ドーン (100周年書き下ろし)
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ドーンの感想・レビュー(325)
ただのSFものと思っていたら、まさかまさか。登場人物もなかなか頭に入ってこないしストーリーや時制にも振り回された。私にとっては決して読みやすい作品ではなかった。ですが読み終わって立ち返ると非常に残るものがある。すごい作品でした。様々な思想を一冊にまとめ上げ読み手に投げかける。よくこれで一冊の本になったなぁと思いました。お恥ずかしながら、私の語彙力では表現できない。文庫化したら間違いなく読み返す一冊。読むたびに新たな感想をもつことになるだろうと感じます。非常に疲れた本ですが、非常に素晴らしい本でした!!
★★★★☆ 世界の抱える問題がギッシリと詰め込まれた感じ。中盤まで名前やストーリーがこんがらがりながら何とか終盤まで辿り着くも、最後あたりで集中が切れた。。最後が重要なんだと思うんだけど。分人とか散影とかなるほど。
物語の展開よりも、投げ掛けられた問題提起により頁を繰らせる本。分人主義という定義で人間関係を分析する時代はいかにも今後発生しそう。人と人との関係、存在意義、社会で何を成すべきか、情報、政治…現代の我々が常に直面している(しかし時に直視しない)問題の明示。ただ、問題提起の明晰さに比して、進行、文体、人物造形にシャープさと重みが足りないと感じるのは、私がオースターの読者だからだろうか。オースターならこの話をどう描きだすか想像してみたが、そもそも分人社会というシステム設定をしないだろうなと考えたり。
人の良い面も見つけられるだろうに、散影システムに嫌な感じを覚えるのは恥の考えが先立つからかな。誰にでも良い面を見せたいと思って悩んでしまうのが人間じゃないかなとも思う。だから互いに理解できればと思うんだけど…考えがまとまらない。ARの太陽が消える場面が良かった。ディーン・エアーズが予めプログラムしてたならニクい奴だな。理解の及ばない部分もあったのでまた読みたい。
ネット社会の発達によってコミュニケーションの量や質が増すと、個人レベルでは一個人の持つディヴが多様化し、社会レベルでは世論が多様化する。どちらも、今まで最小単位として扱ってきた「個」が更に細分化されてゆく現象である、という点で共通する。「個」の細分化が進むと、その断片同士で矛盾や衝突が生じる。これを調整、統合するためには、それら断片たちと真摯に向き合い続けることが欠かせない。その上で、大切なものを壊さないように、全体をデザインすること。そのような意識を持ち続けなくてはならない時代に、私は生きている。
dividual。個人は分化された複数の自分によって構成されている。親、友人、恋人、どれもその人に対しての自分は違うと言えばわかりやすい。ただディビジュアルという考えは便利だが、あまりその考えにとらわれすぎると、まるでその人の一部分のディヴにしかアクセス出来ない気がしてくる。分人によって構成された個人はもっと流動的なものだから、ある特定のディブに囚われて個人を見れなくなったり、他のディブを見落とす危険性もあるんじゃないかと。ただ個人的にディビジュアルという考え方に救われたし、ここ一年でぜひオススメしたい本
ディヴィはわかるね。演じてるわけではないけど、明らかに人によって変わる自分はいる。けっこうストンとおちたな。にしても、おもしろかったな。これでもかというくらい、人という生物をこねくり回す論理と感情の描写。そこに感情のような風景描写が重なっていき、混濁した感覚を作ってくれる。最後の愛しているがなんか良かったな。
半分まで読んだけど、どうにも読みにくくて断念。読んでて情景が頭に浮かんでこなかった。以前も100周年書き下ろし作品を読んで断念した記憶があるのだが…
社会とのかかわりの中での自分、家族との間の自分。さまざまな顔を持つことの意味を、平野さんは問い続けているような気がする。「決壊」の時よりは救いがあると思う。
★★★☆☆(★3.5)individualとdividual、火星探査での栄光と恥辱、散影と可塑整形、2人の敵対する大統領候補、「ニンジャ」テロと戦争・・・詰め込みすぎのようでいてすべてがリンクしている。素晴らしい。ディブをいくつか持っているのは人間として当たり前という前提だが、今回、文章で表現化されたことで改めて感じ入ることができ、新鮮に感じた。あと個人的には、宇宙飛行士は遠い存在過ぎて若干神聖化しているほどだった為、宇宙船内での性問題があるなんて全く考えたこともなかった。これはかなり衝撃的だった。
こんな未来もありえるよな、と思いながら読んだ。散影とか可塑整形とかは近いうちに本当に出てきそう。 誰もが接する相手によって複数の人格(分人)を無意識に使い分けているわけだが、一人の人間が持つ全ての分人を統合する「散影」は、全ての人間に裏表のない生き方を要求するのだから、随分窮屈な世の中になるだろうな、と思った。
SF小説であり社会派小説。人が火星に行く時代でさえ、人は対人関係に悩み・人と愛を紡ぐ。誰と一緒にいるかで人格を変えるという【分人divide】思想は実際の社会・PC等のバーチャル・家族の前などで人格が違う事に、戸惑いと違和感を感じていた自分にとって、凄くしっくりくる考え方だった。
明日を生きるために人がどんな風に自分の中のものと向き合っていかなければならないか。それぞれに違う苦しみを抱える人達がそれぞれに見つけていく夜明けはどんな姿か。ARやウィキノベルといった最新の話題を織り交ぜながら、普遍的なテーマが染み出しているように感じました。日蝕や一月物語のひきずり込まれるような魅力とも、葬送の静溢な情熱や不条理ともまた別の物語。もう一度読みたいと思います。
2033年に人類初の有人火星探査を成功させた宇宙船「ドーンDAWN」の乗組員の一人だった日本人医師佐野明日人は、公表されていない致命的なミスがあったと妻の今日子に漏らす。
この著者の他の作品もそうだが,言葉の選び方,文章の組み立て方がとても緻密で,多くの労力を費やして一つ一つの場面が繊細に組み立てられていることを感じさせた.
SFもミステリーもほとんど読んでこんかったし、膨大に張り巡らされる伏線の量と先説法の語り口、政治もわからんし、大量の登場人物の名前も覚えられんし、読むのやめようかと思ったけど、後半過ぎて俄然面白くなってきた。どこがピクシブみたいなサイトの創作なんかわからんところがあった。地の文との繋ぎ目?がない感じ。あと「プラネット」の定義がよくわからんかった。読み飛ばしちゃったのかな(借りた)
二年ぶり再読。やはり彼の比喩、隠喩はすばらしいと思います。初読時よりもディヴ関連の発想や、「ニンジャ」がらみの大統領選挙戦の話題が印象に残りました。最後の1ページ、わかっていても涙が・・・愛情を初めとするあらゆる感情は、複雑に絡み合っているから、愛してるという一言にも、多くの想いがこめられているんだよなぁ。
例えば恋人へ見せる顔、例えば家族へ見せる顔、例えば仕事で見せる顔etc、一人の人間には多数の顔があり、相手や場に応じて多数の顔を持っているからこそ、今、あなたの前にあなたに応じた顔の人が居ると言う分人思想(dividualism)を語った本。設定が未来で宇宙を舞台にした王道SFも「散影」と言う分人を象徴するデータベースを基にしたサイバーパンクSF的な話も織り込まれていてバランス感覚の高さも感じたし初めて著者の作品を読んだけれど綺麗な文章を書く人だなーと感じました。ちなみに俺の分人の数は半端じゃないと思うw
冒頭の、子供たちへ向けたインタビューに素直に心を動かされたのに、再読した時の印象の違いに驚いた。 「分人」思想はおもしろい。ひとは対面する人ごとに違った自己が存在して当たり前なのだということが共通認識になっている社会は、過ごしやすそうだと思う。反面、この物語は分人主義社会だからこそ成立したと思うと、良い面ばかりではなさそう。
初、平野啓一郎です。近未来の情景や想像力は結構リアリティーがあって楽しめます。特に宇宙船の中は良かったです。(漫画、宇宙兄弟好きなので) ただ、後半というか、中盤以降はだれました。 そのままSFだけでいってくれれば、楽しめたのに。
SFというよりは社会派小説のような…。面白いんだけど読みにくかったです。私の理解力が低いだけかもですが、時間軸をもう少しわかりやすくしてくれたら有り難かったかと。。。情報量を整理して映画にしたら面白いんじゃ?あと、散影やウィキノベルは今あるものの延長線上としてわからなくもないけど、無領土国家という発想が新鮮だった。
それほどヘビーではないのに、なかなか進まなくて10日ほどかけて読了。作者が言うエンタメSFとは言い切れない何かがある。東アフリカの紛争と大統領選と宇宙船ドーンという3つのサイズの違う緊張状態に接した人々が交錯する話。なかなか人は素直になれない。
この複雑極まりない物語のあと、シンプルなラブストーリー「かたちだけの愛」に到ると思うと実に興味深い。まさかこの著者が宇宙SFに挑むとは。「分人」「散影」など、作品内に新たな社会心理学概念を構築する手腕に舌を巻いた
良質で緻密なSF小説は、社会学の論文になるのだと、身をもって実感。作者自身が「これはエンタメSF」と、コメントしていたのでチャレンジしたけど、十分ヘビーです、笑。
5:大変長い間、読む気になれずに読みかけで放置。改めて最初から読んでみたらおもしろかった。舞台は近未来なのでSFチックですが、ARやSNSなどの現状から見据えた、納得できるコワい未来。散影やディブ、ウィキ○○・・・絶対出てくるね。しかし、それらの環境はあくまで舞台。関係性過多な世界で生きる人々が、変わらぬ人間的愚かさに(今よりも隠せない環境のなかで)どう向き合うか、処理するかって話だと思った。デカいようで小さい話で、すんなり入り込めた。
☆6 ただのSFには終わらない思想的深さがあった。初読みの作家さんだけど、芥川賞作家だなという感じとともに、物語自体の面白さも備えていたから読みやすかった。分人という概念はよくわかる。誰しも所有しているし、その存在に悩んでもいると思う。このようにしっかりと知覚させらると便利なのか、不愉快なのか、いい概念提供だったと思う。あとウィキノヴェルが面白い。本当にできそう。この部分のおかげで複層構造をもった小説になっていたと思う。少し登場人数が多くて把握しにくかったけど、読み応えのある一冊だった。
う~ん、なんちゅうか難解な作品でした。兵士の派遣労働化とかITの究極である「散影」とか、近未来に現実化しそうな概念の切り取り方は実にスルドクて唸らされたのだけれど、いかんせんテーマと登場人物が多すぎてついていけなかった。個人的な評価としては明らかな失敗作ですな。最後の方は圧倒的な眠気と戦いながら、根性のみで読了しました。
カーボン・タールがなぜ自殺したかが気になる…
近未来、宇宙、ワールドワイドと、非常に大規模な描かれ方をされた物語。SF的要素が目立つ設定には総じて納得できるので、その点は作家の力量であり作品の牽引力だと言える。個人的には、人間の人格区分「ディブ」の概念が興味深かった。人の多重人格性を顕現化させた世界は、自己の人格における汚い部分を認め易くする一方、あくまで自己の一側面としてのみ捉えて終わらせてしまう自己擁護の醜さを感じた。こうした部分以外にも、読み込むに値する奥の深いテーマが各所に見られる懐の広い一冊だと感じた。
「決壊」と言う傑作であるドストエフキー的小説の後は何が来るのか楽しみだったのだけど、意欲作ではあるが平野作品としては完全な失敗作。全体のトーンを”SF的”という縁取りをつけているのだけど、米共和党批判をいつものように見せる一方、前作の「決壊」で表現した現代に於ける自己とは何か、という弄るのが難しいモチーフを、(SF的近未来小説なら許されるでしょうといった間違った使い方で)「分人」と言った都合の良い方法を使って説く。もう時代遅れのハインラインの説教小説を思い出させる古いSF的小説に見えてしまう事自体まずい。
エンタメとしての性格も有しつつ、主人公が他者/世界と向きあってゆく過程を丁寧に描き出した良作。 困難に直面して、主人公は初めて自分のための物語を描き始め、その行為を通じて dividual のリデザインを始める。 この、苦しみながら文章を打ち続ける一連の場面が本当に美しかった。dividual を整理し、再び他者と向きあうとき、それはこれまでの「分人」の交流ではなく、内発的な決断によって選択された「デイヴ」を通じた、全体としての「個人」の交流になっている。そうして最後に描かれる愛の演出がニクい。
ドーンの
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