虚夢
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虚夢の感想・レビュー(291)
「天使のナイフ」の少年少女(未成年)犯罪、 「闇の底」の性犯罪、 に続いて、心身喪失状態における殺人・・・・・激しい憤りとなんともやるせない気持ちになった作品だ。だが、「なんやまたこのパターンか」と思ったのも事実。テーマが変わっただけで似ている。こういうのしか描けないのか。もったいない。これだけ描けるのに・・・。新境地をみてみたい作家なのだ。
ずっと読みたかったのでやっと手を出せた。冒頭から引き付けられ、ラストまで一気に加速して読み進めた。重く、やるせなく、それぞれの登場人物に悲しい気持ちを重ねてしまう。何かひとつ間違えただけで、違う道に進んだせいで、全てが狂ってしまう。佐和子の決意、ゆきの生き方。悲しい進み方ばかりだったけれど、三上の進み方は良かったと思う。ラストへ向けての思い、気持ちの変化、そしてラストシーンはとてもすき。良い終わり方だったと思う。
薬丸さんの作品は、私にとっては“嫌ミス”です(笑)
読んでいるとどんどん気分が滅入り、やり切れない!
でも、結末が気になって、途中放棄は許してくれない!
「嫌だな〜」と思っても、一気読みさせられる魔力があります(笑)
今作も、犯罪被害者にとって理不尽な『刑法39条』と、それを適用するための『精神鑑定』は絶対的に正しいのか、司法やマスコミの対応への疑問など、重い問題提起で考えさせられました。
そして、統合失調症患者や関係者の苦しみも忘れちゃいけないですよね。
心神喪失・・・少年法のように「年齢」という明確な線引きがないので専門家の鑑定に委ねられるわけだけど、それってどこまで正確なんだろうと常々思っておりました。
精神疾患を扱った本格ミステリの王道トリックと、刑法39条への問題提起をうまくミックスさせた良作。内容は重いが、三上がペンを使って佐和子と共に闘っていくことを決心するラストは、希望が見出だせ良い読後感だった。
刑法三十九条を題材とした小説で加害者側被害者側両者の視点がありぐるぐるしてしまった。被害者家族はもちろんだけど加害者家族も救われない。他人事ではなく誰の身にも起こることで、でもどうすればいいのか答えがでない。本当に人間が人間の心を測れるのか。その疑問の一端に触れる展開にそこまで思い詰めざるえない法律の壁にやりきれなさを感じる。
刑法39条を扱った作品。作者が今まで取り上げてきた少年犯罪と同じく、被害者や被害者家族とっては加害者がきちんと裁かれないやりきれない状況。自分がその状況になったら。。。と思わず考えさせられる本です。
虚無=事実に合わぬ夢。実際には起こらない事の夢・・冒頭に意味が書かれていた。虚無だと思いたくて仕方ないほどの事実に直面した夫婦。現在に多く起こる精神病患者の犯罪に潜む数多い問題について 考えさせられた。面白かった。
無痛・天使のナイフに続き刑法三十九条を題材にした小説を読んだ。それが題材なのをしらなくて読み始めてしまい、後悔(今この感想を書いてて天使のナイフと同じ人だってことに気付いた!)。過去読んだ2作品では出なかったある種の解決策というか、が、提示されていて、もしこれが現実に起こったらどうなるんだろう?と。日ごろ思っている、「人を殺そうと思う時点で正常じゃない」っていう描写に思い切り頷けた。わたしもそうおもうんですよ。
かなり重たいテーマですが、読後感は悪くありません。子供がいる方にとっては読むのを躊躇う書き出しでしたが、誰の周りにでも存在する可能性がある事象であるがゆえに、読んでみる価値はあります。
4年前に娘を殺した通り魔事件犯を町で見かけた元妻から離婚した元夫に連絡があった…。心神喪失者は罰しないという刑法39条がテーマ。復讐のために元妻がとった方法は…。重いテーマですが、ちょっとひねりもあって面白かった。
度々問題にされる刑法三十九条を扱った本。どこからが精神病になるのか、その境目が私にはわかりません。そして何を基準に正常と異常を決めているのかもわかりません。そんな状況で、犯人は病気だからと無罪にされたら被害者としては納得いかない。最近はネットで何でも情報が得られるし、病気を装う事なんて簡単に出来てしまうんではないかと怖くなった。
刑法三十九条を適用され、犯人が罪に問われなかった場合、愛する者を奪われた家族は怒りをどこにぶつけたらいいのか。心が壊れてしまうくらい悲しい、辛い体験をしたことには同情するが、だからといって命を奪うなんて許されないこと。自分が当事者ならどうするか…考えても結論がでない。こういうやりきれない事件がない世の中であってほしいと願うばかり。
精神疾患を理由に罪に問われない加害者。大切な人を殺された被害家族の心情を思うとやりきれない。4年と言う月日の中、ずっと復讐のみを考えて生きていくなんて辛すぎる。ゆきの話は、そこまで書いちゃうか~て気がしたけど、今までこういった事件を見ると被害者の立場でしかみれなかったけど、加害者、そして精神疾患をもつ家族の事も考えさせられた。事件は誰も幸せにしない。事件が起きる前に出来る事、食い止められること、精神疾患を持つ人と一緒に生きる社会にするためにどうするか・・・・いろんなことを考えさせられた。
佐和子といいゆきといい、この物語に出て来る女性の辿ってきた人生が重すぎて読んでいてつらかったです。ただ復讐したいが為に毎日を送っていたような感じですが、最後はためらってくれてちょっとホッとしたり‥。誰が悪いでもなく起こった事件は怒りの持って行きようがなく、難しい問題だと思います。
精神障害者が怖いという意識を生み出しているのは、実は刑法39条が原因なのではないかという気分にさせられる。世の中には、精神に病を抱えながら折り合いをつけて社会に適合しようと努力している人が沢山居るというのに…大量殺人を犯しながら、刑に服する事なく、治療が終わると社会に出てくるという状況では、本当に被害者が救われない。
私にも長年ウツを患っている友人がいますが、それでもこの責任能力うんぬんには納得できないです。もちろん全く責任能力のない人はいらっしゃるでしょう。でも犯罪を犯した時だけで普段はごく普通っぽいとかいう場合は違うんじゃないかな、と思っちゃいます。医者や裁判官をだますことも可能でしょうから。まあそもそもの問題は、死刑になりたいために他人を傷つけるようないかれた人がいることで、精神病にかかっていることではないかもしれない。精神鑑定し過ぎなんじゃなかな。犯罪・裁判の場においては基本性悪説を取るべきでしょう。
そうだよなぁ、殺人加害者=精神病ってすぐなるもんなぁと思った。責任能力がどうのこうの。実際はどうなんだろう?精神病を詐病することってできるのだろうか。医者はどこまで正確なんだろうか。
またしても問題定義のある物語、今回は刑法39条を扱ったものでした。もし自分がこの主人公の立場になったら、どうなるのだろうかと、佐和子さんの考えにも同調できるけど、あーいった復讐を考えて良いのだろうかと悩んでしまいました。ともかく世の中の不条理を考えさせられる物語でした。
『天使のナイフ』でも難しい問題に取り組んでいた作者が挑んだ、問題作。総合失調症、いわゆる精神を病んでいる人間が犯した事件について、被害者でさえ犯人の行く末を知らされない、そして罪は軽減されるという今の刑法について考えさせられた。
内容については、みなさんのおっしゃるとおり、本当に考えさせられます。ので、あえて、坂本について・・・すごーくイヤなヤツなんですけど( ̄‐ ̄#) 佐和子と結婚したのもなんとなくだし、世間体のことばっか考えてるし、樹里に思う存分貢いでやってちょうだいって感じです。なんでだか、坂本の印象が強すぎて・・・ 肝心の内容は、実際当事者になってしまったら、奇麗事じゃすまないだろうと思えて仕方ありません。
統合失調症の男によって最愛の娘を殺された元夫婦のその後を描く問題作。きっと、その立場になったら、みんな一度は考えるであろう展開です。不勉強で「心神喪失者等医療観察法」の事は知りませんでした。それぐらいしないと遺族は救われません。
初読みの作家さん。 テーマもぶれないし、展開も申し分ないです。 もう少し枚数を増やせば、さらに読み応えがあったんじゃないかと思います。
途中から、佐和子の意図が分かった。心神喪失者をどこまで医者が見極めることができるのかということは、私自身も大変興味がある。実際、この法律の下泣き寝入りをしている被害者も多いし、最近はこの法律を盾にしてくる弁護士も多い。はっきり分からない、判定の難しい心の病気だからこそ、この法律のあり方をもう1度考え直す必要があるのかもしれない。
初めての作者本でした。刑法39条がテーマで、心神喪失者の犯罪行為について、もし自分だったらと考えさせられた。刑法は犯罪者の為にあるのだろうか、、、被害者の為の法律はないのか?そんな気がしてならない。感情で結論出してはいけないと分かりつつも答えが出せない難しい問題でしたが、とても分かりやすく書かれていたので読みやすかったです。
通り魔事件で娘を失った。犯人は精神を患っており、心神喪失という事で罪に問われる事は無かった。4年後、犯人と同じ病気の元妻がその男を見たという。それは幻か、現か。 主人公の思いをどのように昇華させるのかというのも見所。このテーマを描く事で池に石を投げ込まれた。そして著者は、読者に消えないシミの様なものを残していく。 この表紙よく見ると雪ですね。
統合失調症の男によって最愛の娘が殺された。そこから始まる緻密な仕掛けで「薬丸ワールド」にどっぷり嵌まりました。一気読みした強烈な一冊でした。「統合失調症の場合、どんなに患者のいうことに耳を傾けても、追体験することはできない。これを了解不能っていうんだ」という松岡のセリフに☆☆☆
人生を狂わされた犯人をいきなり街で見掛けるというスタート。無駄なエピソードを一切省略したスピード感。重たいテーマに真っ向から切り込んだ作品。統合失調症に相対する了解不能という言葉が、社会がこの問題に向き合う難しさを何より象徴しているように感じた。
★★★★最近お気に入りの作家さんです。いろいろな角度から犯罪被害者の研究をされているのだと思います。今回は刑法39条。人が人を裁くことの難しさは否めません。
ストーリー的には中盤辺りで佐和子の企みとゆきの過去も想像付いちゃたりしたけど…。だけど「刑法39条」の不条理さについては久坂部羊の『無痛』より説得力があり一気に読めた。作中、佐和子が書き記したように現段階では「39条」が精神障がい者への差別に繋がる原因を作る一端になっているのは確かだと思う。もう少し診断に時間をかけて精査し適応するかを判断しなければ…そして、そこにいる被害者の存在も決して忘れてはいけないコトだと思うな。。。
刑法第三十九条について、深く考えさせられる。精神を病んでいる人は罰せられない・・・・。これはいいとしても、その後のケアがまだ追いついていないのでは?ただ単に、「統合失調症は怖い」になってはいけないと思う。今まで「精神分裂症」という凄いインパクトの病名で、症状や治療法などほとんどオープンにされてなかった。病名も変わった今、色々な情報をオープンにしていなければならないのでは?怖いと思う前に、知らなくては。
刑法三十九条『心神喪失者の行為は、これを罰しない。心神耗弱者の行為は、その刑を軽減する。』「天使のナイフ」では少年法に守られて罪に問われない少年犯罪を問うた作者が、今回は三十九条に真正面から挑んだ。被害者の癒えない傷の深さと救いのない社会のしくみに愕然とする。最後には大きなどんでん返しが用意されており、小説としても一級品であると思う。人の心の危うさと、人を裁く難しさを突き付けられます。
子を持つ親にとって、この小説の序章は痛ましくて読み進めるのが辛かった。通り魔殺人犯が統合失調症であり、犯行当時責任能力なし。そして不起訴となる。現実にもよく聞かれ、聞くたびにやりきれなさを感じることだが、当事者となってみたら佐和子のような道を辿るかもしれない。佐和子は一度殺されたも同然で、それこそ捨て身で何だって出来るだろう。そしてゆきは、藤崎とはまた別の意味でこの問題の根深さを象徴する存在だと思った。
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