八番筋カウンシル
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八番筋カウンシルの感想・レビュー(223)
津村さんのことは「仕事の話」(文藝春秋社)のインタビューで知った。著作を読むのはこの本が最初。主人公「タケヤス」が名前ではなく姓なのだ、と気づくのに少し時間がかかり、「他の人物はともかく、主人公は名前で表さないかね?」と違和感も感じたが、慣れてくるとそれも興味深く感じた。他の女性は「カヤナ」とか「アキ」とか名前で表しているのに、「ホカリ」だけは姓で表しているところも、何かを暗示しているみたいね とか。「タケヤス」の鬱々としたところも、最後にはちょっとカタルシスも感じられて、悪くない読後感。
生きる事は働く事という定義がこの人の作品のベースになっているように思う。いい加減に働いている人は人生もいい加減なもの。タケヤス達三人は忌み嫌いながらも商店街に根ざしている不思議。地元とはそういうものなのかも。津村さんの作品は読ませるなーと再確認。
面白かった!電車を一駅降りそこねてまた戻り、家に返って我慢できずに読みきった。みんながいいように操ろうとしているエトさんの聡明さ、堅実に生きていこうとするホカリ。高校生の頃の回想と三十代の現実の視点が絡みあい最後に帰結し、一文に収束する。どんどん津村さんが文章がうまくなって、エンタテイメント性も持ちつつあって、アレグリアではのりきれなかった部分をうまく乗せてきたと思う。もう一度、面白かった!
大型モールが出来る事で揺れる商店街の人たちを軸にして、仕事を辞めて実家に戻ってきたタケヤスの日々を描写する物語。登場人物の心理描写が妙に上手い人だよなあと思いながら読んだ。実際にこういう場所がどこかにあるようだな。
小さい頃から知ってるって良いこともあるけど めんどくさいことのほうが多いかも 自意識過剰かもしれないけど タケヤスの気持ちもわかる気が カヤナはやだな
自分のことを書かれているようだった。津村記久子は他者の人生をイメージする能力に長けている人だ。だから、男性を書ける作家だし、他者の人生を作品の中に点在させることができる。タケヤスという異性を練り上げることも、八番筋の人たちの後ろ側にある人生を練り上げることも、見事だったし、小説の面白さがある。にしても共感する主人公だった。
下世話で卑俗な大人にないがしろにされてきた子供たちも、それぞれのたたかいを経てゆっくりと大人になってゆく。一番スポイルされたのはカヤナだろう、本人の資質と家庭環境が絡まり、そこにつけこむ大人もいて。でも状況から選びとっていくことが人生なら、はたから見るよりもたくましく卑俗の道を生きているのかもしれない。津村作品の中でも、場所に関わる人たちみんなの人生について考えさせられるずっしりくる作品。
可もなく不可もなくといった感じ。リアリティも感じられるし、主人公らの不安感に共感しはするが、全体的に上滑りして印象に残らなかった。個人的には、カヤナの生き方というか人間性に恐怖さえ覚えた。周りがちやほやして何でもしてくれるとああなるのかな。他人に依存する人生てどうなんだろ。。。
「カソウスキの行方」「アレグリア」で爆笑させてもらったので、笑えるかと思って読んでみました。結果は全く笑えず(苦笑)。あまり何も思わない本だったけど、東野さんの本を読んだ後に感じる気持ちとは少し違う。作者さんは、きっと何かを伝えたくてこの本を書いたんだろうけれど、それに自分がついていけなかった感じかな。静かで淡々とした物語だけど、この人はやっぱりすごい人だと思う。読んでそれで終わりじゃなくて、何か心に残る。句読点も増えて、以前より読みやすかったかな。
呆れる程、無神経な八番筋カウンシルの皆さん。逆に考えれば要領がいいってことなのかもしれないけれど、何だかなーとモヤモヤ。終盤、タケヤス、ヨシズミ、ホカリがそれぞれ、何か掴みつつあるような雰囲気で安堵しました。ただ、ホカリが主人公の方が私にとっては、より面白く感じられたような気もします。
近くの大型ショッピングモールの建設計画にゆれるさびれかけた商店街八番筋。それぞれ人生に疲れた30前の男女3人が生まれ育った商店街に戻って、生活を始める。3人が出席を求められる商店街の青年部(カウンシル)の会合を中心に地域の人間関係が描かれるとともに、かつて商店街で亡くなった老人の死の真相をめぐる話が展開される。著者の他の作品と同様に若者の生きにくさが軽妙な会話でさらりと書かれている。
面白かった。津村さんの長編は初だが、短編中編のときと同じく小気味よいテンポはそのままで、さくさく読んだ。バカみたいな閉鎖的な地域。その底辺に流れる倦怠感と不穏な空気。タケヤスがこだわり続けている忘れ去られた“物事”。それが、商店街の近くに建設されようとしているモールの計画でまた姿を見せ始めるのだ。閉鎖的な地域、壊れた家族の関係。それが意地悪なまでに辛辣なまでに徹底的に書かれている。生きにくさやその苦しみ、自分以外の他人との関わりの難しさ、将来の夢。描かれていることは、生きる、ということなのかもしれない。
100ページ目くらいで挫折・・・。カタカナ名が訳わからなくなってきて混じり混ざって、でも注意深く人物を追って、これから話の核なんだろうなあという予感もあったけど、一生懸命読まないと話を追えないことにストレスを感じてしまったので本を閉じることとする。
日々浮かんでは忘れられていく感情を、掬ったり救ったりする作家さんだと思ってるので、みみっちい部分の緻密さを期待して読んだが、そこまでずばっと切り込んでないような?
名字がカタカナだと覚えにくい カウンシルとは青年会の事で、大きなショッピングモールが建つことについてや地元の人達とのやり取りが延々と続き、何を伝えたかったのかなと思った タケヤス・ヨシズミ・ホカリは人に厳しいが自分にも厳しく、相手を思いやって言葉を選んでいるのが伝わってきた 土岐田医師には制裁が下ってすっきりしたがカヤナは逃げ切り、自分の子どもを置いてまで幸せになろうとする腹黒さが嫌だった
全体に漂う陰鬱で無気力な雰囲気に、なんかいつもの津村さんらしさがなくてちょっと残念。しがらみに絡み取られて思い切った行動に出られないのは、主人公が男だからか?いつまでも同じ作風ではいられないだろうし作家もどんどん進化していくのだろうが、こっちの方向には進んでほしくないなぁ…。
長いこと大人をやってて、もたれあいなすりつけあう関係を続けて感覚が麻痺した大人を嫌悪する(呆れる?)感じが理解できちゃうのが(悪い意味ではなく)嫌だった。
津村さんが男性を主人公にするとこうなるのかぁ、という感じ。主人公よりもカウンシルの面々にリアリティを感じました。カヤナが不気味。相変わらず名前の表記がカタカナと漢字で書き分けられてる意図が汲み取れないです。
主人公たち若者を、同世代の友人・知人たちとのつながりの「横」と、商店街という閉塞したコミュニティの中のつながりの「縦」両軸から立体的に捉えようとした意欲作だと思うのですが(津村作品としてはじめて男性主人公を起用したのもその意欲の現れかと)、逆にそのスケール感が手に余ったというか、結局書き込みが中途半端でテーマがぼやけてしまった感。読書メーターで他の皆さんの評価がいまいちなのも、きっとそのへんに起因するんだろうなぁと思いました。
母子家庭小説。主人公タケヤスの今と中学生時代をいったりきたりしながら、彼の半生が語られる。人間関係がわかりやすく、とても読みやすい。しかも推理小説だった! わたしの前に感想書いている人たちはいまいち、って言ってるね...でもわたしはポトスライムやアレグリアよりも面白く読みました。この作者は何故登場人物をカタカナ表記するんだろう? しかもわざとなのか、苗字か名前かわからない感じ...。
仕事をやめて地元に帰ってきた主人公が商店街のうんざりするような狭い人間関係に巻き込まれていく話。面白くなくはなかったんだけど、「アレグリアとは仕事はできない」ほどではなかった。主人公が一体何がしたいのか、よく分からなかったせいかも。念願の小説の新人賞を獲って会社を辞めたけど、辞めたことを後悔してたり、ろくでもない父親がホームレスになってて再会したり、と、面白くなりそうな設定はあるのに何だか響かなかった。
狭い商店街で狭い世界を生きる人たちの話。後半、主人公の愚痴が見苦しいが、父親を許すことでプラマイゼロ。しかし、なんだろうこのつまんなさ。。意味のない話。語り口調も、癖があって非常に読みづらい。
結果、こうなって良かった。主人公と父親の関係がどうなったか気になったけど、これはこのままでいいんやなって色々考えて思った。大人の都合だらけの世の中について考えさせられました。
なんだか少し無理して普通の小説を書こうとしている感じがした。ところどころ面白い描写もあるのだが、そのまま筆が走ることがなく、枠の中に押さえ込もうと抑制しているようにも思える。ある程度登場人物と距離を置いた書き方をしようとしているのかもしれないが、淡白な印象になっている。
主要人物にあまり魅力が感じられないので、なんかダラダラとしてうっとうしくなる。この半分くらいの長さできりっと書いてくれればもっとずっと良かったような。
★★★★★ 穏やかな文章なのに、家族や社会に対する行き場のない苛立ち・不満、そのために発生した友達へのわだかまりが、ものすごく強く感じられる。その中で折り合いを見つけながら、3人は、それぞれの身の丈にあった生きかたを自然に貫こうとしていて、そこがすごく好きだ。
「ひどく遠くに来てしまった、とタケヤスはヨシズミの肩越しに薄暗い部屋の明かりを見上げながらぼんやりと思った。もう中学生には戻れないという当たり前のことが、自分でも不思議なほど胸を突き上げた。」
商店街の人々の人間関係としがらみと噂話。そんな中で人生を考える。全体的にネガティブでぼやいてばかりの感じだけど、人間同士のあたたかみを感じました。人生とか国とか政治とかじゃなくて、一番近くにあって一番重要なのは、ちいさな世界のささいな出来事なんだよね、結局は。
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感想・レビュー:83件














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