ミノタウロス
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ミノタウロスの感想・レビュー(214)
正直、僕の国語力ではこの作品を読み切るのはしんどかったです。ロシア革命前後のウクライナを描いた文学作品で、そういったマイナーな国・時代にスポットを当てたのは面白いし、しかもよくあるヒーローものではなく、この時代を象徴するような混沌とした社会の悪の部分が巧みに描かれています。ただ、冒頭に述べたようにかなり読みにくい作品です。
佐藤さんの本ひさびさである。ウクライナの成り上がり地主の息子を描きつつ、というところなのだけれども、ロシア作家とか具体的にはバーベリとかの作品を読んでいたときのような感覚があって、つまりは妙にリアリティに富んだ作品にあいかわらずしあがっていた感じ。飛行機の解放感、躍動感みたいなものはすごいな、と思った。語り手の視点が不思議でもある本だったかも。読みながら、史実なのか、フィクションなのかわからなくなるような感じはある。
理解できない暴力との日々を書き連ねてあるだけに感じてしまった。文学という大きな壁を乗り越えられない自分が情けない。 最後の20ページで挫折。 読むのがつらい。★革命。破壊。文学。 「圧倒的筆力、などというありきたりな賛辞は当たらない。これを現代の日本人が著したという事実が、すでに事件だ」福井晴敏氏 20世紀初頭、ロシア。人にも獣にもなりきれないミノタウロスの子らが、凍える時代を疾走する。文学のルネッサンスを告げる著者渾身の大河小説。
アタマのワルイ色ボケな主人公が理由もなく背徳的行動を繰り返してゴミのように死ぬ話…申し訳ないけど、一日でも早く死んでくれないと不幸になるヒトが増えるじゃないかと思ってしまった。
『悪童日記』を読んだときと似たような衝撃を得た。「ぼく」は、大戦と革命の時代の申し子、思索し何かを求める、人でも獣でもないミノタウロス。全編で繰り広げられる暴力は欲望のためのものから生存のためのものまであるが、次第に「生きること」自体が暴力を伴うものなのだという事実を突きつける。そして、この光景はいま現在も世界の何処かで起こっているということも。佐藤亜紀の小説を読んだのは初めてなのだが、彼女の他の作品も読まなければ!という気になった。少年たちの奇妙な友情もの、としても面白い。
少し斜に構えた前半からどんどん崩れていく感じが良い。あまり主人公の感情が出ないので、周囲の異常な状況が強調される。飛行機、機関銃、馬車など過渡期のテクノロジーが魅力的。
「ぼく」の視線で淡々と描かれてきた物語は、「ぼく」の死をもって終了する。「二発目はのけ反ったところに左肩から入って鎖骨をへし折って抜け、そのまま顎から頭蓋を貫いた」。体の内側にあった視点が外からのそれに切り替わる快感。虫けらの俯瞰する世界。歴史。
二十世紀初頭帝政崩壊後のロシアで、第一次世界大戦下の無法の世界を生きる少年を描く。成り上がり地主の息子からごろつきへと転落していくが、主人公が生涯で『美しい』と評し感動を表したのは暴力が無制限に解放された瞬間だけだった。しかし単に無政府状況の混沌とした世界で行使される暴力を描いてるのではなく、ドライだけれど絶妙に繊細な語りが物語を牽引する。虱の集る地べたから見た戦争。「人間を人間という格好にさせておくものは何か」という問いにおける主人公が導いた解答に満ちた哀切。そして少年は手榴弾を投げ、残弾を尽くす。
なんか打ちのめされた感じ、作者が書き上げた世界観と暴力の連続、そして最後まで感情移入のできなかった主人公に、この頃軽いものを読んでいたせいでしょうか、結構疲れました。
最初は「悪童日記」っぽいかと思ったけどどちらかといえば「ライ麦畑でつかまえて」か。色々なものをそぎ落としていった結果主人公には何も残っていなかったように感じた。嫌悪感はまるで抱かないし、この硬さを維持し続けるのはすごいと思うのに、なぜかいまひとつ佐藤亜紀の作品が好きになれない。もう1冊読んでから結論を出そうかな。
わたしの読解力が低すぎるのと人物名を覚えられないのとで、何度も戻り戻りしながら頑張って読んだ。ウルリヒにいらいらしながら、だんだん情がうつっていった。血なまぐさいところがすき。
地主の息子から単なるごろつきへ。暴力を繰り返しながら堕ちていく主人公の姿が、それでもどこか爽快なのは、作中でも語られるように、単純な力がその通りに単純に行使されるのが美しいからなのだろうか。緊密で力強い文章に、眩暈がするほどの気持ちよさを感じながら一気に読んだ。
第一次世界大戦勃発後の混乱するウクライナ。
主人公は強姦、窃盗、殺人、ありとあらゆる罪を繰り返す。
あまりに残酷すぎて読み進めるスピードが著しく落ちた。
人間を人間の格好にさせておくものは何か?倫理感を問う、なんて生優しいものではない。残酷で救いがない。
でも強烈なインパクトで私の胸にガツンと来た。
彼の家族構成や時代背景なんか彼の罪深さからいうと無意味だ。彼の事を考える人もいたのだから。間違いなく愛されていたのだから。
人間の尊厳なんてくそくらえだ。
主人公
ミノタウロスとは主人公のことではなく、主人公の精神状態に呼応するように混沌とし、無秩序を露にしていく、無政府状態に陥ったウクライナ地方、あるいはロシアそのものではないか、とふと思った。
最初ミノタウロスは「顔」を無くした兄のことを指し示しているかと思って読み進めていたが…。しかしテーセウスおよびアリアドネに当たるのは誰(あるいは何)なんだろうね
キャラクターとストーリーの濃密さは、この長さの小説にしては考えられないほどです。情景や心情描写は感傷的とは程遠く切り詰められてドライなので、読者の想像力が問われる作品です。冒険活劇のようでありながら、しかしこの静けさは何だろう。読み進めるにつれ、快い諦観が身に染みてくるのです。まるで、次から次への殺戮に、ただ殺戮だけが救いのように感じられます。ここにあるのは青春という美しくも陰鬱な腐臭。生きるって、でも陰鬱で残酷で、幸福なんて現実からはかけ離れた、夢みたいなもの。リアルです。リアルな小説です。
凄すぎてただ圧倒される。最終章はそのまま交響曲の最終楽章のよう。最後の一音まで美しい。リアルなだけの小説ではないところが素晴らしい。新潟弁は生々しすぎて腹立つけど、これは個人的な事情。
シチェルパートフが罵りまくったところが印象に残った。兄や他の人間を馬鹿にしていたが結局その誰よりも何もない人間とわかったときの空虚感やあの暴力に満ちた世界がよかった。
初読:佐藤亜紀さん。巻頭から十ページほど読み進むと違和感を感じてならない。何だろう?気になったが先へ。書斎でイワンと二人きりになるシーン。あ!今までたったの一つも「」鉤括弧でくくられた会話文が無い!ドライで圧倒的な叙述と淡々とした情景描写が押し寄せるのみ。でも未だ違和感は残ったまま、更に読み進めると殺伐としているが、あまりにも素敵だ。何一つ予備知識が無ければ女性が書いたとは信じ難い。もう一つの違和感にやっと気付いた。句点、読点が極端に少ないんだわ。慣れればこの方がこの手のバイオレンス、アナーキー 続
怒涛と騒乱の革命期。高邁な革命思想は後になって歴史が意味づけしたものであって、只中に生きた人々は己の居場所を見つけるのに必死だった・・・のですね。女性とは思えない筆致でした。
こういった暴力満載の本は、今までエンターテイメントとしてダークサイドを書いているものしか読んでこなかったけど、この本はそういうものではないようだ。時代の悲惨さを書いているわけでもないらしい。凄惨な場面が多い割りには突き抜けて胸に迫ってくるような要素がなく、いったいこの本はなんなんだ?と思ったら内容紹介に「大河小説」とあった。なるほど。壮大な世界と一人の少年(青年?)の生き様、と見ればいいのか。
主人公の兄が登場しているところまでは面白く読んだ。後半はやや退屈。しかしその後半が浮き彫りにするのは、何者にもなりきれなかった主人公の、皮肉にも兄よりも顔のない空虚な人間の姿だったように思う。
醜い獣性(衝動=暴力性)も、ここまで徹底されると、美しいし、ゾクゾクするし、もうほとんど神性だ(そしてこれは男だけが持つ感覚だと思ってた!)。僕は人間で、獣ではないので、本は読めるし、演劇は見れるし、その感想をこうやっていやらしく書くこともできる。それは嬉しいことなんだけど、悲しいことでもあるんだな
“単純な世界は美しい。人間と人間がお互いを獣のように追い回し、躊躇いもなく撃ち殺し、蹴り付けても動かない死体に変えるのは、川から霧が漂いあがるキエフの夕暮れと同じくらい、日が昇っても虫の声が聞こえるだけで全てが死に絶えたように静かなミハイロフカの夜明けと同じくらいに美しい。” 震えた。 顔を失くしたお兄さんの、なにもかも削がれて欲のようなものだけが静かに沈黙した存在の描写にも。
革命前夜のロシア・ウクライナとくれば、ロシア文学の古典、「復活」や「桜の園」あたりが思い浮かぶが、現代の私達にはもったりしている。この物語は、その点リアル感がたまらない。主人公ヴァシリの青春を通して、貴族層の没落、ファザコン男子の閉塞感を描いている。小悪党を気取っているが悪党になりきれないヴァシリに共感を覚え、カタルシスも生まれるが、好き嫌いが多い本かも・・・・。短いセンテンスの乾いた文体が物語によくあっている。
ミノタウロスの
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感想・レビュー:61件















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