オリガ・モリソヴナの反語法 (集英社文庫)
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オリガ・モリソヴナの反語法の感想・レビュー(243)
これで初めてロシア圏でのおぞましい血の粛正があったのを知った。そこで生きた人とたちが一生懸命生きようとしたことを知らなかったことに衝撃を覚えた。
米原ファンとして、素晴らしいの一言。本作は故郷ロシアを訪ねる日本人女性が主人公の小説(フィクション)だが、米原万里自身が故郷プラハを訪ねたエッセイ(ノンフィクション)「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」での実体験が下敷きになっていることは間違いない。小説と一緒に、エッセイも併読することを強く強くお勧めする。日本人にとって馴染みの薄い東欧の民主化の歴史を、これ程、市井の人々の視点で書かれた作品をぼくは知らない。ただ勉強になるだけではない。反語法のオリガ、魅力的で謎めいたそのキャラクターに僕はもうゾッコンだ。
ロシア人の名前には相変わらず苦労させられるけど、読み始めるとぐいぐい引きこまれて読みきってしまった。ソ連時代の粛清政治の異常さの中のある人物の生き様を描いたフィクション。ソ連時代の異常な状態って、今はずいぶん良くなったんだろうけど、今のトップのやっていることをみるとロシアって革命があろうとなかろうと結局何も変わっていないんじゃないかなんてことも考えた。僕にとってロシアは謎の国なのだ。
著者の作品を何か読みたいと思いドゥマゴ文学賞受賞作との紹介文から手にした本。たった一人の選者により選出されるドゥマゴ文学賞。この年の選者は池澤夏樹氏と知って期待がさらに膨らんだ。期待通り、いや期待以上の素晴らしい作品に出会えた。読書する喜びとはこういう作品と出会えること。最後の一行を読み終えた時自然と涙が流れた。暗黒の時代を生き抜いた女性たちが、どんなに虐げられた環境にあっても誇りを失わず毅然と生きる姿に尊敬の念を抱いた。絶対的な支配者をたじろがせるオリガの姿が悲惨な話から目を逸らさない勇気をくれた。
題名と表紙絵で損してるな、馴染みのない外国名と反語法というと、難しげな文法の話かと思って手に取るのを躊躇してしまう。でも、それは誤解で、とても読みやすく、ずっと謎解きに追われてどんどん次のページが読みたくなる本でした。スターリン独裁=共産主義でありながらの気に入らないものは粛清、強制労働送りになる時代やベリヤの悪行が語られています。話がすごくリアルなんですよね
ソ連の歴史に疎い私でもすんなり読めた(もちろん時間はかかったけど…)。実際にこんなことが起こりうる時代がすぐそばにあったなんて、怖い。謎が謎になる前に解かれていくからなんだか奇妙な感覚のまま読み進めてしまった。
あぁ、すごく面白かった!壮大な謎解きと、歴史的な出来事、運命に翻弄されながらたくましく生きた人々の姿が絡み合って一気に読み進めてしまいました。ラーゲリでの過酷な日々。長い年月。酷い運命。だからこそ、ジーナを迎えてから3人で幸せな日々を送ったことを願って止みません(フィクションだけど…)。こんなに壮大な話なのにクスッと笑えるところも多い。ラーゲリの文化を物語る用語集のところは私も吹き出しました。本当に残念なのは作者の米原さんが亡くなっていること。若すぎる。アルジェリアの少年の作品、読みたかったなぁ。
主人公やその友人が謎解きの為の資料を読んだり、証言を聞くことに夢中になって時間が経つのを忘れる場面がいくらかあるが、この小説を読んでいるとまさにそうなる。
とにかく、力強い小説だ。悲哀も含めて、「生きる」ということを全力で肯定している。参考文献を大量に駆使したスターリン時代の粛清の様子は勿論、崩壊直後のモスクワの状況も興味を引く(救急車が白タク・・・)。ソビエトという制度の中で、オリガたちの世代だけでなく、ジーナ他志摩たちの世代にも悲惨な運命はあった(ついでに言うならば、昔NKVD、かつてKGB今FSB)。だがソビエトの残酷を喧伝する小説ではなく、その中で生きてきた人、そして悲劇を背負っても生きてゆく人を讃える小説だろう。
ソ連・スターリン以来の覇権主義・官僚体制のもとで、こんな悲惨なことが、無数におこなわれていたと思うと憤りを感じるのと同時に、そのなかでも希望を失わず生活していくオリガの強さに感銘した。
内容からそれるけど、藻刈富代(草刈民代)が、父親の財力で亜紀雅美バレエ団(牧 阿左美バレエ団)のプリマを得たと書かれている。ふーん、そうなんだって感じ。
たくさん登場するロシア的な名前に、読んでいる最中はほんの少しだけややこしさを感じたりもしましたが、読み終わった今はその全ての人物を忘れないでおきたいと、そう思えるほど魅力的な人物ばかりでした。
本書はフィクションである。しかしながら、オリガ・モリソヴナは実在の人物で、その特異な人物像の形成過程を勝手に推理し、様々な人々(例えばラーゲリ=強制収容所送りになった)の回想録をつなぎあわせ、でっちあげたのが本書になる。ページターナーではあるのだが、フィクションの部分がウソ臭く、興をそいだ。ノンフィクションである『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』の感動には遠く及ばない。オリガ・モリソヴナの真実は奈辺にあるのだろうか。
ただただ圧倒されました。歴史背景を知っていたらきっともっと衝撃を受けたかと思います。鏡に囲まれて踊るオリガ、エレオノーラの”ありがとう”そして告白。胸に灼きつくシーンが多く、恐ろしく、悲しく、痛い。オリガの反語は、当時の人々の力強い息遣いそのものだと感じました。社会主義とは?資本主義とは?ソ連とは?そして自国の日本は?国とは?等、読了後は暫しぼうっとしてしまい、それらについて考えさせられました。
少女時代を過ごしたプラハのソビエト学校の舞踏教師だったオリガ・モリソヴナという謎多き女性の足跡を辿る志摩という日本人女性を語り手に、語られるのはオリガ・モリソヴナを通して見えてくる混迷極まるソ連という国と闘い抜き、生き抜いた数奇な運命、波乱の人生、怒涛の物語。オリガ・モリソヴナの人生を知った時、彼女の言葉は、より輝きを増したように感じた。
謎解きのような形で進んでいく話にどんどん吸い込まれていった。その中で描かれるスターリンの大粛清期前後のソ連、東欧の歴史に翻弄されるオリガ・モリソブナやエレオノーラ・ミハイロブナの話は胸をえぐられるようだった。
多くの無辜の人々がラーゲリに送られたスターリン時代。「オリガ・モリソヴナ」を翻弄した数奇な運命。エレオノーラ・ミハイロヴナの、ジーナの悲劇、レオニードの哀しさ。それでも人々は生き続けていくいうこと……名もない人々の芯の強さを、ロシアの寒空の下に一種の爽快感すら漂わせながら描ききっていると思う。大詰めになってのミハイロフスキーとエレオノーラのあのどんでん返しは、効いたなぁ。
とっつきにくそうな題名のため、長い間気になってはいたのだけどなかなか手がでなかった…。でもほんと読んでみて正解だった!読みやすいし、なんといってもあの会話文のうまさ!
面白かった!こんなに過酷な運命を生きた人達の話なのに読後感は何だか爽快な気すらした。と同時に、これがそんなに昔の話じゃないってことに恐ろしさも感じた。それにしてもオリガは魅力的なキャラだな。オリガ目線で書かれた物語が読みたかったくらい。
粛清・スパイ容疑・強制収容所…不条理や悲劇という一面だけを見て漠然と抱いていた、旧ソ連に対する白黒調の暗いイメージが、オリガのしゃがれた罵り声で鮮やかに色付きました。知らない時代や外国のことを、簡単に決めつけるのは良くないなあと今更ながら反省。あと、突然藻刈富代を強烈に批判していて笑いました。藻=草、富=民…
旧共産圏で少女期を過ごした作者にしか書けない貴重な小説。ここまで罵詈雑言をまきちらすここまで美しいキャラクターが存在しうるとは!その他、エレオノーラの「ありがとう」などゾッとするような凄いシーンがあり作者の力量に圧倒されます。掛け値なしの傑作です。若くして亡くなられたのが非常に残念。
当時のソビエトは大国だったし、それなりにお金は持っていたはず。それなのに描かれていることは、決して幸せな暮らしではありません。この時代は世界中が似たようなものだったのかも知れませんが、平和で幸せが生活というのが、どれだけ貴重なものなのか考えさせられます。ただオリガも、他の登場人物達も幸せとは言えないまでも、誰かに支配されるばかりではない、自分の人生を生き抜いたのが分かります。暗い時代のお話ですが、読後感はすっきりして、勇気も与えられたような気がします。
私が尊敬する人から勧められた本。それだけに期待していたのだけれど、あまりピンとこなかった。読みやすい文章なのだけれど、中身が私にとっては難しかった。何年か後に読むと、また違う読み方をすると思う。
うーん、あんまりぴんとこなかった。良作だとは思うんだけど、僕の肌には合わない。やっぱり、謎解きを軸に読者を引っ張る作品よりも、物語自体のダイナミズムを求めてしまうのかなあ。
小説という形は取っていても、スターリン時代の恐怖の時代の様子、どれだけの人々が粛清されたか、かなり資料とかも調べて書かれているのだろう。ソビエトの歴史の一部分を書いたものとしても、二人の女教師の過去を探す、ミステリーとしても読める。エッセイを書く人が必ずしも小説を書けるわけではないが、米原万里という人は、エッセイストとかの枠をこの作品で越えたのだな、と思った。新たな小説がもう読めないのが本当に残念。
力強い文章に最初から引き込まれました。おもしろかった。この物語全体が、日本と自分自身を逆さまに写す「反語法」のようにも思えてきます。印象に残るのはラーゲリの収容所で「寓話のおかげで生き延びた」と語る女性の言葉。付録の池澤夏樹さんとの対談もよかったです。
オリガ・モリソヴナの反語法の
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