追想五断章
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追想五断章の感想・レビュー(1901)
父の残したリドルストーリーを探す北里から依頼を受けた古書店で働く芳光。大学へ復学する費用を賄うため軽い気持ちで依頼をうけるが、ストーリーの中にある事件の真相が書かれていることに気付き
再読。5つのリドルストーリーを探すという点に目が行きがちだが、それは一種の手法にすぎない。この話の本当に着目すべきは不幸だが華麗に生きた男の人生を不幸で光のない人生を歩んでいる男が掘り起こすという構図にあるのではないか。人生に漠然とした諦念を抱きつつ、自己と対照的な人生を眺めそれを確信する。それゆえ結末も救いのないものなのだろう。灰色一色の話でここまで読者を引き込み、完成度の高いミステリに仕上げる米澤穂信はつくづくすごい作家だなぁと思う。
「古典部」以外の米澤穂信さん2冊目。結末が切ないなあ。やっぱり物語には、ハッピーであれバッドであれ結末がほしいです。個人的には。
読了後が、なんとなくすっきりしない。 主人公は伯父の営む古書店に居候兼店番。父親が死に学費が払えず大学は休学。郷里の母からは帰って欲しいと懇願されている。四面楚歌状態の主人公に、「父が書いた5編の小説を探してほしい」とある女性に頼まれる。報酬に惹かれ主人公はその依頼を引き受けることに。 どうにも、話全体が暗くて終わりかたも少し切なく。文章・構成が良いだけにピシピシと主人公の気持ちの底の部分が伝わってくる。
リドルと結末がこんがらがって、自分で表?にしてやっと理解でき、「なるほど」と膝を打った。なるほど。この人の初読はインシテミルだったんだけど、その後数冊読んだ結果、他の作品の方が面白いと思う。インシテミルでやめなくてよかった。もっと読みたい。あと、芳光自身の「自分にも自分の父にも一片の物語も存在しなかった」という追想に「そんな人いっぱいいるよぉ~」と超へらへらして言いたい。耳痛いわ。でもきっと第三者がみたら何らかの物語にはなってる。
5つのリドルストーリー(結末の無い物語)を巡り、著者の真意を探ろうとする物語。終盤は読んでいて鳥肌が立ちっぱなしだった。エロスとタナトスの間を揺れ動く、声なき男の悲鳴が聞こえてくるよう。結局真実はどこにあるのか?愛は存在したのか?全てを語りきらないところが読者の想像力を掻き立ててくれる良い作品。
五つの物語の結末がパズルのように組み合わさって真実が見えてくる…ワクワクしながら読めました!こういう書き方好きです。
亡き父の小説を探すようと頼まれた主人公。探していくうちに明らかになっていく真実。最後の一文という点では儚い羊たちの祝宴に共通するものがある。ややストーリーが薄い気もするが、ボトルネックのような温かい読後感。
久々の米澤さん。うーむ、こういう話だったか。非常に米澤さんらしい作品でした。このダークな雰囲気。亡くなった父の作品を探すにつれ、わかってくる事実。そして、真実。いやぁ、胸に来るものがあった。それにしても、小説の中に小説を埋め込んで、それが全てリドルストーリーで、しかも、○○を○○すこと○○○○、○○○○○○○が変○○○とは(ネタバレなので一部、伏せ字)。凝ってます。堪能しました。
五篇のリドルストーリーと、それにまつわる登場人物の物語、過去の事件…。主人公が謎解きをおこなう動機付けが少し足りない印象もありましたが、著者らしいどこか暗然としたストーリー展開と読者を引き込む文章はさすが。
(1)1番最初に読んだ米澤作品が「インシテミル」だったので、作風が違って驚きました。娘が亡き父が昔小説を書いていた事を知り、古本屋で出会う書店員と探す物語。少し静かなトーンで物語は展開しますが、この空気感はとても好きでした。せつないんだけど、温かい気持ちになった。
物語を探す、というロマンチックな響きを持ちながらも全体的に地味な印象。そこが良い。劇的な展開はなく、ただ淡々と5つの断章に込められた思いを拾い集める、その過程を整った文章が紡ぎ出すだけで、こんなにも楽しめる。さすがの米澤穂信。結末として用意された最終ページの一文……だけど、これは結末ではない。謎かけだ。真実は凍りついている。白黒はっきりつけない余韻が、こんなにも心地よく浸れるものだとは。
切ないんだけど引き込まれる物語。米澤さんの作品の「ボトルネック」「儚い羊たちの祝宴」のような黒さがあった。結末にゾクリとさせられる。リドルストーリーという言葉を初めて知ったのだけれど、それぞれの物語の結末、更にその断章にかくされた父の想い。読んでいて胸が詰まった。そして構成が素晴らしい。
古典部シリーズの予約がなかなか来ないのでこちらを先に。米澤さんは作品を読むごとに、すごいな・・・と思える作家さん。押さえたていねいな文章なのに先が気になってとまらず、物語に入り込んでしまいます。惜しみなく書かれる作中のリドルストーリーがまたすばらしい。このタイトルも装丁もいいなあ。切ない余韻が心に残ります。
構成がお見事!!文章も端正で、米澤さんらしい雰囲気。真実はひとつではないんだということ。自分の気持ちは、自分にしかわからないのだから。『すべてはあの雪の中に眠っていて、真実は永遠に凍りついている』
菅生芳光は伯父の営む古書店を手伝いながら、居候する身。ある日、店番をする彼のもとに持ち込まれたのは“どこかに存在する、私の父の書いた小説五篇を探して欲しい”という奇妙な依頼だった。面白い! 古書店を舞台の出発点に、奇妙な小説(リドル・ストーリー)を探すという設定からしてもうワクワクしますが、人から聞いた話やいくつもの資料から、少しずつ真相に迫って行く展開、合間合間に挟まれる謎めいた“五篇”、ラストで明かされるある仕掛けと、それによって浮かび上がる事件の真実――と構成が秀逸。(コメ欄に続きます)
雰囲気が米沢穂信らしかった。読みながら伏線だろう、これは何故だろう、という点がすべて回収してくれた。しかし直前の帰郷であれほど嫌そうだった実家に戻るという行為への決断の学費以外の経緯があって欲しかった。
学資が続かず大学休学して伯父の古書店に居候中の菅生芳光は、亡父が書いた五つの小説を探している北里可南子の依頼を高い報酬にひかれて引き受けるが、調査を進めるうちに22年前の未解決事件の存在を知る
父が遺していった小説の断片を集め、じわじわと真相に迫っていく感は一気読み。 読後の感想としては『ボトルネック』の時と同じで、しんどい。でも、また読みたくなってくる米澤作品の不思議。
これは一気読みするべき本だった。途切れ途切れでは記憶が薄まり、混乱してしまう。段々と四散した5つの小説が集められていく過程も面白いし、その掌編に込められた想いと、そして最後のどんでん返し。長い物語ではないが、内容は非常に濃い。濃密である。ただ、物語全体が極めて暗い。ユーモアを交え、メリハリがあっても良かったかと思う。「儚い羊達の祝宴」でも思ったが、米澤さんは最後の一文の使い方が上手い。自分もブログで全く違う意味で挑戦しているが、このように上手な使い手になりたいものである。
米澤さんの小説は本当に感想が書きにくい。ミステリ自体がそもそもネタバレを恐れて書きにくいと言うこともあるが、ミステリを根幹にある種のヒューマンドラマを形成していくから性質が悪い。 心に触れた部分がすべからくネタバレになるとは如何にしたものか。うーん。それでも書いてみましょう。 一気に読み切ってしまったが物寂しいお話。苦い話が淡々と綴られる。 読後に残るこの切なさは嫌いじゃない。
しばらく温めていましたが冬休みに入り読入。そして一気読み。 今までにない米澤さんでした。大人、というか全体的に回転数が少なく、温度も低い。けれど嫌いじゃない。 しかし少し切なかった。
古書店アルバイトの主人公が、依頼者の父の書いた5つのリドルストーリーを探す物語。リドルストーリー(=結末の用意されていない物語)なる言葉を初めて知った。行間から古書の香りが漂ってきそうななんとも雰囲気のある作品。そして、リドルストーリーとその結末に隠された父の思い、娘の思い。私にとっては意外な結末だったが、文章のなせる技なのか静かな驚きといった感じ。作中作も含めてこんな構成もあるんだ~と驚いた。「儚い羊たちの祝宴」でも思ったけど、米澤さん、うまいなー。
結末が宙づりの物語(リドルストーリー)を巡って起きた出来事の記憶。個人的にはまさに「ノスタルジー」の物語、衰微した雰囲気の凄まじい物語だった。解決して先に行くのではなく、解決が宙づりになる断章、たとえ解決に見えるものがあったとしても、それは、その先にある「何か」のためのもの、未来へ繋がっていくものではない。「追想」ということばの通り、それは死んだもの、もう未来がないものについて思いを巡らすことで、探偵役はじつは探偵でも何でもなく、ずり落ちた場所へ這い戻ろうとしているだけなのだ。ある種誰もがゾンビに見えた。
時代はバブルの弾けた直後、主人公は冴えない。数ある米澤作品で、ボトルネックよりも主人公が地味。そこが、共感できるかが、一番楽しめるかでは重要。金銭的に切迫し大学を休学中の主人公のモラトリアムが、暗い。それでも、匂いまで思い浮かべる文字運びが卓越。全体的に、じめっとした古本屋の雰囲気そのままです。内容は、主人公がとある因果で、結末の書かれていない5つの物語を集める推理傾向の作品。本書の中の物語が短く、外側の物語より伏線が細かい。読後、そのじめじめした主人公なのに、もう一週して見方をかえたい一冊。
個人的に黒米澤ベスト3に入る話だと思う。最初に読んだ時(初版刊行時)のリーマンショックの閉塞感をこれでもかと思い出した。芳光の物語と対比する章が本当にやりきれない……。
恥ずかしながらリドルストーリーという言葉をこの本で始めて知ったのだが、謎が提示されたまま終わる形式には何度か出会っている。作中に記されたリドルストーリーは謎を解く好奇心をさほど抱かせない静かで、少し怖い作品。真相よりも父が遺した小説の世界観にひたれた。良作。
ナイス! ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ -
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- 12/11
独特の世界観に気づいたらハマっている自分に気づいた。五つの断章も出てくるタイミングが良すぎて思わずズルイ!と言いたくなる。しかし芳光がほぼ一人で解決までたどり着くのが少々意外で笙子の途中退場や、最終的に伯父さんも特に関わらなくなるのは寂しかった。可南子だけではなく、芳光の追想に繋がったからなのでしょうかねえ。芳光は結局どうなったのだろうか。
憂いを含んだ切なく後を引く余韻が言葉にならない。淡々と進んでいくのに、胸の底に少しずつ重たい石が落ちて溜まっていくよう。亡くなった父が残した5つのリドルストーリーに含まれた意味は、残された者たちに読んでほしい、でも読まれてほしくない、という矛盾を含んでいるように感じられて切なかった。米澤さんらしい、決してスッキリとは言えないラストにやるせなさ倍増。作中作のリドルストーリーも魅力的だった。
ナイス! ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ -
コメント(4)
- 11/30
静かな物語だった。熱くもならず冷めすぎず…物語の中の物語を追うのは謎を深め、読者の想像を掻き立てるのでとても面白い趣向だった。このところ米澤作品を続けて読んでいるけれど、この作品が一番気に入った。表紙の絵も好み。リドル・ストーリーで自分の思いをわかる人にだけ伝えるとような切ない余韻の響きを感じる物語だった。
ナイス! ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ -
コメント(0)
- 11/29
亡き父が残した短編を探して欲しいと依頼された主人公が、短編を通して過去を知る。最後の最後で真実が明らかになる。ちょっと古い時代のお話かな。
追想五断章の
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