光媒の花
光媒の花を追加
光媒の花の感想・レビュー(1418)
いつもながら情景や心情の描写が細やかで美しい。全体は幻想的な雰囲気でありながら、現実を生きる様々な人物像がリアルに描かれている。 6編の短編の繋がりもうまく計算されていて、いつまでも読み続けていたくなるような魅力ある作品。 読み終わった後に、思わずもう一度読み返してしまいたくなるのは著者ならではの筆力。
6話からなる短篇集。それぞれの物語がわずかにリンクしている。 第1話は重く暗い話だったが話が進むごとに、徐々に光を感じられる話の作りとなっている。最初は辛辣な気持ちで読んでいたが読み終わりの読了感はとても心地良い作品だった。
10.3.30.258p。小説すばる。第一章「隠れ鬼」(2007年4月号)第二章「虫送り」(2007年10月号)第三章「冬の蝶」(2008年9月号)第四章「春の蝶」(200年10月号)第五章「風媒花」(2009年1月号)第六章「遠い光」(2009年3月号)連作短編集。
少しずつ話が繋がった短編集。大きな仕掛けやトリックがなくても十分面白い。道尾秀介は単純に文章が上手いから、凄く読みやすい。言葉が綺麗。最後のお話で最初にループするつくりは見事。前半は読んでて辛い部分もあったけど、後半に向かうにつれ光が見えてきたかな。道尾秀介の代表作のひとつになるんではないかな。2012/096
それぞれ「罪」を犯す登場人物たち。少しずつ各自の生活がリンクしていく。 あまり期待せずに読み始めたけれど、グイグイとひきこまれて一気に読んでしまいました。 植物や自然の描写が正確で綺麗だなと思ったら、著者は「木や草や、虫や動物が好きで、森林の勉強をしていました」とのことでした。 http://www.webdoku.jp/rensai/sakka/michi78.html
連作短編。罪を犯してしまった人たちの話。暗いけど、最後まで読めば、救いはあるのだろうか。最後まで読んで、タイトルを見て、いろいろと思ってしまう。
秘めた罪に関する連作の短編集。判子屋さんが主人公のぎくりとする物語から始まり、希望ある物語まで様々。どんな人であれ、どれほどの重たい罪を負っていても、日常生活を営み続けないとならない。不幸な秘密を抱える人々の物語には、重たい空気が漂っていた。
不思議な連作短編だった。面白かったけれども、面白いでは片づけられない。そしてどの作品の主人公も、その後を知りたくなってしまう。一番印象に残ったのは「春の蝶」サチには幸せになってほしい。いや、どの主人公も幸せになってほしい。きっと光が広がっていくと思う。
読了後は良い題名だなとしみじみ感じた。5章の「風媒花」が展開、仕掛けが最も凝っていて好み。短編集ではあるが、基本的に前章の登場人物が関わってくるので一本の作品である。1章から読んでいくと暗い話から徐々に題名通りの希望に満ちた話になる。この作者の暗い話と仕掛けが好きな私としては「こういうのも書けて幅広い才能だな」と思う。むしろ、6章から逆に読んでいくと、これこそ道尾作品という印象をもちそう。
再読してみた。…完全に昨今の「読みやすい」「軽妙な」ミステリィとは一線を画している。文学の匂いがするのだ。連作短編だが、ひとつ一つの短編に重みがある。売れないと次の作品が書けないため読者に迎合した作品に移行する作家が多い中、こういう文学の香りがするミステリィ作家を応援して行きたい。
前半は重くやるせない暗い話が続くのだが、やがて微かな希望の光に包まれるように全体が繋がり、全編読み終えると意外なあたたかさを感じる。この微かな連鎖が巧みで、直木賞候補となったのも頷ける。でも、読みやすい反面、道尾さんらしさは薄いような…?その点はちょっと不満だが、多分こういう作品のほうが万人受けするのだと思う。色んな作風で書ける人なので、新作にも引き続き期待。他の方の感想にもあったけど、未成年に対する性的いたずらの話が多いよね、ほんと。
人の内に秘められた翳りが垣間見られ、繊細な部分である登場人物の機微が描かれていた。連なっている一つ一つの言葉が生き、さらりとした美しい文章となり、出来事が断片的に回想され、どこか幻想的に感じさせられた。全体通して漂う暗いイメージとは対照に最後はしっかりと光が広がるのが印象に残る。
ナイス! ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ -
コメント(0)
- 01/17
登場人物の誰かが他の短編と繋がっていて連作のようだけど、人間の嫌な部分が浮き彫りになるようなダークな作品から光が見えてくるような前向きな作品まで、道尾さんの幅の広がりを見た気がしました。以前の表現より今の方が好きです。やっぱり子供に対して残酷だけど
最初の話が好きだ。自分が中年になったせいか、切ない老人の話には胸が痛くなる。全体的にきれいにまとまっているが、最後がきれいすぎ(まとまりすぎ?)のようにも思えた。大人に罪を被せられた少年の心に、傷は残っていないのか・・・?
裁かれない罪を抱えて生きる人々。救いのない悲しい話が続くけれど、最終章で少しだけ救われた。心ない言葉で傷つけるのも、なにげない言葉で救うのも、人間なんだなぁ。
登場人物が1人ずつ重なっている短編集。前半が暗く救いようのない話で あぁこの作者さんってそうだったんだ・・ちょっときついなとおもっていたが後半が意外で、女教師が主人公の話だったか、救いようのない悲惨な出来事や経験をした人物にも優しい光がふりそそいでいるようでそこがよかったなぁ・・
光媒という言葉は無いようだ。光媒の花とは蝶のことか。はたまた息づく全ての人のことか。清濁合わせ持つから人は苦しむが、喜びも見い出せるというのがメインテーマかな。
★ネタバレ注意★一読後、このすっきりしない思いは何だろうかと考えた。河原へ虫採りに行っていた少年の、最終章での言動に違和感を覚えるのだと気付いた。あのような目にあった割に、ダメージからの立ち直りが早すぎはしないか?と。自分なら、大人、特に親切そうなことを言う人間に対する強い不信感が渦巻くだろう。妹を危険に晒したことへの罪悪感、成人男性全般への恐怖感や嫌悪感にも捕われるかもしれない。考えるほどに、最終章での振る舞いは吹っ切れていすぎるように思えてならない。
蝶が印象的な連作短編集。「水の柩」のインタビューで、"どの作品にも救いがあるように書いている"と言っていたのがストンと理解できた作品。各話で罪を犯してきた人物が悔やみながら生き、最終章で新たな一歩を踏み出していくところに光がある。ニガテな道尾さんにしてはすっきりとした読後感。道尾作品12作目。
第三章までは重苦しい話でやりきれなかったが、だんだん救いのある話になっていくのがよかった。さりげなく盛り込まれた前の話の後日談に救いがあるところもいい。「風媒花」の話が特に好き。お姉さん、策士だ…! 読み終わってからタイトルの意味に気付いていっそう心にしみる。光は希望なんだね。
(☆☆☆☆)短編6編がどこか次の作品と触れ合っていて一つの輪になっている。日常生活や身近な人に潜む秘密や闇。でもどこか救いや光があって不思議な作品だと思いました。
連作短編集。前半3作は従来の著者らしいダークな感じだけど、後半3作は読み終わるとすっきりして、良い順番に並んでると思いました。個人的には5作目「風媒花」が好き。
すべての話が登場人物リレーのように関わっていて面白かった。始めの方はけっこう切ない話だったけど、最後はホッとできる話だったので、気持ち良く読み終えた。久々に道尾さんの作品を読んだけど、レベルUPしてました。また他にも読んでみたくなった。
よかった。図書館で半年待ったかいがあった。この作家は表現力は並々ならぬ才能を持ち合わせており、単なるミステリー作家ではない。
第一章が切なかった。文章力がすごいってこういう文章を言うんだと衝撃だった。カナブンの話が印象的。不安も汚さも虚しさも理不尽も、この世界には溢れているけど、確実に希望も光もどこかにあるんだと、心強くなった。
ナイス! ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ -
コメント(0)
- 12/16
『球体の蛇』と同様に綺麗な題名ですね。光、希望、時間を媒介にした人とのつながり、人の成長を著しているのかなと思いました。白い蝶が印象的です。
★3.5 悲しさと哀しさが、時空を細い線でつながってひとつの物語となっている。今回はどんでん返しなしなので、ちょっと物足りないが、まぁこんな道尾さんも良いじゃないww
第一章からとても悲しくなってしまった。切なくて小さな憤りさえ覚えながら、いつか表紙絵のような明るい光が見えてくるのではないかと進めた。少しずつ登場人物が絡まり、もつれが溶け、救いが見えた時、心の底から安堵した。子供達が苦しむのは辛かった。参りました。
ナイス! ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ -
コメント(0)
- 12/09
短編集。話がつながっていて、人って実は見えないところでこうやってつながってるんだなーって。後思ったのは、人にはそれぞれの、悩みがあるんだよね。みんな幸せそうに見えるけど、そうじゃないんだよ。それが人生なんだよね・・・
「月と蟹」のような静的で美しい描写が続きます。「窓に目をやると、カーテンの隙間から縦長の夜が見える。」なんて思いつきそうで絶対思いつきません。 ストーリーもひねられて相変わらずミスリードしてしまったり、道尾作品の面白さには安定感があって読み進めやすい。 兄妹、姉弟の心の隙間をのぞくように書いた心理描写にはぞくぞくしました。
登場人物が少しずつ繋がる連作短編6編。この作品では季節の温度や風を文章から感じました。「風媒花」のカタツムリなんてアイデアをどうやって思いつくんだろう。モチーフは道尾さんの好きな(?)子どもが向き合う試練。後味の悪いものありますが『球体の蛇』を読んだ時の「今までで一番」という感想をまたここで使いたいです。この後の作品よりも好きかも(話というより文章が)。何故これで直木賞じゃなかったんだろう?
ナイス! ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ -
コメント(0)
- 12/01
さらっと美しい表現ができる作家なんだなと思った。こういう伏線で繋がってる系の連作は好きです。『冬の蝶』のサチは『隠れ鬼』のあの人と同一人物かと思っていたら違ったようだ。何気なくすれ違う人達にもそれぞれ悲しみや苦しみを背負っているという可能性を思い出した。何故それを普段忘れがちなのかというと、皆取り繕うのが不器用なくせに上手いからだ。だからこの連作の人々のような、相手の表面の態度だけで自分を責めたり苦しませたりしてしまうのだ。
2007年~2009年に「小説すばる」誌で連載された短篇をまとめた連作群像劇。『鬼の跫音』ではSという人物と烏が共通して登場していたが、本作では白い蝶が共通して登場し、円環を描くように人間模様が少しずつ重なっていく。犯罪や事件が起きるが、ミステリー色は強くなく、文芸色が強い。前半に性的虐待の話が続き、読んでいて気落ちしたが、徐々に救いのある話になっていく。それはそのまま作者の作風の変化でもある。おもしろかったが、作者の騙りやどんでん返しが好きだった者としては少しさびしい。
連作短編集。主人公達には暗い過去や現実がかかれていて、すんなりよめなくて悪戦苦闘。けど最後にはなんとなく少しだけ前を向いていけそうな感じ。
6話とも完成度が高くて読みやすくおもしろかった。個人的には1編目が好き。あいまいな感じがいい。殺人犯を探したり追う話じゃないからあいまいでいいんだと思う。
それぞれの人生が少しずつ重なり合っていく連作短編集。重いもの、寂しいもの、少し希望を感じられるもの、色々だけど、読後は温かな気持ちになれる。
光媒の花の
%
感想・レビュー:584件















































