氷点 (下) (角川文庫)
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氷点の感想・レビュー(890)
自分が殺人犯の娘だとはつゆ知らず、スクスクと育ってゆく陽子。極寒の旭川で、まだ小学生なのに一日も休まず牛乳配達のバイトをするところでは泣かされた。人の心には鬼が棲んでいることを、これでもかと突きつけられた作品だった。「TOKYO FM 小川洋子 Panasonic Melodious Library」課題本。
再読。話が進み陽子が少女から一人の女性に変貌していくたびに、夏枝との対比と啓造の卑しさが目立つようになる。最終的にはどんでん返しで終了してしまうが、作品構造的にはここで「原罪」「生存罪」を根底から否定しない限り、陽子が助かるすべはないのだろうな、と思った。三島由紀夫『豊饒の海』然り、東野圭吾『流星の絆』然り。ある程度作品構成はテンプレだが、それをここまで人間の裏面をネチネチと描いた筆力は賞賛すべき。文句のない名作。
登場人物と同じく、すっかり騙されてました。人に対して自分を偽ることは簡単。でも自分に対して自分を偽ることは不可能。啓造の苦悩が自分のことのように感じらて、深く考えさせられる素晴らしい一冊でした。
アダムとイヴが禁断の実を食べたことから始まる「原罪」をテーマにした作品。 人の心底に内在する本能的な醜悪な部分は、果たして理性で克服できるのか。 それを乗り越えるために宗教があるのかなと考えさせられる。僕は無宗教だけど。 日本版「罪と罰」といったところ。 「原罪」がもしあるとしたらなら、人はなんのために生きるのだろう。その問に煮詰まった時に、人は氷点を迎えるのだろうか。 三浦綾子って熱心なクリスチャンだったのね。 サクッと読める一冊。
240頁まで来た。でも「聖書」など忘れ去られている。遠藤周作の『真昼の悪魔』に本当の悪女が登場するが、夏枝ママは悪女ではなく狂人といっていい。啓造パパは相変わらずウジウジ。徹君は豹変しそうで怖い。聖女のような陽子・・まさかイエスに重ねているとな?−−愚かで醜い我身でも真に生きられるか牧師さんに聞いてみよう。啓造パパが、ついに教会へ行くことに。夏枝ママには、恥ずかしいのでチョットそこまで。−−ぁれ〜、教会の前で尻込み、結局つくづく自分に呆れたとか、ブツブツもじもじして帰っちゃったよー。あと百頁たらずで
haru@灯れ松明の火
最後はけっこう衝撃でした。一夜明けてつらりつらりと思うに、人は皆なにかしらの罪や秘密を背負い生きている、時には憎み嘘を言い、時には逃げまわり、時には冷ややかに無視し、時には許しを請い、時には自嘲する、それは夫婦や兄弟や家族や親戚や仕事先やらの人間全員だ。虚構と誤解が渦巻く人間社会。本当に本当のことを言える人など誰一人もいない。自分を洗いざらい見せられる人間、一生に一人いるかいないかだろう。一生出会えないかもしれない。
ナイス!
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01/05 09:52
最後はけっこう衝撃でした。一夜明けてつらりつらりと思うに、人は皆なにかしらの罪や秘密を背負い生きている、時には憎み嘘を言い、時には逃げまわり、時には冷ややかに無視し、時には許しを請い、時には自嘲する、それは夫婦や兄弟や家族や親戚や仕事先やらの人間全員だ。虚構と誤解が渦巻く人間社会。本当に本当のことを言える人など誰一人もいない。自分を洗いざらい見せられる人間、一生に一人いるかいないかだろう。一生出会えないかもしれない。
ナイス!
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01/05 09:52
haru@灯れ松明の火
−−遠藤周作さんはその一人がイエスだったとストレートに描いてくれたが、三浦綾子さんの本書では宗教色は少なく神に救いを求め許しを請う人物などいない。まさに聖女のような陽子が「その一人」だったのだ。なかなか教会へ行けない自分、啓造のように自嘲しながらいざ続編へ。
ナイス!
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01/05 09:53
−−遠藤周作さんはその一人がイエスだったとストレートに描いてくれたが、三浦綾子さんの本書では宗教色は少なく神に救いを求め許しを請う人物などいない。まさに聖女のような陽子が「その一人」だったのだ。なかなか教会へ行けない自分、啓造のように自嘲しながらいざ続編へ。
ナイス!
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01/05 09:53
誰もが勝手な自分の意思で思うままに動き、その結果どんどん泥沼化する愛憎劇は、作中に出てきた″嵐が丘″と似ているなと思った。だけど、最後の展開にはもっと深い静かな問いがあった。誰しもが持っている罪。それを考えることもしない人間は愚かだ。しかし、決して逃れることが出来ない原罪ともする罪の意識に深く捕らわれる、あまりに潔癖な陽子も哀れに思う。人間が生まれながらに罪を持ってしても、それでも生きるしかないのだから。それを覚悟の上で、私たちはどう生きればいいのだろうか。生きることで罪を重ねる、人生は虚無的にすら思う。
子供たちだけでも救われることを期待し下巻に突入。誰も救われないんだ・・・。続氷点に救いを求めたい。あちらの神様はいつでも我々をお試しになられるので大変ですね。
本書のテーマは『原罪』だそうである。『原罪』とは、神の愛に背いて自分の判断で生きることを選んだアダムとイブの犯した罪に由来する罪のようである。自分が何もしていなくても負う罪のようであるが、なぜ自己の行為がなくても罪を負いうるのかが理解できなかった。陽子が自分が殺人犯の娘と聞かされ、自己に罪を感じたようだが、親の罪がなぜ子に『遺伝』するという考え方がわからなかったため、陽子の服薬に共感できなかった。キリスト教について多少の予備知識がある方が本作品を深く楽しめるのかもしれない。
全然こりてないどころか陽子に張り合おうとする夏枝に始終イライラした。ひとつの事柄でも受け止め方は人それぞれ。善意を素直に受け止められる人間になれればいいと読んでいて思った。氷点は原罪で続はゆるしがテーマらしいけど、どんなふうに一家が許しあうのか知りたいような知りたくないような
陽子ほど清廉で思慮深く、人畜無害な人間なんて存在するのだろうか?おまけに美しく賢く、全く非の打ち所もないときた。このリアリティに欠ける設定が、昼ドラ色を色濃くしている様な…。最初はバカ夫婦が大嫌いだったけど、何故かこの人間臭さに惹かれている自分がいたりする。テーマである『原罪』にまでは深く考えが及ばなかったです(f^_^;)
最後まで読んでよかった。人間の醜さと美しさの表現の仕方が巧い。夏枝の人物像、それに対する陽子。陽子のような人間に出会ってみたいものである。キリスト教に関しても深くのめりこんでいないため、塩狩峠に比べると読みやすかった。
昼ドラ風、という感想が多いですが展開としてはその通りです。しかし作者の世界観や美しさが詰まった遺書部分にかなり救われているため、最後まで氷の結晶の儚さを感じながら読了できました。
旧約聖書の創世記から伝わる「原罪」というテーマを通じて、人間の人格という問題について考えさせられた。何の罪も無い陽子は、自分に殺人者の娘であるという大きな罪がある事を知った。もし彼女が被害者である辻口の家に引き取られなかったとしても、彼女に殺人者の血が流れていることに変わりはなく、「自分も将来父親のように殺人を犯すかもしれない人格」が備わっている事に気づいて絶望する。無垢な陽子にさえ大きな罪=氷点があった。私達が逃れることのできない原罪の深さにただ圧倒されるばかりである。
啓造のねちっこさと夏枝のしたたかさが読んでてイライラした。結局、苦しんだのは子供たち。しかし、この小説を読んでいると、本当の愛や信頼やゆるしとはなにかを考えさせられます。また、人間とはそう簡単に変われるもんではないんやなとつくづく思った。
下巻はどんどん昼ドラっぽくなっていく。啓造が示すように、日々の生活の前においては、汝の敵を愛すなどという大きなテーマは無力なのかもしれない。徹の、夫婦の問題のために陽子というひとりの人間の人生を変えてしまった、という発言にはハッとさせられた。陽子はまっすぐすぎて、なかなか共感できないが、環境のせいでひねくれてたまるかという考え方は良いと思う。夏枝に一番共感してしまう自分がいる。
やっぱ下巻もアホ夫婦やったなぁ。でも、啓造の陽子に対する心境の変化は分かる気がする。たぶん、自分なら親の特権で風呂は一緒に入るやろなぁ。夏枝はホラーやな。 できれば上下巻で終わってほしかったけど、今後の親子関係が気になるので「続 氷点」を読みます。
ナイス! ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ -
コメント(6)
- 09/23
本当に昼ドラのような展開だけど、作者さんの心理描写が上手だから「あり得なくもない…」と思ってしまう。 そもそも初めの啓造さんの決断に無理があっただろうけどついそうしてしまう人間心理も分かるし、夏枝の気持ちの変化も理解できた。夏枝さんの利己的な考え方は誰よりも幼くて怖くて…女って怖いわ。 殺人者の子であることが自分の氷点だと考え、最後に決断する陽子さんの言葉がとても心に残り美しい。 続編こそは希望ある展開になるよう望みつつ、陽子さんが心から救われる道はどのようなものか…早く知りたい!
『続 氷点』があることは知っていたが、下巻のため、しっくりくる結末で終わると思っていた。啓造から陽子へと目線が変わり、より自分に近い人物だったため読みやすくなった。だが夏枝の幼稚さが鼻につく。美しさで全ての男を虜にすることは無理だろう。また「ルリ子が可哀想だ」と陽子を目の敵にするが、陽子に負けていると思ったことで行動を起こさせたように感じた。啓造には「汝の敵を愛せよ」の有言実行として、陽子一人の人生を変えてしまった責任もあるだろう。
「原罪」に行き着くまでが昼ドラ過ぎてなかなか深く考えることができなかった。「氷点」というタイトルは秀逸。タイトル選手権があったら確実にメダルを獲得しているはず。最後の方は夏枝さんがかなりの悪者になっているけれど世の中のたいていの人が夏枝さんと同じレベルなんだと思う。もちろん自分が筆頭だけど。作者が女性だから女性に対して厳しいように見えた。「続・氷点」読むしかないな。
この本のテーマは「原罪とは」。人間の心の中の深い闇が、最後までどろどろとうごめいて最後に結集されていく。オチが、途中ちょっと予感した、まさにその通りだった。それだけに逆に悲劇的な結末。最後は読者の想像にお任せします的展開、って思ったらちゃんと続編があるのね~。読まずにいられないっしょ!塩狩峠も面白かったけど、ホントこの本も傑作です。
昼ドラの様な展開。無垢な陽子にも原罪はあるのだ、ということを伝えたくて書かれた物語だそう。常に人間存在の根本を問う。自己中心に、憎しみや悲しみに自分を任せて猛進する夏枝がとにかく憎たらしい。最後は、もしやと思ってたけどやっぱりそうなのかー!となる。
ナツイチチェック。登場人物の自己中心性も目立つが、これほどまでに、人は他人の思惑や感情を推し量れないまますれ違っていくのかと思うと虚しい。
何か辰子以外の人は思ってることをはっきり表に出さず、裏で陰険な根回しや嫌がらせしてる人ばっかだなー。これじゃあ例えルリ子が生きてたとしても、辻口家はうまくいかなかったと思う。陽子や由香子のような純真な人がその裏側に押し潰され、夏枝や啓造のような上辺100%!の人がのうのうと生きて行くという・・。作品中に戦争の影が反映されてる辺りといい、日本社会の表裏を見た感じがする。
高校生のとき母に勧められて読んだ本。これが三浦綾子初読みだったが、この作品に深い感銘を受けてその後彼女の本を読み漁った。何度もドラマ化されているけど、自分のイメージで覚えていたいので敢えてドラマは見ないようにしたほど大切な作品。どんなことがあってもきれいな心を持ち続けた陽子が最後に遺した、”自分の中にある氷点”に気付いてしまったくだりに思わず涙した。罪深い人が多く登場するが、自分の罪でもないことにまで心を痛める人がいるということにとても衝撃を受けた。同時に人間の弱さ、愚かさにも気付かせてくれた作品。
陽子の強いようで脆いところ、わかるな。自分を信じている人間は強いけれど、ある瞬間にどうしようもなく揺らぐ。徹と啓造の倒錯っぽいところ、親子って感じです。
下巻は読むのに耐えられないものがあった。夏枝は利己主義の塊であるけれどきっと人間だれしも持ってると思う。氷点というタイトルは読んでからわかるものですね。
後半は一気に読んだ。辻口家の人は皆それぞれ人間として欠点を持っている。それは、これが小説だからという訳ではなく、現実の人間も各々持っているんだろうけど・・・暗い。理想を掲げてもなかなか実現できない。分かっているのに繰り返す。それが人間か。あとがき(解説)によると、この本は「原罪」というものをテーマにしているらしい。初めて聞く言葉だが、この本を読んでなんとなくは理解できたつもり。人間に始めから備わっている罪深い部分というか本質というか。なんか暗い。でも、続編の続氷点とやらも読んでみたい。
再読。以前に読んだときは啓造の気持ちに注目していたように思う。しかし今回は、夏枝の時おり見せる優しさと、それに喜ぶ陽子の気持ちが切なくて仕方がなかった。建前であっても、気紛れであっても、人の心は揺さぶられるものなんだな。
なぜ重要な事実を誰も確認しないのか、こんなにすれ違うのか・・・ともどかしい。会話って本当に大事だなと実感。 子供を失った苦しみがわからないからか、夏枝が諸悪の根源ではないかと思った。
氷点の
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感想・レビュー:124件
















































