リアルワールド (集英社文庫(日本))
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リアルワールド 日本巻の感想・レビュー(424)
中二病小説の良作だと思う。桐野夏生の作品にしては珍しく、「著者が登場人物を見下している/バカにしている/突き放している雰囲気」が無い。それどころか妙に愛情/共感を感じる。これは単に一人称だからってものでは無い気がする。女子高生だった時に読みたかった。いや読まなくて良かったのかも。とにかく物凄くリアルに感じた。
なぜこうも簡単に犯罪にかかわってしまうのかなーって考えた。その部分はほとんど描かれていないのだけど、女子高生くらいの年齢って自分は特別な、人とは違う存在だって思ってるじゃないですか。でも心のどこかで平凡ということも分かっていて。だから犯罪と関わることで特別になりたいという深層心理でミミズに関わっていったんじゃないかなって思った。「取り返し」についてはちょっと考えさせられた。そういう見方もあるんですね。
章ごとに視点が変わって、互いが互いに隠してる事や見抜いてる事を毒のある心理描写で描かれてます。これが多視点の一番面白い所だと思う。もう5年くらい後に読んでたら読後感最悪なだけだったかも。女子高生じゃないけど、これはリアルだなと思った。
キャラの、他人から見た自分と自分の中の自分のギャップがあり、見る側に戸惑わせるのは「グロテスク」と似てる部分ではあると思う。面白かったけど「柔らかな頬」と「グロテスク」の重さが好きだった自分としては、本作は軽さを感じてしまって物足りなかった。でも多分それがこの本の魅力なんだと思う。
母親を殺して逃亡する男子高校生と、その逃亡に関与してしまう四人の女子高生の物語。一見明るく馬鹿っぽい交流の女子高生がそれぞれに深い空白を抱えていて、そのことが殺人犯と関わることで徐々にあぶり出されていく様子、人間が深い絶望を感じるとき他者からはほとんど何も見えないという提示が恐ろしくリアルだった。これはリアル女子高生が読んだらグヮングヮン心を揺さぶられそうだな、とリアルおっさんは遠く後ろに流れていった思春期を思い浮かべながら静かに思う。
高校三年の夏休み、隣家の少年が母親を撲殺して逃走。ホリニンナこと山中十四子は、携帯電話を通して、逃げる少年ミミズとつながる。そしてテラウチ、ユウザン、キラリン、同じ高校にかよう4人の少女たちが、ミミズの逃亡に関わることに。遊び半分ではじまった冒険が、取り返しのつかない結末を迎える。登場人物それぞれの視点から語られる圧倒的にリアルな現実。高校生の心の闇を抉る長編問題作。
悪い意味で、多感且つ怖いもの知らずな等身大の女子高生を描いた作品。己の視界が狭まっていることにすら気がつかず、自らが作った世界が全てだと信じきっている様子は読んでいて、痛々しいような、むず痒いようなとにかく不思議な感じがした。正しいとか正しくないとか、そんなことは問題ではなくて、テラウチがとった行動の結末はただただ愚かであるとしか思えない。しかしそこには、青々とひたすらに燃える激しい美しさも存在している。若者の輝きってこういうことなんだね、きっと。
若さや青さや痛さ、少女たちだけが保有することができる要素がよく表れていた。作風としては正直受け付けない部分があるが、狭窄な世界観しか持たない故の小さなリアルにしがみつく少女たちの儚さはよく感じられ、評価したい点。
私にとって桐野ワールドはOKとダメのボーダーライン。どちらに転ぶかは作品による。これは残念ながらダメのほうでした。女子高校生というのは自分で経験があるだけに、身につまされなさすぎて入り込めなかった。
久しぶりに読んだ。桐野夏生の小説は、全てがリアルワールドだと自分は思う。小説を読むときいつも「これは空想なのだ」という考えが頭から離れなかったのだが、彼女の小説はフィクションの癖にリアルを感じさせる。第2のリアルと言うべきか。一癖ある人物ばかり登場するくせにどうにも生き生きしていて憎らしい。 この小説ではテラウチが好き。
テラウチの思想が、恐らく頭の良さなどでは遥かに劣るが、自分にとても似ていたからか、途中で結論が推察されてしまった。自分でも同じことをしたでしょう。
龜に張った水に石を投げ入れるという物語だと感じる。勿論波紋を結び溢れる。その形の多様性。考えさせられるものがありました。
ハッピーエンドじゃなかったけど、だからこそ良かった!!それにしてもテラウチの自論は難しすぎてさっぱりついていけなかった(笑)特に母親への執着は考えて分かるものじゃないな~
みんなに共感が持てたけど・・・一番はトシちゃんかな?高校生だったらもっともっと共感できた!みんな好きだから最後テラウチとキラリンが本当に残念・・・
最初の章でのテラウチの話し方が何ともバカっぽかったのは自分を守るための鎧だったのか…。テラウチはミミズの殺人を「取り返しのつかないこと」じゃないと考えていたけど、テラウチが母親との間に横たわると考えていた悩みの方がやっぱりまだ取り返しのつくことだったのじゃ? と思ってしまう。それは自分がトシを取ってしまったということだろうか。ユウザンとホリニンナはもともと少し距離があったようだし、この物語の後、4人組は完全にばらばらになってしまうのだろう。ミミズとの夏こそが「取り返しのつかない」ことだったということか。
最初のつかみがとても良く、一気に読んだ。女子高生の仲良しグループは、各グループが各々の特性を生み出し、属する女子はそれに合わせる自分を作っていくから、互いに見せない自分ができてしまい、悩んでしまうのか。キラリンは危うく、迎えた最期は残念だったが、その収束の仕方はよかったかも。テラウチはキラリンの死に責任を感じるだろうが、母親との事はそれほど重大事とは伝わってこなかった。悩むことが無くても悩んでしまい、無意識に主人公になりたがっている女子高生の特質を、クールなテラウチもやはり持っていたと言うことか。
桐野夏生独特の作品でした。だいたいが「そこまで行っちゃヤバいだろう?」って所が舞台なのね。状況でも場所でも。本作や「OUT」みたいに「殺しちゃいました」とか「東京島」みたいに「島ですから、逃げられません」って所から始まります(^^);
どうこうした理由でとんでもない事をやっちゃいました〜の過程じゃなく、やっちゃった事にどう決着を付けるかを描いた作品が多いんですが、結末はスッキリしませんね。どれを読んでも(^^);
警察VS暴力団の構図であれば最後には天の声が響いてチャンチャン!なんだろうけど、一般人が
ほかの短編集で「ホリニンナ」を読んで、それからこの本編を読んだのだけれど、終わってみるとずっしりと重いものがある。登場人物たちは自分と同世代であるけれど、私だったら誰の考えも遍歴も性格も背負えない。最近読んだ小説の中で一番「死ぬこと」をずしっとしたものに感じさせられた。
桐野夏生の作品の中で初めて読んだ作品です。よくある、それぞれの主人公で切り分けた視点と思考が面白かったのを覚えています。他の方のコメントにありましたが、多視点連鎖形式ていうんですね。3回くらい読んだと思いますが、実家帰ったらまた読んでみたいです。
桐野作品にしては薄いというか軽いというか。しかしこの年頃の心の動きのあやふやさ自分の不確かさなどは自分の過去を思いだして嫌な気持ちになるくらい描かれているように思います。でもやっぱり桐野作品には立ち直れなくなるようなインパクトある読後感が欲しい。あ、でも同年代が読んだらインパクトなのかも。私は歳をとっちゃったので。
良い娘ぶりたくないとか、怖いもの見たさとか、社会との疎外感とか、環境への絶望とか、逃亡への共感とか色々な想いが積み重なって一つの事件へ集約されていっている。個人的には、今更、共感を覚えることはなく、甘いと感じる部分もあるが、そうかと言って、それだけで切り捨てられない絶望や孤独も見られて、社会の病巣の一つを見せられた気がする。
とりあえず今まで読んだ桐野作品の中では、これが一番読んでてちょっと引きずられる感覚がある怖い作品だった。 ミミズの思考の過程が私にはすごいリアルに感じたんだよね~。
多視点連鎖形式を生かしきったサスペンス。けっこうへんな本が推薦されている「12歳からの読書案内」で知った。仲良し四人組を演じていた女子高生たちの内情が露になっていく事件。 桐さんだから 毒毒しいかと覚悟していたせいか なんだか 爽やかですらある不思議な読後感。いかに未熟で愚かな行為をする者であっても その報いをうけなければならないのは本人。その点において、その者をリスペクト¥しているかのような作者の視線が感じられる。生き残ったトシが仮名を使うのは もうやめる、というラストもいい。
ごく平凡な高校生。でも彼女たちは色々なしがらみの中でもがき苦しんでいる。大人になればたいしたことでもない事でもどうしてこんなに大変なんだろう。友達にたいしても仮面をかぶり、本当の自分をさらけ出すことが出来ない。トシ、ユウザン、キラリン、テラウチなぜ?彼女たちが本当に自分をさらけ出す事が出来る仲間だったらあんなに哀しい結果にはならなかったと思う。
誰しも個人の世界の枠組みを抱えている。その枠組みを知覚しているか否か、枠組みに対して行動を起こすか否か、種類こそあれ各々選択をするだろう。この作品の登場人物達は、枠組みの限界付近を漂っている状態だった。それが1つの事件によって変化していく様が描かれていた。個人的には、テラウチの身体感覚が好きだが、結末としては、果たしてそんな選択でよいのかという疑問も感じた。少し安易かなと。それにしても、作者の超現実観は心地よい。一度は触れてみて欲しいと思う。
リアルワールド 日本巻の
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感想・レビュー:98件














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