腑抜けども、悲しみの愛を見せろ (講談社文庫)
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腑抜けども、悲しみの愛を見せろを追加
腑抜けども、悲しみの愛を見せろの感想・レビュー(736)
「お姉ちゃんおもしろいんだもん」から始まる逆転が、見事だった!それまでが重くて重くてどろどろ…と思っていただけに、この逆転は、いっきに「笑い」になった気がする。お兄ちゃんも、この小説にendがついた次の瞬間から「いや~どうもお疲れ様でした~みなさん迫真の演技でしたね!」なんて爽やか好青年で登場するところを想像してしまった。
どんでん返し等は無いが少し不気味な雰囲気が良い。所々言い回しがくどくて読みづらい箇所があった。ラストの待子が手紙をちぎるシーンに待子の人間性がよく出てて良かった。
舞台の片田舎、澄伽の高いプライドと強烈な自意識に基づいた人格、義兄との関係、待子の境遇や、清深の異常な欲求、両親の凄惨な死から始まる物語…すべての要素が拮抗し、物語全体に、えも言われぬ閉塞感を与えている。読んでいて息苦しくなるほどの心理描写に、圧倒された。
良い人が誰も出てこない、のに、みんな不器用でいい人なのだなぁ、という感じ。何度読んでも好き。登場人物の性格のあくの強さと、台詞回しがうまい。強烈に引き付けられます。
自分は絶対特別。実は誰もが密かに思ってることを最高にオープンにして生きる主人公。爽快にも感じますが、ただ現実が見えてないだけの痛い娘にしか見えません(笑)結局最後は妹に一泡ふかせられ、ちゃんちゃん。サクサク行ける台本のような文体は、なるほど作者は劇作家なのね。何はともあれ、隠れた名作になる臭いがします。
とにかくハチャメチャな澄加の行動、言動は爽快感すら漂う。劇作家だけに、会話の掛け合いやテンポがとにかく巧みで、おもしろくてスイスイ読ませる。悲惨な話のはずなのに、全然悲惨に感じないのもこの作者の特徴。
閉塞感の中でギリギリの関係で張り詰めた家族が描かれているのに、陰鬱な気持ちに何故かならない。ある意味でリアルだが、ファンタジーにも見える。こういう危うい人たちを安全なところから眺めているのはやはり面白い。清深ちゃんは身内ですら面白がっちゃってたけど、こういう感覚は多かれ少なかれ、人にはあるもんだと思う。
劇作家だけに、会話部分と話の展開だけ追ってガンガン読んじゃったけど、解説の高橋源一郎の引用部分とか読み返すと「あ、名文」なんて思っちゃったりして
いらない状況描写は斜め読みでいける。しかし、台詞は流石だ。無駄がなくて、いい。キャラクタがいいお味。駄文のいれかたが洒落ている。最後のシーン、赤い封筒の破片がばあーと待って美しそうだあ。澄伽が打ちのめされるのを今か今かと待ち望んでしまいました。
タイトルの強烈さから想像するより本谷有希子の文章は意外と疾走感に頼るものではなくその綿密性。常に目線は舞台作家的で登場人物の立ち位置、扇風機の向きひとつキャラクターも徹底的バランスで作り上げられ絶対決まっていて雑ではない。描かれる“ぜつぼう感”は感情揺さぶり狂うゴリ押し系ではなく冷静平静に組まれた仕組みからのぜつぼう感=どこか安心で面白い。最後の下りはまんま脚本でハリボテ感漂う「赤い手紙」が舞う様をその通り補完すると流血という曖昧なリアルを想像するよりずっと鮮やかに私の脳内舞台を演出。そんな綿密性。
人によっては非常に不愉快になる。でもおもしろい。楽しいなどの種類のおもしろいではないが。映画、舞台、小説と3つの表現方法があるのでいろんな受け止め方ができる作品
タイトルに惹かれて手に取ったら正直肩透かし・・・かと思ったけどそうでもない、と言い切れもしない、釈然としない。嫌いじゃない、かと言って好きと言うには軽すぎる、中途半端な印象。でも、ああ、「感じ」は、「感じ」は好きなんだ・・・!これからひょっとすると化けるのかも、他の作品ならストライク打ち込まれるのかも、そんなもどかしい出会いと印象の本。何にしろ、とりあえずこれをきっかけに本谷有希子、一気読みしました。しかし、思い返すだけでもどかしい・・・。
狂った人間たちの話。なんだか読んでて息苦しかったけど、続きが気になってつい読んでしまった。
最後の清深が一番恐ろしい。
澄伽のあの思い込みっぷりは一体どこから来たのでしょうね?(笑)
主演がサトエリにもかかわらず映画の評価が高い(観てない)ので小説の方を読んでみた。なるほど、迫力という一点から見れば素晴らしい作品だ。怒涛のごとし言葉の奔流が登場人物たちの狂気と怒りを真に迫らせている。が、所作を一々細かく説明するから、親切なようでいて却って場景が頭で組み立て辛い。余白をもって読者に委ねるという作法と真逆な攻め方でとても読み難い。何より展開がこじつけっぽい。どうして話がそっちに進む?とお腹にストンと収まらない部分が多数。皆が異常な人という設定だからといって丸め込むのは納得できない。
強烈強烈、とにかく強烈!少しずつみんながずれていったっていうよりは、ボタンの止め方がわからなくなって無茶苦茶に止めちゃったみたいな、衝撃のあるずれ方。後味はよくはないはずなんだけど、どうしてかすっきりさっぱりと読み終わった。劇作家ってのもあって、舞台や映画映えのしそうな作品ですね~。
登場人物はぶっ飛んでるけれど、話としてはわりと坦々としています。本谷さんの作品では、もっと行くとこまでイッちゃってる小説のほうが私的には好み。なので姉・澄伽以上の妹・清深の異常っぷりは、超好みです。
痛々しくも残酷な自意識過剰モンスターな姉と、一見まじめなメガネっ娘で実は姉以上に怖い妹が辺鄙な田舎家でせめぎ合う。妹の逆襲シーンは確かに劇場でみたいと思わせる鮮やかさでした。
2 人称が混在していてやや戸惑う。それなりに読めるweb小説、といった感じ。 むしろ演じられるのを見てみたい。村、家族、といった閉鎖空間は、同じそれを持つ舞台上でこそ何より生きるように思う。
ギリギリな本。読んでてつらい。だけど引っ張られてしまう。苦しいけど、絶望だけじゃないんだと、泣きそうだけど泣かなくていいんだと。そんな感じの話
激情。常に薄暗くじとりとした空気感の中お話は進む。自分は特別な人間ではないか?割と多くの人が一度は考えた事のある妄想。それなりの容姿となまじ救いようのない奇跡が起こってなければ澄伽がここまで思い込む事はなかったかも。逆を言えば考えた事のある人全員が澄伽になる芽は持ってる訳で。最後まで読んで、待子という人間にこそ狂気を感じてしまった。
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