伝奇集 (岩波文庫)
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伝奇集の感想・レビュー(441)
面白かった。一つひとつの掌編に、胸に焼き付けられるような読後感がある。それをどう表現すればいいのか、今はまだよく分からない。研究書や解説書を読めばいいのだろうが、今はまだ読みたくない。 とにかく読者のインスピレーションを刺激する作品集だと思う。 あと、スタイルはずいぶん違うが、エドガー・ポーを思い出す。あえて比較すればということだが。
これはもはや古典といっていい。海外文学に興味のある人はぜひ読むべき。いったい何人の作家がこの短編集に収録された作品から着想を得たことだろう。
前半は小説というよりも評論に近く、難解な言い回しもあり苦戦した。しかし、後半は比較的易しく、終始漂うさっぱりとした諦念(のようなもの)が印象的だった。頻繁に引用される作品ばかりなので、読んでおいて損はないだろう。
クリストファー・ノーランは『円環の廃墟」や『隠れた奇跡』から映画『インセプション』の着想を得た、とwiki先生が教えてくれたので再読。この短編集全体を取り巻く胡蝶の夢のような虚ろで、うす暗くて埃臭い図書館みたいな雰囲気が、以前にもまして好きになった。「神はクレメンティヌムの四十五万冊のなかの一冊のなかの一ページのなかの一字のなかにおられます。わたしの父たちとわたしの父たちの父たちはその文字を探してきました。わたしもそれを探しているうちに盲目となったのです」(『隠れた奇跡』)
ペダンチックな言い回しが多用される前半はやはり苦戦するも、二度三度とじっくり読むと突然視界が開けてくる瞬間がある。『八岐の園』が予想もしてない量子SFだったんでびっくり。ほかに『死とコンパス』『記憶の人、フネス』『結末』『南部』などが良かった。
高校生の時、最初に読んで衝撃を受けました。だって書いてあること全然わからないんだもん(笑)。いきなりプラトンの「形而上学」もってこられても…あれからちったあ知識も仕入れたが、いまだにわかんない。懐かしくなって再読しちゃいました。「ドン キホーテの著者 ピエール メナール」は架空本ものの中での私の最高傑作です。
奇想天外の短編集。 ちょうど星新一を文学的に小難しくした感じ。 面白かったけど、小難しい分がマイナス。 でも短編で終わらせるのが、 もったいないようなアイデアと内容。 中編に膨らませたら、もっと面白かったかも。 ってな事を言うと、 文学を解ってないなあ、と怒られそうだけど。
迷宮、時空、無限と有限、言語…などのモチーフの様々なバリエーションが展開され、非常に面白かった。自分を取り巻く世界の約束事を一旦嘘にしてしまう、そこに子供のような無邪気な好奇心をふと感じてしまうのかもしれない。『薔薇の名前』の盲目の修道僧に敬意を表して読み始めたけれど、なるほど、あの作品にはボルヘスへのオマージュという側面も含まれていたんだなあ。
特に前半、えらい何人も人名出てきて、注釈読むと大抵「ボルヘスの親友である」「ボルヘスと親交を結ぶ」「ボルヘスの友人」とか書いてあって、友人多いやん…と思いました。
世界の見方は一枚岩ではない、ということを強く印象づけられる短編集。世界は文字と言語の魔力によって読みかえられ、変形される。我々もまたバベルの図書館の住人なのだろう。他のボルヘス作品も読みたくなった。
分かりづらい。分かりづらかったけど「南部」「結末」の西部っぽい詩情や「バベルの図書館」や「ピエール・メナール」他の八岐の園の短編のアイデアには興奮させられた。さぼらずに書かれた「アル・ムターシム」やハーバード・クエインの作品はちょっと読んでみたいかもw
小説に引用された百科事典があったとしたとき、その記述は元の記述と異なるものとしてあつかわれるのではないだろうか。というより、むしろ、その「異なり」は虚構内―外を相対化しあわせるという、記述により引き起こされる作用のことではないか。「何をかいてもいいんだ!」
バビロンのくじを読みたくて読みはじめたが、半分くらい意味不明だった。久しぶりに頭を使う読書だった。バビロンのくじは期待通りのおもしろさ。人生って実はこうやって決まってるのかもって思ったりした。
一冊通してボルヘスを読むのは初めて。 「バベルの図書館」だけは読んだことがあったので、 ボルヘスと言えば個人的には「バベルの図書館」だったが、 どれもこれも負けず劣らずの超質量を持った短篇たちだった。 その内容とページ数の少なさのギャップにも驚かされる。 目の前で展開されていく光景、述懐にただ呆然とするばかりで、 危うく初っ端から振り落とされそうにもなった。 果てに向かう力強い遠心力と中心にある巨大な重力を感じる。 とは言え、再読必須。まだ表面をペロッと舐めた程度で、かじったとも言えない。
無限(夢幻)の迷路のような短編集。難しいけど面白い。考えると頭が痛くなるような事柄をあえて深く掘り下げていく感じ。個人的には「円環の廃墟」「バビロニアのくじ」「八岐の園」「記憶の人、フネス」が好き。それにしてもアイディアの宝庫だよなあ。
「南部」は虚実現夢入り交じった見事な短編。頭ぶつけて手術室で見た夢がガウチョの憧れとなる。「千一夜物語」を携えているのが盲目を暗示し、手術のメスがナイフとなり、決闘に参加するという。言葉で崩壊した「バベルの塔」が言葉によって再構築してさらに図書館までにしたという「バベルの図書館」。逆説的なアクロバティックな手法で17世紀の小説に自らを潜ませよう目論んだ20世紀の作家ピエール・メナールを描いた「『ドン・キホーテ』の著者ピエール・メナール」もすご技。
正直、わかりませんでした。 しかし、ずいぶんと高評価の方が多く、びっくり。 自分の読解力のなさは、十分理解しているつもりですが、それにしても、びっくりです。
出てくる人名の多さに最初は戸惑ったけど、読み進めていくと気にならなくなった。 確かにテーマが円環というだけあって、再帰ネタが多かった。 個人的には「円環の廃墟」「バベルの図書館」がお気に入り。
最初は出てくる固有名詞や言い回しに戸惑い、教養が無いと読むのが難しいのではないかと不安を覚えましたが、読んでいくうちにそれらはあまり気にならなくなりました。ミステリー的な展開の短編もいくつか見られ面白かったです。個人的には『『ドン・キホーテ』の著者、ピエール・メナール』『八岐の園』『隠れた奇跡』辺りが好みでした。
十数年ぶりの再読。「バベルの図書館」、「バビロニアのくじ」、「死とコンパス」が気に入った。ボルヘスの探偵小説趣味がうかがえる作品がある。書物を媒介にした哲学的・神話的思弁と地続きで唐突なアクションやその予感が提示される。素直なストーリーテラーではないが、ゴツゴツした展開はこの人にのみ可能。短かめな作品を読ませる内に「無限」とか「永遠」といった概念を感じさせる技術のすごさ、それに併せて叙述の自然さは圧巻である。一部自伝的とも云われる「南部」や「記憶の人 フネス」にかすかにボルヘスその人の痕跡が感じられる。
再読。ボルヘスを読んでいると、子供の時に漠然と感じていた「世界への不安」―『この』世界はなぜこの在り方であって、別の在り方ではないのか、自分を取り巻く世界は、実は夢まぼろしのものなのではないのか、然るにそれを見ている自分とは何なのか―を思い出す。『伝奇集』のなかでは『バベルの図書館』が最も好きなのだが、「世界のあり方」の全てを記述することは理屈の上では可能であって、それらが整然と並んでいる仮想の図書館を想像すること(そしてその無限性に呆然とすること)で、子供心に立ち返ることができるからかも知れない。
《世界が始まって以来、あらゆる人間が持ったものをはるかにこえる記憶を、わたしは一人で持っています。》伊達でいうとるのとは、ちゃうんです。
短編集。『バベルの図書館』が良かった。人の歴史は本の積み重ね。図書館は,無限に続く人の知識を集積して,天に昇る階段かもしれない。評価5
伝奇集の
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