風がガラっと変わるので、読む人によって、更に言えば自分自身でも読み返すたびに好きな作品が違ってくるだろうという気がした。特に良いと思ったのは無理矢理3つに絞って「道化の華」「彼は昔の彼ならず」「魚服記」。いずれ再読しよう!
数年ぶりの再読。日本の小説家のなかで文章に関しては最大の天才というべきだろう。「死のうと思っていた。ことしの正月、よそから着物を一反もらった。お年玉としてである。着物の布地は麻であった。鼠色のこまかい縞目が織りこめられていた。これは夏に着る着物であろう。夏まで生きていようと思った」(「葉」)。僅々百字程度の文章のなかに、鮮やかな世界がある。余談ながら、手元に筒井康隆編『実験小説名作選』(集英社)という文庫本があって、それには本書収録の「雀こ」が収録されている。もし私が編者であったならば、(続く→)
太宰治のデビュー作となる短編集。自叙伝のような小説が並んでいて、生まれ持った自尊心の大きさと、それにつきまとう傲慢さへの自己嫌悪への苦言が見て取れる。いま読んでも文体以外は全く古びていないところがすごい。
太宰らしい作品で好き。短編なぶん読みやすいけど、「人間失格」ほどの重さも感じなかった。まあ一長一短だけどさ。とにかく、太宰を語るには避けられない作品なのは間違いないと思う。
太宰治の処女作であり、自殺を前提に書かれた言わば遺書のような作品。晩年というタイトルは短編集として発売される際に付けられ、最初は様々な文芸誌に発表された短編だけだった。自虐的でかつ、そんな心に羞恥心すら覚えていまう俯瞰の目をを持ち、歯がゆさだけが残る心象が複雑に入り交じっている。これは太宰本人か?それとも俯瞰視した太宰なのか?それとも…そんな心の揺れ動きが微妙に描かれている。そして、その独特の作品に対する接し方がセンセーショナルで文豪の仲間入りを果たす作品として捉えると感慨深い。
晩年の
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