掌の小説 (新潮文庫)
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掌の小説の感想・レビュー(205)
ようやく読み終わった。全122編。細かい物語が細切れで途中まではかなり落ち着かなかった。正直、私には前半部分が退屈。後半、特に第二次大戦の描写が現れてから後の小説の方が面白く感じた。
掌の上で転がるような百編あまりの小説たち。小説の出来の良し悪しは、この本の中でもやはり大きく差があると感じられた。川端の小説はこれにとどまらず色々と読んで行こうと思う。
一編一編が短く、酷い言い方をすればオチ(らしき)ものがない(話も多い)。それでもその前後を自分なりに想像する余地があるものばかり。電車旅のお伴に最適。何度読んでもその時々で感じ取る印象が違うものになるはず。
手のひらから、たくさんの原石が、きらきらとこぼれ落ちるような小説でした。光るものも光らないものも、川端康成の気持ちみたいに両掌から溢れているようでした。
掌編集。偉人の妄想日記盗読み的な背徳感が。唐突に始まり唐突に終わってゆく様子はモロに思考の抜粋。日常の思考を物語形式でメモしたのだろうかと思うほど臨場感に溢れ非常に生々しい。そして流石は文豪、短い中で個々が強烈なメッセージを放っている。更に彼はとても人が悪く(照れ屋でもあるかも知れないが)根性の悪い描写に一々共鳴してしまった己を責め苛んで来る。弱った。しかしそれ以上に面白い。広がりを見せる物語に思考が忙しなく踊る時間を堪能。122もの世界に触れた脳が少し驚いている感じがする。
ちょっと駆け足で読まざるを得なかったけど、味わい深い話はちらほらと。何にも縛られてないときに毎日数篇ずつ読むのが理想的か。しかし「雨傘」は至高だと思う。昔から川端といえばこの作品が大好き。
最近味わう機会のなかった日本の言葉を堪能させてもらいました。寺田寅彦の柿の種しかり、やはり短編は味わい深い。時代ごとにキーワードみたいなものがあるような気がする。次回は掌が何回出てくるか数えてみよう。
うーん、川端にしては思ったほど文章を味わえるところは少なかったかも。期待しすぎたか。でもこれだけの短さに作品を凝縮するという点ではすごいし、勉強にもなりました。一読して印象に残ったのは『バッタと鈴虫』の子供たちの灯篭の美しさと人生のはかなさ、『門松を焚く』の泥棒が怖くて眠れない老夫婦ののほほんとした離婚相談。こんな会話ができる夫婦、いいなあ。
百十篇あまりの掌篇で構成された本作、なかなか一筋縄ではいかない。ひとつひとつ味わうのもよいが、様々な共通要素を見付け、並べ替え、集め直すことでいろいろな発見ができるに違いない。正解のないパズルのようなものだ。
一篇一篇が小宇宙を形成し、それらが全体として大宇宙を成しているような一冊だ。時に冷徹に、時に温かなまなざしで人間を描き切っていくその芸術的な職人技に痺れた。
全て読み込んだわけではないけれども、精読すると一行一行に技巧が凝縮されているのがよくわかる。短い中で読者を唸らせる秘密はここにあるみたい。そういう技巧や「美しさ」を楽しめるなら、素晴らしい一冊であるといえる。
掲載が前の方の作品と後ろの方の作品で味わいが変わってるような気がした。前半は物語的、後半は写真的という印象。しかしいずれにしても川端康成の感触のある文体に惹かれる。特に印象に残ったのは「百合」「不死」で、こういう「比喩でない」作品が前田は好きだ。
さまざまな余韻を残して終わる掌の小説が100以上も。本当は、いつまでも傍らに置きながらもっと大切に読む本なんだろう。(ぱらぱらどんどん読んでしまったけど) ごくごく短い物語なのに、何倍もの長さの物語を読んだようだった。印象に残るのは「火に行く彼女」「日本人アンナ」「海」
「美しい日本語が読みたい、でもあんまり長いのはいやだ」とわがままなリクエストをされたら、とりあえず差し出すことにしている一冊。緑青色の湿度、翻る赤い衣、割れたびいどろのような極彩色の日本がひたひたと。
なんて妖艶なんだろう・・・・・・。書かれている時代のことなんて見当もつかないのに、目の前に明治が広がり、大正が映り、昭和が流れた。
私にとって川端さんの掌は無限の広さと深さがあるもので、その果ての無さは宇宙をも思わせる。122篇に及ぶ短編たちはあらゆる表現の美に彩られ、物語の真髄を提示するから、私はその奥深さの余韻を瞼の裏で噛み締める。こんなにも素晴らしい世界と文才を持つ文豪を捕まえていつも「変態!変態!」喚いてごめんなさい、と思ったりもする。でも私にとって変態は褒め言葉なのでお許し願いたい。というわけで美しい変態を満喫できる一冊だと思います。
500ページ近い文庫本に111篇の短い小説が収められている。 長いもので文庫本6ページくらい。短いものは見開きで終わってしまう。少女に対する好奇心と愛憎が怖いようなものもあって引いてしまう作品も少なくない。悪魔的ですらある。最後に収められている「白馬」は異常な小説。毎年正月三が日をホテルの一室で眠り続け、夢の中に自分を愛してくれた人々を呼び出すという老小説家の話。 睡眠薬と死の匂いのプンプンする怪奇な寂しい掌編。
SS集なのですが、素敵すぎ!なんというか、文章だけでここまで人間の(ていうか女の)体温や吐息まで生々しく著せるというのは、ただただすごいと言わざるをえない。あと、場面の切り取り方の秀逸さに酔うかも。
美しい日本語とすごすぎる感性に圧倒されまくり。なんのオチも意味もなさそうな変態な文章が妖艶でたまらない。金魚と合掌が何とも言えず好きです。
息を呑み、心臓が踊り呼吸が止まり、空気の流れが密になり生死の境のような緊張を感じる。川端康成のある棚にいくといつもそうなる。川端はえろくて美しいがそれは文章の事だろうか。この本を持って風呂やトイレに入ると出られなくなる。冒頭の1ページでは祖父を焼いている山の裏に登っていく。彼の10代のノートからでシーンには欠損がある。なので本に同調していると自分も暫く欠損してしまうだろう。私はこの本を人に薦めない。自分の根底に衝撃を与えるものに簡単に美辞麗句を言えるものか。ひどい作家だ。
掌の小説の
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感想・レビュー:43件














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