ぼっけえ、きょうてえ (角川ホラー文庫)
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ぼっけえ、きょうてえの感想・レビュー(813)
再読。ハードカバーを持っているにも関わらず購入。だって何にも本を持たずに家を出ちゃったんだものwコレと岡山女は何度読んでも飽きない。
ぼっけぇ、きょうてぇ 岡山弁ですごく怖いと言う意味の言葉らしい。それをタイトルに冠した表題作は遊女が客に自らの身の上話を客に寝物語として語るという形で話が進んでいく。遊女の話し言葉として書かれる岡山弁が生み出す独特の雰囲気と生々しく暗い内容に引き込まれたが読み進めるほどに話の生臭さと過酷さに息苦しさを感じた。他の短編も近代日本の閉塞した村社会の暗部や近親相姦などのタブー、男女のまぐわいを扱い怪異は話の味つけ程度に人間の業の深さと怖さを一貫して書いている。
全体を通じて悪寒が走るような恐ろしさ。一昔前の日本の暗いイメージをそのまま引きずっている。また日本人特有の差別やいじめ。障害者、余所者、迷信からのもの。理由は様々だが、村八分として制裁が行われる。誰もが心の中に閉塞感を持っていた時代。それが根底にあるから恐ろしい。
まず、「ぼってえ、きょうてえ」という言葉が怖い。意味がわからなくても怖い。岡山弁で「とても怖い」という意味だそうだ。表紙の女の人も怖い。きょうてえ話が4話。やっぱり一番怖いのは表題作。明治時代の女郎がお客に身の上話をするのだが、だんだん明らかになっていく彼女の過去とともに怖さがどんどん増していく。ひどい生い立ちなのに淡々と話していく口調が怖い。そして最後に…とてもきょうてえ結末があった。
表題作の「ぼっけえ、きょうてえ」は引き込まれました、岡山弁の語りが良いです、とても恐いと言うよりどちらかと言うと薄気味悪いといった印象。読み終わった後はしばらく「姉ちゃん」の姿を色々と想像してしまいました。
ホラーにも色んなタイプがあると思うが、この本は読んでいくうちにすぅっと血の気が引いてくような、或いは自分の背後に不気味な存在を感じてしまうようなタイプだった。 表題作を筆頭にどの短編も地方の閉鎖的な空間とその風土が練り上げられていて、どっぷりとこの話の中に沈みこんでいけた。
あの世とこの世の境が交じり合うような作品世界には恐ろしいながらもひかれるものがあり,ときどき読み返してしまいます.あの世のものは背景としてしか使わず,本当の「きょうてえ」部分を生きた人間の世界に描ききったところが,安っぽいホラーにならなかったポイントかなと思います.
★★★★☆明治時代の岡山を舞台にした4編の短編で構成され、近代化途中の時代背景もあって人権も擁護されず、この短編にでてくるような残酷で理不尽な話も実際あったのではと感じながら読みました。「ぼっけえ、きょうてえ」とは岡山弁で「すごく怖い」という意味らしいですが、特にその表題作品で遊郭の女郎が淡々と岡山弁で語る口調が非常に不気味です。その女郎と話しているはずの客も女郎の語りだけで、実際にはどうなっているのか…不気味さが倍増されます。全作品とも「ぼっけえ、きょうてえ」を醸し出す岩井さんの筆致が素晴らしいです。
表題作の『ぼっけえ、きょうてえ』は女が客に語ってるだけやから岡山弁に馴染みの無い自分としては怖さがそれほど感じなかった。馴染みの無い方言でも言葉にするとニュアンスは伝わる気がするのでラジオドラマで聴いてみたい。 全体的に個々の話の途中の不気味な現象や人間の業などには怖いと思わされたが最後が自分には怖くなかったので薄められただけなのかも知れないが怖くなかった。
ナイス! ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ -
コメント(4)
- 12/01
表題作のみ読んだが、終始圧倒されっぱなしだった。人間の生き方も、極限まで行けば生物としての基本の欲求を満たすだけになってしまうのか。栄養失調の身を削って堕胎と性の営みを繰り返す女たちにとって、命とはなんなのか。日常が地獄と交じり合うかのような人生の前では、母性神話も人生論も吹き飛んでしまう。「いかに生きるか」という悩みなど、「生きていることが当たり前」でなければ抱けない。私たちの暮らしのなんと贅沢なことか。
怪異よりもドロドロと閉塞した舞台の方がきょうてえです。むしろ怪異はそこに吹き込む一筋の涼風といった印象すらあるのが、もうどうにも「出してくれー!」な感じでなんともはや。
ぼっけぇきょうてぇ話の短篇集。耳に馴染みのない方言で語られるお話、より一層不気味な雰囲気を引き立たせます。私は密告函が1番怖かった。やっぱり生きてる人間が1番怖いです(笑) 川で魚を取る妻の恐ろしさといったら…。 夏の夜に読みたい一冊です。
面白い!岡山の古い方言で語られる四篇。いまや消失したであろう集落が禍々しく甦るような。虐待、嫉妬、不倫…救いのない語りにヒタヒタと忍び寄る恐怖。そこに美しさすら感じる。
女性にしか、あるいは作者である岩井にしか書けない作品だと感じた。読んでいるうちに、人間と妖怪の差はなにかという奇妙な感覚を覚えた。実にえぐい。一人がたりの作風が恐怖をかきたてる効果を作り、方言が尚それを助長している。しっかりとした磐石な筆力に、世界観。ホラーを書くためのいくつもの引き出しを揃えた作家である。名作だろう。『依って件の如し』も抜群の作品。読むべし! な一品。
表題作を読んだ時は、岡山弁の江戸川乱歩みたいだと印象を持った。続けて読んでいくと、乱歩とか既存のものでない作者独特の世界観、雰囲気があり、面白く読めた。作者には下ネタのイメージしかなく何も期待していなかったが、意外に文章が豊潤で、複数の受賞歴もうなずけ、その文章力で場面毎に濃厚に描いているのが「怖い」を増長させていた。
ぼっけえきょうてえは岡山弁でとても怖いという意味らしい。日本語の響きが持つ独特の怖さ。全4編岡山弁で語られておりそれがなんとも言えない怖さと不気味さを生んでる。ただ怖がらせようとするホラーじゃなくて人間の欲深さや醜さ弱さなどを物の怪に表した良質なホラーでは。時代も古いので現代ホラーで使われそうなアイテムは何一つ無しでここまで嫌なじっとりとした雰囲気を作り出せることがすごい。出てくる物の怪も皆、どこか可哀想で物悲しい。そして必ず男と女が絡んでくるのは、貧しい昔も飽食な今も、人間の欲は変わらないのだなぁ。
貧困を背景に岡山弁で語られる土着的、閉鎖的、排他的な雰囲気はホラーというより怪談めいている。独特のじっとりと湿気た恐ろしさがありました。四つの話の中で表題作である「ぼっけえ、きょうてえ」が一番好きです。恐ろしくも哀しい物語でした。
ぼっけえきょうてえ」岡山弁で「すごいこわい」のタイトル通りホラーである。しかし他のホラーとは怖さの質が違うような・・。飛び散る血飛沫を直接表現しない、精緻な情景描写からその場面を有り有りと思い浮かばせる「想像する怖さ」。血肉を貪る鬼よりも時として恐ろしい心の裏側の闇に潜む「人の内面の怖さ」。そしてそれらの技法を駆使するが故の巧さはベースとなる怖さの味付けをしておいて後はお好きにどうぞと言わんばかりの「1怖~10怖までのとび怖スパイス」がつけてあるような「読み手に選ばせる怖さ」でしょう。お見事でした!
岡山弁がかなりいい味だしてるんじゃないでしょうか。全文方言で書かれた文章には違和感を感じるかもしれませんが、それがかえって自分の知らない、明治という時代の山奥の寒村のどうしよもない理不尽さをより強いものにしてるような気がしました。今では近代化した日本ですが、地方に行けば今だに古くからの考え方や風習があったりするわけで、どこか土着ホラーに親しみを感じてしまう自分がいます。田舎出身だからかな。
ふと積んであったのを思いだし、引っ張り出して一気に読んでしまった。表題作は怖い。けれど彼女が語る境遇がグロテスクであればあるほど、安らぎや悲しさを感じる。最もゾッとしたのは「密告函」。生き抜く為に黙々と働く女の心中は、ぽっかりと暗い穴蔵(空虚でハナイ)のようなのかも・・。「依って件の如し」では「にいしゃん」と話す娘が可愛らしく愛おしい。残酷で汚らしいことが語られれば語られるほど、そう感じていく。
どれも薄気味悪い感じで確かに怖い…
独特の語り口調方言が余り気にならず読みやすい感じでした
標題作は確かに…ぼっけえきょうてえ…
「きょうてえ」本だった。四作ともに凄まじい女性の情念が生臭い恐怖を醸している。表題作もよいが、個人的には『密告函』で(私のような)妻子ある地味な男性がどうしようもないものに絡め取られていく、あの絶望的なさまが忘れがたい。
思ってたより怖かった。岡山弁も、作品全体にいい空気をつくっていたと思う。評判のいい表題作はもちろん、他も同じようにぞわぞわするような怖さがあった。読み終えたあとに、なんだか気分が沈み込むような。日本の怖い話、まさにそんな感じ。
岡山弁で語る女郎の寝物語。時折出てくる「こらえてつかあさい」は津山三十人殺しを思い出した。表紙の甲斐庄楠音(かいのしょう・ただおと)の「横櫛」という絵がなかなかに怖さを醸し出している。他の絵も気になっていろいろ検索したらこの画家もなかなか濃いキャラクターのようである。
こぇ〜?だって表紙の絵がだんだん顔がひきつってるように見えるもん。設定はよくあるかも。でも、惹き付けられるなぁ。女は結局きょうてぇ。
岡山の遊郭で女郎が語る陰惨な身の上。方言を駆使した滑らかな語り口が緊張と不安感をあおる。いつの世も人間こそが恐ろしい。ただ物語の深みはあまりなく、表題作以外は全く恐くない。
「ぼっけえ、きょうてえ」のみ星5つ。ネタは荻原浩の「お母さまのロシアのスープ」と同じ。さて、どっちの作者がこのネタをうまく調理してるんでしょうか。
『前にも言うたろう、妾は人に優しゅうされたことがないけん、優しゅうされると辛うてかなわんのじゃ。責められとるような気持ちにさえなる。じゃからやっぱり、地獄が気楽でええんよな。妾らには。人間扱いされたら困ってしまうんよ。鬼の子じゃけん』
ホラーと聞いて怖い話かと思ってたけど、どれも怖いというより悲しいお話。特に『あまぞわい』がすごく切なくなりました。どの時代でも変わらず、女というのは怖い。得体の知れない霊などより、自分の目の前に存在する生身の人間の方が恐ろしいものです。読み終わった後は何とも言えない気分…。もう一回読んでみようかな。
ぼっけえ、きょうてえの
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感想・レビュー:190件













































