村田エフェンディ滞土録
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村田エフェンディ滞土録の感想・レビュー(272)
再読です。イスラム世界や世界史などを学んでいるため、初読時より関係性が分かりました。トルコで出会った違った国から来た人々の考え方の相違と共感、折合、わだかまりなどを内包しながら軽やかに説かれるやり取り、体験や聖なるもの達の出会いと共同生活と日本へ帰国後、息苦しさを感じる村田君の対比に胸を打たれます。鸚鵡が村田君と再会した時に「友よ!」と叫んだ場面ではまた、目頭が熱くなりました。「国」という曖昧なのに残る概念よりも一人一人の埋もれ、語られることもあるだろう思いや営みの意味を考えさせられます。
途中で止まってたのを数年越しで読み終えた。後半駆け足な感じ。トルコ滞在が話の中心であるのは重々わかってるんだけど、自分の結婚その他について淡白すぎな印象を受けた。革命の影に暗躍したムスリムの女性ネットワークについては別にどこかで書かれたのかしら?
考古学の研究のため渡土した日本人の村田が、下宿先の住民や周辺の人々と生活を共にする中で感じる、文化や宗教、性向の違いは、彼を戸惑わせ、開かせた。日本男児の誇りでやせ我慢をする場面や、信仰を持たないことへの後ろめたさから言葉を濁したりと、国を代表するというのは大変だと知らされる。歴史を背負い、お互いに興味を抱き、寄り添う登場人物たち。神様さえも共同生活を営む。国家という大きなうねりに呑まれた最後は涙した。
トルコでの生活が丁寧に綴られている。本当に実在した人物の記録を読んでいるようだった。やや読みづらい感もあったが、じっくり読むことで積み上げられたものが最後の章につながる。言葉を発しなくなったはずの鸚鵡が最後に叫んだ「友よ」。ただ感動。
「家守奇譚」のような話かと思いきや、淡々と進むトルコでの日常。そして相変わらずの綿貫。全てが最後の為にあったのだと読み終わった後、納得した。
読んでいるうちに周りの音が聞こえなくなってた・・・。ゆっくり、ゆっくりなんだけど・・・その中にいる。
「私は人間だ。およそ人間に関わることで私に無縁な事は一つもない」この言葉を知った、私は、これからはもう少し何に対しても優しく接していきたい、と思った。もう、鸚鵡を囲んで談笑する仲間がいないということが、とてもとても哀しい。
図書館で借りた本を一度延長し、ゆっくりゆっくり読みました。少し読みづらくもあったんですが、最後まで読んだときに、作者が書きたかったことは、この最後の章だったんじゃないかと思いました。それに向けて、登場人物それぞれの物語が幾重にも重なり織り込まれたような気がします。思慮深いギリシャ人のディミトリス、厳ついドイツ人のオットー、ちょっとデリカシーにかけるトルコ人のムハンマド、優しく厳しい英国人のディクソン夫人、そして愛しく憎たらしい鸚鵡。最後は胸が熱くなりました。
「家守綺譚」で土耳古に留学中と出ていた村田君のお話。国籍の違う人々と口の悪いオウムが一つ屋根の下で生活するはなし。鸚鵡・・・・。
「家守綺譚」で綿貫に手紙を寄越した土耳古の村田君のお話。硬質な文章と水墨タッチの挿絵が不思議にマッチして異国の路地に迷い込んだ気分になる。渡航者が限られていた時代に海外で生活することの矜持やキリスト教とイスラム教が交差するスタンブールでの生活が、淡々した描写の中に浮かびあがり引き込まれる。時代が大きく動く時は何か大きな力が働く。異国での友情はささやかなものかもしれないが時代の流れに翻弄されないための足場となる。オウムの「友よ!」の声に心が震えた。過去は現在を編みこんで、思いを未来へ繋いでゆく。
文体がかためで入り込むのに時間がかかった。 友情は国や時代に関係なくあるんだなーと。なんとなくあんな展開になるのかと思ってたけど最後は悲しかった。
★★★★☆ 高校の課題図書らしい。舞台は革命前の1899年土耳古。土耳古人、独逸人、希臘人、日本人、英国人、鸚鵡がひとつ屋根の下に住む。思想の全く違う彼等が、自分を持ちながら互いを受け入れ生活する。「私は人間だ。およそ人間に関わることで私に無縁なことは一つもない。」byディミィトリス
土耳古と書いてトルコ、人種と宗教の坩堝(るつぼ)のような土耳古でハゲタカのような列強国から身を守ろうとする弱者がいる、それぞれの立場で世界を考える本。・・まさか最後に鸚鵡で泣くとは思わなかった。キツネが牡牛に追いかけられた部屋、不思議な空間・・綿貫がサルスベリに懸想されていた頃、なんと村田は神々の雑居房で起居していたのだ~、それにしても火の竜の玉が高堂の手に渡ったその意味は何だったのだろう!? 村田は押しの弱い日本人のようでありながら、突然、山犬の神に朗々と説教したりするような無鉄砲な正義をみせたりする。
図書館の背表紙に「05課題図書」の文字。中学生のだろうか?東洋と西洋のはざまのトルコで「エフェンディ」と呼ばれる国籍の違う3人の男たちと、イギリス人のおかみさん、下働きのトルコ人の下宿屋を中心に、トルコで起こる平穏にして刺激的な第一次世界大戦前の日々の物語。ダレのことも否定せず、不思議や不可思議を受け入れる精神を学び、外側から見る日本の美徳を再確認する主人公。しかし、そんな日々も時代に巻き込まれていく。それはとてもやるせなく、また輝く日々を際立たせる。しかし、繰り返してはいけないのだ、と胸に刻んだ。
登場するすべての人、アイテムが複層的に絡み合っていて、色んな読み方ができるお話だと思います。特に、古来より西と東が出会ってきたトルコを舞台に、揺れ動く時代を描いているのが、“境界”にこだわる筆者らしいなと思いました。東洋と西洋、遺跡と戦争、古代の神々と一神教・・・等々、対比が美しいバランスを醸し出しています。
何か特筆して言うことはないんだけども、面白い。この人の本の中では一、二を争うくらいに好き。鸚鵡がなんか可愛い。でも最後で。
家守綺譚と同設定。やはり読み易い文体。とくになにもおこらないけど面白い。このシリーズでは霊的というか神的現象がすんなり受容されるけども(そしてその部分が一番面白いんだけども)、そういうひとを書いているのか、そういう時代だったという設定なのか掴みかねますね。
この世界とっても好みです。牡牛の神と稲荷とアヌビス神の追いかけっこは、大騒ぎでも微笑ましい時間でした。それに比べ人間の起こす戦争は、なんと酷いものでしょう。ディミトリスの言葉が心に沁みます。
トルコで同じ屋根の下、暮らすいろいろな国籍の青年達の暮らしぶりが楽しかった。それだけに終盤、世界情勢に彼らが巻き込まれて行った様は、なんともやり切れない。挿絵もステキでした!
★★☆バラバラの考えと文化と宗教を持った人間が同じ屋根の下に住めるなんて。大袈裟に言えばあの下宿は人類の希望の形だと思う。皆が尊重し補えば出来ないはずはないのに。なんだかつくづくそう感じた。ラストが淋しいからかな。あの鸚鵡に世界中で『友よ!』と叫んでほしいものです。
信仰の違い、習慣の違いに戸惑い、認め合い、かけがえのない関係となっていく人達。「およそ人間に関わることで私に無縁な事は一つもない…」という言葉がしみいる。舞台が文明の交錯するスタンブールというのが象徴的。最後に「家守綺譚」の面々が出てくるのもうれしい。
家守綺譚を読んで存在は知っていたけれど、滞土録という設定にあまり惹かれず今日まで読まずにいた。梨木さんがどれほど素敵な物語を書くかということはよく知っていたのに、おしいことをしたと思う。国や文化とは、神のありようとは、考え方や立場の違う人々が生き生きとそこにあり、そして何よりもやさしい。ひとつひとつのエピソードがいとおしく、せつなく胸に残った。
硬質なのにユーモアがある文章、そして何げない日常の中に漂うファンタジー。忘れていたけれど、梨木さんファンタジー大賞出身だもんね。家守綺譚のあの人(?)たちも登場してうれしい。
穏やかな異国の地での日常。様々な国から来たもの同士が楽しげに暮らす描写がとても素敵で、トルコに行きたくなってしまった。ムラタ青年を始めとする魅力的な登場人物が描かれる傍らで、異なる価値観や宗教観、様々な概念が折に触れ出てきて、後半から世界情勢の不穏ななにかが色濃くなる。結末はなんだか…とても淋しくなってしまったけど、でも、まさか、愛すべき鸚鵡の彼がこの物語の結末に希望と郷愁を与えるなんてね。
どこかおとぎ話のようでいて、でもしっかり「滞土録」として読める文章、すごいです。宗教、考古学が入り混じる異国人たちのトルコの下宿屋での暮らしの記録、で終わらないところがさすがというか悲しいというか・・・
物語を追うことに忙しく、落ち着いて読めなかった。とくに終盤はあまりにも展開が早すぎて冷める。いくつもの要素を無理やり接いだような印象を受けた。異国での日常描写や人物たちの言動は心に沁みるものがある。
村田エフェンディ滞土録の
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