夢十夜 他二篇 (岩波文庫)
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夢十夜 他二篇の感想・レビュー(226)
不思議な雰囲気が全編を通してふわふわ漂っている印象を受けた。「夢十夜」が特にその傾向が強く、淡々と進む夢の話が幻想的に映る。 個人的には「文鳥」が良いと感じた。人間の身勝手さがさりげなく、でも鋭く描かれている。
「夢十夜」は内容が難しい。私の見た夢はほとんどたわいもない夢ばかりである。それに比べ漱石は哲学的な夢を見たんだなと言うのが読後の感想である。その後の「文鳥」と「永日小品」は随筆なので読みやすい。これらは漱石の日常を描いた日記との印象で、日常の生活や文筆活動が良くわかる。更にロンドンに留学した時の話が出てくるが、いずれも暗い様子であり、当時漱石は鬱であつたと伝え聞き、そのことが反映されているのかなとの勝手な想像である。
個人的には第二夜が一番好き。もっとカフカっぽいオートライティング的な幻想作品とか思いきや、おもいっきしあざとい理性的な構成だった。第六夜で真の芸術は意識の外にあるみたいな話があったけど、この作品はどっちだろうか。曖昧だ。
夢十夜と文鳥は気に入った。永日小品は正直しんどかった。夢十夜は幻想小説として読むのも面白いし、モチーフの意味するものを頭の中で再構築しながら読むのも楽しい。ただ、幾つかのテーマが上手く読み取れなかった。文鳥にはエゴイズム的な愛情を感じた。細かな描写からのあの結末には、何処と無く虚しさのある余韻が残った。
こんな夢を見た。百年待っていてください。置き時計が鳴るまでに悟ってみせる。背負っている我が子が気持ち悪い。運慶がやってきた。仏は木の中に埋まっている。明治の木に仁王は埋まっていない。パナマの帽子。文鳥を飼おうとするが、面倒くさい、誰も世話してくれない。死んでから猫を可愛がり出す。おれは人間だ。山鳥を持ってやってくる書生、みんなで食う。モナリサを屑屋に売り払う。慶應内閣を作りたい。金は融通が効き過ぎる。
冊数稼ぎのために読みましたことをここに告白いたします。小品を続けて読むのがしんどかった。新しい小品に移るたび状況説明や背景説明があって、それを飲み下すとまた次の説明を読まなければならない、といった感じ。やはり説明は辛い。夢十夜も後半疲れた。文鳥かあいい。
サクッと読んでしまった。もしくは、自己完結の枠を逸していたのか。もう一回読み直しが必要だと思った。文鳥は今読むべきではなかった...
「夢十夜」は、怖いのとも、暗いのともなんだか違う、黒く冴えわたった感じが好きです。「永日小品」は読むのに時間がかかってしまった。今回は「文鳥」が一番好きだったんだけど、これは、読む年齢によって印象が大きく異なりそうです。
戦後の夏目漱石論はこの作品集にあるような小品の解釈をやり直すことから始まった。そういう触れ込みで読み始めました。漱石は文章の期限が遠く前に切れてしまっているから、あまりすらすらと読み進むことはできませんでした。文章の期限が過ぎた作品はどうしようもなく読みづらいですね。これは、翻訳本とは違う意味で読みづらいということですが。「永日小品」は特にそうで、情景を想像して読むことはできました。猫の話は個人的に面白く、家族の反応を含め、「漱石が日常をどのようにして捉えていたのか」ということが垣間見れていい。
「夢十夜」よりも「文鳥」よりも「永日小品」が好き。ひねくれてるなぁという感じの「柿」、筒井康隆を想起した「印象」、インテリの自負と明治の時代感が漂う「モナリサ」 夏目漱石も良いなぁと初めて思った。
夢十夜における子規の影響を見るために。最低限の言葉で最上級の物語を出現させている。「第一夜」は綺麗すぎる映像と共に脳内に染み渡った。「文鳥」「変化」などどこか切ない作品がとっても良い。「元旦」はユーモアたっぷり。「虚子がこう猛烈に来ようとは夢にも予期していなかった。」火鉢に残る最後の火が、こころにぽっと灯るような作品たち。漱石を見る目が変わりそうな短編集である。
再読。百閒の表現する恐怖ってものすごく身体感覚に訴えてくるものなんだけど、漱石のそれってあくまで抽象の怖さなんだよね。妖怪の文法で小説書いたのが百閒だとしたら、漱石はたぶん幽霊なわけで。映画も観たはずだが、松山ケンイチと漫☆画太郎しかおぼえてねえや。
昔、祖父の処へ遊びに行くと、何に使うのか解らない小物があったり、ちょっと気味の悪い置物が飾ってあったりしたものだ。一緒に出かけると、いったい何処へつれていかれるのか知らされず、きっととりたてた用事もなかったのだろう、飄々と散歩した。夕暮れの心細さや、道が解らない不安な気持ち。そんなことを思い出しながら、十夜十通りの夢を読む。ゆうるりとした不思議さ。怪しげな手品を見せられるような期待と月光に酔う様な心地。何度読んでもうっとりと堪能する上質の文であった。
淡々とした感じと受け取ってしまったが、もう一度読み返せば著者の生活環境がもっとよく理解出来るだろうと思った。夢十夜は理解出来ない節もあったので、再読してみたいと思う。
夢十夜は「こんな夢を見た。」で始まる十つの掌編群。不気味で不思議な夢の風景は、それぞれ一枚の絵画のような濃厚な印象を残す。第三夜の怖さはすごい。他の短編「文鳥」「永日小品」ともに、夏目漱石の名文家っぷりを楽しめる。
夢だから理不尽なのはしょうがないのだけれど、それが何かを示唆しているのだろうか、と思わずにはいられない話だった。例えば第一夜の女の人が死んで、百合の花になる話。例えば第七夜の船から飛び降りる話。どことなく悲しい混沌とした世界が美しいなあと思う。夢の記録をつけられたら俺も書きたい。
夢十夜 他二篇の
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