ロック母
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ロック母の感想・レビュー(252)
全編に鬱憤、もやもやした感情があったが、それが不快感に繋がらず、読後なぜか爽快感すらあった。特に「ゆうべの神様」は若い頃の作品で角田さん自身拙いと述べているが、その拙さが主人公の迷いやどうにもならない感情を際立たせていて好き!
大音量でニルヴァーナをかける母親が登場する"ロック母"を含む7篇収録の中短編集だけど、92~2006年という長い期間の作品群が一緒にまとまってるため、多少温度差がある。角田さんは2005年の直木賞受賞作『対岸の彼女』を境に、その前と後で作風が少し変わったと思うのだが(以前は毒が多くて救いがなく、以後は毒をうまく潜ませつつ救いもあってバランスとれてる感じ)、やっぱりこの本の中でも92年の"ゆうべの神様"なんかは猛毒で、けっこう読むのが苦しかった。これと"父のボール"の父親は、ホント殺したくなるタイプ(^^;
どの物語も、リアリティがあって、でもその主人公の目線は何をしでかしていても、落ち着いていて自分を見失ってはいない。ありそうでいて、無い話は、物事の捉え方にゆらぎのない女性が生き生きと描かれていて、読みやすかった。私はやっぱり性善説。
『ゆうべの神様』は、どこにも行けなさがあった。壊してしまいたいけれど、壊してしまうと帰るところを失うのだ。けれど壊してしまいたいものに帰りたかったのか。帰りたかったのだろう。たぶん憎んでいた。憎しみなんて陳腐な言葉で自覚したくはなかったろうし、愛情を持っていたし、大切にする努力もしていたけれど。若さを感じる小説だった。若さとは、どこにだって行けるのに、どこにも行けないようなことだ、と思った。そして、盲目的なようでいて、意外に打算にまみれ、世界が狭く、でも懸命だったことを思い出した。
おどろおどろしい装丁に惹かれて図書館で手に取った。ページのところまで黒いんだもん。おそろしや~!中身は短編集でした。クロ角田さん得意の身内恨みネタや海外旅行記みたいなものまで。ほとんど後味悪い(笑)なんかまとまりないな~と思ったら、後書きで過去14年間に書いた小説を詰め込んだ短編集とのこと。なるほど。冒頭の「ゆうべの神様」は25歳で書いたのか。攻撃的で荒削りな感じがするけど、読ませる~!「父のボール」が気に入った。
「対岸の彼女」が良かったので読みました。どの作品の登場人物も皆、普通の人たちで、普通の家庭のことを描いているので、あー、こんな人いるいる!と思いながら読みました。いろいろな人がいるから、生きていて面白いと思う。
こういう鬱積した感情を描く女性作家って、すご~く多いですよね。 その中でも上海での「爆竹夜」は、女性作家ならではの細やかさで男の苛々を描いており、興味深く読んだ。 「イリの結婚式」はこの短編集の中では明るいほうで、これを最後に読んだおかげで読後感はそう悪くないです。「ロック母」はタイトル勝ちでそこまでインパクトなし。
穏やかな生活のなかで、ぽとりと落ちたしずくのような負の感情。反抗期に抱いたかのような感情。人の、人らしい感情を描いたような短編がつまった作品だと思う。
憎んでて倦んでるから、読んでても苦しい。どの話も。それでも一歩は踏み出さないでほしかった。喧嘩ばっかりの両親の話。笑いながらふるえてくるような達成感が怖くてたまらない。
「真っ黒の本があって気になっている」と言う友人の証言により手にしてみた本。何度も読み始めては断念していたけどついに本当に断念。まったくどこを面白いと感じればいいのか分からない。黒いカバーを本棚のアクセントにする。
人が闇に紛れ込んで心の中をスクリーンに映し出しているような・・・心が迷子になっているような短篇集だった。ココまで真っ暗な闇にこだわった一冊に掲載するために自分の作品と向き合ったんだろうなぁ~と作業工程を想像してしまう。どの主人公の悩みや苦しみも・・・まだまだ続いているような気がする。いつか角田さんが真っ白の一冊を書くまで。
これまで読んでいた角田光代とは一線を画していて、じ~くり読まないとしんどくなる短編集でした。数本は主人公に感情移入できずしんどい話がありましたが、久しぶりに人間の黒い部分を考えさせられる一作でした。
角田さんのぽわっとしたやわらかい見た目から、こんなにとんがった話が出てくるのか!とびっくりした。装丁がかっこよい。タイトル作品がいちばん好き。出産って、ある意味ロック。いろんな解釈ができそうなタイトル。
きっと、角田さんの筆力がそうさせるんだと思うのだけど、じわ~っと心の底の暗い部分をすくい取って、せまってくる短編集。真っ黒な表紙、ページの側面(背表紙の反対側)も黒く塗られた装丁に、「ロック」という文字。当初は、ファンキーなお母さんを想像していたんだけど、違いました…(浅はか!)一度ページを開くとやめられないクセに、開かず時がたつと、読もうという気が起こらなくなる。消化不良を避けようと、身体が反応しているのかもしれない。この薄さなのに、2週間以上かかって、完読。
毎日の生活の中で蓄積されたモヤモヤを描いた7つのお話。短編集。それぞれの主人公の気持ちが理解できるような~う~ん理解できないような?読んでてしんどかった・・・好きなお話じゃありませんでした。
暗い。そして陰気だ!!だけど、これをよんで角田作品が大好きになった。特に後半3作がよかった。そしてこの真っ黒な、高い単行本を買って、本当によかったとひしひしと思う。長いこと放置してたくせに…!(^o^;)イリの結婚式が特に好きだけど、ゆうべの神様もこわれてていい。
この人が書く人間の黒さってあまり見たくないものだが、ついつい読んでしまう。初期の作品のざらついた感じもけっこう好きだ。
さりげなく見えるのに思わず立ちすくむほどの悪意の描き方が、鮮やかで絶品。この作者はどういう幼少期・青年期を過ごしてきたのだろうかといつも考えてしまう。
本の装丁と重さが、内容と一致する作品。人という生き物には、こういう暗部が含まれているのだろうか。黒くてずっしりした感覚が、印象的に残りました。
装丁そのままに、心がずしんと黒くなる。フィクションだが、誰かの心の暗黒面を覗き見るような重さがあった。
極端な視点と環境を描いているかに見えるが、感情は理解不能ではなく、むしろ自分の見たくない面が露見されているようだった。
現実感3分の2に、やや狂気が3分の1といった感じ。濃いな。描写がなまなましく、空気の匂いがしてきそうだ。表題作、ニルヴァーナがあたまをぐるぐる。
「黒い本」と聞いていたのですが、ホントに真っ黒。 いやぁ、やっぱり迫力あります! 感情の赴くままに、怒って、泣いて、食べて、汗かいて、そして笑って・・・ どの話にも角田さんが乗りうつっていて、私の断片の気配もある。 共感してしまうんです、ありえない、覚えはない、だけど分かる。 最初の「ゆうべの神様」荒削りだけど妙に心に残りました。 エグるような重い話も何もかも、パー!っと吹き飛ばしちゃうパワー感じました。
黒角田全開の短編集。「ゆうべの神様」「父のボール」がヨカッタ。緊張感のある作品が多いように感じました。 今年は新作が出なくてザンネンでした(泣)来年に期待します。
『緑の鼠の糞』『爆竹夜』はタイや中国の観光大使から苦情が来ないのか…と思うほどの書きっぷり。海外旅行なんてしない私だけど、タイと中国だけには絶対行くまいと改めて誓いをたててしまうほどの破壊力。『父のボール』が一番打ちひしがれた。暗く重い短編集にこの装丁が何と似合う事よ。
短編集。どれも幸福とは言えそうもない主人公と彼らに関わる家族の話。重く暗い話ばかりだが、読後感は悪くない。これが作者の言う「良い短編小説」なのだろうか。
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