翳りゆく夏 (講談社文庫)
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翳りゆく夏の感想・レビュー(265)
二十年前に起きた新生児誘拐事件に秘められた謎が、犯人の娘に関する暴露記事を発端に主人公が謎を解明していくというストーリー。誘拐事件は良く練られていて、身代金受け渡しの流れは手に汗握る。時効が成立している過去の事件を、再調査する困難さは想像に難くない。ましてや主人公は一線を退いた記者である。それでも、関係者の証言や数少ない資料を頼りに推理を構築していくストーリー展開はミステリー好きにはたまらない。犯人は全く予期しない人物だったが、推理を聞くとその人物しか有り得なかったと気付かされる。誘拐ミステリーの傑作だ。
辞め刑事の手記に基づく調査により判明する身代金受渡し現場の再現描写の臨場感がすごい。身代金強奪犯人の娘の東西新聞就職内定とその辞退の意向を巡る、新聞社と週刊誌発行社の経営陣を巻き込む動きや人間模様がリアルで迫真感満載。先を読まずにいられないサスペンス感と人間ドラマは圧巻。
おっとりと始まる事件調査。 あとがきにあるように、書き出しのうまさが光る。あっというまに引き込まれちゃいました。大手新聞社の窓際社員が追う事件は、20年前の事件の真相。それほど危機迫る話でもないはずなのに、一気に読み進め、最後のまであきさせず、ラストは衝撃的でしたよ! ミステリーとしても、人情ドラマとしても大傑作だとおもう。
最後まで犯人がわからなかった。だから,衝撃的だった。ただ登場人物が多くて何度か前に戻って読み返して頭を整理しながら読んでしまった(わたしがバカなだけだけど‥)。でも後半は一気に読めました(o^∀^o)
書きたい事書くとネタバレになってしまいそうで書けませんが,ただひとつだけどうしても思う事は,『あの子』のこの先の人生が幸せでありますようにと願わずにはいられません,という事です。
20年も昔の事件の真相に迫る面白さもあったが、それ以上に登場人物の描写がその魅力をアップさせていると感じた。殺人犯の娘である比呂子であるが、それを感じさせない芯の強さや一度見たら忘れないという能力に加えた天然ボケという性格、窓際族かと思えた梶の鋭い追求能力などその一人一人がうまく絡み合い、引き込まれていく。この作者のほかの作品も読みたいと思ったが、あまり書いていないようで残念。
みんな犯人が途中で解ったと書いているのに、犯人の目星さえ付かなかった。いいんです。随分前に私は名探偵になるのは諦めてますから。犯罪を犯した家族が不遇の人生を送らなければならない物語は、読んでいて辛いものがある。直接的に関係なくても、社会から差別される。話の内容は全く違うが、東野圭吾の『手紙』を思い出した。彼女を海外派遣させた社長の配慮に感動した。
読むのにやたら時間がかかってしまった。犯人は途中でわかってしまったが、それでも面白く読めた。実際にあった誘拐事件なども何気に書いてあり、興味深かった。もしも我が子が生まれたときに病院から誘拐されたらと思うと、とても残酷な話だと思う。そして結局はなんだか救われない終わり方だな。
途中で誰が犯人なのかがわかってしまいましたが、それでも充分楽しめる作品でした。一つの事件が起こす影響・・本当に大きい物です。自分のことだけではなく、周りの人のことを考えられたら罪を犯すことは無いのに・・と思うと何だか辛くなりました。
前に読んだ、『月と詐欺師』が面白かったので、デビュー作も読んでみた。淡々とした筆は相変わらずで、さすがの構成。ただ、デビュー作ということもあってか、登場人物のかき分けが甘く、読みわけ辛かったかな。あとやっぱり『月と詐欺師』のインパクトが強くて、今作のどんでん返しも残念ながら薄く感じてしまいました(--;)
途中で山勘的なもので●●(ネタバレのため伏せる)の身元について根拠はないけど気づいてしまったので、どんでん返しの迫力は半分くらいしか味わえず。そうなってしまうと、比呂子のその後より、彼のその後のほうが気になる。誘拐犯の娘より数奇な運命じゃないか。
筆者の本は初めて読んだが、物語の構成力は光ってるいるなと思った。一気に読むことが出来た。ラストの着地点も驚いたし、いい作品を手に取ったと思う。ただし、登場人物が多く視点の切り替えがスムーズにいかない場面や推理が突飛してしまった印象が時折ある。全員が男性だったということもあるが、人物の書き分けともう少し各登場人物の心情を掘り下げた描写があればもっと読みやすく面白い作品になりそう。
20年前の新生児誘拐事件について窓際新聞社員が再調査するのを軸に据えたミステリ。乱歩賞作品にしては珍しく充実した終盤の盛り上がり方で飽きずに読めた。ただ、読み手の読解力が浅いせいかもしれないのだが、登場人物皆が同じ人物に見えてきて少し読みづらい部分があった。主人公がただ一人に定まらないような物語の構成がその最大要因であると思うのだが、探偵小説はやはりキャラクター小説でもあり、魅力的な探偵が際立った存在としてストーリーをリードしてくれるくらいの方が読み心地の良い小説になるのではないだろうか。 5点/10
さすがは賞をとった作品だと思いました。窓際社員の「梶」が最終的には「明智小五郎?金田一耕介?」みたいな立場になったのには子供の頃に読み漁った小説が脳裏に浮かびました。でも最後の推理にはちょっと無理があって一気に解決しすぎのようなところがあったような気がします。それに警察の捜査も誘拐事件なのに杜撰過ぎて現実離れしているような気がしました。この作家さんはまだ追っていく価値はありそうだと思いました。
大どんでん返しの結末。通勤バスでちょこちょこ読んでいたので、いきなりパンチを食らい取り残されたような気がしてなりません。これは一気読みすべき小説ですね。
20年前の事件の再調査ということもあり、登場人物の平均年齢が高い(笑!)その辺りが原因でしょうか。良く言えばどっしりとしていて、悪く言えば躍動感に欠ける。現在と20年前の描写に、空気の違いが欲しいところ。そうは言っても、私自身もすっかり騙され、騙される楽しみもしっかり用意されています。ミステリーはこうでなくっちゃ!
登場人物が魅力的。特に口調がそれぞれの人物像にぴたりとはまっていて、愛嬌があるという言葉がしっくりきます。後半は「こんなところに繋がりがあったのか!」と驚くと同時に、これで良かったのかという疑問も。もう少しマシな解決方法もあったような気がするんですけれどね。
どんでん返しの結末で後半は飽きずに読めました。「スピード感」と言えなくもないですが、ラストがやや唐突だったような感じです。犯人断定の手段が原始的なのもちょっとガッカリ。事件の謎が切なく罪のない彼らには幸せになってもらいたいですね…
有望な若者の栄えある将来を守ろうと、登場人物たちが四方八方手を尽くす。悲劇的な世相を反映した世知辛いミステリが多い中だからこそ、この温かさが胸にしみる。登場人物も義理人情に厚く、それゆえに予想できる結末を否定したくなる自分がいた。誘拐事件の隠された真実を地道な捜査で追っていくので、起伏に乏しい展開かもしれない。しかし、それを補って余りある、主人公たちの熱い想いが伝わってくる。実にドラマティックなミステリだ。
最初から最後まで一気読みできる物語です。見ている最中はとても面白いけど、結末は想像できてしまうというような、よくできたサスペンスドラマのような作品です。ですがなかなか楽しませてもらいました!
深読みしながら読み進めると、先が分かってしまいそうだったので、あえてそうせず、淡々と読み進めた。結果、けっこう楽しめた作品でした。過去・現在、また登場人物ごとに・・・と、場面の切り替えが多い作品だったので、最初はなんだか切り替えが大変だった。ただ、核心へ進むに従いテンポが出て、絡み合っていく展開は面白かった。
特別クセのある文章ではないのに登場人物たちに厚みがあった。なんとなく、懸命に生きる人間たちへの作者の信頼のようなものを感じた。誘拐事件の再現シーンは非常にリアルでページをめくる手が止まらなかった。ミステリとして十分に面白く、話に安定感がある。おすすめ。
面白くて一気に読んだが、似たような話をどこかで読んだ気が・・・。誘拐された子どもがどーなったのかが結構早めに読めちゃったのは残念。「名古屋はトヨタのお膝元」ってのは納得いかない。
登場人物が皆、魅力的だった。ストーリーも中々テンポよく進み、最後まで飽きさせない楽しさに満ちた小説だった。特に、ラストのどんでん返しは驚愕の一言。まさか、行方不明の息子さんがこんな形で早々に出演していたとは。とりあえず、江戸川乱歩賞は伊達ではないと感じた。他にも著作を読んでみよう。
★4 とても面白かったです。ミステリー初心者でも十分楽しめると思います。この作品を読んだ後、何人にか読んで!!と貸し出しました。過去の事件と現在が交差してテンポ良く進んでいきます。最後の1ページまで楽しませてくれます。
杉野社長をはじめとする知的で洗練された立ち振る舞いは、心を揺さぶるシーンが随所に散りばめられ、誰もかれも愛おしささえ覚えた。誘拐事件の真相そのものより、真相を知らされた比呂子の反応に注目していたが、驚愕の事実に圧されてしまい、比呂子の心情をあまり咀嚼できなかったのはちょっと残念。
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