偶然の祝福 (角川文庫)
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偶然の祝福の感想・レビュー(526)
じわりと心にくる短編集。現実と非現実、在るものと失われたもの、が交錯して体にまとわりつくような印象の濃い物語たち。静かに流れる日常のなかに非日常が溶け込んでいてとてもよかったです。
キリコさんの失敗が好きです。 キリコさん、とっても魅力的なんだもの・・・。 サラサラ読めてしまったけど、読み終わったあとすぐに再読しました。 いいです。小川洋子さん、続けて読んでみよう。
7つの話で構成されている短編集。それぞれ独立しているが、主人公は一人。『盗作』では他作品との繋がりも見えて面白い。小川先生の書くものはいつも静謐な印象を受ける。今回もひっそりとした孤独を感じさせるが、主人公の気持ちの強さが最後の一編に色濃く出ていて希望が見られる。素敵な一冊でした。
所用があってJRにて「函館~札幌」(特急スーパー北斗19号)、「札幌~留辺蕊」(特急オホーツク1号)を移動。車中での読書用に「なるべく薄いこと」を基準に、乗車直前、「北文館函館駅店」で選んだのが本書。そんな不純(?)な動機にも関わらず、なかなかいい本に出合えたなぁ、との印象。当分、小川洋子の短編集を追いかけてみようかと。
『偶然の祝福』おぉ、この題名凄いな。『猫を抱いて〜』に並ぶお気に入り。短編かと思ったらどれも同じ一人の女性のお話で、そのどれもの偶然が必然のように感じる。この、違和感があるようで心地良い世界が本当に好き。『盗作』は別の作品との繋がりもあってまたファン心をくすぐるのですよ。お気に入りの一冊になりました。
小説を書くことの、産みだすことの苦しみが垣間見られた感じ。お手伝いのキリコさんや片腕を挙げたママの弟が、ひとつの物語の一部だったなんて。いろいろな短編の主人公が同一人物で、それぞれに独立した物語になっているところが、縦糸と横糸で織り上げられた1枚の布のようで、大好きです。孤独の中に沈み込んでいる主人公が愛おしい1冊でした。
再読です。「キリコさんの失敗」がやっぱり一番好き。「時計工場」の、主人公が小説を書くときの心持ちが静かでしっとりとしていて、小川洋子さんもこんな心持ちで小説を書いてらっしゃるのかなぁと思います。
言葉たちにうっとり。現実のような夢のような、曖昧な世界を贅沢に漂った心地。『キリコさんの失敗』は自分でもよく分からないけれど、とにかく素晴らしく感動してしまった。小川さんは短編より長編が好みだな〜と思っていたけれど、本書はとってもよかった。また読み返したい一冊。
優しいけど寂しい。でもたくましくもあり、懐かしさもある。幸福とか不幸の向こう側にある物語って感触。この何とも言えない読後感には覚えがある。小学生の頃、放れ難くて従兄弟の家に泊まると言い張り、さんざん遊んで、さぁ寝ようという時になって、宇宙で一人ぼっちになったような、ふいの心細さに襲われた時の、あの気持ちに似ているのだ。遠い記憶の中の想いに触れてくる、そんな短編集だった。
小説なのか、エッセイなのか、小川さんの不思議な心の中に迷いこんでしまったような物語。物語の住人はどこか不安定でさみしげなんだけど、自分だけの、決してぶれることの無い芯をもっていて羨ましくもある。
とても贅沢なお話。というのも、いままで出された作品(エッセイこみで)をほぼ読み終えたあと、これを読むといろいろな繋がりに感動しました。ただ「キリコさんの失敗」は本当に本当にすばらしかったです
失踪や死など、失うことを扱いながらも読後に残る印象は「失われずあり続ける物」への敬意。過去と今と未来と夢と現の境界線がなくなって混ざり合った先に見える景色はどんなものなのか、気になって手が止められず一気に読んでしまった。派手な事件もストーリーもないけれど避けられない喪失感にそっと寄り添ってくれるような優しい物語でした。
大好きな短篇集。大雨の中、具合の悪いアポロがとうとう歩けなくなった時にはドキドキ。颯爽と現れた救世主に拍手喝采!そしていつもの小川ワールド全開。万年筆から生まれた物語は、たとえ読者に忘れられても、確かにこの世の片隅でしっかり存在している。その確かさに勇気づけられる。途中でページを捲るのがもったいなくなって寂しい気持ちもよく分かるが、それを「1ページ、1ページを舐めるように・・言葉の感触が舌から伝わってくる」と表現した小川ワールドに脱帽です。
優しい人の影がちらほらとみえるのだけれど、優しくて温かい人は、やっぱり通り過ぎるだけで過ぎ去ってしまう。欠けたままの部分が埋められることがなくて、物足りなくて次の作品を読んでしまうという無限ループ。物語を越境してつながっている所があって、メタ構造になっているのがなかなか面白い。
連作短編集。小川洋子ってこんなんなんだ。予想外。掴みどころがないというかなんというか。読んだ後に何かは残るんだけどうまくそれを言葉にできない。時間をおいてまた読んでみる。
短編7作。作家でシングルマザー、そして寄り添う愛犬という設定で綴られる。なんだか奇妙な組み合わせの7作だった。小川節を感じさせる作品あり、異色な作品あり、いまいち特徴のない作品あり。実はチャレンジングな短編集ではないだろうか。全編通して空虚感は感じるものの、タイトルにあるように何らかの救いが与えられているのが、今までの展開にないと思えるところだ。いや、今までの作品にも救いがあったのではないか?う~ん……詳細を読み解くには時間がかかりそうだが、静かで面白いことには変わりない。
ここんとこずっと小川作品を立て続けに読んだせいで、内容が自分の頭の中で錯綜している。この作品は、途中一気に読めた部分とグダグダしてしまった部分と両面あった。短編集の中ではイチオシです。
失踪者たちにわたしはしあわせなことに縁がない。弟もきちんと健康にくらしているし、母親だってあんなふうに恐ろしいくらい噛み合わないわけではない。でも、少しだけ憧れる世界。わざと孤独になってみた昼下がりに読むのにぴったりなのです。
図書館借本。短篇集。うまく言えないけど、ひとが生きていくという事は、なんとなく川の流れに似ているな、と本書を読んで感じた。海を目指して流れてゆき、何があっても、留まらず、逆流せず、ひたすらに海を目指す。いっとう良かったのは「キリコさんの失敗」。「涙腺水晶結石症」も好き。
小説家でありシングルマザーである「私」とその息子、そして愛犬アポロを中心に、日々の出来事を綴った短編集です。 清清しい作風は相変わらず。小川洋子の世界にどっぷり浸かりたい人にはオススメかも。
この作家は、長編が良いと思うのだけれど、この短編集のなかでは、キリコさんの失敗が良かった。 冷たいような温かいような霧に包まれるようで 読んでいる時間はずっと気持が良かった。
弟、伯母、万年筆、リコーダー、恋人……何かを失う度に書く力を失くしながらも書くことを渇望し生きる糧とする「私」の姿が、情感豊かな文章で綴られています。この「私」にとって、言葉を書き綴ることは生きる上で決して自分から切り離せない行為で、彼女は書き綴ることで世界を見つめ、自らを取り巻く世界への恐れを昇華しているのでしょう。 ひとつひとつの気持ちが生々しく、作者の身上と設定の共通項の多さもあって、私小説を読んでいるような気分になりました。
ひとりの女性作家が主人公の短編集。キレイな雰囲気をもっているように思えるけど、いつもどこか気持ち悪い、グロテスクな部分がある。 まさに小川洋子、という感じ。
小川洋子初読で、普段ライトノベルばかり読んでいる自分には、この本の持つ指標がどこにあるのか見当が付かなくて読了後ぼんやりとしてしまった。ただ、理解は難しいけれどまったく重みが無い訳じゃなくて…。
甘くて苦い、そんな別れの記憶。 不思議な人物との出会いと別れをモチーフにした傑作連作短編。 極上の出来。
1ヶ月ぐらい前に買って、今日思い出したように読み切った。母やキリコさんやアナスタシアや、そして「私」と共感できたりできなかったり。とくに母親には、薄気味悪さを感じて仕方なかったし、「私」もそんな様に感じている風で、でも、読み手のわたしはそんな「私」にも母のと同種のような薄気味悪さを感じ……。後味が決して悪いわけでもないのに、後に引くこの奇妙さはなんなんだろう……。
あー。これは良いなあ。うん。良い。しみじみ。/らしさ全開で。静かで、美しいけど、重い。けれど重すぎず、残酷だけど痛くない……っていう感じなのは小川作品にある要素なのだけど、この連作短編はこれに加えて何かこう……上手く言えないけど、違う雰囲気を纏っていて、それがすごく良かった。
小川さんの小説は 私にとって 妖しくも美しく けれどちょっと理解不能的な雰囲気のものと ぴったりと心に収まるものとあります。その どちらもが描かれている本でした。
偶然の祝福の
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