オリンピックの身代金
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オリンピックの身代金の感想・レビュー(1032)
今の時代、貧しさをテーマにここまで読ませるのはすごいです。確かに、近年また、舞台となった時代とは異なる性格の貧しさが広がりつつありますが、そんなことを考えようがいよまいが、作品の力で読ませきります。どの登場人物も魅力的で、不思議とリアリティも併せもっています。中でも島崎は魅力的で、男の私でさえ応援してしまいます。オリンピックの成功を祈りつつも島崎を支持してしまう、という矛盾した心情になり、見事に作者の術中にはまってしまった感があります。でもそれはとても心地良いものでした。
普通に暮らしている人に読んで欲しい。犠牲の上に立つものがあるのは、恐らく今も変わっていないと思う。全ての行動に何処か悲しみがまとわりついてくる感じ。
★4 東大生の島崎は兄の死をきっかけに、東京オリンピックの工事現場で働き始めた。過酷な現場で揉まれ、死に行く人達。東京が繁栄する中で、広がる格差。島崎はその社会に怒り、一石を投じる為にオリンピックを盾に身代金を要求する。警察(公安)との攻防、裏社会との攻防、ドキドキすると同時に重かったです。高度経済成長期、日本中がたくましく働き少しづつ豊かになった時代だと勝手に思っていましたが、いつの時代も働いても働いても豊かになれない層が在り、その犠牲の上に成り立っているのが悲しい。島崎は生きていると信じたいです。生き
この作品2段組み520ページのかなりの長編。しかしながらどのページも無駄がないというか主人公の生き様のように全編にわたって緊迫感がある。 東京オリンピック当時小学2年生だったが聖歌ランナーが県庁に来るというので親に連れられて見学に出掛けた。大勢の大人に囲まれて背伸びしても見れるわけがなく地面にしゃがみ込んでズボンやハイヒールやストッキングの間からランナーの足だけを一瞬見た。そんな記憶を頭の片隅に置きながら読み進んだ。その記憶があったからか最後の「おじいさん」の「東北弁」には思わず涙ぐんでしまった。
読んだ後、心の重みが凄いです。オリンピック・・日本が戦後の復興のシンボル。読んでいて、島崎のような思想を悪とは言えない。国家の仕組みや貧富の差を改めて感じた。人は何かに操られていても、それがいいか、悪いかなんて分からない。ヒロポン中毒にはまりつつある島崎が残念だったけど村田のコンビは読んでいてハラハラさせられる。面白いけど、重みもある話だった。
オリンピックでの爆破テロ犯とそれを追う警察や知人たち、それぞれの目線と時間が交錯しながら描かれていた。テロリストなのに、どうか逃げ切れと、犯人である主人公を応援しながら読んでしまっていた。時代背景もすごくよく調べて書き上げたんだろうなと思う。今ではない時代を読む時は読みづらさを感じることもあるが、この本ではそれがなかった。ただ、主人公が爆破テロを企てるまでに至ったエピソードが物足りない気もした。とても温度の低い性格をしているのに、ここでいきなりテロにまで考えが行く?って思ってしまったりも。
この時代は明るく前向きなイメージだったけれど、その裏側の部分を初めて知った。後半はとにかく先が気になって一気に読んでしまった。島崎はその後どうなったのか気になる。
いやー重かった。内容も、本の重量も。やっぱり単行本は疲れますね。これはミステリーというよりは、昭和史として読むといい感じ。地方からの出稼ぎ(実際はもっと悲惨だったのかもしれないけど)の記述のあたりは身につまされた。現代ではこれほどまでの格差はないでしょうね。多少はあるのかも。最後、島崎と村田がつかまってしまったのがちょっと残念。島崎、生きてるのかなぁ。
身代金の受け渡しや逃避行の過程で東大卒ということで何かもうひとひねり欲しかったですね。つかまりそうでひやひやしました。肉体労働のところは辛い仕事ぶりがよく伝わってきて話に引き込まれました。
1964東京オリンピックの時代は、都会と農村でこんなにも貧困差があったんですね。犯人を応援してしまいました。 今でも日本には、途上国との間に同じような貧困差があるかもしれません
オリンピックに夢と希望を託し、愛国心に燃える国民。私はまだ生まれていなかったけど、もしいたらその一員になっていただろう。しかし今新たな格差社会が現としてあり、当時のような「青空」は見えない。後半は国民を切り捨てるような発展に疑問を抱いた国男の、感情を廃したストイックなまでの信念に半ば共感し、最後の当然のラストでは悔しさを覚えた。自らの職分を尽くす刑事、C調のテレビマン、学生運動。あの頃の空気を感じるような骨太の作品で読み応えはずっしり。現代にも国民が夢を見られるような何かがあればなと、当時のことが少し羨ま
昭和好きな私への、元上司からのプレゼント!読み応えがあって面白かった!「もはや戦後ではない」と経済白書に載った頃。東京オリンピックの開催にむけて、国民が皆、高揚した気持ちで過ごしていた頃の話。学生運動、地方との経済格差、ビートルズ、団地世代、その時代にあらゆる事が同時に起きていた事に、驚かされる。そして、希望に満ちていた事にも。この、「なんだか分からないけど明日はもっと楽しくなりそう!」という希望、時代は変わっても忘れたくないな。
今年最初に読んだのは、自分の生まれた年の東京オリンピックを舞台とした壮大な犯罪計画。東大大学院生の島崎国夫、秋田の辺鄙な農村出身の質素で真面目な学生。新興団地住まいの警視庁捜査一課勤務の落合昌夫。そして二人を取り巻く人達も、成長期の日本をそのまま描いたような様々な階層、立場の人。オリンピックの開催そのものを人質にするという発想には唖然とすらしたが、その時代に生きた人達が感じていた社会格差は、今の世の中に通ずるものを感じた。骨太の力作でした。
またえらく時代を感じるもの。東京オリンピックってやっぱりものすごくお祭りだったんだなあと思ってしまって。その後ろではものすごい数の労働者の方がいて、ものすごくたくさんの不満があったんだなと思いました。それでもそうやって生きていかなきゃいけなくて。
読み応え十分だった。構成も凝ってた。松本清張のにおいもした。 読みながら考えたのは「この作者はなぜこの小説を書こうと思ったんだろう?」ということ。 ここ数年、昭和を懐かしむ風潮が見え隠れする。そして東京オリンピックと言えば万博と並ぶ昭和のよき思い出だろう(未体験だけど)。個人的に懐かしむことは別に悪いことではないが、右倣えで「いい時代だった」ということに作者は違和感を感じたのではないだろうか。 陽があたる場所には影がある。それが作者伝えたことだったように思う。
☆☆☆☆☆文句なし、面白かった。まるで、実際に起きた事件のようにリアリティーがあった。最後に島崎は生きていて欲しい 。
病院での長い待ち時間に持っていきましたが、おかげでまったく退屈せずにすんだ。 人物の描き方もしっかりしていて、話もうまく、テンポもよい。ただ、東京オリンピックが成功していることは歴史的事実として知っているわけで、犯人の「オリンピックを人質に」という計画が失敗したことは読む前からわかっているのが残念、というか、この小説の性質上それはしょうがないことなんだけどね。
読みごたえがありました。オリンピック当時の東京の様子が丁寧に描かれていて、タイムスリップした気分になりました。島崎が犯行に至る動機が理解できない部分はありましたが、読み終わってみると、作者が描きたかったものがわかった気がしました。初めての作家さんでしたが、他の作品も読んでみたいと思いました。
章によって異なる時系列がだんだんと収束していく、その感じが、時限爆弾のタイムリミットに近づいていくようでとても緊迫感があった。最初は謎解きかなと思いながら読んでいたのだけれど、そういう小説ではなくて、物語の終焉に向けてどういうストーリーが用意されているのか、ワクワクしながら読んだ。法律的な善悪で語るなら悪に属する島崎なのに、なぜかその計画が成功するように思いながら読み進めた自分は悪なのではないかな、なんて思ったりして・・・。時代考証を含めて、とても興味深くて面白い作品でした。
何故か初めのうちは、謎解き小説だと思い込んで、島崎が犯人ではないんだろうなぁ・・・どんなドンデン返しになるのかなっ!て読んでた・・ら、まんまだったんだね・・・でも、東京オリンピック当時の時代が良く描かれていた。学生運動、公安、出稼ぎ、日雇いの建設現場、ヒロポン・・・エネルキッシュな時代だったんだろうなぁ
これはよかった!奥田さんの作品では、ピカイチだと思う。東京オリンピックを成功させようと、国民総出で頑張っていたあの頃。どうしようもない格差社会はこのころから、いやもっと以前から存在していたのだなって実感。リアル開会式をテレビで見たので、あのファンファーレや行進曲が脳裏によみがえる感じで懐かしかった。
ナイス! ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ -
コメント(2)
- 11/08
takayo@灯せ松明の火
ホントに「国民総出で頑張る」そんな熱い力が純粋にあったあの頃のお話でしたよね。今まさに「国民総出」で頑張らなくちゃならない日本なのに、熱さの格差だけが広がっている感じがして、なんだか歯がゆいです。。
ナイス!
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11/08 18:39
ホントに「国民総出で頑張る」そんな熱い力が純粋にあったあの頃のお話でしたよね。今まさに「国民総出」で頑張らなくちゃならない日本なのに、熱さの格差だけが広がっている感じがして、なんだか歯がゆいです。。
ナイス!
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11/08 18:39
面白かったです♪かなり長い話でしたが、細かな描写がなされ、登場人物それぞれに感情移入出来ました!犯人と警察という異なった視点を上手く使って物語が進むのですが、途中からは犯人を応援してあげたい気持ちが強くなってしまいました。今のこの国の豊かさは、父母やその上の世代の苦労の上に成り立っているんだな〜と改めて感じることも出来ました。硬派な感じですが、お薦めです♪
格差社会を改めて感じさせられた。昭和30年代日本国民皆が上を上を向いて各々がんばっていた時代。格差なども意識せず・・・身につまされました。とても良い作品だと思いました。
華やかな東京オリンピックにひそむ影の部分。時代背景は一緒なのだけど、貧しくとも未来に向かってひたむきに生きる人々を描いたalways三丁目の夕日とは対照的。引き込まれるように読みました。
どうした奥田!毒が薄い。というのが初めの感想。が・・・。新しい奥田英朗の匂いがする。労働者の日常や心情の描写はさすがに素晴らしく、少しでも気を抜くと薄気味悪さに飲み込まれてしまいそうになる。今までは「圧倒的な描写力」という感じだったが今回は「地を這うような描写力」という感じ。
日にちが前後する書き方には、初めは戸惑った。読み進めるうちにリアリティーが増して感情移入しやすかった。主人公がどんどん追い詰められていく様は、読んでいて切なくなった。個人的には「サウスバウンド」の方が好き。
東京オリンピックを迎える当時の東京の様子がリアルに描かれ、昭和の熱気が伝わってくる。オリンピックを誇りに思い、何としても成功させたいと願う国民と一人醒めた視線で社会の矛盾に虚無感をもつ青年の対比が見事。奥田氏渾身の力作。面白かった。
整った目鼻立ちに物憂げな表情。長髪の優男。島崎には私もKO。静かで孤独なテロリストに引き込まれずにはいられなかった。たった2、3カ月でここまで大それたことをやろうとするかどうか疑いながら読み進めたが、島崎を取り巻く生活を知るにつれ納得。最後までやり遂げてほしい、と強く願いながら読んだ。さすが奥田さん、長い長い作品でしたが息もつかせず、とても面白かった。殿堂入りかも。
ナイス! ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ -
コメント(2)
- 10/21
「オリンピックを人質に身代金を要求する」というスケールの大きさに、終始ドキドキのしっぱなしだった。国家を揺るがすテロリストなんだけど、途中からは応援している自分がいた。奥田さんはこんな社会派な作品も書くんだね!感動した!!
犯人側と現在進行形の警察側の時系列がズレて話が進行していき、クライマックスへ向けて時間軸がシンクロする構成にグイグイと引き込まれました!戦後からオリンピック開催への高度経済成長の光の部分をフォーカスしている本は多いですが、この本は影の部分がリアリティーある描写で描かれています。奥田さん、やっぱり面白い!
これはよかったー!! オリンピックを人質に 国から身代金を奪おうとする大学生のお話。華やかなオリンピックの光と闇。警察の強さと弱さ。そして島崎とゆう学生がいかにしてテロリストになったのか。そしてそこからの逃亡劇が圧倒的リアリティーをもって描かれています。いやー素晴らしい。奥田先生の本気を見ました笑
奥田氏の小説は全部読んでる。この作品を読み始めて数十ページで「あれ?奥田さんだよね?」と表紙を見返した。佐々木譲か横山秀夫と間違えたかと思った。しかし、「いやこれは紛れもなく奥田さん」と会話文のリアリティに知らされた。それだけ、今までの奥田作品から比較すると、ステージが違う感じ。「島崎」のようなキャラ初では?これが奥田デビューの方、次に「ララピポ」読んで唖然として下さいませ。感想は別途コメントで。
オリンピックの身代金の
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感想・レビュー:382件












































