逃亡くそたわけ (講談社文庫)
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逃亡くそたわけの感想・レビュー(285)
花ちゃんの「逃げることはできても、逃げ切ることはしきらんよ。地球にいたら地球に閉じ込められてるのと一緒たい」という言葉にこの作品の全てを感じる。逃げてもいいけど来た道を戻るのも勇気。できれば隣に心許せる人を乗せた古い車で。
精神病院に入院している患者が脱走し、あてもなく逃亡し続ける。ただし、呑気に観光を満喫したり何たりしている為に、緊迫感はまるでなく、とても逃亡しているとは思えない。九州を舞台にしており、冒頭では福岡市内を逃走する。自分が福岡住まいの為、プラリバとか高宮駅の噴水とか、よく知る場所が数多く出てきたのは嬉しかった。ところで、明治通りと昭和通りを混同する人が稀にいるけれど、作者もその一人であるようだ(笑)
疾走感がとてもよかった。モノローグは拙いというのかとても感覚的でヒントが少ないが、ふたりの周りにちょこちょこ出てくるちょっとしたサブキャラとの対話なども含めてちょっとずつ終わりに近づいていくカタルシスがある。会話や表現の妙も楽しめる人だけど、なんというか小説全体の波の作り方がとても上手な人なんだなぁと改めて思ったり。それにしてもあとがきがくそ難しくてつまらん。なんかもっと・・・なぁ。
絲山さんの小説は2冊目なのですが、どうしてこうも印象的過ぎる人物が登場するのでしょう。名古屋にも九州にも縁がある私としては、非常に妙な雰囲気の中で読み進んでしまいました。主人公たちは何に急き立てられ、逃げ続けたのでしょうか。「くそたわけ」と何に向かって叫んだのでしょうか。わからないことだらけなのに、気持ちの良い疾走感。不思議です。
ピース又吉の「第2図書係補佐」で紹介されていた。又吉の妄想・暴走振りが面白くて手にした。躁病の花ちゃんが、うっかり自殺未遂をしてしまい精神科に入院させられる。花ちゃんは、この薬を飲み続けていたらダメになってしまうと逃亡を図る。たまたま庭に座り込んでいただけの鬱病のなごやんを巻き込んで・・・博多弁が心地よく若い二人の逃亡劇が全く緊迫感なく、恋愛模様もなく綴られる。そこがまた良かった。二人は逃亡しながら結果、自分自身と向き合うことになるんだよね。迷いながらも新たな一歩を踏み出せるんだろうなと想像しつつ読了。
博多弁を愛する”あたし”が同じ病棟の”なごやん”を引きつれ、昭和の香るクルマで九州を縦断するロードノベル。途中で人情に触れるでもなく、特にいい話もないけれど不思議とサラッと読めた。遠い遠い九州の話かと思ってたら、なごやんは名古屋市名東区生まれらしく、確かにここの地名変わってるよなーと地元民ながら思った。最後に逃亡経路の地図があってまた想像かきたてられた。逃亡中それはダメだろ、ってとこもあったけどそれでも面白かった。
精神病院から脱走した二人組の、九州逃亡劇。躁鬱病の主人公の一人称語りは、読者がおいてけぼりにならないかなと思ったけどそんなこともなく楽しめた。
まともに叙情できない人物を主観者に据えることで叙情を省き、見事に躁のドライブ感が出ていて痛快。そのスピードがゆっくり落ちてくると共に、小説に叙情が戻り、詩情のようなものが出てきて、そしてパッ、と終わる。ロードムービーかくあるべし。でももっと無駄に人物を登場させて、進んでいるのか戻っているのか分からないぐちゃぐちゃとした絲山版『オン・ザ・ロード』を読んでみたいような気も。「あえて情感を描かない」絲山さんの一つの試行なのだと思いますが、絲山さんの紙が擦れるような感情描写が好きな私にはあまり好みではない作品。
ハサミ男は平気だったけど、この本や「クワイエットルームにようこそ」のODは嫌い。たぶん“OD×話のテーマ”みたいなのが苦手なんだな。夏っぽさとかドライブの疾走感とか、九州旅行記として読めば面白い。行って見たいな、と思える文章。ただし、なぜOD×九州ドライブなんだろね?別に躁病&鬱病を主人公にしなくても、いい旅行記は書けたと思うんだけどな~。本は絶対に手放さないつもりだけど、「クワイエット~」に続きこれは手放すだろうな。 【追】躁病…鬱病って、つまりは凸凹コンビを狙ったのかな?
優。躁病で精神病院に叩き込まれた「あたし」は、鬱病の「なごやん」を引き摺って、一路南を目指す。足して二で割ると真人間になりそうな二人が繰り広げる道中は破天荒でありながら、どこか危なっかしさを伴っていて、いとおしい。解放や解脱といった物々しいことがらではなく、自らの心を自らがほぐすという当たり前のことがらが出来なかった彼等が、その糸口をそれぞれに見つけ、日常に舞い戻ろうとする。これを旅と呼ばずして何と呼ぼう。
悪くなかったけど、いくら精神を病んでいても万引きや当て逃げ、無免許飲酒運転・・・ん~もうこの人の本、読むことないかもな。ラスト(ナイスな収束とセリフ)と『4B鉛筆のような柔らかい太さのベース』←この比喩にはシビレマシタ。
★★★☆☆ 花ちゃん・なごやんの凸凹メンヘラ二人(逃亡)旅with軽犯罪。不謹慎にも程があるまとめ方だけど、間違ってはいないと思う。途中、この二人がメンヘラであることを忘れるくらいには、ユーモラスで和む感じだったけれども、やっぱりメンヘラ。花ちゃんの躁っぷりがリアル。躁でも自殺未遂するんだなあ、となごやん見たいなことを思ったり。この凸凹な感じが、この二人にとっての救いの一端になっている気がしないでもないです。ラストは、前向きな未来を予期させるものであると信じてます。面白かった。
キャナルシティ、阿蘇、鹿児島大学前の通りなど、知っている風景が沢山出てきた。 特に宮崎市の街はとてもとても小さいから、彼らが行った店は全部わかり嬉しくなりました。 結局色んなとこから逃げても、逃げ場が少なくなるだけで最終的には袋小路に行き着いてしまうと思うのだけれど、ただその逃亡の中でただすり減ってゆくだけではなく、なにかしら感じるものがあるのかもしれない、と思いました。それが良いものであるのか悪いものであるのか、それはまた別の話。
旅に出たくなる。いまある日常から一回飛び出すことのプラスの面を感じた。現実逃避といわれても飛び出す方がいいときもある。一人旅じゃなくてこの話は2人。旅というか逃亡なんだけど観光しちゃってる。男と女にも友情はある。もし恋愛関係になったとしてもベースに熱い友情があっても成り立つだろう。一人じゃ乗り越えられないことは二人で。そして周りの人に少しぐらい迷惑かけたって。旅館でおねしょしちゃってもwポルシェ破壊してもw解説おれの頭じゃ理解不能wいとやま作品でも好きな方。逃亡は海外じゃなく日本でしましょう。
心療内科をテーマにするのは難しいと思った。すっきり終われるラストを語るのが、病気なゆえに難しいだろうと。九州の方言が多用されるのは新鮮。このふたりは退院したら会わないだろうなぁ。
ピーズが出ると聞いて。夏に読めなかったのが悔しい…!解説がなにを言ってるのかさっぱりわからんかったのだけど、確かに元気になった!
南の言葉は元気だなぁ、言葉がわかればもっとおもしろいんだろーなぁあ
面白くいっきに読んだ・・・心療内科の病棟から抜け出した2人。おんぼろ車を操っての逃亡劇。いったことのない土地ばかりで、いつかいってみたい気にさせられた。寂しくも明るい物語は、イトヤマさんならではじゃないかな。それから、20代前半という彼らの若さと妙な潔癖さも物語に勢いを与えている。
ロードノベルの疾走感と共に移り変わる景色が登場人物の心理と相まって・・・・って事だと思う。そう意味では楽しめたが旅はいづれ終わるけど日常に戻ったらこの二人どうなるのかなとちょっと心配してみた。
精神を病みながらも生きることを諦めない。幻覚・幻聴に悩まされながらもどこかに向かう足を止めない。関西弁ほどのメジャー度ではない博多弁のおかげで自分には読みづらかった。九州の地理を知る読者にはもっと楽しめたのだろう。
主人公二人の「精神病院から逃げ出した」という状況があるから、結構明るいロードノベルなのに、胸になにか詰まったままで話が進んでいきます。絲山 秋子さんの作品だから・・とブンガクを考えなくても、軽く読めば楽しめるのですが、「それから」とか「何だったの?」とか後で思うと妙に残る。それにしても題名が合わないな・・と思っていましたが、最後には「これしかないよね!」と納得。言霊と循環と象徴。
季節は真夏。20代前半の男女二人が自動車であてもなく疾走していく物語。と、爽やかに聞こえるのですが、二人が逃げだしたのは精神病院から。そして疾走するのは九州、しかも、国道。飲むのはアルコールではなくて、向精神薬・・・。まがうことなき青春小説なのだけれど、著者らしく、しっかりずれてしまっています。そういう物語に僕がシンパシーを感じてしまうのは、僕らもずれてしまう可能性を有しているという事を、僕ら深く切り刻むような表現を著者がしているからだと思います。著者のらしさが存分に楽しめる小説だと思います。
精神病院から逃げ出した男女が九州を南下していくストーリー。生粋の博多っ子で方言丸出しの花ちゃん(躁鬱病)と、名古屋出身でありながら東京に固執し、標準語しか話さないナゴヤン(鬱病)の会話と行動がいちいちユーモラスでしたね~。しかも登場するルート、場所、食物、方言等が馴染みのものばかりで大変嬉しくもありました。だけど同時に、病に振り回される二人の姿には笑ってばかりもいられない痛々しさが常に付き纏っていて、この厄介な現代病を生み出す現社会を思えば思うほど溜息ばかりなり。明日は我が身・・・?!
じぶんとかぶる部分がとても多くて、でも爽快だった。名古屋出身のわたしは、なごやんのきもち、なんかわかってくすぐったかった。この本を読んでいまの自分で少し安心できた。いま読めてよかった。
逃亡くそたわけの
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感想・レビュー:85件














ナイス!


































