水の時計 (角川文庫)
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水の時計の感想・レビュー(472)
確かに暗い。しかし暗いだけではない。月光や寓話というモチーフやどこか愛嬌のある葉月の存在が効果的に美しさを与え、同時に焦燥を引き立てている。臓器移植に留まらない、非行や孤独、家庭など様々な問題提起には考えさせられた。構成レベルは高く、ゆえにやや難解な部分も。再読すればさらに深みを増す話だと思います。嫌いではない。でもかなり切なく寂しい。
童話“幸福の王子”をベースに臓器移植について描いている。 臓器移植が必要な人の生き様と、臓器の運び屋である少年の苦悩が面白い。 私は、第二幕が好き。思春期の女の子と家族の話だけど、いろいろ悩みながら前向きに生きる貴子がとてもいじらしい。 葉月の病室の様子が分かりにくくて、リアリティがあまりなかったのがおしいかな。
設定が気に入って購入→暗くて半日ほっとく→気になって読む→おもしろい!→泣く→終わってしまった…! という、自分の中で感情の変化が多い本でした。わたしはこの本好きです!ハードカバーの装丁が綺麗で、そっちも買っちゃった(笑)
月が出ている間だけ話すことができる脳死状態の少女が、暴走族の少年に自分の臓器を必要としている人々に運ぶよう頼むちょっとSFなミステリ。うーん。なんか読み辛い文章だった。恩師はまだわかるとして他の二人を選んだ理由がいまいちわかんなかった。腎臓の人は兄のことを書きたかったからってだけ?なんだかもやもや。もっとしっかり読めばわかるのかな?
「幸福な王子」を題材にした臓器移植の話。全体的に暗い話なのだがその中にある温かさがいい。臓器移植だけでなくそれを欲する人々の背景の話もしっかりしていてよかった。
臓器提供とか、重くリアルなテーマなんだけど、重たすぎなくて文章が綺麗だったと思った。これは終わりは結局ハッピーエンドなんかな?芥さんや昴くんのお兄さんのその後とか色々と気になることはあるし、ハッキリしないで残された感はあるけど(私の読む力がないのもあるけど)でも別にモヤモヤとか残らない不思議な読後感だったかな(´・ω・`)人間関係はもう少しハッキリと読みたかったかも…?でも、この話はこれでいい。この終わりが綺麗なんだろうな、とも思う…!でもまあ、続編が出たら間違いなく読む(笑)
重苦しい内容なのに、次のページが気になってスピードが上がって、、気が付いたらその日のうちに読了ー。人と人とのつながりや、話の前後関係がよく出来ていたのに、最後はスバルが救われないまま終わった感がして、なんとなく不完全燃焼ギミ・・・。でも、初野さんの本はこれからもチェックしていくと思います!
冷たいけどどこか温かい、そんな雰囲気の物語。重い主題を童話に準えて幻想的にしているのはとても好き。幻想的と現実的の狭間で時々妙な違和感があったりしたが、全体としては非常によかった。漆黒の王子も読みたい。
初の初野さん本です。「幸福な王子」を題材にしたお話ですが、主人公のボロボロ具合に、酷く心が痛んだ作品。でも、ラストがもうちょっと意外な、違った展開(幸福な王子から大きく逸らしたような)だったら良かったのになぁ…と思ってしまった。
とてもとてと重たい話し。読みながら苦しくなりました。脳死は人の死か、という議論はよく聞きますが、本当に難しい問題です。人としての尊厳や、金銭的な問題、看護する側の気力や体力。脳死と判定されても、実は意識があるなんてこと、絶対にないとは言い切れないだろうし。自分がもしそうなったとして、生きていることに感謝できるだろうか。きっと、いっそのこと殺してくれと思うんじゃないだろうか。昴はこの後どうするんだろう。どんな思いで生きていくんだろう。いろあろ考えてしまいます。あ、因みに、私は臓器提供意思表示カード持ってます
とても重い、重いものを全体にずっしり含んだ物語。しっくり来なかったり理解ができない箇所もあったけれど、全体を通して強く引き付けられるものを感じました。まだ少ししか読んでない作家さんだけど、なんとなく感じていたこの作家さんの眼差しや姿勢をデビュー作からも垣間見えて、なんだかうれしくなりました。
ハルチカシリーズが面白かったので初野氏の処女作をと思い手に取ってみました。いくつかのエピソードを経ながら語られますが、全体を通して淡い仄暗さを含んだ文章が不思議な雰囲気を醸し出しています。正直、結末はあまり好きな幕引きではありませんでしたが、死生観や幸せの尺度など、登場人物を通して色々考えさせられました。気が向いたら次作の漆黒の王子も読みたいですね。
色々と考えさせられる小説ではあった。しかし、中途半端なSF要素や、ミステリーの謎の部分がどこにかかっているのかという不明瞭な部分が解しきれず、読んでいる最中はなんとも言えない苛立ちを感じた。章ごとに語りべが変わる作品は読者には親切ではない。複雑に組んだプロット。終章は、うまくまとめてあり、これまでの苛立ちを解放する腕を発揮。俗にいう医療ミステリーだが、ちょっと医療についてくどいかも。エンタメとしては、見せ場もあり、同年代の人は共感できるだろう。
それぞれのエピソードが思いのほか精神的に打撃がくるものだったので文章は読みやすいのに時間がかかってしまった。初めから終わりまで幻想的な雰囲気に包まれた作品。しかし内容は臓器移植という現実的で重いテーマなので、それらが混ざり合った空気がなんとも不思議。好みとしては、ラストはもう少し明確な終わりが欲しかった。今回初野さんの本は初読みだったけど、他の作品も読んでみたい。
臓器移植の話。あったかいような切ないような…。個人的には好きな本。初野さんの本は初めて読んだけど、他の作品も読んでみたくなった。
ハル&チカシリーズの初野晴デビュー作。幸福の王子の現代版。光と闇が織り成すコントラストが美しい。読みごたえがありました。ツバメの役割を果たした昴がどうなるのか見せない終わりが余韻を感じさせていい。
古本購入。再読。でもだいぶ忘れてました。「移植可能時間のタイムリミットがあるのに警察とのカーチェイスで手に汗握る展開!」みたいなぼんやりした記憶があったのですが多分別の作品です。すみません…。 しんとした雰囲気と重いテーマ、このころの作品にはまだあまり明るさやテンポの良さがなくて今読むと少し辛いのと、やっぱりラストがすこし物足りないです。ミステリらしく精緻につながる事件や人間関係より、ほとんど唯一独立している第二幕がいちばん好きです。
「ハルチカ」シリーズが面白かったので、こちらも購入。思ったより暗い話にちょっと驚いた。最後が結構唐突に終わったので、もっと丁寧に書いてくれたらもっと好きになれたかも。途中まですごく面白かったから、そこだけ残念。
あったかいけど残酷。どんどん削られていく葉月の願いも、主人公の過去も。あたえるじゆうもあたえないじゆうも。もらうじゆうももらわないじゆうも。ほんとうに哀しい。複雑。あたえちゃだめ!もらっちゃだめ!って決まってたら、葉月も主人公もぼろぼろになんかならなかったのに。
暴走族幹部の少年が連れて行かれた病院には医療機器に繋がれた少女の姿があった。医学的に脳死と判定されたが、月明かりのある夜にだけ特殊な装置を通して自分の「声」を発することが出来るのだという。そしてこう言うのだ「自分の臓器を必要とする人々へと運んでくれ」と。冒頭『幸運の王子』からの引用が強烈。これを突きつけられて読み始め、本編とそれがリンクしたときの衝撃はなかなか他では味わえない感覚。連作短篇風の構成でそれぞれのエピソードも独立した面白さ。詩的設定とテーマがミスマッチのようでいてそうでないのがなんとも不思議。
重くて暗くて、それでも光があって…。まるで水のように性質を変えるこの作品は読み終わってもなお、私の心に強く強く響かせてくる。元々関心のあった臓器移植。与えたい人がいて、必要としている人がいる。ただそれだけなのに、この問題はいつも簡単には解決できない複雑な糸が付随する。生と死、暴力、犯罪…闇の部分が多い中で、それでもそれぞれの結末にかすかな、でも確かな希望の光を感じた。これはいいなぁ。
一言で表すなら、綺麗でした。本に共感を求める方が読むと話が進むにつれて苦しくなることもあるかもしれませんが、全体としては「幸せのありかた」という、なかなか考えさせられるテーマだったと思うので、これもひとつの考え方だと割り切って読むのはおもしろいと思います。
タイトルや表紙同様に、静かに広がっていく水面の波のような物語。ちょっとしたファンタジー的要素が他のミステリーと違う味が出てて楽しめた。でも、もう少し話、話を掘り下げて関係性を強めて欲しかった。最後は突然切れたような終わり方だったので余韻に浸れなかった。 オスカーワイルドの幸福の王子ではツバメは王子と一緒に亡くなったがこの物語では無事に飛び立つことは出来たのだろうか?
ファンタジーの要素の強い作品ではあるけど、脳死や臓器移植など重いテーマを扱っていて色々と考えさせられる。一つひとつの章は面白かったけどオチ、物語のまとまりが弱いかな。
月明かりの夜だけ会話が出来る少女、と聞くと実にファンタジックだが内容はわりと重い。個人的には嫌いじゃないんです。でも、動き出した時計の行先にあるもの、人についての情報提示が少ないため、続くというよりは途切れた感じがしてしまう。
私は1/2の騎士から遡っている為、やはり面白さは後続作品の方がと思うのですけれど、臓器移植を絡めた幻想的な物語は現代社会に切り込む鋭さがあります。オムニバスで在りながら一本の筋を持たせるブギーポップ的手法に慣れてない方は読みにくいかもですが、描写力はやはり秀逸!華のある物語ではないながらぐいぐいと引っ張られます。暗い鍾乳洞の中で水音を聴きながら、天井に空いた穴から月を見上げるような話です。
タイトルと表紙に惹かれて。 脳死と臓器移植にまつわる何とも切ない話。 事故に遭い、脳死状態になった葉月。 しかしある事情により延命措置を受け続ける。 脳は死んでいる。心臓は動いている。 生きているのか?死んでいるのか? そして主人公の昴。 彼はあることをきっかけに葉月の周りで様々なことに 巻き込まれていく。 あたえるじゆうと、あたえないじゆう もらうじゆうと、もらわないじゆう この言葉の意味にゾクッとする。 特に昴の恩師である哲郎のエピソードで泣いた。 もし…もし私がい
やはり、うつくしい話。そして、すきとおった話。結末を知っているからこそ、深い。すばるの変化が、痛い。でも、すきな物語。短編強化週間vol.4
最初に読んだ退出ゲームがいまいちだったため、正直あまり期待せずに読み始める。…あれ全然違うぞww本作は、医療サスペンスのようなヒューマンドラマのようなファンタジーのような、連作短編のような長編。凄く不思議な読了感のある作品。救いがないんだけど、なんとなく残る清々しい余韻というか。一気に読めたし、面白い、とも言えるかもしれないんだけど、やはり不思議だったという印象が強い。そして、この幅のある作風が面白い作家だと思った。やっぱり別の作品も読んでみよう。
「1/2の騎士」「退出ゲーム」から初野さんの本を読んだので、シリアスな展開は初めてでした。臓器移植というテーマ性のあるミステリです。改めて臓器移植の現実を考えさせられました。葉月の「水の時計」は止まったけど、すばるの「水の時計」は動きだした。
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